遺伝子の発現とは

遺伝子の発現とは?

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

 

ここでは遺伝子の発現について述べています。
それ以外で、たとえばTMPRSS2が発現、という表現をする場合は、TMPRSS2という「分子」が細胞膜の表面に出て存在していることを指します。

遺伝子が発現するとはどういうこと何でしょうか???

細胞はそれぞれの細胞の役目をはたすためや存在するためにいろいろな機能をもつタンパクを作り出さねばなりません。
タンパクを作るには、その最小構成単位であるアミノ酸をつないで行く必要がありますが、タンパクのアミノ酸の正しい配列情報はDNAの遺伝子の部分に塩基配列として存在しています。これを遺伝暗号と呼びます。
遺伝子の情報をもとにタンパクを作る過程が遺伝子発現です。

遺伝子発現の過程の概略

遺伝子発現といわれても、まだぴんと来ないですね?
遺伝子はDNAの一部分(わずか2%以下)の部分です。
DNAは、細胞の中の核にあります。
しかし、タンパクの組み立ては、核外で行われます。
ということは、核のなかのDNAの情報を何らかの形で持ち出さないといけませんね。
そこで、まずはDNAの中の対象遺伝子の部分をコピーしてRNAというものを作ります。
DNA鋳型としてRNAを作ることを転写といいます。

しかし。DNAは普段、ヒストンに巻き付いて折りたたまれて存在していますので、転写するにはがちっとたたまれた構造が緩まないと無理です。緩んだ状態になり、転写しやすい状態になることをDNAが発現している、と表現するのが一般的です。
遺伝子の発現をコントロールしているのがヒストンの修飾です。これをヒストンコードと呼び、遺伝します。

そして、次に鋳型鎖からできたRNAが核から出て、RNAの情報を元にしてタンパクを組み立てます。
この過程は翻訳と呼ばれます。
核酸3つの単位をコドンといいますが、このコドンがそれぞれアミノ酸に対応しています。

翻訳は5’(プライム)から3’の方向に行われ、開始はAUGでメチオニン(Met)をコードしています。
開始コドンは一つしかありません。

これに対してストップコドンというのもあり、UAA UAG UGA の3種類あります。
うっかりと塩基配列が変わってしまって、途中でストップコドンが出来たりして機能不全のタンパクができるようになってしまい疾患を発症したりします。