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9p欠失症候群(Alfi症候群)症状・原因・診断|東京・ミネルバクリニック

9p欠失症候群(Alfi症候群)症状・原因・診断|東京・ミネルバクリニック

9p欠失症候群(Alfi症候群)とは?
症状・原因・診断・治療を臨床遺伝専門医が解説

この記事でわかること
📖 読了時間:約20分
🧬 染色体欠失・神経発達症・性分化疾患
臨床遺伝専門医監修

Q. 9p欠失症候群(Alfi症候群)とはどのような病気ですか?

A. 第9染色体短腕(9p)の一部が欠失することで、特徴的な顔貌、知的障害、性分化異常などを引き起こす稀な染色体異常です。
1973年にOmar Alfiらが初めて報告し、三角頭蓋(trigonocephaly)を特徴とする顔貌、中等度〜重度の知的障害、そして46,XY核型の患者における性分化疾患(DSD)が主な症状です。


  • 原因第9染色体短腕(9p22〜9p24領域)の末端または間質欠失

  • 主要症状 → 三角頭蓋、眼裂の上斜、知的障害(IQ平均約48)、言語発達遅滞、心疾患(35〜50%

  • 重要な特徴46,XY性分化疾患(DSD):遺伝的男性で女性外性器を呈する性転換が起こりうる

  • 診断方法染色体マイクロアレイ検査(CMA)が確定診断のゴールドスタンダード

  • 頻度 → 約5万人に1人(稀な染色体異常症候群)

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1. 9p欠失症候群とは|基本情報

【結論】 9p欠失症候群は、第9染色体短腕(9p)の末端部または間質部が欠失することで発症する稀な染色体異常疾患です。1973年にOmar Alfiらが初めて報告し、「Alfi症候群」の別名でも知られています。約5万人に1人の頻度で発生し、特徴的な顔貌・知的障害・性分化異常を主徴とします。

「お子さんの発達や外見に特徴がある」「検査で9p欠失が見つかった」という方は、この疾患について正確な情報を知ることが大切です。本症候群は欠失の位置とサイズによって症状が大きく異なるため、個別の遺伝カウンセリングが重要です。

💡 用語解説:「末端欠失」と「間質欠失」とは?

末端欠失(terminal deletion):染色体の端(テロメア)から内側に向かって一部が失われるタイプです。
間質欠失(interstitial deletion):染色体の途中の一部分だけが失われ、両端は保たれるタイプです。9p欠失症候群では、どちらのタイプも報告されています。

9p欠失症候群の概要

項目 内容
疾患名 9p欠失症候群(Chromosome 9p deletion syndrome)
別名 Alfi症候群、9p-症候群、第9染色体短腕部分モノソミー
原因 第9染色体短腕(9p22〜9p24領域)の欠失
頻度 5万人に1人(文献により約1/50,000)
遺伝形式 約2/3が新生突然変異、約1/3が親からの転座に起因
主要責任遺伝子 DMRT1/2/3(性分化)、FREM1(三角頭蓋)、DOCK8(神経発達)など

⚠️ 欠失のサイズと症状の関係

9p欠失症候群の症状は、欠失のサイズと位置によって大きく異なります。一般に欠失が大きいほど症状の数と重症度が増しますが、特定の「クリティカル・リージョン」を含む微小欠失でも重篤な症状を呈することがあります。個々の患者さんの予後は、詳細な遺伝学的検査による欠失範囲の特定が不可欠です。

9p欠失症候群の歴史的背景

本症候群は1973年に遺伝学者Omar Alfiらが、三角頭蓋・特徴的顔貌・知的障害を共有する3人の乳児を報告したことに端を発します。当初はG分染法による細胞遺伝学的解析で診断されていましたが、現代では染色体マイクロアレイやWGS(全ゲノムシーケンシング)により、サブ顕微鏡レベルの微細欠失まで検出可能となっています。

💡 クリティカル・リージョンとは?

9p欠失症候群の「典型的な表現型」を引き起こす最小領域は、9p22.2〜9p23の約4〜6 Mbと考えられています。この領域にFREM1遺伝子(三角頭蓋の原因)が含まれます。一方、9p24.3領域には性分化に関与するDMRT遺伝子群があり、この領域の欠失は46,XY性分化疾患を引き起こします。

2. 9p欠失症候群の主な症状

【結論】 本症候群の三大症状は①三角頭蓋を含む特徴的顔貌、②中等度〜重度の知的障害、③46,XY性分化疾患(DSD)です。症状の程度は欠失範囲により様々で、軽度から重度まで幅広いスペクトラムを示します。心疾患の合併率も35〜50%と高頻度です。

頭蓋・顔貌の特徴

三角頭蓋(trigonocephaly)は本症候群の「病徴的(pathognomonic)」な所見の一つです。これは前頭縫合の早期癒合により、額が三角形に突出する頭蓋形態です。

👤 顔貌の特徴
  • 三角頭蓋:前頭縫合の早期癒合による額の三角形状の突出
  • 眼裂の上斜(Upslanting palpebral fissures):ほぼ全症例に認められる
  • 眼間開離と内眼角贅皮:顔面中央部の低形成を示唆
  • 鼻梁の平坦化と鼻孔の前屈:短い鼻とセットで高頻度
  • 長い人中と薄い上唇:独特の口元を形成
  • 低位付着・後方回転耳:耳介の異形成を伴う

神経発達と認知機能

症状 詳細
知的障害 中等度〜重度(平均IQ約48、範囲33〜73)。稀に軽度の症例も存在
言語発達遅滞 特に深刻。多くの患者が非言語的または極めて限定的な語彙。受容言語は表出言語より保持される傾向
運動発達遅滞 筋緊張低下(hypotonia)による粗大運動の遅れ
行動特性 自閉スペクトラム症様の特徴、多動、睡眠障害。一方で親しみやすく愛情豊かな性格との報告も多い
てんかん 一部の患者で報告。DOCK8遺伝子欠失との関連が示唆

⚠️ 言語発達と行動課題:受容言語(理解力)と表出言語(発話力)のギャップにより、幼児期における激しい癇癪や自傷行為といった「コミュニケーションの欲求不満」に起因する行動課題が生じることがあります。早期からの代替コミュニケーション手段(AAC)の導入が重要です。

性分化疾患(DSD)と生殖器異常

💡 用語解説:性分化疾患(DSD)とは?

DSD(Disorders/Differences of Sex Development)は、染色体・性腺・解剖学的な性が非典型的な発達を示す状態の総称です。9p欠失症候群では、46,XY核型(遺伝的男性)でありながら女性外性器を呈する「性転換」が特徴的です。

46,XY核型を持つ患者において、9p欠失は「46,XY 完全性腺異形成(Complete Gonadal Dysgenesis: CGD)」の主要な原因の一つです。

臨床スペクトラム

  • 停留精巣
  • 尿道下裂
  • 小陰茎
  • 完全な女性外性器(性転換)

重要な合併症リスク

  • ⚠️
    性腺芽細胞腫(gonadoblastoma)のリスクが極めて高い
  • ⚠️
    乳児期からの早期発症報告あり
  • ⚠️
    早期の性腺摘出術が予後を左右

心血管系および全身の合併症

心疾患の合併率は35%から50%と非常に高頻度です。

疾患・徴候 頻度・特徴
心室中隔欠損(VSD) 最も頻度の高い心奇形
心房中隔欠損(ASD) しばしばVSDやPDAと併発
動脈管開存症(PDA) 術後の管理において留意が必要
臍・鼠径ヘルニア 腹壁の脆弱性に起因し、20%以上で見られる
筋緊張低下(Hypotonia) 全身の「floppiness」を引き起こし、運動発達を遅らせる
低血糖症 新生児期には内分泌的モニタリングが重要
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【9p欠失症候群の多様性を理解する】

9p欠失症候群で最も重要なのは、「同じ病名でも欠失範囲によって症状が全く異なる」ということです。クリニカル・リージョンをわずかに含む微小欠失から、9p全体に及ぶ大きな欠失まで様々なパターンがあります。

特に注意が必要なのは46,XY核型の患者さんにおける性分化疾患(DSD)です。NIPTで性別がXYと判定されたにもかかわらず、超音波で女性外性器や曖昧な外性器が認められた場合、9p24.3領域の欠失を強く疑う必要があります。

また、異形成を起こした性腺には性腺芽細胞腫という悪性腫瘍の発生リスクが非常に高いため、早期の性腺摘出術の検討が不可欠です。

3. 原因と遺伝的背景|責任遺伝子

【結論】 本症候群の原因は、9番染色体短腕に位置する複数の重要遺伝子のハプロ不全です。特にFREM1(三角頭蓋)、DMRT1/2/3(性分化)、DOCK8(神経発達)などが症状形成に関与しています。

💡 用語解説:「ハプロ不全」とは?

通常、遺伝子は父母から1本ずつ、計2コピー持っています。「ハプロ不全」とは、1コピーが欠失または機能しなくなることで、残り1コピーだけでは正常な機能を維持できない状態を指します。9p欠失症候群では、欠失領域に含まれる複数の遺伝子がハプロ不全となることで、様々な症状が生じます。

主要責任遺伝子とその機能

ゲノム領域 主要遺伝子 寄与する臨床的特徴
9p24.3 DMRT1, DMRT2, DMRT3 性分化疾患(DSD)、性転換、知的障害
9p24.3 DOCK8, KANK1 神経発達遅滞、脳構造異常、免疫不全、てんかん
9p24.2 SMARCA2, VLDLR 認知機能障害、粗い顔貌、脳梁欠損
9p23 FREM1, CER1 三角頭蓋、前頭部突出、腎・肛門奇形
9p23 NFIB, MPDZ 巨大頭蓋、水頭症、知的障害

FREM1遺伝子:三角頭蓋の主因

FREM1遺伝子は基底膜タンパク質をコードしており、そのハプロ不全が前頭縫合の早期癒合(三角頭蓋)の主因であることが、2024年のUNOR(Unique Non-Overlapping Region)解析により再確認されています。

DMRT遺伝子群:性分化の鍵

🧬 DMRT遺伝子と性分化
  • DMRT1:哺乳類の精巣発生・維持に必須の転写因子
  • 欠失の影響:46,XY個体における性転換(sex reversal)の根源的メカニズム
  • 腫瘍化リスク:異形成性腺は性腺芽細胞腫の高リスク→早期介入が不可欠

欠失の発生機序

新生突然変異(約2/3)

両親の核型は正常で、配偶子形成時または胚発生初期にランダムに発生。再発リスクは低い。

家族性(約1/3)

片親が均衡型転座(balanced translocation)を保持している場合。次子への再発リスクが高いため、両親の核型検査が必須。

💡 最新研究:複製ストレスと切断点

近年の全ゲノムシーケンシング(WGS)研究では、9番染色体短腕の構造異常の切断点(breakpoint)が、特定の複製遅延領域(Late Replicating Regions: LRR)に集中していることが示唆されています。これは複製ストレスがこの症候群の発生機序に関与している可能性を示しています。

4. 9p欠失症候群の診断方法

【結論】 本症候群の確定診断には染色体マイクロアレイ検査(CMA)が不可欠です。従来のG分染法では検出できない微細な欠失も高精度で検出できます。三角頭蓋+眼裂の上斜+知的障害の3徴候が揃った場合、強く本症を疑います。

段階的診断アプローチ

🔍 診断の流れ
  • 臨床的疑い:三角頭蓋+眼裂の上斜+知的障害の3徴候
  • 細胞遺伝学的検査(Karyotyping):5〜10 Mb以上の大きな欠失を確認
  • 染色体マイクロアレイ(CMA):現在の診断のゴールドスタンダード
  • 両親の核型検査:転座の有無を判断(再発リスク評価に必須)
  • 全ゲノムシーケンシング(WGS):切断点の詳細な解析や非コード領域の評価

遺伝学的検査の種類

検査方法 検出可能な欠失サイズ 特徴
染色体マイクロアレイ(CMA) 数kb〜数Mb ゴールドスタンダード。欠失のサイズ・位置・関与遺伝子を高精度で特定
G分染法(核型分析) 5〜10 Mb以上 大きな欠失や転座の確認。微細欠失は検出困難
FISH法 100kb〜数Mb 特定領域のプローブを使用。迅速な確認に有用
MLPA法 特定領域 特定領域のコピー数を定量。比較的安価
全ゲノムシーケンシング(WGS) 1bp〜 切断点の詳細解析、非コード領域の評価も可能

💡 用語解説:染色体マイクロアレイ(CMA)とは?

CMAは、従来のG分染法では検出できない微細な染色体の重複・欠失(コピー数変異:CNV)を検出する検査です。Gバンド法では検出できない微小欠失を確定診断可能で、日本では原因不明の発達遅滞・先天異常に対する保険適用検査として実施されています。

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5. 治療と長期管理

【結論】 本症候群には根本的な治療法は存在せず、患者の個別の欠失範囲に応じた「テーラーメイドの多職種介入」が中心となります。外科的介入の適切なタイミング、早期療育、そして生涯にわたる包括的サポートが重要です。

外科的介入の優先順位とタイミング

外科的介入 適応 タイミング
頭蓋形成術(Cranioplasty) 重度の三角頭蓋で脳の成長阻害または頭蓋内圧上昇がある場合 生後数ヶ月〜1年以内
性腺摘出術(Gonadectomy) 46,XY DSD患者における性腺芽細胞腫リスク回避 診断後速やかに、または乳児期
心疾患修復術 中隔欠損や動脈管開存などの心奇形 心機能評価に基づき判断
ヘルニア修復術 臍ヘルニア、鼠径ヘルニア 嵌頓リスクに応じて

発達・教育・リハビリテーション支援

早期介入プログラム(Early Intervention)は、脳の可塑性が高い乳幼児期に開始することで最大の効果を発揮します。

理学療法(PT)

  • 低筋緊張による粗大運動の遅れを補う
  • 側弯症(scoliosis)の予防

言語療法(ST)

  • 発話困難例への代替コミュニケーション
  • 手話・PECS(絵カード)の導入
  • 音声表出デバイスの活用

作業療法(OT)

  • 食事や更衣などのADL訓練
  • 感覚統合障害へのアプローチ

麻酔管理の専門的知見

9p欠失症候群の患者は、解剖学的および生理学的な理由から「高リスク麻酔症例」に分類されます。

⚠️ 麻酔時の注意点
  • 気道確保困難(Difficult Airway):小顎症、高口蓋、短い頚部→ビデオ喉頭鏡・ファイバースコープの準備
  • 誤嚥リスク:GERD+低筋緊張による嚥下不全→ラピッドシーケンス導入(RSI)の検討
  • てんかん発作の抑制:術前の絶飲食時における抗てんかん薬の血中濃度維持

予後と成人期への移行

本症候群の生命予後は、主に心臓および呼吸器系の合併症の重症度に依存します。現代の医療管理下では、多くの患者が成人期(30代から50代、最高齢報告は61歳)まで生存しています。

⚠️ 成人期の課題:重度の知的障害とコミュニケーション能力の制限が最大の障壁となります。成人患者は、清潔保持、食事、金銭管理において終生、高度な支援(24時間の監督体制など)を必要とすることが多いです。また、加齢に伴う側弯症の進行、精神医学的課題(攻撃的行動、気分の変動)、心血管のモニタリングも重要です。

6. 遺伝カウンセリングの重要性

【結論】 9p欠失症候群の表現型の多様性と家族への遺伝リスクを考慮すると、遺伝カウンセリングは不可欠です。特に両親の核型検査による転座の有無の確認が、次子への再発リスク評価に重要です。

遺伝カウンセリングで伝えるべきポイント

📋 カウンセリングの要点
  • 欠失範囲と予後の関係:症状は欠失のサイズと位置によって大きく異なる
  • 両親の検査の重要性:転座保因者なら次子へのリスクが大きく変わる
  • 性分化疾患(DSD)への対応:46,XY核型の場合の特別な配慮
  • 長期フォローの必要性:多職種チームによる生涯にわたる支援体制

再発リスク

状況 次子への再発リスク
両親とも正常核型(新生突然変異) 1%未満(生殖細胞モザイクの可能性はあり)
片親が均衡型転座保因者 高リスク(転座の種類により5〜25%程度)
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【遺伝カウンセリングで大切にしていること】

9p欠失症候群の遺伝カウンセリングで最も重要なのは、「両親の核型検査を必ず行うこと」です。約1/3のケースで片親が均衡型転座を持っており、その場合は次子への再発リスクが格段に高くなります。

また、46,XY核型で性分化疾患を伴う場合、性別の決定や性腺摘出術のタイミングなど、非常にデリケートな話し合いが必要になります。私は中立的な立場で正確な医学情報を提供し、最終的な判断はご家族自身に委ねます。

臨床遺伝専門医として、これまでのべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきました。不安を抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください

7. 出生前診断について|NIPTと羊水検査

【結論】 9p欠失症候群は出生前診断で検出可能です。特にNIPTで性別がXYと判定されたにもかかわらず超音波で女性外性器や曖昧な外性器が認められた場合は、9p24.3領域の欠失を強く疑うべきです。確定診断には羊水検査でのCMAが必要です。

出生前検査での検出方法

検査 検出可能性 備考
NIPT(全染色体検査) △ スクリーニング 大きな欠失は検出可能だが、微小欠失は困難。性別判定との不一致が手がかりに
羊水検査+CMA ◎ 確定診断 Gバンド法では検出できない微小欠失を確定診断可能。※学会指針では、原則として超音波での構造異常がある場合などが対象とされています。
胎児超音波検査 △ 手がかり 頸部浮腫(NT増大)、心奇形、性別と外性器の不一致が重要な所見

出生前診断で疑うべきサイン

🔍 9p欠失を疑うサイン
  • ⚠️

    性別の不一致:NIPTで性別がXYと判定されたのに、超音波で女性外性器や曖昧な外性器
  • ⚠️

    頸部浮腫(NT増大):染色体異常のスクリーニング所見
  • ⚠️

    心奇形:心室中隔欠損など
  • ⚠️

    家族歴:片親に転座保因の既往がある場合

⚠️ 重要な考慮点:出生前診断で9p欠失が見つかった場合、欠失範囲によって予後が大きく異なることを理解する必要があります。クリティカル・リージョンの包含有無、関与する遺伝子、超音波所見などを総合的に評価し、遺伝カウンセリングで詳しく説明いたします。

8. ミネルバクリニックのサポート体制

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の専門性を活かした診療体制を整えています。9p欠失症候群を含む染色体異常の検査から、結果説明、フォローまで一貫してサポートいたします。

🔬 高精度な検査技術

スーパーNIPT(第3世代)により、9p欠失を含む微小欠失症候群のスクリーニングが可能です。

🏥 院内で確定検査まで対応

2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がなく、心理的負担を軽減できます。

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臨床遺伝専門医が検査前後の遺伝カウンセリングを担当。結果の説明から今後の選択肢まで、専門家が寄り添います。

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9p欠失症候群について詳しく知りたい方、
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よくある質問(FAQ)

Q1. 9p欠失症候群はどのくらいの頻度で発生しますか?

約5万人に1人と推定されています。1973年の初報告以来、世界で100〜200例程度が医学文献に報告されていますが、軽症例や未診断例を含めると実際の有病率はやや高い可能性があります。

Q2. 9p欠失症候群の主な症状は何ですか?

主な症状は①三角頭蓋を含む特徴的顔貌、②中等度〜重度の知的障害(平均IQ約48)、③46,XY核型における性分化疾患(DSD)です。また、心疾患が35〜50%と高頻度で合併し、筋緊張低下、言語発達の著しい遅れなども特徴的です。症状は欠失範囲によって大きく異なります。

Q3. 46,XY性分化疾患(DSD)とは何ですか?なぜ9p欠失で起こるのですか?

性分化疾患(DSD)は、染色体・性腺・解剖学的な性が非典型的な発達を示す状態です。9p24.3領域にはDMRT1/2/3遺伝子という精巣発生に必須の転写因子が存在します。この領域が欠失すると、46,XY核型(遺伝的男性)であっても精巣が正常に発達せず、女性外性器を呈する「性転換」が起こることがあります。

Q4. NIPTで9p欠失症候群は検出できますか?

NIPTでの検出は限定的です。大きな欠失は検出可能ですが、微小欠失は困難です。ただし、NIPTで性別がXYと判定されたにもかかわらず超音波で女性外性器が見える場合は、9p24.3領域の欠失を強く疑う重要なサインです。確定診断には羊水検査でのCMAが必要です。

Q5. 子どもがこの欠失を持っています。次の子にも遺伝しますか?

まず両親の核型検査が必須です。両親が正常核型(新生突然変異)なら次子への再発リスクは1%未満です。しかし、片親が均衡型転座保因者なら5〜25%程度のリスクがあります。詳しくは遺伝カウンセリングでご相談ください。

Q6. 治療法はありますか?予後はどうですか?

根本的な治療法は現時点で存在しません。治療は症状に応じた対症療法が中心で、早期療育(理学療法・作業療法・言語療法)、心疾患の手術、46,XY DSD患者への性腺摘出術(腫瘍化予防)などが行われます。現代の医療管理下では多くの患者が成人期(30〜50代、最高齢61歳)まで生存しますが、重度の知的障害により終生高度な支援が必要なことが多いです。

Q7. 性腺芽細胞腫とは何ですか?なぜ早期の性腺摘出が必要なのですか?

性腺芽細胞腫(gonadoblastoma)は、異形成を起こした性腺(46,XY DSDの患者に見られる)から発生する腫瘍です。悪性転化のリスクがあり、乳児期からの早期発症も報告されています。そのため、9p欠失症候群で性腺異形成がある場合、診断後速やかまたは乳児期に予防的性腺摘出術が強く推奨されています。

Q8. 日本に患者会はありますか?

日本国内にこの症候群に特化した患者会は現時点で確認されていません。海外では英国のRare Chromosome Disorder Support Group(Unique)や米国の9pMinus Networkなどの団体があり、情報提供や家族同士の交流の場を提供しています。日本では染色体異常全般を対象とした親の会などを通じて情報を得ることも有効です。

🏥 一人で悩まないでください

9p欠失症候群について心配なこと、検査を受けるかどうか迷っていること、
どんなことでもお気軽にご相談ください。
臨床遺伝専門医があなたとご家族に寄り添います。

参考文献

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  • [7] Unique – Rare Chromosome Disorder Support Group. 9p deletions. [Unique]

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プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科・腫瘍学を軸に、 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。 出生前診断・遺伝学的検査においては、検査結果そのものだけでなく 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年、国際誌『Global Woman Leader』および『Medical Care Review APAC』の2誌で立て続けに表紙(Cover Story)に抜擢。 「日本のヘルスケア女性リーダー10名」や「アジア太平洋地域のトップ出生前検査サービス」として、世界的な評価を確立しています。

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