疾患に関係する遺伝子
疾患概要
Deafness, autosomal dominant 13 常染色体優性難聴13 601868 AD 3
常染色体優性難聴13型(DFNA13)は、染色体6p21上に位置するCOL11A2遺伝子のヘテロ接合体変異によって引き起こされる遺伝性難聴の一形態です。この遺伝子変異が原因で、個体は進行性の聴覚障害を経験することになります。DFNA13の場合に「#」記号が使用されているのは、特定の遺伝子変異によって特定の症状が引き起こされることを示すためです。
Brownらによる1997年の研究では、言語習得後に進行性の難聴を経験する家族が報告されました。この家族の罹患者は、主に20〜40歳代から難聴が始まり、時間が経つにつれて聴力が徐々に低下していき、最終的には補聴器を使用する必要がありました。報告された家族はアイオワ州に住む北欧系の家系であり、遺伝的な背景がこの難聴の進行に影響を与えている可能性が示唆されています。
このような症例報告は、特定の遺伝子変異がどのように特定の臨床的特徴に関連しているかを理解する上で重要です。DFNA13のような遺伝性難聴の研究は、遺伝子診断や将来的な治療法の開発に役立つ貴重な情報を提供します。
COL11A2遺伝子がコードするXI型コラーゲンは軟骨の細胞外マトリックスに主に存在する線維形成コラーゲンであり、骨格の完全性と発達にとって重要な役割を果たします。このタイプのコラーゲンは、軟骨の構造と機能を維持するために必要であり、健康な骨と関節の発達に不可欠です。Luiらによる1996年の研究要約では、XI型コラーゲンがどのようにして骨格系の発達と完全性に寄与しているかが詳述されています。このコラーゲンの異常は、骨格の発達障害や関節疾患など、さまざまな健康問題につながる可能性があります。
COL11A2遺伝子の変異は、特定の形の非症候性難聴、すなわち症状や他の徴候を伴わない難聴に関連しています。この遺伝子における変異は、難聴の2つの異なる型、DFNA13とDFNB53を引き起こすことが知られています。
### DFNA13
DFNA13は常染色体優性遺伝のパターンを持ち、患者の各細胞に変異したCOL11A2遺伝子の1つのコピーが存在する場合に難聴を発症します。このタイプの難聴は、通常、小児期や青年期に発症し、言語習得後に始まるため、言語習得後難聴と分類されます。DFNA13においては、少なくとも2つの変異が特定されており、これらの変異はいずれもXI型コラーゲンの構成単位であるプロα2(XI)鎖の特定のアミノ酸を変化させます。これらの変異によってXI型コラーゲンの構造が変化し、それが内耳の構造と機能に影響を与えると考えられています。
### DFNB53
DFNB53はCOL11A2遺伝子の変異によって引き起こされる難聴の型であり、DFNA13とは異なる遺伝的パターン(常染色体劣性遺伝)を持ちます。
これらの遺伝子変異が引き起こす難聴は、特定のタンパク質の機能や結合組織の性質に影響を及ぼし、最終的に内耳の機能障害につながります。難聴を引き起こすこのようなメカニズムの理解は、将来の治療法や診断法の開発に重要な情報を提供します。
マッピング
また、Van Campらによる1997年の包括的レビューでは、言語習得後に進行する非症候性難聴の家系が染色体6p21.3にマップされたことがBrownらの研究を通じて言及されています。Van Campらはこの特定の難聴疾患をDFNA13と命名しました。これは、非症候性難聴(DFNA)の遺伝子座の一つとして識別され、特定の染色体位置に基づく命名法に従っています。
これらの研究は、遺伝的難聴の原因となる遺伝子のマッピングと特定に重要な貢献をしており、特に難聴の遺伝学的要因を理解するうえでの重要な一歩を示しています。
分子遺伝学
ミスセンス変異とは、遺伝子の塩基配列の変化により、タンパク質を構成するアミノ酸の一つが別のアミノ酸に置き換わる遺伝子変異の一種です。このような変異が生じると、影響を受けるタンパク質の機能に異常が生じる可能性があります。COL11A2遺伝子は線維性コラーゲンの一種をコードする遺伝子であり、特に耳の構造や機能に関わっているため、この遺伝子の変異は難聴に直接的な影響を与えることがあります。
常染色体優性遺伝形式においては、変異を持つ一方のアレル(遺伝子のバージョン)が疾患の表現型を引き起こすのに十分であり、この場合、非症候性で非進行性の難聴が観察されます。これは、難聴が時間とともに悪化することなく、また明らかな他の症状を伴わない状態を指します。
この研究により、COL11A2遺伝子の特定の変異が特定の形態の難聴の原因である可能性が示唆され、分子遺伝学的アプローチによる遺伝性聴覚障害の理解が深まりました。



