ACVRL1, AKT1, AKT3, BMPR2, BRAF, CAMK2G, CAV1, CCBE1, CCM2, EIF2AK4, ELMO2, ENG, EPHB4, FAT4, FLT4, FOXC2, FOXF1, GATA2, GDF2, GJC2, GLMN, GNA11, GNA14, GNAQ, HOXA1, HRAS, KCNK3, KDR, KRAS, KRIT1, MAP2K1, NOTCH1, NRAS, PDCD10, PIEZO1, PIK3CA, PTEN, RASA1, SMAD4, SMAD9, SOX18, STAMBP, TEK, VEGFC ( 44遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・ACVRL1遺伝子(ALK1):
TGF-β受容体ファミリーに属するⅠ型受容体をコードする遺伝子。遺伝性出血性毛細血管拡張症2型(HHT2)の原因遺伝子。肝動静脈奇形の頻度が高い傾向があります。
・AKT1遺伝子:
細胞増殖・生存に関わるセリン/スレオニンキナーゼをコードする遺伝子。PI3K/AKT/mTOR経路に関与し、体細胞モザイク変異がProteus症候群やPIK3CA関連過成長症候群の原因となります。
・AKT3遺伝子:
AKT1と同様にPI3K/AKT/mTOR経路に関与するキナーゼをコードする遺伝子。体細胞モザイク変異が巨脳症や過成長症候群の原因となります。
・BMPR2遺伝子:
骨形成タンパク質受容体2型をコードする遺伝子。TGF-βシグナル経路に関与し、特発性肺動脈性肺高血圧症の主要な原因遺伝子です。
・BRAF遺伝子:
RAS/MAPK経路のセリン/スレオニンキナーゼをコードする遺伝子。体細胞変異が動静脈奇形の原因となることがあります。
・CAMK2G遺伝子:
カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIIγをコードする遺伝子。血管平滑筋の収縮に関与します。
・CAV1遺伝子:
カベオリン1をコードする遺伝子。細胞膜のカベオラ形成に関与し、血管内皮細胞の機能に重要です。
・CCBE1遺伝子:
コラーゲンおよびカルシウム結合EGF様ドメイン1をコードする遺伝子。Hennekam症候群(リンパ浮腫・リンパ管腫症を伴う症候群)の原因遺伝子です。
・CCM2遺伝子(MGC4607、Malcavernin):
CCM複合体の構成タンパク質をコードする遺伝子。家族性脳海綿状血管腫2型の原因遺伝子で、約20%を占めます。
・EIF2AK4遺伝子:
真核生物翻訳開始因子2αキナーゼ4をコードする遺伝子。肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症の原因遺伝子です。
・ELMO2遺伝子:
細胞移動に関与するタンパク質をコードする遺伝子。血管形成に関与します。
・ENG遺伝子(Endoglin):
TGF-β受容体複合体の補助受容体をコードする遺伝子。遺伝性出血性毛細血管拡張症1型(HHT1)の原因遺伝子で、最も頻度が高い型です。肺・脳の動静脈奇形が多く、HHT2より若年で発症する傾向があります。
・EPHB4遺伝子:
エフリン受容体チロシンキナーゼをコードする遺伝子。毛細血管奇形-動静脈奇形症候群2型(CM-AVM2)の原因遺伝子です。
・FAT4遺伝子:
カドヘリンファミリーの細胞接着分子をコードする遺伝子。Van Maldergem症候群2型の原因遺伝子で、血管奇形を伴うことがあります。
・FLT4遺伝子(VEGFR3):
血管内皮増殖因子受容体3をコードする遺伝子。Milroy病(遺伝性リンパ浮腫1型)の原因遺伝子です。
・FOXC2遺伝子:
フォークヘッド転写因子をコードする遺伝子。リンパ浮腫-distichias症候群(遺伝性リンパ浮腫2型)の原因遺伝子です。
・FOXF1遺伝子:
フォークヘッド転写因子をコードする遺伝子。肺胞毛細血管形成不全の原因遺伝子です。
・GATA2遺伝子:
GATA結合転写因子をコードする遺伝子。Emberger症候群(リンパ浮腫と骨髄異形成症候群を伴う)の原因遺伝子です。
・GDF2遺伝子(BMP9):
TGF-βスーパーファミリーの成長分化因子2をコードする遺伝子。遺伝性出血性毛細血管拡張症5型(HHT5)の原因遺伝子です。
・GJC2遺伝子:
ギャップ結合タンパク質コネキシン47をコードする遺伝子。
・GLMN遺伝子(Glomulin):
球状血管平滑筋腫に関連するタンパク質をコードする遺伝子。糸球体静脈奇形の原因遺伝子です。
・GNA11遺伝子:
Gタンパク質α11サブユニットをコードする遺伝子。体細胞モザイク変異がSturge-Weber症候群や青色母斑の原因となります。
・GNA14遺伝子:
Gタンパク質α14サブユニットをコードする遺伝子。体細胞変異が毛細血管奇形の原因となります。
・GNAQ遺伝子:
Gタンパク質αqサブユニットをコードする遺伝子。体細胞モザイク変異がSturge-Weber症候群や毛細血管奇形の原因となります。
・HOXA1遺伝子:
ホメオボックス転写因子をコードする遺伝子。血管形成に関与します。
・HRAS遺伝子:
RASファミリーの低分子量GTPアーゼをコードする遺伝子。体細胞変異が動静脈奇形の原因となることがあります。
・KCNK3遺伝子:
2ポアドメインカリウムチャネルをコードする遺伝子。特発性肺動脈性肺高血圧症の原因遺伝子です。
・KDR遺伝子(VEGFR2):
血管内皮増殖因子受容体2をコードする遺伝子。血管新生に重要な役割を果たします。
・KRAS遺伝子:
RASファミリーの低分子量GTPアーゼをコードする遺伝子。体細胞変異が動静脈奇形の原因となることがあります。
・KRIT1遺伝子(CCM1):
CCM複合体の構成タンパク質をコードする遺伝子。家族性脳海綿状血管腫1型の原因遺伝子で、家族性CCMの53~65%を占めます。皮膚病変を伴うことが多いです。
・MAP2K1遺伝子(MEK1):
RAS/MAPK経路のキナーゼをコードする遺伝子。体細胞変異が動静脈奇形の原因となることがあります。
・NOTCH1遺伝子:
Notchシグナル伝達経路の受容体をコードする遺伝子。血管形成と血管安定化に関与します。
・NRAS遺伝子:
RASファミリーの低分子量GTPアーゼをコードする遺伝子。体細胞変異が動静脈奇形の原因となることがあります。
・PDCD10遺伝子(CCM3):
CCM複合体の構成タンパク質をコードする遺伝子。家族性脳海綿状血管腫3型の原因遺伝子で、家族性CCMの10~16%を占めます。
・PIEZO1遺伝子:
機械感受性イオンチャネルをコードする遺伝子。血管内皮細胞の機械刺激応答に関与します。
・PIK3CA遺伝子:
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼの触媒サブユニットαをコードする遺伝子。体細胞モザイク変異がPIK3CA関連過成長症候群(PROS)の原因となります。CLOVES症候群、巨指症、血管奇形合併四肢過成長などが含まれます。
※PIK3CAの病的変異の大部分は体細胞モザイクであるため、複数の組織を検査する必要がある場合があります。血液検査で変異が検出されなくても疾患を否定できません。
・PTEN遺伝子:
ホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸ホスファターゼをコードする遺伝子。PTEN過誤腫症候群の原因遺伝子で、血管奇形を伴うことがあります。
・RASA1遺伝子:
RAS p21タンパク質活性化因子1をコードする遺伝子。毛細血管奇形-動静脈奇形症候群(CM-AVM)の原因遺伝子です。
・SMAD4遺伝子:
TGF-βシグナル伝達経路の細胞内メディエーターをコードする遺伝子。若年性ポリポーシス/遺伝性出血性毛細血管拡張症重複症候群の原因遺伝子です。
・SMAD9遺伝子(SMAD8):
TGF-βシグナル伝達経路に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
・SOX18遺伝子:
SRY関連HMGボックス転写因子をコードする遺伝子。リンパ浮腫・Hypotrichosis・毛細血管拡張症候群の原因遺伝子です。
・STAMBP遺伝子:
ユビキチンプロテアーゼをコードする遺伝子。小頭症-毛細血管奇形症候群の原因遺伝子です。
・TEK遺伝子(TIE2):
アンジオポエチン受容体チロシンキナーゼをコードする遺伝子。遺伝性皮膚粘膜静脈奇形や孤発性静脈奇形の原因遺伝子です。血管の安定化に重要な役割を果たします。
・VEGFC遺伝子:
血管内皮増殖因子Cをコードする遺伝子。Milroy様リンパ浮腫の原因遺伝子です。