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色素性乾皮症NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

色素性乾皮症NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

色素性乾皮症とは

色素性乾皮症(Xeroderma Pigmentosum: XP)は、紫外線によって生じたDNA損傷を修復する機能に障害がある遺伝性疾患です。わずかな日光曝露でも重度の日焼けを起こし、皮膚の乾燥、色素沈着、そして若年期からの皮膚がん発症を特徴とします。

本疾患は常染色体劣性(潜性)遺伝形式で遺伝し、A~G群とV型の8つのサブグループに分類されます。日本では指定難病(告示番号159)に認定されており、発症頻度は約2.2万人に1人、患者数は300~600人と推定されています。

色素性乾皮症患者では、紫外線による遺伝子損傷を修復する機能が低下しているため、健常者と比べて皮膚がんの発症リスクが約2000倍高くなります。また、患者の約25%に神経症状が現れ、これが生命予後に大きく影響します。日本で最も多いA群では、皮膚症状に加えて進行性の神経症状を伴うことが特徴です。

症状と病態

色素性乾皮症の症状は、原因遺伝子のタイプによって異なりますが、すべてのタイプに共通するのは紫外線曝露部位における皮膚症状と皮膚がんの高発生率です。多くの患者では、乳児期から幼児期に最初の症状が現れます。

主要な皮膚症状

  • わずかな日光曝露での重度の日焼け(水疱、持続性紅斑)
  • 2歳以前の顔面における顕著なそばかす様色素沈着
  • 露光部皮膚の乾燥(乾皮症)
  • 皮膚の萎縮、毛細血管拡張
  • 日光角化症(前癌病変)
  • 若年期からの皮膚がん(基底細胞癌、扁平上皮癌、悪性黒色腫)

日光過敏症について

患者の60%未満では、わずかな日光曝露で水疱や持続性紅斑を伴う重度の日焼けが起きます。重症の場合、数分間の日光浴で顔が赤く腫れ、翌日には水ぶくれができることもあります。一方、V型やC群では日焼け症状が軽度の患者も多く、皮膚がんの発症が20代以降になることがあります。

眼症状

紫外線曝露による眼症状も高頻度で認められます:

  • 羞明(まぶしさ)
  • 結膜炎
  • 角膜炎
  • 眼瞼の皮膚萎縮
  • 翼状片
  • 白内障
  • 眼の悪性腫瘍(結膜癌、角膜癌など)

神経症状

患者の約25%に神経症状が現れます。日本で最も多いA群では、半数以上の患者で神経症状を伴います。神経症状は紫外線曝露とは無関係に発症し、その機序は十分に解明されていません。

  • 後天性小頭症
  • 深部腱反射の減弱または消失
  • 進行性の感音難聴(3~6歳頃から)
  • 進行性の認知障害
  • 精神運動発達遅延
  • 運動失調(転びやすい)
  • 言語障害
  • 末梢神経障害

病型による特徴

原因遺伝子によって、特徴的な症状パターンが認められます:

  • A群:日本で最も多い(約50%)。重度の日光過敏症と進行性神経症状を伴う。皮膚がんの発症が早く、神経症状による生活の質の低下が顕著。
  • V型:日本で約25%を占める。日光過敏症が軽度で、皮膚がんの発症が20代以降。神経症状は通常伴わない。
  • C群:日光過敏症が軽度。神経症状を伴わないことが多い。
  • B、D、G群:神経症状を伴うことがある。
  • XP/コケイン症候群複合型:極めて稀。色素性乾皮症とコケイン症候群の両方の特徴を併せ持つ。

進行と予後

最も多い死因は皮膚癌、神経変性、内臓腫瘍です。神経変性を伴うXP患者の死亡年齢(中央値)は29歳であり、神経変性を伴わない患者(37歳)よりも早いことが報告されています。ただし、適切な遮光と早期からの管理により、生命予後は改善傾向にあります。

10歳までに患者の50%が皮膚がんを発症する可能性があります。皮膚がんは基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫が多く、有棘細胞癌や悪性黒色腫は転移を起こしやすく、死亡率が高くなります。

遺伝形式と原因遺伝子

色素性乾皮症は常染色体劣性(潜性)遺伝形式で遺伝します。両親がともに1本ずつ同じタイプの遺伝子変異を有している場合、子どもは4分の1の確率で2本とも変異を有して色素性乾皮症を発症します。また、2分の1の確率で1本変異を有し発症はしない「保因者」となり、4分の1の確率で変異を持たずに生まれます。

DNA修復機構と発症メカニズム

通常、紫外線によってDNAに損傷が生じても、ヌクレオチド除去修復(NER)という機構により損傷部位が修復されます。色素性乾皮症患者では、この修復に関与する遺伝子に変異があるため、DNAの損傷が蓄積し、細胞の異常や癌化につながります。

原因遺伝子と分類

現在、A~G群とV型の8つのサブグループが知られており、それぞれ異なる遺伝子の変異が原因となります:

  • XPA遺伝子(A群):日本で最も頻度が高い。DNA修復において足場タンパク質として機能し、修復因子の集合を促進します。重度の日光過敏症と進行性神経症状を伴うことが多い。
  • XPC遺伝子(C群):DNA損傷の初期認識に関与。比較的軽度の日光過敏症。
  • DDB2遺伝子(E群):DNA損傷認識に関与。軽度の症状が特徴。
  • ERCC2遺伝子(XPD/D群):DNAヘリカーゼ活性を持つ。XP、XP/コケイン症候群複合型、裂毛症など多様な表現型を示す。
  • ERCC3遺伝子(XPB/B群):DNAヘリカーゼ活性を持つ。XPまたはXP/コケイン症候群複合型を発症。
  • ERCC4遺伝子(XPF/F群):エンドヌクレアーゼ活性を持つ。
  • ERCC5遺伝子(XPG/G群):エンドヌクレアーゼ活性を持つ。神経症状を伴うことがある。
  • ERCC1遺伝子:ERCC4と複合体を形成。極めて稀。
  • POLH遺伝子(V型):損傷乗り越えDNA合成に関与するポリメラーゼηをコードする。日光過敏症が軽度で、皮膚がんの発症が比較的遅い。

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な9遺伝子(DDB2、ERCC1、ERCC2、ERCC3、ERCC4、ERCC5、POLH、XPA、XPC)を対象としています。これにより、色素性乾皮症の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックの色素性乾皮症遺伝子パネル検査の特徴

「色素性乾皮症 NGSパネル検査」とは、現在色素性乾皮症の原因として報告されている9の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、色素性乾皮症に関連する9遺伝子を一度に調べられる「色素性乾皮症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で色素性乾皮症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、色素性乾皮症に関係するとされる9の遺伝子を一度に調べられる「色素性乾皮症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える色素性乾皮症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「色素性乾皮症 NGSパネル検査」の場合、9の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から色素性乾皮症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「色素性乾皮症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な9の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「色素性乾皮症 NGSパネル検査」では、色素性乾皮症に関係するとされる9種類の遺伝子(DDB2、ERCC1、ERCC2、ERCC3、ERCC4、ERCC5、POLH、XPA、XPC)をまとめて検査します。

「色素性乾皮症 NGSパネル検査」は、色素性乾皮症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【色素性乾皮症の個人歴または家族歴のある方】に
「色素性乾皮症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・わずかな日光曝露で重度の日焼け(水疱、持続性紅斑)を起こす方
・幼少期から顔面や首、手など日光にあたる部分に広範囲にそばかす様の色素沈着がある方
・露光部皮膚の乾燥や萎縮がある方
・若年期に皮膚がん(基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫など)を発症した方
・原因不明の進行性神経症状(難聴、運動失調、認知障害など)がある方
・羞明、角膜炎、結膜炎などの眼症状がある方
・色素性乾皮症の家族歴がある方
・両親が血族結婚である方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、色素性乾皮症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、病型が判明することで、予後予測や神経症状のリスク評価が可能になります。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・病型(A~G群、V型)の同定
・神経症状発症リスクの評価
・適切な遮光対策と生活指導
・皮膚がんの早期発見・早期治療のための定期的なスクリーニング計画
・眼症状の管理と定期的な眼科検査
・神経症状に対するリハビリテーション計画
・聴力検査と補聴器の適応判断
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供(A群のみ)

患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝のため、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

DDB2, ERCC1, ERCC2, ERCC3, ERCC4, ERCC5, POLH, XPA, XPC ( 9遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・DDB2遺伝子(E群/XPE):
DNA損傷結合タンパク質2をコードする遺伝子。DNA損傷認識に関与します。E群は比較的軽度の症状を示し、日光過敏症も軽度です。神経症状を伴わないことが多い。

・ERCC1遺伝子:
エンドヌクレアーゼ活性を持つタンパク質をコードする遺伝子。ERCC4と複合体を形成してDNA修復に関与します。極めて稀で、重度のコケイン症候群様症状を呈することがあります。

・ERCC2遺伝子(XPD/D群):
DNAヘリカーゼ活性を持つタンパク質をコードする遺伝子。転写因子TFIIHの構成要素として、DNAの二重らせんを解く働きをします。XP、神経症状を伴うXP、XP/コケイン症候群複合型、裂毛症など多様な表現型を示します。

・ERCC3遺伝子(XPB/B群):
DNAヘリカーゼ活性を持つタンパク質をコードする遺伝子。転写因子TFIIHの構成要素として機能します。XPまたはXP/コケイン症候群複合型を発症します。神経症状を伴うことがあります。

・ERCC4遺伝子(XPF/F群):
エンドヌクレアーゼ活性を持つタンパク質をコードする遺伝子。ERCC1と複合体を形成してDNA鎖の切断を行います。F群は比較的稀ですが、重症例では神経症状を伴うことがあります。

・ERCC5遺伝子(XPG/G群):
エンドヌクレアーゼ活性を持つタンパク質をコードする遺伝子。DNA修復時の3’側の切断を行います。G群では神経症状を伴うことがあり、XP/コケイン症候群複合型を発症する場合もあります。

・POLH遺伝子(V型/XPV):
損傷乗り越えDNA合成に関与するDNAポリメラーゼη(イータ)をコードする遺伝子。日本で約25%を占める。日光過敏症が軽度で、皮膚がんの発症が20代以降と比較的遅い。神経症状は通常伴いません。通常のDNA修復機構(NER)は正常ですが、損傷部位を乗り越えて複製する機能に障害があります。

・XPA遺伝子(A群):
DNA修復において足場タンパク質として機能するXPAタンパク質をコードする遺伝子。DNA損傷部位で他の修復因子を集合させる重要な役割を果たします。日本で最も頻度が高く(約50%)、重度の日光過敏症と進行性神経症状を伴うことが多い。皮膚がんの発症が早く(10歳以前も多い)、生命予後に大きく影響します。

・XPC遺伝子(C群):
RAD23Bタンパク質と複合体を形成してDNA損傷の初期認識を行うXPCタンパク質をコードする遺伝子。全ゲノム型ヌクレオチド除去修復(GG-NER)の開始に重要な役割を果たします。C群は比較的軽度の日光過敏症を示し、神経症状を伴わないことが多い。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、9の原因遺伝子のみを対象としています。臨床的に色素性乾皮症が疑われても、検査で病原性変異が検出されない場合があります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状、細胞学的検査(不定期DNA合成能測定、紫外線致死感受性試験など)と合わせて総合的に判断することが重要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
わずかな日光曝露で重度の日焼け(水疱、持続性紅斑)を起こす方、幼少期から顔面や首、手など日光にあたる部分に広範囲にそばかす様の色素沈着がある方におすすめします。また、若年期に皮膚がんを発症した方、原因不明の進行性神経症状がある方、眼症状(羞明、角膜炎など)がある方も検査をご検討ください。家族に色素性乾皮症の方がいる場合も重要です。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
色素性乾皮症の病型を知ることにどのような意義がありますか?
病型(A~G群、V型)によって症状の重症度、神経症状の有無、予後が大きく異なります。例えば、日本で最も多いA群は重度の日光過敏症と進行性神経症状を伴い、早期からの厳重な遮光と神経症状への対応が必要です。一方、V型は日光過敏症が軽度で神経症状を伴わないことが多く、管理方針が異なります。病型を知ることで、適切な治療・管理計画を立てることができます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
常染色体劣性遺伝のため、患者さんの兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。特に保因者の方が将来子どもを持つことを考えている場合、パートナーの検査も含めてリスク評価が重要です。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
臨床的に色素性乾皮症が疑われても、検査で病原性変異が検出されない場合があります。これは未知の遺伝子変異や、検査で検出できないタイプの変異が原因である可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状、細胞学的検査(不定期DNA合成能測定、紫外線致死感受性試験など)と合わせて総合的に判断することが重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。なお、一部の医療機関では色素性乾皮症の遺伝子検査が保険収載されている場合があります。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、病型の特徴、今後の対応、ご家族への影響、遮光対策、皮膚がんスクリーニング、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
常染色体劣性遺伝のため、保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%です。検査結果により、出生前診断(A群のみ実施)や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
色素性乾皮症の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、厳重な遮光対策が最も重要です。日常生活では窓ガラスに紫外線カットフィルムを貼り、外出時には帽子、長袖の衣類、サンスクリーン剤による遮光が必要です。定期的な皮膚がんスクリーニング、発見された皮膚がんの外科的切除や抗がん剤外用、眼科検査、神経症状に対するリハビリテーション、補聴器の使用などが行われます。
予後はどうですか?
病型によって大きく異なります。神経変性を伴うXP患者(特にA群)の死亡年齢中央値は29歳、神経変性を伴わない患者は37歳と報告されています。主な死因は皮膚癌、神経変性、内臓腫瘍です。ただし、早期からの適切な遮光と管理により、生命予後は改善傾向にあります。最も重要なのは、生涯にわたる厳重な遮光と定期的な医学的管理です。
日常生活での注意点は何ですか?
最も重要なのは紫外線からの保護です。室内では窓ガラスに紫外線カットフィルムを貼り、外出時は必ず帽子、長袖の衣類、サンスクリーン剤を使用してください。できるだけ日中の外出を避け、やむを得ず外出する場合は日陰を選んで移動します。学校や職場での理解と協力も重要です。定期的な皮膚科、眼科、神経内科の受診により、早期に問題を発見・対処することができます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な9の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら