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トリプルX(トリソミーX)症候群とは?

トリプルX症候群

出生前診断により、生まれてくる赤ちゃんがトリプルXトリソミーX症候群と診断されることがあります。普段聞き慣れない病名に不安になったり悩んだりするお母さんもいるでしょう。しかし、このトリプルX症候群は症状に乏しいため、診断されていない人が大半です。
今回は、トリプルX症候群の特徴や検査方法、診断された場合の対応について解説していきます。

トリプルX(トリソミーX)症候群とは

染色体は生物の遺伝情報が入っている構造で、人間は通常、23対の染色体を持ちます。しかし時折、染色体数が通常よりも多くなる異常が発生します。その一例が「トリプルX染色体」で、通常の女性が持つ2本のX染色体に加えて、さらに1本のX染色体が追加された状態です。これによりトリプルX(XXX)染色体となります。

ほとんどの場合、本人は健康で通常の生活を送りますが、学習や言語の発達において影響が見られることもあります。トリプルX症候群は主に母親の卵子形成時に起こる偶然の遺伝子変異によって引き起こされます。
トリプルX症候群は、女児が持つ通常2本のX染色体を3本持って生まれてくる、よく見られる染色体異常です。症状には個人差があり、発育などに影響がある人もいれば、特に症状が現れない人もいます。
妊婦の年齢が高くなるほど発症する確率が高くなる傾向にあり、女児の出生の約1,000人に1人は3本目のX染色体が認められています。

トリプルX染色体をもつ女性の特徴

トリプルX症候群2

トリプルX染色体をもつ女性は多くの場合、その症状の乏しさから、性染色体が2本の女性と同じような生活を送ることが出来ています。しかし、出生時から成人期にかけて身体的な特徴や発達の遅れなどの症状を呈することがあります。以下で詳しく解説していきます。

出生時の特徴

トリプルX染色体をもつ女児は出生時、通常の女児よりも400g〜500gとやや低体重で生まれてくる場合があります。通常の女児と変わらないことが多いものの、泌尿生殖器奇形や早発性卵巣不全または原発性無月経などの身体的な問題を抱えて生まれてくる場合があります。しかし、生殖器の異常が出生時に発見され、トリプルX染色体が疑われることは少ないです。

幼少期の特徴

トリプルX染色体をもつ女児は、2本の性染色体を持つ女児と比較すると、4歳児以降でとくに身長が高くなる傾向があります。脚の長さや頭囲の小ささも特徴として挙げられますが、日常生活に大きな影響を与えるような身体的特徴があらわれることは稀であるといえるでしょう。
しかし、言語発達や協調運動、社会性に関して、性染色体が2本の女児よりもやや遅れがある傾向があります。トリプルX染色体をもつ女児は比較的歩き出しが遅い傾向にあったり、性格面では内気、非協同性、ぎこちなさおよび注意欠陥などがみられることが分かっています。
また、学校に通うようになると、他の生徒よりもIQが低い傾向があります。これは出生児の頭囲の小ささとも相関し、良好な対人関係を形成することにも困難を感じていることが報告されています。こういったIQの低さや社会性は適切な補習授業や時間の経過により改善されることがおおいようです。

思春期以降の特徴

思春期を迎える年齢になると、2本の染色体の女児よりも比較的成長が早く、その一方で低体重の傾向は強いままの場合が多いようです。思春期を迎える時期は、早熟であったり遅かったりなどその子様々であると報告されています。
社会性に関しては改善が見られることが多く、言語性IQに関しても幼少期の対応が適切であればあまり問題はないとされています。

トリプルX(トリソミーX)症候群の他にみられるトリソミー

染色体の数は通常、23対46本ですが、何らかのエラーによって2本の組が3本になってしまうことがあります。こうした染色体の異常を「トリソミー」と呼んでいます。では、トリプルX症候群のほかに存在するトリソミーにはどのようなものがあるのでしょうか。

ダウン症候群(21トリソミー)

ダウン症候群は、21番染色体が3本になることで引き起こされる先天性の疾患です。1000人に一人の確率で起こるとされており、身体の発育や精神面に遅れが出たり、特徴的な顔貌が発現します。
ダウン症候群の子どもの約5割には出生時から心臓に異常がみられ、内臓にも疾患がある例が多いです。現在は根本的な治療方法が確立されていないものの、治療技術の進歩により現在は平均寿命平均寿命は55歳と伸びています。

エドワーズ症候群(18トリソミー)

エドワーズ症候群は、18番の染色体が3本で1対になることで起きる染色体異常です。特徴的な顔貌や出生時の低身長、知的障害などの特徴があります。6000人に1人ほどの確立で起こるとされているものの、妊娠初期の段階で自然流産することが多いです。
発症の割合は女児の方が高く、生まれてきたとしても1年生存できる割合は1割未満で、出生後1週間以内に亡くなるケースが多い疾患です。

パトウ症候群(13トリソミー)

パトウ症候群は、13番目の染色体が3本で1対になることで起きる染色体異常です。10,000人に一人ほどの確率で起こるとされ、出生時の体格が小さい傾向にあります。他にも脳の発育不全や口唇裂口蓋裂、目の発育不良などが見られるのも特徴です。現在は根本的な治療がなく、生まれてきても1歳を迎える前に亡くなるケースがほとんどです。

トリプルX(トリソミーX)症候群の女性は妊娠できるの?

トリプルX症候群の女性には先天性の染色体異常があるため、将来お子さんを持ちたいと考えている方は妊娠できるのか、子どもに遺伝しないのか、などの不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
トリプルX症候群の女性を対象にした研究では、生殖器の問題を抱える女性もいますが、妊娠しお子さんを持っている方もいらっしゃいます。トリプルX症候群自体が受胎能に影響を与えるわけではないことが分かっているので、この染色体異常を持っているからと妊娠を諦める必要はないといえるでしょう。トリプルX症候群の遺伝についても、確定的な研究結果があるわけではありません。

トリプルX(トリソミーX)症候群の検査方法

トリプルX症候群は出生前診断と出生後の染色体検査で見極めることができます。出生前診断は大きく分けて非確定的診断と確定的診断の2つに分けられます。

非確定的検査

非確定的診断は、胎児の疾患の有無を評価する検査です。母体への負担が少なく流産のリスクを伴いません。非確定的診断には超音波検査、母体血清マーカー検査(トリプルマーカー、クアトロテスト)、新型出生前検査NIPT)があります。

確定的検査

確定的検査は、対象の検査を行うだけで疾患の診断が確定する検査です。お腹に針を刺して検体を採取するため、流産・死産のリスクを伴います。確定的検査には絨毛検査羊水検査があります。

胎児がトリプルX(トリソミーX)症候群と診断されたら

胎児がトリプルX症候群と診断されると胎児の成長や母体への影響などさまざまなことが気になり不安になってしまうでしょう。なかには悩んだ末に人工中絶を選択する人もいらっしゃるかもしれません。
診断を受けて悩んでしまうときは、遺伝カウンセリングを受けることが重要です。遺伝カウンセリングでは、遺伝に関わる悩みや不安などを持つ人に、科学的根拠に基づく正確な医学的情報を分かりやすく伝え、不安が解消されるようにサポートします。
カウンセリングでは、不安の解消だけでなく正しい医療情報を提供し、自力で調べて問題を解決できるようなサポートもしています。妊婦の誤った認識により人工中絶を選択してしまわないように、遺伝カウンセリングを受けてみませんか?

トリプルX(トリソミーX)症候群の治療方法

トリプルX症候群には特別な治療法はありません。そのためトリプルX症候群に起こる特徴への対策が必要です。トリプルX症候群では、知能が若干低くなる傾向や、言語能力に問題があるなどの特徴があります。疾患を持たない子どもと同じように、社会活動に積極的に参加しながら、たくさんのことを学ぶ機会を作りましょう。

X染色体が増えると知的障害・身体的異常の可能性が高まる

トリプルX症候群はその名の通り、X染色体が1本増え3本になる染色体異常です。とてもめずらしいですが、X染色体を4本あるいは5本持って生まれてくる乳児も確認されています。
女児が持つX染色体の個数が多いほど、知的障害・身体的異常の可能性が高まります。多くの場合はトリプルX症候群と診断されていないため、出生後の染色体検査で気が付くこともあります。出生前検査で事前にX染色体の個数が多いことを知っておけば、出生後すぐに対策を行えるかもしれません。

出生前に染色体異常を検査するならNIPT(新型出生前診断)で

生まれてくる赤ちゃんに染色体の異常がないか知りたいときは、NIPT(新型出生前診断)の受検がおすすめです。非確定検査ながら、99%の検査精度があり、血液検査のみで行える検査のためお母さんへの負担が少なく、流産のリスクがないというのもメリットです。
ただ、非確定検査のため陽性判定が出た場合は確定検査である絨毛・羊水検査を受ける必要があります。NIPTの費用は施設により異なりますが、およそ15〜20万円前後です。検査時間は採血のみなので、10分程度で終了します。検査可能時期もはやく、多くの施設では妊娠9週からミネルバクリニックでは妊婦さんの希望があれば妊娠6週以降の検査も受け付けています。

>>ミネルバクリニックのNIPTについて詳しくはこちら

まとめ

トリプルX症候群は女児出生の約1,000人に1人の割合で起こる染色体異常です。症状に乏しいため診断されていない人が大半ですが、知能や発育などに影響を及ぼすこともあります。遺伝カウンセリングを受け悩みの解決を目指しながら、出生前診断や染色体検査などで検査を受けることも可能です。トリプルX症候群への不安は臨床遺伝専門医に相談してみてはいかがでしょうか?
ミネルバクリニックでは、NIPTの検査前後に遺伝カウンセリングを実施しております。他院で検査を受けられた方でも、カウンセリング料金33,000円(税込)で遺伝カウンセリングに対応しておりますので、相談先がなくお困りの方もお問い合わせください。

この記事の著者:仲田洋美(医師)

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ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の院長のもと、東京都港区青山で、NIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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