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X連鎖知的障害NGS遺伝子パネル検査(114遺伝子)|ミネルバクリニック

X連鎖知的障害NGS遺伝子パネル検査(114遺伝子)|ミネルバクリニック

X連鎖知的障害とは

X連鎖知的障害(X-Linked Intellectual Disability: XLID)は、X染色体上の遺伝子変異により引き起こされる、知的機能と適応行動の軽度から重度の障害を特徴とする遺伝性疾患です。主に男性に発症し、女性は保因者となりますが、X染色体の不活化パターンにより女性でも症状を呈することがあります。

X連鎖知的障害は、男性の知的障害全体の約5~10%を占め、臨床的にも遺伝学的にも非常に多様な疾患群です。現在までに100以上の原因遺伝子が同定されており、それぞれの遺伝子変異により異なる臨床症状を示します。

X連鎖知的障害は、症候性(他の身体的特徴や神経学的所見を伴う)と非症候性(知的障害のみを主症状とする)の2つに大きく分類されます。症候性X連鎖知的障害には、脆弱X症候群、レット症候群、アラン・ハーンドン・ダドリー症候群など、特徴的な臨床症状を示す多数の症候群が含まれます。しかし、同一遺伝子の変異でも症候性・非症候性の両方の表現型を示すことがあり、この分類は必ずしも明確ではありません。

症状と病態

X連鎖知的障害の主な症状は、知的機能の障害と適応行動の困難です。多くの場合、幼少期の発達遅滞として認識され、運動発達の遅れ、言語発達の遅れ、学習困難などが見られます。

主要症状

  • 知的機能の障害(IQ70未満)
  • 運動発達の遅れ(歩行開始の遅延など)
  • 言語発達の遅れ(発語の遅れ、会話能力の制限)
  • 適応行動の困難(日常生活動作、社会的スキル、概念的スキルの障害)
  • 学習困難(学業成績不良、特別支援教育の必要性)
  • 行動の問題(多動、注意欠如、衝動性など)
  • コミュニケーション能力の制限

症候性X連鎖知的障害の特徴

症候性X連鎖知的障害では、知的障害に加えて以下のような身体的特徴や神経学的所見を伴うことがあります:

  • 顔貌の特徴:大きな耳、長い顔、高口蓋、扁平な顔面中央部など
  • 神経学的異常:てんかん、筋緊張低下、協調運動障害、運動失調など
  • 行動異常:自閉症スペクトラム障害の症状、常同行動、社会的相互作用の障害
  • 身体的異常:低身長、小頭症、大頭症、関節過伸展、手指の形態異常など
  • 感覚器異常:視覚障害、聴覚障害
  • 内分泌代謝異常:性腺機能低下、甲状腺機能異常など
  • その他の臓器異常:心奇形、腎奇形、消化器異常など

代表的な症候群

X連鎖知的障害に含まれる代表的な症候群には以下があります:

  • 脆弱X症候群(FMR1遺伝子):最も頻度の高いX連鎖知的障害の原因で、大きな耳、長い顔、巨大睾丸、自閉症様症状を特徴とします
  • レット症候群(MECP2遺伝子):主に女児に発症し、正常発達後の退行、手もみ様運動、言語喪失を特徴とします
  • アラン・ハーンドン・ダドリー症候群(SLC16A2遺伝子):甲状腺ホルモン輸送障害による知的障害と運動障害を特徴とします
  • コフィン・ローリー症候群(RPS6KA3遺伝子):重度の知的障害、特徴的顔貌、骨格異常を伴います
  • リューケンシュタイン症候群(MED12遺伝子):知的障害、小頭症、特徴的顔貌を示します

知的障害の重症度

知的障害はIQ(知能指数)に基づいて以下のように分類されます:

  • 軽度:IQ 50-69(社会的・職業的スキルを獲得可能)
  • 中等度:IQ 35-49(限定的な自立生活が可能)
  • 重度:IQ 20-34(基本的な自己管理に支援が必要)
  • 最重度:IQ 20未満(全面的な支援が必要)

進行と予後

X連鎖知的障害は非進行性の疾患ですが、適切な早期介入により知的機能や適応行動の改善が期待できます。教育的支援、言語療法、作業療法、行動療法などにより、患者さんの能力を最大限に引き出すことが重要です。

遺伝形式と原因遺伝子

X連鎖知的障害はX連鎖性の遺伝形式をとります。X染色体上に存在する遺伝子の変異が原因となるため、性染色体の構成により発症様式が異なります。

X連鎖遺伝の特徴

  • 男性(XY):X染色体を1本しか持たないため、変異があると症状を発症します。男性患者からは息子に遺伝しませんが、娘は全員保因者となります
  • 女性(XX):X染色体を2本持つため、通常は保因者となり症状は現れないか軽度です。しかし、X染色体の不活化パターン(ライオナイゼーション)が偏っている場合や、両方のX染色体に変異がある場合は症状を呈することがあります
  • 保因者女性の子ども:息子が発症する確率は50%、娘が保因者となる確率は50%です

主要な原因遺伝子と機能

X連鎖知的障害の原因遺伝子は多岐にわたり、それぞれ異なる機能を持っています:

  • 転写調節関連:MECP2(DNAメチル化結合タンパク質)、ARX(転写因子)、KDM5C(ヒストン脱メチル化酵素)など
  • シナプス機能関連:NLGN3、NLGN4X(ニューロリギン)、OPHN1(オリゴフレニン)、IL1RAPL1(シナプス形成)など
  • 細胞内シグナル伝達:RPS6KA3(リボソームS6キナーゼ)、IQSEC2(グアニンヌクレオチド交換因子)など
  • 代謝・輸送関連:SLC16A2(甲状腺ホルモン輸送体)、ATP7A(銅輸送ATPアーゼ)、SLC9A6(Na+/H+交換体)など
  • 細胞骨格・輸送:DCX(ダブルコルチン)、FLNA(フィラミン)、L1CAM(細胞接着分子)など

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子を含む臨床的に重要な114遺伝子を対象としています。ただし、FMR1遺伝子とAFF2遺伝子については、NGS検査では検出できないトリヌクレオチドリピート伸長が主な病因であるため、これらの遺伝子のリピート伸長を検出する場合は別の検査方法が必要です。

ミネルバクリニックのX連鎖知的障害遺伝子パネル検査の特徴

「X連鎖知的障害 NGSパネル検査」とは、現在X連鎖知的障害の原因として報告されている114の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、X連鎖知的障害に関連する114遺伝子を一度に調べられる「X連鎖知的障害 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でX連鎖知的障害の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、X連鎖知的障害に関係するとされる114の遺伝子を一度に調べられる「X連鎖知的障害 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるX連鎖知的障害の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「X連鎖知的障害 NGSパネル検査」の場合、114の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からX連鎖知的障害を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「X連鎖知的障害 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な114の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「X連鎖知的障害 NGSパネル検査」では、X連鎖知的障害に関係するとされる114種類の遺伝子をまとめて検査します。この検査により塩基配列の変異(点変異、小欠失、小挿入)およびコピー数異常(大きな欠失・重複)を検出することができます。

「X連鎖知的障害 NGSパネル検査」は、X連鎖知的障害の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【X連鎖知的障害の個人歴または家族歴のある方】に
「X連鎖知的障害 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・知的機能の障害(IQ70未満)がある男性の方
・運動発達や言語発達の遅れがある方
・学習困難や適応行動の問題がある方
・自閉症スペクトラム障害の症状を伴う方
・てんかんや神経学的異常を伴う方
・特徴的な顔貌や身体的異常を伴う方
・X連鎖知的障害の家族歴がある方(特に母方の親族に知的障害のある男性がいる場合)
・保因者診断を希望される女性の方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、X連鎖知的障害の診断確定や、適切な治療・支援方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、早期介入プログラム、特別支援教育、療育支援などを適切に開始することができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の遺伝性疾患との鑑別
・早期介入プログラムの開始(言語療法、作業療法、行動療法など)
・適切な教育プログラムの立案(特別支援教育の必要性評価)
・併存症(てんかん、自閉症、行動障害など)の早期発見と管理
・将来的な健康問題のリスク評価
・疾患の自然経過と予後の予測
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、母親は保因者である可能性が高く、家族内の他の女性も保因者である可能性があります。保因者女性の息子が発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABCD1, ACSL4, AFF2, AGTR2, AIFM1, AP1S2, ARHGEF6, ARHGEF9, ARX, ATP6AP2, ATP7A, ATRX, BCOR, BRWD3, CASK, CCDC22, CDK16, CDKL5, CLCN4, CLIC2, CNKSR2, CUL4B, DCX, DKC1, DLG3, DMD, EBP, EIF2S3, FAAH2, FANCB, FGD1, FLNA, FMR1, FRMPD4, FTSJ1, GDI1, GK, GPC3, GRIA3, GSPT2, HCCS, HCFC1, HDAC8, HPRT1, HSD17B10, HUWE1, IDS, IGBP1, IL1RAPL1, IQSEC2, KDM5C, KLF8, L1CAM, LAMP2, LAS1L, MAGT1, MAOA, MBTPS2, MECP2, MED12, MID1, NAA10, NDP, NDUFA1, NEXMIF, NHS, NLGN3, NLGN4X, NSDHL, OCRL, OFD1, OGT, OPHN1, OTC, PAK3, PCDH19, PDHA1, PGK1, PHF6, PHF8, PLP1, PORCN, PQBP1, PRPS1, PTCHD1, RAB39B, RBM10, RPL10, RPS6KA3, SHROOM4, SLC16A2, SLC9A6, SMC1A, SMS, SOX3, SRPX2, SYN1, SYP, TAF1, THOC2, TIMM8A, TSPAN7, UBE2A, UPF3B, USP9X, WDR13, ZC4H2, ZCCHC12, ZDHHC9, ZMYM3, ZNF41, ZNF674, ZNF711, ZNF81 ( 114遺伝子 )

重要な注意事項:
FMR1遺伝子とAFF2遺伝子について:この検査では、FMR1遺伝子とAFF2遺伝子の塩基配列変異とコピー数異常は検出できますが、これらの遺伝子における主要な病因であるトリヌクレオチドリピート伸長(FMR1遺伝子のCGGリピート伸長、AFF2遺伝子のCCGリピート伸長)は検出できません。脆弱X症候群や脆弱XE症候群が疑われる場合は、別途リピート伸長検査が必要です。

SOX3遺伝子について:この検査では、SOX3遺伝子のトリヌクレオチドリピート伸長は評価しません。塩基配列変異とコピー数異常のみを検出します。

MECP2遺伝子について:現在利用可能な技術(NGSおよびqPCR)では、MECP2遺伝子のエキソン1の単一エキソン欠失/重複を検出することができません。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

遺伝子特異的な制限事項:

FMR1遺伝子:現在の検査方法では、この遺伝子におけるトリヌクレオチドリピート伸長を評価しません。上記に特に記載がない限り、塩基配列変異とコピー数変化のみを検査します。脆弱X症候群の主な原因であるCGGリピート伸長を検出するには、別の検査方法が必要です。

AFF2遺伝子:現在の検査方法では、この遺伝子におけるトリヌクレオチドリピート伸長を評価しません。上記に特に記載がない限り、塩基配列変異とコピー数変化のみを検査します。

MECP2遺伝子:現在利用可能な技術(NGSおよびqPCR)は、MECP2遺伝子のエキソン1の単一エキソン欠失/重複の検出に適していません。

SOX3遺伝子:現在の検査方法では、この遺伝子におけるトリヌクレオチドリピート伸長を評価しません。

※この検査パネルでは、114の原因遺伝子のみを対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、X連鎖知的障害以外の原因(染色体異常、常染色体遺伝子変異、環境要因など)による知的障害の可能性も考慮する必要があります。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
知的機能の障害(IQ70未満)がある方、運動発達や言語発達の遅れがある方、学習困難がある方におすすめします。特に男性で知的障害があり、母方の親族に同様の症状がある場合は、X連鎖知的障害の可能性が高くなります。また、知的障害に加えて自閉症様症状、てんかん、特徴的な顔貌や身体的異常を伴う場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
脆弱X症候群の検査もできますか?
このNGSパネル検査では、FMR1遺伝子の塩基配列変異とコピー数異常は検出できますが、脆弱X症候群の主な原因であるCGGリピート伸長は検出できません。脆弱X症候群が疑われる場合は、別途リピート伸長検査が必要です。当院では脆弱X症候群のリピート検査も実施しておりますので、お問い合わせください。
女性でも検査を受けられますか?
はい、可能です。女性は通常保因者となり症状が軽度ですが、X染色体の不活化パターンが偏っている場合は症状を呈することがあります。また、保因者診断や将来の家族計画のために検査を受けることもできます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
患者さんで病原性変異が同定された場合、母親は保因者である可能性が高く、家族内の他の女性(姉妹、母方の叔母など)も保因者である可能性があります。保因者女性の息子が発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。未だ同定されていないX連鎖遺伝子の変異、常染色体遺伝子の変異、染色体異常、環境要因など、他の原因による知的障害の可能性があります。臨床症状に基づいた診断と支援が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、支援・治療選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
保因者女性の息子が発症する確率は50%、娘が保因者となる確率は50%です。男性患者さんの娘は全員保因者となりますが、息子には遺伝しません。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
X連鎖知的障害の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、早期介入により予後を改善できます。言語療法、作業療法、行動療法などのリハビリテーション、特別支援教育、併存症(てんかん、自閉症、行動障害など)の管理などが行われます。適切な支援により、多くの患者さんは社会的スキルや日常生活スキルを獲得できます。
予後はどうですか?
予後は原因遺伝子や症状の重症度によって大きく異なります。軽度の知的障害の場合は、適切な教育的支援により社会的・職業的スキルを獲得し、ある程度自立した生活が可能です。中等度から重度の場合は、生涯にわたって支援が必要となりますが、早期介入により能力を最大限に引き出すことができます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な114の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら