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硝子体網膜症・ワーグナー症候群遺伝子検査|ミネルバクリニック

硝子体網膜症・ワーグナー症候群遺伝子検査|ミネルバクリニック

硝子体網膜症・ワーグナー症候群とは

硝子体網膜症は、眼球内を満たす透明なゼリー状の組織である硝子体と、光を感じる神経組織である網膜に異常が生じる遺伝性の眼疾患群の総称です。この疾患群には、家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)、ワーグナー症候群、スティックラー症候群など、複数の病型が含まれます。

家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)

家族性滲出性硝子体網膜症(Familial Exudative Vitreoretinopathy: FEVR)は、網膜を栄養する血管の発育異常によって生じる遺伝性眼底疾患です。眼底所見が未熟児網膜症に類似していますが、満期産で出生し、酸素投与などの既往がないことが特徴です。日本では若年者の網膜剥離の原因の約12%を占めるとされ、重要な疾患として認識されています。

ワーグナー症候群

ワーグナー症候群(Wagner Syndrome)は、進行性の視力障害を特徴とする遺伝性疾患です。眼球内を満たす硝子体が水っぽく薄くなることが特徴で、網膜剥離、網膜・脈絡膜の変性、白内障などを合併します。多くの場合、小児期から眼症状が始まりますが、視力障害があってもすぐには気づきにくいこともあります。VCAN遺伝子の変異が原因であることが知られています。

これらの硝子体網膜症は遺伝性があるため、家族にこの病気の方がいらっしゃる場合には、早めに眼底検査を受けることが重要です。早期発見・早期治療により、視力予後の改善が期待できます。

症状と病態

硝子体網膜症の症状は、病型や重症度によって大きく異なります。軽症例では無症状のこともありますが、重症例では失明に至ることもあります。

主要症状

  • 視力低下(進行性または急激)
  • 飛蚊症(視野に黒い点や糸くずのようなものが見える)
  • 網膜剥離(網膜が剥がれる)
  • 硝子体出血(眼球内の出血)
  • 白内障(水晶体の濁り)
  • 近視
  • 夜盲症(暗いところで見えにくい)
  • 視野狭窄(見える範囲が狭くなる)
  • 斜視(小児期に発見されることがある)
  • 白色瞳孔(重症例で瞳が白く見える)

家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)の特徴

FEVRの眼底所見の特徴は、網膜血管の走行異常です。耳側の周辺部網膜に無血管領域が認められ、そこで網膜血管が発育を停止しています。網膜血管の多分岐、直線化、拡張などが見られます。

網膜周辺部に血管が到達していないため虚血状態となり、新生血管が生じて滲出性変化が起こります。重症例では増殖性変化が進行し、以下のような合併症を引き起こします:

  • 増殖組織による乳頭牽引
  • 黄斑部偏位(中心視力に重要な黄斑部がずれる)
  • 鎌状網膜剥離
  • 牽引性網膜剥離
  • 硝子体出血
  • 緑内障の合併

重症度は患者さんや家系によって大きく異なり、同じ家系内でも症状の程度にばらつきがあります。また、左右の眼で重症度が異なることも特徴的です。多くの症例では自覚症状がないため、家族歴がある場合は積極的な検査が推奨されます。

ワーグナー症候群の特徴

ワーグナー症候群では、硝子体が水っぽく薄くなることにより、以下のような変化が起こります:

  • 網膜の菲薄化(網膜が薄くなる)
  • 網膜剥離
  • 脈絡膜の異常(網膜の後ろの血管層の異常)
  • 網膜・脈絡膜の進行性変性
  • 中心窩異所(中心視力に重要な部位の位置異常)による視界のぼやけ
  • 白内障
  • 進行性夜盲症
  • 視野狭窄

視力障害の程度は、ほぼ正常に近い視力を保つ方から、両眼とも完全に視力を失う方まで、個人差が非常に大きいことが特徴です。

進行と予後

硝子体網膜症の進行は、病型と重症度によって異なります。FEVRでは特に小児期に急速に進行することがあるため、早期発見が重要です。網膜剥離を起こした場合、手術が必要となりますが、視力予後は不良であることが多いです。

ワーグナー症候群は進行性の疾患であり、数年から数十年かけて徐々に症状が進行します。適切な管理と治療により、一定の視機能を維持できることもあります。

遺伝形式と原因遺伝子

硝子体網膜症は遺伝学的に非常に多様性が高く、複数の遺伝形式と原因遺伝子が関与しています。

家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)

FEVRの多くは常染色体優性(顕性)遺伝形式をとりますが、常染色体劣性(潜性)遺伝やX連鎖劣性(潜性)遺伝の形式もあります。原因遺伝子はWntシグナル伝達経路に属し、網膜の血管形成に関与するものが中心です。

主要な原因遺伝子:

  • FZD4遺伝子:最初に同定されたFEVRの原因遺伝子。Wnt受容体をコードします
  • LRP5遺伝子:Wnt共受容体をコードし、骨粗鬆症偽網膜膠腫症候群(OPPG)の原因遺伝子でもあります
  • TSPAN12遺伝子:テトラスパニンファミリーのタンパク質をコードします
  • NDP遺伝子:ノーリン(norrin)をコードし、X連鎖性遺伝形式をとります。ノーリー病の原因遺伝子でもあります
  • ZNF408遺伝子:転写因子をコードします
  • CTNNB1遺伝子:β-カテニンをコードします

海外では症例の約50%でこれらの遺伝子に病的変異が見つかると報告されていますが、約半数では既知の遺伝子に変異が見つかりません。

ワーグナー症候群

ワーグナー症候群は主に常染色体優性(顕性)遺伝形式をとります。

  • VCAN遺伝子:バーシカン(versican)というタンパク質をコードします。バーシカンは細胞外マトリックスの構成成分であり、硝子体のゲル様構造を維持する役割を果たしています。VCAN遺伝子の変異により硝子体内のバーシカンが不足すると、硝子体の構造が不安定になり、様々な眼症状が引き起こされます

その他の硝子体網膜症関連遺伝子

当検査パネルには、硝子体網膜症に関連する以下の遺伝子も含まれています:

  • COL2A1、COL11A1、COL9A1、COL9A2遺伝子:コラーゲンをコードし、スティックラー症候群の原因遺伝子です
  • COL18A1遺伝子:XVIII型コラーゲンをコードします
  • RS1遺伝子:X連鎖性若年性網膜分離症の原因遺伝子です
  • BEST1遺伝子:ベストロフィンをコードし、卵黄様黄斑ジストロフィーの原因遺伝子です

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子を含む21遺伝子を対象としています。これにより、硝子体網膜症・ワーグナー症候群の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックの硝子体網膜症・ワーグナー症候群遺伝子パネル検査の特徴

「硝子体網膜症・ワーグナー症候群 NGSパネル検査」とは、現在硝子体網膜症・ワーグナー症候群の原因として報告されている21の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、硝子体網膜症・ワーグナー症候群に関連する21遺伝子を一度に調べられる「硝子体網膜症・ワーグナー症候群 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で硝子体網膜症・ワーグナー症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、硝子体網膜症・ワーグナー症候群に関係するとされる21の遺伝子を一度に調べられる「硝子体網膜症・ワーグナー症候群 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える硝子体網膜症・ワーグナー症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「硝子体網膜症・ワーグナー症候群 NGSパネル検査」の場合、21の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から硝子体網膜症・ワーグナー症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「硝子体網膜症・ワーグナー症候群 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な21の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「硝子体網膜症・ワーグナー症候群 NGSパネル検査」では、硝子体網膜症・ワーグナー症候群に関係するとされる21種類の遺伝子(ATOH7、BEST1、CAPN5、COL11A1、COL18A1、COL2A1、COL9A1、COL9A2、CTC1、CTNNB1、FZD4、ISPD、KCNJ13、KIF11、LRP5、NDP、RCBTB1、RS1、TSPAN12、VCAN、ZNF408)をまとめて検査します。

「硝子体網膜症・ワーグナー症候群 NGSパネル検査」は、硝子体網膜症・ワーグナー症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【硝子体網膜症・ワーグナー症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「硝子体網膜症・ワーグナー症候群 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・若年性網膜剥離がある方
・網膜血管の発育異常が認められる方
・網膜周辺部に無血管領域がある方
・硝子体出血を繰り返す方
・進行性視力低下がある方
・飛蚊症が強い方
・白内障が若年で発症した方
・夜盲症や視野狭窄がある方
・小児期に斜視で発見された方
・家族性滲出性硝子体網膜症の家族歴がある方
・ワーグナー症候群の家族歴がある方
・スティックラー症候群の疑いがある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、硝子体網膜症・ワーグナー症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な眼科的管理、レーザー治療、必要に応じた硝子体手術などの治療介入のタイミングを最適化できます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・未熟児網膜症や他の眼疾患との鑑別
・網膜剥離のリスク評価と予防的治療
・適切なレーザー光凝固治療のタイミング決定
・硝子体手術の適応判断
・白内障手術のタイミング決定
・緑内障合併のリスク評価と管理
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・視力予後の予測
・低視力補助具の選択と使用
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。X連鎖性遺伝の場合は性別により異なります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ATOH7, BEST1, CAPN5, COL11A1, COL18A1, COL2A1, COL9A1, COL9A2, CTC1, CTNNB1, FZD4, ISPD, KCNJ13, KIF11, LRP5, NDP, RCBTB1, RS1, TSPAN12, VCAN, ZNF408 ( 21遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・ATOH7遺伝子:
網膜神経節細胞の発生に関与する転写因子をコードします。

・BEST1遺伝子:
ベストロフィンというタンパク質をコードします。卵黄様黄斑ジストロフィーの原因遺伝子としても知られています。

・CAPN5遺伝子:
カルパイン5というカルシウム依存性プロテアーゼをコードします。

・COL11A1遺伝子:
XI型コラーゲンのα1鎖をコードします。スティックラー症候群の原因遺伝子の一つです。

・COL18A1遺伝子:
XVIII型コラーゲンをコードし、血管新生の制御に関与します。

・COL2A1遺伝子:
II型コラーゲンのα1鎖をコードします。スティックラー症候群の最も頻度の高い原因遺伝子です。硝子体の構造維持に重要な役割を果たします。

・COL9A1遺伝子:
IX型コラーゲンのα1鎖をコードします。スティックラー症候群の原因遺伝子の一つです。

・COL9A2遺伝子:
IX型コラーゲンのα2鎖をコードします。スティックラー症候群の原因遺伝子の一つです。

・CTC1遺伝子:
テロメア維持に関与するタンパク質をコードします。

・CTNNB1遺伝子:
β-カテニンをコードし、Wntシグナル伝達経路の重要な構成要素です。家族性滲出性硝子体網膜症の原因遺伝子の一つです。

・FZD4遺伝子:
Frizzled-4受容体をコードします。家族性滲出性硝子体網膜症の原因遺伝子として最初に同定されました。Wntシグナル伝達経路に関与し、網膜血管の発育に重要な役割を果たします。

・ISPD遺伝子:
イソプレノイド合成酵素をコードします。

・KCNJ13遺伝子:
カリウムチャネルをコードし、網膜色素上皮細胞の機能に関与します。

・KIF11遺伝子:
キネシンファミリーの分子モーターをコードします。

・LRP5遺伝子:
低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質5をコードします。Wnt共受容体として機能し、家族性滲出性硝子体網膜症の原因遺伝子です。骨粗鬆症偽網膜膠腫症候群(OPPG)の原因遺伝子でもあります。

・NDP遺伝子:
ノーリン(norrin)というタンパク質をコードします。X連鎖性家族性滲出性硝子体網膜症の原因遺伝子であり、ノーリー病の原因遺伝子でもあります。網膜血管の発育に重要な役割を果たします。

・RCBTB1遺伝子:
RCC1およびBTBドメインを含むタンパク質をコードします。

・RS1遺伝子:
レチノスキシンというタンパク質をコードします。X連鎖性若年性網膜分離症の原因遺伝子です。網膜の層構造の維持に重要です。

・TSPAN12遺伝子:
テトラスパニン12をコードします。家族性滲出性硝子体網膜症の原因遺伝子の一つで、Wntシグナル伝達経路に関与します。

・VCAN遺伝子:
バーシカン(versican)というプロテオグリカンをコードします。ワーグナー症候群の原因遺伝子です。細胞外マトリックスの構成成分であり、硝子体のゲル様構造を維持する役割を果たします。

・ZNF408遺伝子:
ジンクフィンガータンパク質408をコードする転写因子です。家族性滲出性硝子体網膜症の原因遺伝子の一つです。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、21の原因遺伝子のみを対象としています。硝子体網膜症の約半数の症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
若年で網膜剥離を発症した方、視力低下が進行している方、飛蚊症が強い方、網膜血管の異常を指摘された方におすすめします。特に家族に硝子体網膜症やワーグナー症候群の方がいる場合は、症状がなくても早めの検査をご検討ください。小児期に斜視で発見された場合も、FEVRが隠れている可能性があります。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)とワーグナー症候群の違いは何ですか?
FEVRは主に網膜血管の発育異常によって起こり、網膜周辺部の無血管領域が特徴です。一方、ワーグナー症候群は硝子体が水っぽく薄くなることが特徴で、VCAN遺伝子の変異が原因です。当検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な診断と適切な治療方針の決定が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。FEVRでは症状がなくても眼底に異常がある場合があるため、家族歴がある方は積極的な眼科検査が推奨されます。早期発見により、網膜剥離などの重篤な合併症を予防できる可能性があります。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
約半数の硝子体網膜症症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と眼底検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、X連鎖性遺伝の場合は性別により異なります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
硝子体網膜症の治療はどのように行われますか?
FEVRでは、無血管領域へのレーザー光凝固治療が主体となります。新生血管や増殖性変化がある場合は、早期のレーザー治療により網膜剥離を予防できる可能性があります。網膜剥離を起こした場合は硝子体手術が必要となります。ワーグナー症候群では、白内障手術、網膜剥離に対する手術、低視力補助具の使用などが行われます。
予後はどうですか?
FEVRでは早期発見・早期治療により視力予後を改善できる可能性があります。特に小児期に発見し、適切なレーザー治療を行うことで網膜剥離を予防できることがあります。ワーグナー症候群では進行性の経過をたどりますが、視力障害の程度には個人差が大きく、一定の視機能を維持できる方も多くいます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な21の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら