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遺伝医学

遺伝医学

遺伝医学は、遺伝性疾患の診断と管理を行う医学の一分野である。遺伝学を医療に応用することを遺伝医学と呼ぶ。遺伝医学は、遺伝学の新しい分野であり、遺伝子治療、個別化医療、そして急速に台頭しつつある新しい医学分野である予防医学などの領域を含んでいる。

人類遺伝学と遺伝医学の違い

人類遺伝学と遺伝医学の違いは人類遺伝学が医学に応用することもしないこともある科学研究の一分野であるのに対し、遺伝医学はその研究を医学に応用する科学研究の一分野であるという点である。例えば、遺伝性疾患の原因や遺伝に関する研究は、人類遺伝学と遺伝医学の両方に含まれると考えられ、遺伝性疾患を持つ人々の診断、管理、カウンセリングは遺伝医学の一部であると考えられる。

これに対して、目の色や皮膚の色、髪の毛の色や性状の遺伝など、典型的な非医療的表現型の研究は、「アルビニズム(色素異常)」に関することなどを除いては医学に応用するものではないため、人類遺伝学に含まれると考えられる。

遺伝医学の担い手と範囲

遺伝医学は、医師、遺伝カウンセラー、遺伝看護師、栄養士による臨床診療やその補助業務、臨床診断学的な検査を行い、その結果を解釈して臨床、つまり患者の診断や健康管理のために利用できるようにする、遺伝性疾患の原因や遺伝に関する研究など、様々な分野を含んでいる。

遺伝医学の範囲

遺伝医学の範囲に含まれる疾患の例としては、先天性の身体の一部の欠損症や形態や機能の異常、知的障害、自閉症、ミトコンドリア障害、骨格形成不全、結合組織障害、遺伝性がん、出生前診断などが挙げられます。遺伝医学は、多くの一般的な疾患との関連性がますます高まっている。遺伝医学の最近の進歩により、からだじゅうのいろんな臓器や組織の疾患の病因が明らかになりつつあり、他の医学専門分野との重なりが急激に生じている。

臨床遺伝学と遺伝医学

遺伝医学も臨床遺伝額も医学の一分野であることに変わりはないが、遺伝医学が分子生物学を応用する分子遺伝学などの基礎医学を包摂する医学分野であるのに対し、臨床遺伝学は、遺伝性疾患に特に注目した臨床医学の実践である。先天性欠損症、発達遅延、自閉症、てんかん、低身長など、さまざまな理由で臨床遺伝を専門とするクリニックに紹介される。遺伝医学のクリニックでよく診療される遺伝的症候群の例としては、染色体再構築、ダウン症候群、ディジョージ症候群(22q11.2欠失症候群)、脆弱X症候群などの知的障害のある疾患、マルファン症候群、神経線維腫症、ターナー症候群などが挙げられる。

日本において臨床遺伝学を実践する医師は、日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が合同で運営する臨床遺伝専門医制度委員会が認定する臨床遺伝専門医たちである。

米国では臨床遺伝学の委員会認定開業医となるには、医師はABMGGの認定を受けたプログラムで最低24ヶ月の研修を受けなければならない。臨床遺伝学研修プログラムへの入学を希望する者は、医師免許を有し、内科、小児科、産科・婦人科、またはその他の医療専門分野のACGME認定研修プログラムで最低24ヶ月の研修を終える必要がある。

遺伝医学の分類

代謝・生化学的遺伝学

代謝(または生化学)遺伝学は、炭水化物、アミノ酸、脂質の代謝に関与する生化学的経路を阻害する酵素欠損を持つ先天性代謝異常の診断と管理に関与するものである。代謝異常の例としては、ガラクトース血症、リソソーム(ライソソーム)病、代謝性アシドーシス、ペルオキシソーム障害、フェニルケトン尿症、尿素サイクル障害などがある。

細胞遺伝学

細胞遺伝学Cytogeneticsは、染色体および染色体異常の研究を行う遺伝医学の分野である。細胞遺伝学は、歴史的に染色体の分析に顕微鏡を使用していたが、現在では、比較アレイゲノムハイブリダイゼーションなどの新しい技術が広く使用されるようになった。染色体異常の例としては、異数性、染色体再構成、ゲノム欠失・重複障害などがある。

分子遺伝学

分子遺伝学Molecular geneticsは、多くの単一遺伝子疾患の原因となるDNA病的バリアントの特定、その検査と診断に関わる遺伝医学の分野である。単一遺伝子疾患とは文字通りたった一つの遺伝子の変異(バリアント)が疾患を発症する病因性をもつもので、例としては、軟骨無形成症、嚢胞性線維症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、遺伝性乳がん卵巣がん、ハンチントン舞踏病、マルファン症候群、ヌーナン症候群、レット症候群などの様々な疾患が挙げられる。分子遺伝学的検査は、アンジェルマン症候群、プラダーウィリー症候群、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群などのエピジェネティックな異常を伴う症候群の診断にも用いられている。

ミトコンドリア遺伝学

ミトコンドリア遺伝学は、ミトコンドリアの機能低下により発症するミトコンドリア病の診断と管理に関する遺伝医学の分野である。5千人に1人と最も頻度の高い先天代謝異常症である。

 

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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