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IGF1抵抗症(インスリン様成長因子I抵抗症)| 遺伝子疾患情報

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。国際医療誌『Medical Care Review APAC』『Global Woman Leader』の2誌で表紙を飾り、「Top Prenatal Testing Service in APAC 2025」に選出されるなど、世界基準の遺伝医療を提供。

IGF1抵抗症(IGFIRES;OMIM 270450)は、インスリン様成長因子I(IGF1)受容体の遺伝子変異により引き起こされる稀な遺伝性疾患です。血液検査でIGF1が正常値以上にもかかわらず成長が障害されるという特徴的な所見を示し、一般的な成長ホルモン分泌不全症との鑑別に専門的な知識が求められます。

この記事でわかること
📖 読了時間:約10分
🧬 IGF1R・稀少遺伝疾患・成長障害
臨床遺伝専門医監修

Q. IGF1抵抗症とはどのような病気ですか?

A. IGF1受容体(IGF1R)の遺伝子変異により、IGF1に対する組織の感受性が低下して起こる稀な遺伝性成長障害です。 血中IGF1濃度が正常〜高値にもかかわらず成長が促されず、胎児期から低身長・小頭症を来します。常染色体優性または劣性の遺伝形式をとります。

  • 疾患の概要 → OMIM 270450、IGF1R遺伝子変異による稀少遺伝性疾患
  • 主な症状 → 低身長・小頭症・骨年齢遅延・発達遅滞
  • 原因 → 15q26.3のIGF1R遺伝子変異(ナンセンス・ミスセンス等)
  • 診断 → 血清IGF1高値+IGF1R遺伝子解析で確定
  • 治療・支援 → 成長ホルモン治療・対症療法・遺伝カウンセリング

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1. 疾患の概要

IGF1抵抗症(IGFIRES;OMIM 270450)は、IGF1受容体(IGF1R)遺伝子の変異により、IGF1に対する組織の感受性が低下することで発症する成長障害です。患者では血清IGF1濃度が正常または高値を示すにも関わらず、IGF1の生物学的作用が十分に発揮されないため、成長促進効果が得られません。

📘 IGF1(インスリン様成長因子I)とは

成長ホルモン(GH)の刺激を受けて主に肝臓から分泌されるタンパク質です。細胞の増殖・分化・生存を促進し、骨・筋肉・臓器の発育に不可欠な役割を担います。血液検査で濃度を測定でき、成長障害の評価指標として広く使われています。

📗 IGF1R(IGF1受容体)とは

IGF1が結合する細胞表面のタンパク質(受容体)です。IGF1がIGF1Rに結合すると、細胞内でシグナルが伝わり、細胞増殖や成長が促されます。IGF1R遺伝子に変異があると、IGF1が正常量あっても「鍵穴(受容体)が壊れている」状態となり、成長シグナルが届かなくなります。

この疾患は常染色体優性または常染色体劣性の遺伝形式を示し、変異の種類や部位により重症度が異なります。ヘテロ接合性変異では比較的軽症の表現型を示すことが多く、ホモ接合性または複合ヘテロ接合性変異では重篤な症状を呈する傾向があります。

IGF1抵抗症は、成長ホルモン(GH)分泌不全症や他の成長障害との鑑別が重要であり、血清IGF1濃度の測定と遺伝子解析により診断されます。現在のところ根治的な治療法はありませんが、成長ホルモン治療により一部の患者で成長速度の改善が認められる場合があります。

2. 主な症状

成長障害

IGF1抵抗症の最も特徴的な症状は、胎児期からの成長障害です。患者は胎内発育不全(IUGR)として出生し、出生後も持続的な成長障害を示します。低身長は全例に認められ、最終身長は標準偏差−5〜−6程度となることが多く、特に重症例では著明な低身長を呈します。

🟡 IUGR(胎内発育不全)とは

胎児が子宮内で正常よりも小さく成長する状態です(子宮内発育遅延とも呼ばれます)。IGF1抵抗症では、受容体機能障害により胎児期からIGF1シグナルが届かず、出生時体重・身長が著明に小さいことが多くあります。

頭部・顔面の特徴

小頭症は本疾患の重要な特徴の一つです。多くの患者で頭囲の成長が不良となり、小頭症を呈します。顔面の形態異常として、三角形状の顔貌、頬骨の低形成、上向きの眼瞼裂、鼻梁の拡大、鼻尖部の拡大と丸み、長くて平坦な人中、薄い上唇、外反した厚い下唇などが認められます。

四肢・骨格系の異常

骨年齢の遅延は多くの患者で認められる重要な所見です。手足の小ささ、短く幅広い指、末節骨の短縮、両側性のクリノダクチリーなどが特徴的です。一部の患者では漏斗胸や胸骨の異常も認められます。

📗 骨年齢(bone age)とは

手のX線写真から骨の成熟度を評価し、暦年齢との差を見る指標です。成長障害のある子どもで骨年齢が暦年齢より遅れている場合、成長の遅れが骨にも及んでいることを示します。

📕 クリノダクチリーとは

指が側方に曲がって生える変形のことです(側指症とも呼ばれます)。特に小指に多くみられ、様々な遺伝疾患でみられる所見のひとつです。

発達・神経学的症状

軽度から中等度の精神発達遅滞や学習障害が認められることがあります。言語発達の遅れ、運動発達の遅れ、軸性筋緊張低下、下肢の軽度筋緊張亢進などの神経学的症状を呈する場合があります。一部の患者では不安傾向、強迫的傾向、社会恐怖などの精神症状も報告されています。

その他の合併症

心血管系の異常として、卵円孔開存、心室中隔欠損、肺動脈分枝の狭窄などが報告されています。眼科的異常には斜視、リーガー異常などがあります。一部の患者では皮下脂肪の減少、脂肪異栄養症、早老症様の外観を呈することもあります。また、糖代謝異常やインスリン抵抗性を合併する場合があります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【成長障害の鑑別で見落としやすい視点】

「成長ホルモン治療を続けても身長が伸びない」というご相談を受けることがあります。GH分泌不全症として治療を開始したものの、なかなか効果が出ない――そういったケースで、後からIGF1R変異が判明することがあります。

血清IGF1が正常〜高値にもかかわらず成長が乏しいという組み合わせは、受容体側の異常を疑う大切なシグナルです。稀少疾患である分、診断に至るまでの道のりが長くなりやすいため、早期の遺伝子解析が非常に重要だと感じています。

3. 原因:IGF1R遺伝子変異

IGF1R遺伝子

IGF1抵抗症は、15q26.3に位置するIGF1R遺伝子(OMIM 147370)の変異により引き起こされます。IGF1R遺伝子は、インスリン様成長因子I受容体をコードしており、この受容体はIGF1の細胞への結合と細胞内シグナル伝達に重要な役割を果たしています。

変異の種類

IGF1R遺伝子には様々な種類の変異が報告されており、ナンセンス変異、ミスセンス変異、スプライシング変異などがあります。変異の位置や種類により、受容体の数の減少、結合親和性の低下、シグナル伝達機能の障害などが起こり、IGF1に対する組織の反応性が低下します。

📗 遺伝子変異の種類(簡単な説明)

・ナンセンス変異:塩基配列が「終止コドン」に変わり、タンパク質が途中で作られなくなる変異

・ミスセンス変異:1つの塩基が別の塩基に置き換わり、アミノ酸が変化してタンパク質の機能が低下する変異

・スプライシング変異:DNAからRNAへの転写後に行われる「不要部分の切り出し」が正常に行われなくなる変異

分子病態

正常なIGF1受容体は、IGF1が結合することにより自己リン酸化が起こり、細胞内のシグナル伝達カスケードが活性化されます。これにより細胞の増殖、分化、生存が促進され、成長が促されます。IGF1R遺伝子変異により受容体機能が障害されると、IGF1の生物学的作用が十分に発揮されず、成長障害が生じます。

🔍 関連記事:ミネルバクリニックが提供する遺伝子検査について詳しくはこちら

4. 遺伝形式

IGF1抵抗症は常染色体優性遺伝または常染色体劣性遺伝の形式をとります。多くの症例では常染色体優性遺伝の形式で、片方の親から変異遺伝子を受け継ぐことで発症します。この場合、軽度から中等度の症状を呈することが多く、家族内で複数の患者が認められることがあります。

🟠 常染色体優性遺伝とは

2本の染色体のうち片方に変異があるだけで発症する遺伝形式です。変異を持つ親から子への遺伝確率は50%です。IGF1抵抗症の多くがこの形式をとります。

🔵 常染色体劣性遺伝とは

2本の染色体の両方に変異がある場合のみ発症する遺伝形式です。両親が保因者の場合、子どもの発症確率は25%です。この場合、両親は通常無症状です。

両親がそれぞれ異なる変異を持つ場合(複合ヘテロ接合性)や、同一変異のホモ接合性の場合には、より重篤な症状を呈する傾向があります。これらの症例では常染色体劣性遺伝の形式をとり、両親は通常無症状の保因者です。

遺伝カウンセリングにより、家族計画や遺伝リスクについて適切な情報提供と支援が重要です。

5. 診断

臨床診断

IGF1抵抗症の診断は、特徴的な臨床症状と検査所見に基づいて行われます。胎内発育不全、出生後の持続的な成長障害、小頭症、特徴的な顔貌、骨年齢遅延などの症状に加えて、血清IGF1濃度が正常または高値を示すことが診断の手がかりとなります。

内分泌学的検査

血清IGF1濃度の測定が最も重要な検査です。IGF1抵抗症患者では、成長障害があるにも関わらず血清IGF1濃度が年齢・性別の正常範囲またはそれ以上の値を示します。成長ホルモン分泌刺激試験では正常反応を示し、成長ホルモン分泌不全症との鑑別が可能です。

💜 成長ホルモン分泌刺激試験とは

薬剤を投与して意図的にGH分泌を促し、血中GH濃度の反応を測定する検査です。IGF1抵抗症ではGH分泌は正常(刺激に正常反応する)ため、GH分泌不全症と区別する上で重要な検査です。

細胞機能検査・遺伝子検査

患者由来の培養皮膚線維芽細胞を用いたIGF1反応性試験により、IGF1に対する細胞の反応性を評価することができます。IGF1受容体の数の減少や機能低下が確認される場合があります。IGF1R遺伝子の塩基配列解析により確定診断が可能です。次世代シーケンサーを用いた包括的な遺伝子解析により、効率的に変異を検出することができます。

🔬 次世代シーケンサー(NGS)とは

大量のDNA配列を一度に解読できる最新の遺伝子解析技術です。従来法と比べて多くの遺伝子を網羅的かつ迅速に解析できるため、稀少遺伝疾患の確定診断に欠かせないツールとなっています。

画像検査

骨年齢の評価のため手のX線撮影を行います。頭部MRIにより小頭症の程度や脳の構造異常を評価し、心エコー検査により心血管系の異常の有無を確認します。

🔍 関連記事:遺伝子疾患の確定診断として行われる羊水検査・絨毛検査についてはこちら

6. 治療と管理

成長ホルモン治療

現在のところIGF1抵抗症に対する根治的治療法は確立されていませんが、成長ホルモン治療により一部の患者で成長速度の改善が期待できます。特にヘテロ接合性変異を持つ患者では、成長ホルモン治療に対する反応性が保たれている場合があります。治療効果は個人差が大きく、定期的な評価が必要です。

⚠️ 注意:IGF1抵抗症における成長ホルモン治療は、GH分泌不全症とは発症メカニズムが異なるため、効果には限界があります。担当医と十分に相談しながら治療方針を決定することが重要です。

対症療法・発達支援

発達遅滞に対しては早期からの療育支援、言語療法、作業療法などの包括的なリハビリテーションが重要です。学習障害がある場合には特別支援教育の提供が必要となることがあります。

合併症の管理

心血管系の異常が認められる場合には、循環器科での定期的な経過観察と必要に応じた治療が行われます。眼科的異常に対しては眼科での管理が必要です。糖代謝異常がある場合には、食事療法や薬物療法により血糖コントロールを行います。

栄養管理・心理社会的支援

適切な栄養摂取により、可能な限り成長を促進することが重要です。必要に応じて栄養士による栄養指導を行い、バランスの取れた食事の提供を心がけます。低身長や発達遅滞により生じる心理社会的問題に対して、患者・家族への心理的支援も欠かせません。同じ疾患を持つ患者・家族との交流やピアサポートも有効です。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【稀少疾患と「孤独にしない」支援】

稀少遺伝疾患の診断を受けたご家族から「同じ病気の子がほとんどいない、何もわからない」というお言葉をよく伺います。情報が少ない疾患ほど、ご家族が孤立しやすくなります。

だからこそ私が大切にしているのは、「診断を出して終わり」にしないことです。遺伝形式の説明、家族内検査の提案、将来の家族計画への伴走まで、一貫したサポートを提供することが遺伝カウンセリングの本来の役割です。ひとりで抱え込まないでください。

7. 予後

IGF1抵抗症の予後は変異の種類や重症度により大きく異なります。ヘテロ接合性変異を持つ患者では比較的軽症の経過をたどることが多く、適切な治療により社会生活への適応が可能な場合が多くあります。一方、重篤な変異を持つ患者では著明な低身長や発達遅滞が持続し、より集約的な支援が必要となります。

成長ホルモン治療により成長速度の改善が得られる患者もいますが、最終身長は通常正常範囲には達しません。しかし、適切な医学的管理と社会的支援により、多くの患者で良好な生活の質を維持することが可能です。

定期的な医学的フォローアップにより、合併症の早期発見と治療を行うことが重要です。また、遺伝カウンセリングにより家族計画に関する適切な情報提供を行うことで、将来の遺伝リスクについて十分な理解を得ることができます。

8. 遺伝カウンセリング

遺伝形式の説明と家族内検査

IGF1抵抗症の遺伝形式について、患者・家族に分かりやすく説明することが重要です。常染色体優性遺伝の場合は50%の確率で子どもに遺伝すること、常染色体劣性遺伝の場合は両親が保因者の場合に25%の確率で発症することを説明します。患者で病的変異が同定された場合、家族内での保因者診断や発症前診断が可能となります。特に妊娠を希望する場合には、遺伝子検査による正確なリスク評価が重要です。

出生前診断

既知の家族内変異が同定されている場合、妊娠中の出生前診断が技術的に可能です。ただし、疾患の重症度や治療選択肢、生活の質などを総合的に考慮した上で、十分な情報提供とカウンセリングを行う必要があります。

心理社会的支援

遺伝性疾患の診断は患者・家族に大きな心理的影響を与えるため、継続的な心理社会的支援が重要です。疾患に関する正確な情報提供と同時に、患者・家族の感情や不安に寄り添うカウンセリングを提供します。

🔍 関連記事:妊娠中の出生前遺伝子検査についてはNIPT(出生前診断)のページもご覧ください

よくある質問(FAQ)

Q1. IGF1抵抗症とIGF1欠乏症の違いは何ですか?

IGF1欠乏症では血中IGF1濃度が低いのに対し、IGF1抵抗症では血中IGF1濃度が正常または高値でも受容体(IGF1R)の異常により組織がIGF1に反応できない状態です。いずれも低身長・成長障害を来しますが、発症メカニズムが異なります。IGF1抵抗症では「IGF1は足りているが、受け取る側が機能していない」という特徴があります。

Q2. 成長ホルモン治療は効果がありますか?

一部の患者(特にヘテロ接合性変異を持つ方)では、成長ホルモン治療により成長速度の改善が期待できます。ただし効果には個人差が大きく、最終身長が正常範囲に達することは稀です。GH分泌不全症とは発症メカニズムが異なるため治療効果には限界があります。担当医と定期的な評価を行いながら治療方針を決定することが重要です。

Q3. 遺伝子検査で確定診断はできますか?

IGF1R遺伝子の塩基配列解析により確定診断が可能です。次世代シーケンサーを用いた包括的な遺伝子解析で効率的に変異を検出できます。血清IGF1濃度(正常〜高値)との組み合わせによる診断が一般的です。家族内での変異の分離解析も診断の確定に有用です。

Q4. 子どもへの遺伝リスクはどのくらいですか?

常染色体優性遺伝の場合、変異を持つ親から子への遺伝確率は50%です。常染色体劣性遺伝で両親がともに保因者の場合、子どもの発症確率は25%となります。遺伝カウンセリングを受けることで、ご自身の状況に応じた正確なリスク評価と家族計画の情報提供が受けられます。

Q5. 出生前に診断することはできますか?

家族内で既知の変異が同定されている場合、妊娠中に絨毛検査や羊水検査を用いた出生前診断が技術的に可能です。疾患の重症度・治療選択肢・生活の質などを総合的に考慮した上で、十分な遺伝カウンセリングを受けてから判断することが大切です。

Q6. 低身長以外に気をつけるべき合併症はありますか?

心血管系の異常(卵円孔開存、心室中隔欠損など)、眼科的異常(斜視、リーガー異常)、糖代謝異常・インスリン抵抗性などが合併することがあります。定期的な循環器科・眼科の診察と血糖モニタリングが推奨されます。発達遅滞がある場合には早期からの療育・言語療法・作業療法などの支援が重要です。

🏥 遺伝子疾患の診断・遺伝カウンセリングはミネルバクリニックへ

IGF1抵抗症をはじめとする稀少遺伝疾患の相談から、
妊娠中の出生前遺伝子検査(NIPT)まで、臨床遺伝専門医が対応します。

関連記事

参考文献

  • [1] Abuzzahab MJ, et al. IGF-I receptor mutations resulting in intrauterine and postnatal growth retardation. N Engl J Med. 2003;349(23):2211-22. [DOI]
  • [2] Klammt J, et al. Mutations of the insulin-like growth factor I receptor (IGF1R): phenotypic and molecular aspects. Arch Physiol Biochem. 2011;117(4):204-15. [DOI]
  • [3] Fang P, et al. Heterozygous missense and nonsense mutations of the IGF1R gene in patients with short stature. Eur J Endocrinol. 2009;161(1):87-94. [DOI]
  • [4] OMIM #270450 — IGF1 RESISTANCE; IGFIRES. [OMIM]
  • [5] Orphanet. Insulin-like growth factor I resistance. [Orphanet]
  • [6] 日本小児内分泌学会. 低身長診療ガイドライン. [公式サイト]
  • [7] Woods KA, et al. Intrauterine growth retardation and postnatal growth failure associated with deletion of the insulin-like growth factor I gene. N Engl J Med. 1996;335(18):1363-7. [DOI]

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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