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神経筋疾患遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

神経筋疾患遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

神経筋疾患とは

神経筋疾患は、筋肉、末梢神経系、および神経と筋肉の間の信号伝達経路に影響を及ぼす疾患群の総称です。これらの疾患は臨床的に多様で、症状の種類や重症度、発症年齢は患者さんによって大きく異なります。共通する特徴として、進行性の筋力低下、疲労感、筋肉痛、嚥下困難、バランス障害などが挙げられます。これらの症状は乳児期から成人期まで、いずれの時期にも発症する可能性があります。

神経筋疾患は、筋電図検査、筋生検、生化学的検査、遺伝子検査、および臨床症状に基づいて分類されます。本検査パネルでは、筋ジストロフィー、ミオパチー、筋強直症、筋無力症候群、脊髄性筋萎縮症、および代謝性疾患に関連する遺伝子を包括的に評価します。

現在、これらの多くの疾患に対する根本的な治療法はありませんが、理学療法、薬物療法、時には外科的治療によって症状を管理することができます。遺伝性神経筋疾患と診断された患者さんは、理学療法や作業療法、薬物管理、および症状に応じた治療を受けることで、生活の質を改善できる可能性があります。

症状と病態

神経筋疾患の症状は疾患の種類によって異なりますが、共通する主要な症状は進行性の筋力低下と筋萎縮です。以下に主な疾患カテゴリーごとの特徴を説明します。

筋ジストロフィー

筋ジストロフィーは、筋線維の破壊・変性と再生を繰り返しながら、次第に筋萎縮と筋力低下が進行していく遺伝性筋疾患の総称です。原因となる遺伝子や発症年齢、臨床経過によってさまざまな病型に分類されます。

  • デュシェンヌ型筋ジストロフィー:最も頻度が高く重症な病型。男児に発症し、3~5歳で転びやすい、走れないなどの症状が現れ、10歳頃に車椅子が必要となります。心筋障害や呼吸不全を伴います。
  • ベッカー型筋ジストロフィー:デュシェンヌ型と同じ遺伝子の変異ですが、症状はより軽度で発症時期も遅く、多くの患者さんは成人期まで歩行可能です。
  • 福山型先天性筋ジストロフィー:日本に多い病型で、乳児期から筋力低下と中枢神経系の異常(小多脳回)を伴います。
  • 肢帯型筋ジストロフィー:肩や腰周辺の筋肉から症状が始まり、多様な遺伝子が関与します。

ミオパチー

ミオパチーは、筋肉自体に原因がある筋疾患の総称で、日本では筋ジストロフィー以外の筋疾患を指します。遺伝性のものと後天性のものがあります。

  • 先天性ミオパチー:生まれつき筋組織に構造的異常があり、新生児期または乳児期早期から筋緊張低下や筋力低下が認められます。ネマリンミオパチー、セントラルコア病などがあります。
  • 代謝性ミオパチー:筋肉のエネルギー代謝に関わる酵素の異常により、運動時の筋力低下や筋肉痛が生じます。
  • ミトコンドリアミオパチー:ミトコンドリアの機能異常により、筋力低下に加えて多臓器症状を伴うことがあります。
  • 遠位型ミオパチー:手足の先端部分の筋肉から筋力低下が始まる病型です。

筋強直症(ミオトニア)

筋強直症は、筋肉が収縮した後、弛緩するのに時間がかかる現象(ミオトニア)を特徴とする疾患群です。

  • 筋強直性ジストロフィー:最も頻度が高い成人発症の筋ジストロフィー。筋強直現象、筋力低下に加え、白内障、心伝導障害、内分泌異常など多臓器障害を伴います。
  • 先天性ミオトニー:小児期から筋のこわばりが出現しますが、筋力低下は軽度で生命予後は良好です。

筋無力症候群

筋無力症候群は、神経と筋肉の接合部(神経筋接合部)での信号伝達障害により、筋肉が疲れやすく、力が入らなくなる疾患です。

  • 重症筋無力症:自己免疫疾患で、アセチルコリン受容体に対する抗体により、眼瞼下垂、複視、全身の筋力低下が生じます。
  • 先天性筋無力症候群:神経筋接合部の遺伝子異常により、乳児期から筋力低下が認められます。

脊髄性筋萎縮症(SMA)

脊髄性筋萎縮症は、脊髄の運動ニューロン(脊髄前角細胞)の変性により、進行性の筋力低下と筋萎縮を来す遺伝性疾患です。発症年齢と重症度により、I型(重症型)、II型(中間型)、III型(軽症型)、IV型(成人発症型)に分類されます。

遺伝形式と原因遺伝子

神経筋疾患は遺伝学的に非常に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝、ミトコンドリア遺伝など、さまざまな遺伝形式を示します。本検査パネルでは138の原因遺伝子を対象としており、主要な神経筋疾患の遺伝学的原因を包括的に評価することができます。

X連鎖遺伝形式

デュシェンヌ型およびベッカー型筋ジストロフィーは、X染色体上のジストロフィン遺伝子(DMD)の変異により発症します。男児に発症し、女性は保因者となります。

常染色体優性(顕性)遺伝形式

筋強直性ジストロフィー1型(DMPK遺伝子)、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーなど、多くの神経筋疾患がこの遺伝形式を示します。

常染色体劣性(潜性)遺伝形式

福山型先天性筋ジストロフィー(FKTN遺伝子)、脊髄性筋萎縮症(SMN1遺伝子)、多くの肢帯型筋ジストロフィーや先天性ミオパチーがこの遺伝形式を示します。

当検査パネルでは、これらの遺伝形式を含む138遺伝子を対象としており、神経筋疾患の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

この遺伝子パネル検査には、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)遺伝子検査は含まれませんので、別途該当ページをご覧ください。

関連記事:顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)遺伝子検査

ミネルバクリニックの神経筋疾患遺伝子パネル検査の特徴

「神経筋疾患NGSパネル検査」とは、現在神経筋疾患の原因として報告されている138の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、神経筋疾患に関連する138遺伝子を一度に調べられる「神経筋疾患NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で神経筋疾患の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、神経筋疾患に関係するとされる138の遺伝子を一度に調べられる「神経筋疾患NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える神経筋疾患の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「神経筋疾患NGSパネル検査」の場合、138の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から神経筋疾患を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「神経筋疾患NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な138の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列(料金に含まれる)
欠失・挿入(料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「神経筋疾患NGSパネル検査」では、神経筋疾患に関係するとされる138種類の遺伝子をまとめて検査します。対象疾患には、筋ジストロフィー、ミオパチー、筋強直症、筋無力症候群、脊髄性筋萎縮症、および代謝性疾患が含まれます。

「神経筋疾患NGSパネル検査」は、神経筋疾患の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【神経筋疾患の個人歴または家族歴のある方】に
「神経筋疾患NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・進行性の筋力低下がある方
・筋萎縮(筋肉が痩せる)が認められる方
・筋肉痛や易疲労性がある方
・嚥下困難やバランス障害がある方
・乳児期からの筋緊張低下(フロッピーインファント)がある方
・運動発達の遅れがある方
・筋強直現象(筋肉のこわばり)がある方
・眼瞼下垂や複視などの症状がある方
・神経筋疾患の家族歴がある方
・原因不明の高CK血症(クレアチンキナーゼ値の上昇)がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、神経筋疾患の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切なリハビリテーション、装具療法、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・疾患の自然歴と予後の予測
・適切なリハビリテーションプログラムの立案
・呼吸機能障害のリスク評価と管理
・心機能障害の早期発見と管理
・その他の合併症の早期発見
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ACAD9, ACADL, ACADM, ACADVL, ACTA1, AGL, AMPD1, AMPD3, ANO5, ATP2A1, ATP7A, B4GAT1, BAG3, BIN1, BSCL2, CACNA1S, CAPN3, CAV3, CAVIN1, CFL2, CHAT, CHKB, CHRNA1, CHRNB1, CHRND, CHRNE, CHRNG, CLCN1, CNTN1, COL6A1, COL6A2, COL6A3, COLQ, CPT1B, CPT2, CRYAB, DAG1, DES, DMD, DNAJB6, DNM2, DOK7, DPM1, DPM3, DYNC1H1, DYSF, EMD, ETFA, ETFB, FHL1, FKRP, FKTN, FLNC, GAA, GLE1, GNE, GYS1, HADHA, HADHB, IGHMBP2, ISPD, ITGA7, KBTBD13, KLHL40, LAMA2, LAMP2, LARGE1, LDB3, LMNA, LPIN1, MEGF10, MTM1, MTMR14, MUSK, MYH2, MYH7, MYOT, NEB, OPA1, OPA3, PABPN1, PEX1, PEX12, PEX14, PEX2, PEX26, PEX3, PEX5, PEX6, PFKM, PGAM2, PGM1, PHKA1, PLEC, PLEKHG5, PMM2, PNPLA2, POLG, POLG2, POMGNT1, POMGNT2, POMT1, POMT2, PYGM, RAPSN, RRM2B, RXYLT1, RYR1, RYR2, SCN4A, SELENON, SGCA, SGCB, SGCD, SGCE, SGCG, SIL1, SMN1, SMN2, SUCLA2, SYNE1, SYNE2, TCAP, TK2, TMEM43, TNNI2, TNNT1, TNPO3, TPM2, TPM3, TRIM32, TRPV4, TTN, TWNK, TYMP, UBA1, VCP, VRK1 (138遺伝子)

主な遺伝子の詳細:

・DMD遺伝子(ジストロフィン遺伝子):
デュシェンヌ型およびベッカー型筋ジストロフィーの原因遺伝子。X染色体上に位置し、筋細胞膜タンパク質であるジストロフィンをコードします。

・SMN1遺伝子:
脊髄性筋萎縮症の主要な原因遺伝子。運動ニューロンの生存に必要なSMNタンパク質をコードします。SMN2遺伝子は本検査ではエクソン7-8のみを対象としています。

・FKTN遺伝子:
福山型先天性筋ジストロフィーの原因遺伝子。フクチンというタンパク質をコードし、糖鎖修飾に関与します。

・DMPK遺伝子:
筋強直性ジストロフィー1型の原因遺伝子。CTGリピートの異常伸長により発症します(本パネル検査では塩基配列のみで、リピート伸長検査は別途となります)。

・LMNA遺伝子:
エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィーや肢帯型筋ジストロフィーの原因遺伝子。核膜タンパク質をコードします。

・RYR1遺伝子:
セントラルコア病などの先天性ミオパチーの原因遺伝子。筋小胞体のカルシウムチャネルをコードします。

・NEB遺伝子:
ネマリンミオパチーの主要な原因遺伝子。ネブリンというタンパク質をコードします。

・CHRNE遺伝子:
先天性筋無力症候群の原因遺伝子。アセチルコリン受容体のイプシロンサブユニットをコードします。

・GAA遺伝子:
ポンペ病(糖原病II型)の原因遺伝子。酸性α-グルコシダーゼをコードします。

・その他の主要遺伝子:
CAPN3, DYSF, SGCA, SGCB, SGCD, SGCG(肢帯型筋ジストロフィー)、COL6A1, COL6A2, COL6A3(ウルリッヒ型・ベートレム型)、CLCN1(先天性ミオトニー)、SCN4A(筋強直症・周期性四肢麻痺)など、多数の重要な原因遺伝子が含まれています。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサヌクレオチドリピート伸長)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

遺伝子特異的な注記:

SMN2遺伝子:本検査におけるSMN2遺伝子(NM_017411.3)の検査方法は、SMN1遺伝子で診断的結果が検出された条件下で、エクソン7-8の配列決定および欠失/重複分析に限定されています。この遺伝子の他の領域については配列決定および欠失/重複分析は実施されません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
進行性の筋力低下、筋萎縮、易疲労性、筋肉痛、嚥下困難などの症状がある方におすすめします。また、乳児期からの筋緊張低下(フロッピーインファント)、運動発達の遅れ、原因不明の高CK血症がある場合も検査をご検討ください。家族に神経筋疾患の方がいる場合も重要な検査対象となります。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
筋ジストロフィーとミオパチーの違いは何ですか?
筋ジストロフィーは、筋線維の破壊・変性と再生を繰り返しながら進行する疾患群です。ミオパチーは筋疾患の総称で、日本では筋ジストロフィー以外の筋疾患を指します。当検査では両方を含む包括的な遺伝子検査が可能です。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。X連鎖遺伝の場合、男児が発症するリスクは50%となります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
本検査パネルでは138の主要な原因遺伝子を対象としていますが、すべての神経筋疾患の原因遺伝子が含まれているわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状や他の検査結果に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%、X連鎖遺伝の場合は男児が発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
神経筋疾患の治療はどのように行われますか?
多くの神経筋疾患には根本的な治療法がありませんが、理学療法、作業療法などのリハビリテーション、装具療法、必要に応じて呼吸管理や心臓管理などが行われます。デュシェンヌ型筋ジストロフィーにはステロイド療法やエクソン・スキッピング治療薬、ポンペ病には酵素補充療法、脊髄性筋萎縮症には複数の治療薬が承認されています。適切な管理により、多くの患者さんは生活の質を維持できます。
予後はどうですか?
疾患の種類や重症度によって予後は大きく異なります。デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは呼吸管理や心臓管理の進歩により平均寿命が30歳を超えるようになっています。軽症のミオパチーでは正常に近い生活を送れる場合もあります。早期診断と適切な管理により、予後の改善が期待できます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な138の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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