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ClinVar:遺伝子検査の結果解釈の重要参考サイト

ClinVarとは?

www.ncbi.nlm.nih.gov/clinvar/
ClinVarは、ヒトゲノムの多様性とそれに関連する疾患についての情報を収集し、公開するアーカイブです。このデータベースは、米国国立生物工学情報センター(NCBI)によって運営されており、遺伝子変異とそれが関連する健康状態や疾患の情報を提供しています[1][3]。我々臨床遺伝専門医は、クリンバーと言っています。

ClinVarには、病原性のある変異から良性の変異まで、様々な臨床的重要性を持つバリアントが登録されており、それらは世界中の研究所や医療機関から提供されています[2][6]。このデータベースは、医学的に重要なバリアントと表現型の関連性を示すもので、研究者や医療専門家が臨床的に関連する遺伝子マーカーに関する情報を寄託するための中央の公開データベースとして機能しています[7]。

ClinVarは、遺伝子解析を行う研究所が大量の臨床的解釈とデータのセットにアクセスし、それらを解析に用いることができるようにしています。また、個人ユーザーや組織がそれぞれのアプリケーションにClinVarの情報を組み込むことも可能です[6]。

ただし、ClinVarは遺伝カウンセラーではなく、医学的アドバイスや診断を提供するようには設計されていません。そのため、ClinVarの情報を直接的な診断や医療判断に利用する際には、遺伝学の専門家によるレビューが必要であり、個人はこのウェブサイトに掲載されている情報のみに基づいて健康行動を変更すべきではありません[3]。

ClinVarにおけるバリアント分類の種類

ClinVar は3種類のバリアント分類を提供します

  • 生殖細胞系列バリアントの分類(メンデル病と薬剤反応性
  • 臨床的影響に関する体細胞バリアントの分類
  • がん原性のための体細胞バリアントの分類

ClinVar の分類は、ファーマコゲノミクス、機能的影響、ミトコンドリアバリアント、体細胞モザイクの疾患など、他の分野をよりよく表現するために進化し続けると予想されます。

ClinVarにおける生殖細胞系列遺伝子バリアントの分類オプション

  • Benign(良性) メンデル病に分類されるバリアントについてはACMG/AMPが推奨。
  • Likely benign(良性の可能性が高い)
  • Uncertain significance(病的意義不明)
  • Likely pathogenic(病的の可能性が高い)
  • Pathogenic(病的=病原性あり)

ACMG/AMPガイドラインに基づくバリアントの分類基準は、遺伝子バリアントの臨床的意義を評価するために設計されています。これらの基準は、バリアントが疾患の原因である可能性(病原性)を評価するために用いられ、以下の5つのカテゴリーに分類されます:

1. Benign(良性): このカテゴリーに分類されるバリアントは、疾患の原因とは考えられません。これらは一般的に健康な個体にも見られる変異であり、病気との関連が低いと考えられます[6][10].

2. Likely benign(良性の可能性が高い): このカテゴリーのバリアントは、良性である可能性が高いですが、完全には確定できない場合に用いられます。これらのバリアントは、疾患との関連性が非常に低いと考えられますが、完全に排除することはできません[6][10].

3. Uncertain significance(病的意義不明): このカテゴリーに分類されるバリアントは、現時点で病原性が不明であり、良性か病原性かを判断するのに十分な情報がない場合に用いられます。将来的に追加の研究やデータによって、これらのバリアントの意義が明らかになる可能性があります[6][10].

4. Likely pathogenic(病的の可能性が高い): このカテゴリーのバリアントは、疾患の原因である可能性が高いと考えられますが、病原性を完全に確定するには情報が不足しています。これらは疾患との関連性が高いと考えられるが、確定的な証拠がまだ不足しているバリアントです[6][10].

5. Pathogenic(病的=病原性あり): このカテゴリーに分類されるバリアントは、疾患の原因であると確定されています。これらのバリアントは、特定の遺伝性疾患や状態と直接的に関連しており、病原性があると明確に示されています[6][10].

ACMG/AMPガイドラインでは、これらのカテゴリーに分類するために、バリアントのアレル頻度、機能予測、臨床情報データベースなどの情報を基に、33種類の評価基準を用いて病原性を評価します。これにより、バリアントの臨床的意義をより正確に判断することが可能になります[10].

臨床遺伝専門医とClinvarの関係性とは

臨床遺伝専門医とClinVarの関係性は、遺伝子変異と疾患の関連性を理解し、診断や治療計画の策定に役立てることにあります。ClinVarは、医学的に重要な遺伝子変異と表現型(疾患の特徴)の関連性を示す公開データベースであり、臨床遺伝専門医を含む医療専門家が臨床的解釈とデータセットにアクセスし、それらを患者の診断や治療計画の策定に用いることができます[1][6]。

ClinVarは、何千もの実験室および医学研究の結果をまとめた広範なデータベースであり、臨床遺伝専門医が遺伝的変異の臨床的関連性について学ぶために使用することができます[5]。このデータベースは、遺伝性疾患におけるバリアントと疾患への関連性について収載しており、情報提供元においてACMGガイドラインなどをもとに付与されたPathogenicやBenignなどの分類がされています[3]。

臨床遺伝専門医は、ClinVarを利用して特定の遺伝子変異が患者の疾患にどのように関連しているかを理解し、その情報をもとに遺伝カウンセリング遺伝学的検査の解釈、治療方針の決定に役立てることができます。また、ClinVarには、遺伝子解析を行う研究所が大量の臨床的解釈とデータのセットにアクセスできるようになっており、これにより臨床遺伝専門医は患者に対するより精度の高い診断と治療提供が可能になります[6]。

さらに、ClinVarは臨床遺伝専門医や研究者にとって重要なリソースであり、遺伝子変異の臨床的意義を理解するための基盤となっています。臨床遺伝専門医は、ClinVarを通じて得られる情報を活用し、遺伝性疾患の診断、リスク評価、予防策の提案、および患者とその家族へのカウンセリングに役立てることができます[1][3][5][6]。

ClinvarでVUSとされているのに、臨床的には病的バリアントってことはあるのですか

ClinVarでVUS(Variant of Uncertain Significance、意義不明のバリアント)とされているバリアントが、臨床的には病的バリアントとして扱われることはあります。ClinVarは遺伝子バリアントの臨床的意義を収集・公開するデータベースであり、バリアントがVUSと分類されるのは、そのバリアントが健康や疾患にどのような影響を与えるかが明確でない場合です。しかし、追加の研究やデータが集まることで、VUSとされていたバリアントが病的バリアント(Pathogenic)またはおそらく病的バリアント(Likely Pathogenic)と再分類されることがあります。

臨床的には、特定の病的バリアントが患者の症状家族歴と一致する場合、そのバリアントがVUSとされていても、病的バリアントとして扱われることがあります。例えば、心不全層別化に向けた疾患ゲノム解析では、病的意義が不明なバリアント(VUS)についても、心筋症遺伝子上の位置や他の研究での報告などを考慮して、臨床的な意義を検討する必要があります[9]。

また、がんゲノムプロファイリングにおいても、ClinVarにおける臨床上の意義が明確でないミスセンス変異(VUS)について、追加の評価や研究が行われることで、その変異の臨床的な意義が明らかになることがあります[14]。

このように、VUSとされているバリアントが臨床的に病的バリアントとして扱われることはあり、バリアントの臨床的意義は時間とともに変化する可能性があるため、最新の研究やデータを常に参照することが重要です。

追加の研究やデータが集まることで、VUSからpathogenicの方向に再分類される率はどれくらいですか

VUS(Variant of Uncertain Significance)からpathogenic(病的)またはlikely pathogenic(おそらく病的)の方向に再分類される率については、複数の研究から異なるデータが報告されています。これらの研究結果を概観すると、再分類される率は研究によって大きく異なり、また、研究の設計や対象となる遺伝子、疾患の種類によっても変動が見られます。

1. 一つの研究では、512,983件のVUSのうち、37,699件(約7.3%)が再分類され、そのうちの約20%がpathogenicまたはlikely pathogenicに再分類されたと報告されています[2]。これは、全VUSの約1.46%(7.3%の20%)がpathogenicまたはlikely pathogenicに再分類されたことを意味します。

2. 別の研究では、1,689,845人の個人を対象にしたコホート研究で、VUSのうち約3.3%がlikely pathogenicに再分類されたと報告されています[5]。ただし、この研究では、VUSからpathogenicに再分類された割合については明確に言及されていません。

3. また、ある研究では、VUSからpathogenicまたはlikely pathogenicに再分類される割合が約8.0%であると報告されています[5]。この数値は、VUSの再分類全体におけるpathogenicまたはlikely pathogenicへの再分類の割合を示しています。

これらの研究結果から、VUSからpathogenicまたはlikely pathogenicに再分類される率は、全体としては比較的低い割合であることがわかります。再分類される具体的な割合は、研究やデータベース、対象となる遺伝子や疾患によって異なりますが、一般的には数パーセントから10%未満の範囲であることが多いようです。再分類のプロセスは、新しい科学的知見や技術の進歩、さらには患者や家族からの追加情報によっても影響を受けるため、これらの数値は時間とともに変化する可能性があります。

VUSからbenignの方向に再分類される率はどれくらいですか

VUS(Variant of Uncertain Significance)からbenign(良性)の方向に再分類される率については、複数の研究から異なるデータが報告されています。これらの研究結果を概観すると、VUSからbenignに再分類される率は比較的高いことがわかります。

1. ある多施設研究では、2715人の患者のうち8.1%が再分類を経験し、そのうちの88.7%がVUSからbenignまたはlikely benign(おそらく良性)に下方修正されたと報告されています[1]。

2. 別の研究では、512,983件のVUSのうち、37,699件(約7.3%)が再分類され、そのうちの約80%がbenignまたはlikely benignに再分類されたと報告されています[2]。

3. また、他の研究では、26,670件のユニークなVUSのうち7.7%が再分類され、そのうちの91.2%がbenignまたはlikely benignに下方修正されたと報告されています[5]。

これらの研究結果から、VUSからbenignに再分類される率は、全体としては数パーセントから10%未満の範囲であり、再分類されるVUSの大多数がbenignまたはlikely benignに下方修正されることが多いことが示されています。再分類される具体的な割合は、研究やデータベース、対象となる遺伝子や疾患によって異なりますが、一般的には再分類されるVUSの大部分がbenignの方向に修正される傾向にあるようです。再分類のプロセスは、新しい科学的知見や技術の進歩、さらには患者や家族からの追加情報によっても影響を受けるため、これらの数値は時間とともに変化する可能性があります。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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