VI型コラーゲン異常症NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック
VI型コラーゲン異常症とは
VI型コラーゲン異常症(Collagen VI-related dystrophy)は、VI型コラーゲンをコードする遺伝子の変異により発症する遺伝性筋疾患です。重症型のウルリッヒ病(ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー)から軽症型のベスレムミオパチーまで、連続したスペクトラムを形成する疾患群として理解されています。
VI型コラーゲンは、筋肉の細胞外マトリックスを構成する重要なタンパク質で、筋細胞の基底膜を細胞外マトリックスに固定する役割や、細胞内外の情報伝達に関与しています。このコラーゲンの異常により、筋力低下、関節の拘縮(固くなる)と過伸展(柔らかくなりすぎる)という特徴的な症状が現れます。
VI型コラーゲン異常症は、日本では福山型先天性筋ジストロフィーに次いで多い先天性筋ジストロフィーとされています。ウルリッヒ病の患者数は約300人、ベスレムミオパチーの患者数はウルリッヒ病の約1/10程度と推定されていますが、実際には多くの未診断例があると考えられています。
症状と病態
VI型コラーゲン異常症の症状は、重症型のウルリッヒ病と軽症型のベスレムミオパチーで異なりますが、共通して筋力低下と関節の異常が認められます。特徴的なのは、近位関節(肩・肘・膝・股関節)の拘縮と遠位関節(手首・足首・指)の過伸展が同時に存在することです。
ウルリッヒ病(重症型)の主要症状
- 生下時または乳児早期からの顔面筋を含む全般性の筋力低下と筋萎縮
- 手関節・足関節などの遠位関節の過伸展(異常に柔らかい)
- 肘関節・肩関節・膝関節・股関節などの近位関節の拘縮(固くなる)
- 脊柱の後側弯(背骨が曲がる)
- 踵骨突出(かかとの骨が目立つ)
- 皮膚の異常(筋生検痕がケロイド化しやすい)
- 呼吸筋力低下(早期に呼吸管理が必要となることがある)
ベスレムミオパチー(軽症型)の主要症状
- 乳幼児期発症の緩徐進行性の筋力低下と筋萎縮(近位筋優位)
- 比較的早期からの手指・肘関節の屈曲拘縮
- 足関節の伸展拘縮
- 進行は緩やかで、歩行能力は長期間保たれることが多い
- 筋力は思春期に一時的に改善することもあるが、成人期に再び低下する
進行と予後
ウルリッヒ病では、典型例で10歳までに歩行不能となることが多く、全く歩行しない例もあります。一方で20歳を過ぎても歩行可能な軽症例も存在します。呼吸筋が侵されやすく、早期に呼吸管理が必要となる例もあります。
ベスレムミオパチーでは、進行は緩徐で、多くの患者さんは成人期まで歩行可能です。ただし、長期的には歩行障害が進行することもあり、アキレス腱延長術などの整形外科的治療が有効な場合があります。
両疾患とも、心筋症や不整脈などの心合併症を欠くことが特徴的で、他の筋ジストロフィーとの鑑別点となります。
遺伝形式と原因遺伝子
VI型コラーゲン異常症は、VI型コラーゲンをコードする3つの遺伝子(COL6A1、COL6A2、COL6A3)の変異により発症します。VI型コラーゲンは、α1(VI)、α2(VI)、α3(VI)の3種類のα鎖から構成される細胞外マトリックスタンパク質です。
遺伝子と染色体の位置
- COL6A1遺伝子:21番染色体長腕(21q22.3)に位置
- COL6A2遺伝子:21番染色体長腕(21q22.3)に位置
- COL6A3遺伝子:2番染色体長腕(2q37)に位置
- COL12A1遺伝子:6番染色体長腕(6q12-q13)に位置(XII型コラーゲン関連)
遺伝形式
ウルリッヒ病は主に常染色体劣性遺伝形式をとりますが、優性遺伝(de novo変異を含む)の報告もあります。筋組織の免疫組織学的検討では、VI型コラーゲンの完全欠損を示す場合(劣性変異による)と筋鞘膜特異的欠損を示す場合(優性変異による)があります。
ベスレムミオパチーは通常、常染色体優性遺伝形式をとりますが、最近では劣性遺伝形式をとる例も報告されています。大半が孤発例ですが、家族性の症例も存在します。
遺伝子型と表現型の相関
骨格筋のVI型コラーゲン発現パターンと遺伝子変異型の間には相関が認められます。完全欠損例は筋鞘膜特異的欠損例より重症であることが多いです。筋鞘膜特異的欠損はtriple helical domainの優性de novo変異で起こりますが、COL6A1、COL6A2、COL6A3の各triple helical domainとそこに生ずる変異の種類によって多様な表現型を示します。
同一の遺伝子変異であっても、完全欠損に近い重症例から比較的軽症の例まで広い表現型の幅を示すことがあり、臨床像の予測は容易ではありません。当検査パネルには、VI型コラーゲン関連疾患と類似した症状を呈するXII型コラーゲンをコードするCOL12A1遺伝子も含まれており、より包括的な診断が可能です。
ミネルバクリニックのVI型コラーゲン異常症遺伝子パネル検査の特徴
「VI型コラーゲン異常症 NGSパネル検査」とは、現在VI型コラーゲン異常症の原因として報告されている4つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、VI型コラーゲン異常症に関連する4遺伝子を一度に調べられる「VI型コラーゲン異常症 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関でVI型コラーゲン異常症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、VI型コラーゲン異常症に関係するとされる4つの遺伝子を一度に調べられる「VI型コラーゲン異常症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行えるVI型コラーゲン異常症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「VI型コラーゲン異常症 NGSパネル検査」の場合、4つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状からVI型コラーゲン異常症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「VI型コラーゲン異常症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な4つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「VI型コラーゲン異常症 NGSパネル検査」では、VI型コラーゲン異常症に関係するとされる4種類の遺伝子(COL12A1、COL6A1、COL6A2、COL6A3)をまとめて検査します。
「VI型コラーゲン異常症 NGSパネル検査」は、VI型コラーゲン異常症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【VI型コラーゲン異常症、ウルリッヒ病、ベスレムミオパチーの個人歴または家族歴のある方】に
「VI型コラーゲン異常症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・生下時または乳児早期からの筋力低下がある方
・全般性の筋力低下と筋萎縮が認められる方
・近位関節(肩・肘・膝・股関節)の拘縮がある方
・遠位関節(手首・足首・指)の過伸展がある方
・脊柱の側弯や後弯がある方
・踵骨突出などの特徴的な所見がある方
・皮膚の異常(ケロイド形成傾向など)がある方
・呼吸筋力低下がある方
・VI型コラーゲン異常症、ウルリッヒ病、またはベスレムミオパチーの家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、VI型コラーゲン異常症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切なリハビリテーション、装具療法、呼吸管理、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の筋ジストロフィーや神経筋疾患との鑑別
・適切なリハビリテーションプログラムの立案
・装具療法の適応判断
・呼吸機能障害の早期発見とリスク評価
・整形外科的治療(アキレス腱延長術など)の適応判断
・脊柱変形の進行モニタリングと対策
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
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COL12A1, COL6A1, COL6A2, COL6A3 ( 4遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・COL6A1遺伝子:
VI型コラーゲンのα1(VI)鎖をコードする遺伝子。21番染色体長腕(21q22.3)に位置します。変異により、VI型コラーゲンの三量体形成やマイクロフィブリルの構築に異常が生じます。ウルリッヒ病とベスレムミオパチーの両方の原因となり、ホモ接合型、複合ヘテロ接合型、またはヘテロ接合型の変異が報告されています。
・COL6A2遺伝子:
VI型コラーゲンのα2(VI)鎖をコードする遺伝子。21番染色体長腕(21q22.3)に位置します。COL6A1と同じ染色体上にあり、VI型コラーゲンの構造形成に不可欠です。変異により筋鞘膜の細胞外マトリックスが障害され、筋力低下や関節異常を引き起こします。ウルリッヒ病とベスレムミオパチーの主要な原因遺伝子の一つです。
・COL6A3遺伝子:
VI型コラーゲンのα3(VI)鎖をコードする遺伝子。2番染色体長腕(2q37)に位置します。α3(VI)鎖は他の2つの鎖と比べて長いN末端およびC末端のグロブラードメインを持ち、VI型コラーゲンマイクロフィブリルの組み立てに重要な役割を果たします。変異はウルリッヒ病とベスレムミオパチーの両方で認められ、これまでに報告された200以上のVI型コラーゲン変異のうち、COL6A1とCOL6A2に多く分布していますが、COL6A3の変異も重要です。
・COL12A1遺伝子:
XII型コラーゲンのα1(XII)鎖をコードする遺伝子。6番染色体長腕(6q12-q13)に位置します。XII型コラーゲンはFACIT(Fibril-associated collagens with interrupted triple helices)ファミリーに属し、I型コラーゲンを含む線維と相互作用して筋肉や骨の構造を維持します。COL12A1の変異は、VI型コラーゲン関連筋症に類似した表現型を示す「ベスレムミオパチー2型」や「ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー2型」の原因となります。優性変異(ヘテロ接合型)ではベスレムミオパチー様の軽症型を、劣性変異(ホモ接合型)ではウルリッヒ病様の重症型を呈します。関節過伸展、筋力低下、関節拘縮などVI型コラーゲン異常症と重複する症状を示すため、このパネルに含まれています。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、4つの原因遺伝子のみを対象としています。VI型コラーゲン遺伝子以外にも、類似した症状を呈する他の筋疾患が存在します。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 生下時または乳児早期からの筋力低下がある方、近位関節(肩・肘・膝・股関節)の拘縮と遠位関節(手首・足首・指)の過伸展が同時に認められる方におすすめします。また、脊柱の側弯や後弯、踵骨突出、皮膚の異常、呼吸筋力低下などの特徴的な所見がある場合も検査をご検討ください。家族に同様の症状がある場合も重要な手がかりとなります。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- ウルリッヒ病とベスレムミオパチーの違いは何ですか?
- 両疾患は同じVI型コラーゲン遺伝子の変異により発症しますが、重症度が異なります。ウルリッヒ病は重症型で、生下時または乳児早期から症状が現れ、典型例では10歳までに歩行不能となることが多いです。ベスレムミオパチーは軽症型で、乳幼児期に発症しますが進行は緩やかで、多くの患者さんは成人期まで歩行可能です。両疾患は連続したスペクトラムを形成しており、中間型も存在します。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- この検査パネルでは4つの主要な遺伝子を対象としていますが、VI型コラーゲン異常症以外にも類似した症状を呈する筋疾患が存在します。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と筋生検などの検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- VI型コラーゲン異常症の治療はどのように行われますか?
- 現在のところ根本的な治療法はありませんが、リハビリテーション(理学療法、作業療法)、装具療法、呼吸管理、必要に応じて整形外科的治療(アキレス腱延長術など)が行われます。適切な管理により、多くの患者さんは生活の質を維持できます。呼吸筋力低下に対しては、早期からの呼吸機能モニタリングと適切な呼吸器サポートが重要です。
- 予後はどうですか?
- ウルリッヒ病では、典型例で10歳までに歩行不能となることが多いですが、20歳を過ぎても歩行可能な軽症例も存在します。呼吸筋が侵されやすく、呼吸管理が必要となることがあります。ベスレムミオパチーでは進行は緩やかで、多くの患者さんは成人期まで歩行可能です。両疾患とも心筋症や不整脈などの心合併症を欠くことが特徴的です。適切なリハビリテーションと呼吸管理により、生活の質を維持することが可能です。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な4つの原因遺伝子(COL6A1、COL6A2、COL6A3、COL12A1)を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら