目次
NIPTの歴史は意外と長い?出生前診断が普及するまで

日本でNIPTの検査が始まったのは2013年からで、母体の血液検査により出生前検査を安全にできることから、普及していきました。
NIPTが日本で始まって10年以上たちますが、技術革新で検査方法や検査できる項目が増えるなど、検査精度は格段にあがっています。
この記事では、最先端のNIPTを扱うミネルバクリニックがNIPTの歴史と現在を解説します。
NIPTはどうやってできるようになったのか?発見の歴史
NIPTは母体の血液成分である血漿に、胎児成分であるcfDNAが含まれていることが発見されたことから始まりました。胎児由来のDNAは妊娠週数がたつほど、母体の血中濃度が高くなると報告されています。
このことに注目したことから開発が進められ、米国で2011年より臨床研究が始まり、日本では2013年から検査が開始されました。(*1)
*1参照:NIPT: noninvasive prenatal testing 無侵襲的出生前遺伝学的検査 | 厚生労働省
NIPTに関する年表を以下に記載します。
| 1997年 | 母体血漿内に胎児由来DNAの存在が報告される |
| 1999年 | 厚生科学審議会の専門委員会
母体血清マーカー検査について審議され見解が取りまとめられた |
| 2008年 | NIPTの技術開発が報告される |
| 2011年 | NIPTの臨床検査が導入される |
| 2013年 | NIPTが日本に導入 |
日本では2013年に日本産婦人科医会が関連する5団体と共同声明を発表し、認定制度のもとで、検査を実施してきました。
ところが、2016年以降、認可施設以外での検査実施が増え、認可施設と同程度もしくはそれ以上に、認可施設外での検査実施が指摘され、問題となりました。
出生前検査により、陽性と結果が出た場合、ほとんどの妊婦が中絶を選択していることから、十分な情報提供が受けられていないこと、医師の考え方が少なからず妊婦の自己決定に影響を与えている可能性が指摘されています。
出生前検査はこのように社会的・倫理的観点からも問題になってきました。
それまではサンガー法というやりかたでDNAの塩基配列を1つずつ決定してましたが、2010年代に次世代シークエンサーが登場し、自動化されて格段にスピードアップしました。
これにより、まずはNIPTの検査を受けてから、確定検査を受けるようになりました。
NIPTができる前はどう検査していたのか

お腹の中の赤ちゃんのことを調べるためには、羊水検査や絨毛検査など、侵襲的な方法で検査が行われてきました。
羊水検査はお腹に針を刺し、羊水を採取する検査で、絨毛検査はお腹に針を刺し、胎盤の一部である絨毛を採取する検査です。
どちらもお腹に針を刺して検査をするため、流産や母体の腸管損傷、感染とさまざまなリスクがあります。
お腹の中の赤ちゃんについて不安があるけれど、リスクを背負ってまで検査はできないという妊婦さんが多くいました。
また、絨毛検査や羊水検査は確定的検査のため、検査ができる条件が決められています。
・35歳以上の高齢妊婦
・前回妊娠で染色体異常があった場合
・出生前のスクリーニング検査で陽性の場合
・特定の遺伝性疾患を持っている家族歴がある場合
そのため、できるだけ侵襲のない、母体にも胎児にもリスクの低い検査が開発されてきた歴史があります。
NIPTの今後
NIPT検査では、高齢妊婦が増えていることや、NIPT検査への関心が高まっていること、侵襲の少ない検査であることから今後さらに検査が増えていくと考えられています。
ここでは日本産婦人科医会の資料を参考に、NIPTの今後はどうなっていくと予想されているかご紹介します。
将来的には確定的検査と同等の検査となる
技術開発が進み、遺伝子疾患の遺伝子変異が特定できるようになっています。
近い将来には、さらに開発が進むため、胎児の全ゲノムが解析できるようになると予想されています。
また、技術開発により検査精度も年々あがっているため、将来的には確定的検査と同等の検査になると考えられています。
ただ、検査可能な項目は年々増えていますが、NIPTの対象疾患は検査の特異度や疾患の予後などをふまえ、決定する必要があるでしょう。
赤ちゃんの疾患が生まれる前に正確に診断されるようになり、分娩施設では、リスクに応じた妊娠・分娩管理ができるようになるでしょう。
母体のがんのスクリーニングも同時に行えるようになる?
NIPTは母体の血液を採取し検査するため、予期せず母体の情報が得られることがあります。
母体血液中のcfDNAの多くは、母体由来であり、非常にまれですが、NIPTにより母体のがん(悪性腫瘍)が発見されたという報告がありました。
現在は胎児情報だけしか得られませんが、近い将来、さらに技術革新が進めば、NIPTにより母体のがんのスクリーニング検査ができるようになると考えられています。
NIPT進化の歴史。第一世代から第三世代までの違いとは
NIPTは2010年代から始まり、10年以上がたちました。
10年経過したため、NIPTも第1世代から第2、第3世代とどんどん技術が進んでいます。
一般的にはどのように違いがあるのかわかりにくいですが、検査の正確性が高くなっており、第1世代から第3世代でそれぞれ特徴があります。
ここからはそれぞれの特徴と違いについて解説します。
第1世代NIPT(全ゲノム)
第一世代シーケンシングは、サンガーシーケンシングとしても知られ、1977年にフレデリック・サンガーと共同研究者によって開発された鎖終結法です。
第一世代は全ゲノムシークエンス(WGS)またはターゲット法に基づいています。
データーは積み下がっていく形であるため、深度とも表現します。1リード=1深度です。
深れば深いほど正確になりますが、第1世代では50回しか読めませんでした。
そのため、微細欠失の精度が悪く、バニシングツインは検査ができない状況でした。
第2世代NIPT (標的増幅)
第2世代シーケンシング法は、ハイブリダイゼーションによるシーケンシングと合成によるシーケンシングの2つに大別できます。
キャピラリー電気泳動を用いた従来のサンガーシーケンスと比較して、ショートリード、超並列シーケンス技術は、シーケンス能力に革命をもたらし、第2世代シーケンス法を立ち上げた根本的に異なるアプローチです。
第2世代のリードは500になっているため、第1世代と比べると感度・特異度が高く、検査精度が高くなっています。
また、微細欠失の精度が悪く、バニシングツインは検査ができません。
第3世代NIPT (スーパーNIPT)
次世代シーケンシング(NGS)は、ハイスループットシーケンシングとも呼ばれ、さまざまな最新のシーケンシング技術を総称する言葉です。
これらの技術により、DNAやRNAの塩基配列の決定が、以前使用されていたサンガーシーケンスよりもはるかに迅速かつ安価に行えるようになりました。
第1世代と比べて胎児分画が正確に計算されるため、偽陰性のリスクが低くなります。
また、特異度と感度が高いため、判定保留となるケースが少なくなります。
他の測定方法に比べて、胎児分画が高い状態で測定できるのが特徴です。
胎児分画の高さはNIPT検査の正確性にも影響するため、最も優れた方法が第3世代と言えるでしょう。
最先端のNIPTを受けたい方はミネルバクリニックへ
ミネルバクリニックでは、独自のNIPTにより、13/18/21の染色体異常に関する検査だけでなく、多々ある赤ちゃんの染色体異常に関する検査が可能です。
患者様のご希望に応じて、さまざまなプランをご用意し、最先端の医療を提供しています。
オンラインでの診療も行っており、全国から問合せ可能です。検査を希望されている方はぜひご相談ください。
第2世代、第3世代のNIPTをご用意
現在のNIPT検査は第1世代、第2世代、第3世代の検査があり、中でも検査精度が高いと言われているのが、第3世代です。
ミネルバクリニックでは、第2世代と第3世代のNIPTが受けられますが、第3世代のスーパーNIPTが日本で唯一受けられます。
第3世代のNIPTは設備投資の費用が2.5倍かかるだけでなく、高い専門技術と知識が求められます。患者様へできるだけ高度な医療を提供したいという想いから、第3世代のNIPTを導入しています。
NIPTを受けようと考えている方、検査の精度が気になる方はミネルバクリニックへご相談ください。
臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを実施
ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の院長自ら遺伝カウンセリングを行っています。
これまで、NIPTは年齢制限があり、また、遺伝診療が限られた認可施設でしか受けられない状況で、ハードルが高く、検査を希望していても、受けられない妊婦さんが多くいました。
地域にこそ専門医が必要、遺伝子診療を地域でをモットーに安心して検査が受けられる体制を整えています。
専門医として、知識や経験はもちろん、患者様の気持ちに寄り添い、カウンセリングをしておりますので、どんなことでも不安や疑問点があればご相談ください。
まとめ
日本では、これまで社会的・倫理的観点から出生前検査が議論され、反対されてきた歴史があります。
NIPT検査が日本で導入されてから、医療技術の革新は進んでおり、どんどん精度・特異度が高くなっています。
少しでも多くの妊婦さんが安心して検査が受けられるよう、検査技術だけでなく、条件など、環境も変わってきていることはいいことですよね。
今後はNIPTが出生前検査の主体になっていくと予想されますが、地域差なく平等に医療が受けられるよう、また、専門知識を持った専門施設が増えるよう、体制の整備が必要となるでしょう。
この記事の著者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の院長のもと、東京都港区青山で、NIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。
関連記事:
●NIPTトップページ
●第三世代スーパーNIPT:組織によりDNAメチル化パターンが違うことを利用して正確性を高める世界特許|基本検査/4種類の微小欠失症候群/100種遺伝子の重い劣性遺伝病
●第2世代マルチNIPTカリオセブン:すべての染色体のあらゆる部位を700万塩基のサイズで欠失・重複をチェック/9種類の微小欠失
●第2世代マルチNIPTデノボ:精子の突然変異による重篤な遺伝病44疾患|合計リスクは1/600とダウン症同等に多く、妊娠後期にならないと判らない、ダウン症よりはるかに重篤
●ペアレントコンプリート|母方由来の染色体異数性と父方由来のデノボをセットにしたペアレントの検査
●コンプリートNIPT|第2世代マルチNIPTと第3世代スーパーNIPTジーンプラスをセットにした検査|デノボをセットにしたデノボプラスもございます




