トランスサイレチン関連遺伝性アミロイドーシス遺伝子検査(TTR遺伝子検査)|ミネルバクリニック
TTRアミロイドーシスとは
トランスサイレチン関連遺伝性アミロイドーシス(TTR)は、トランスサイレチン(TTR)遺伝子の変異により引き起こされる遺伝性疾患です。この疾患では、異常なトランスサイレチンタンパク質がアミロイド繊維として体内の様々な組織に蓄積し、多臓器に障害を引き起こします。
アミロイドーシスとは、正常なタンパク質が異常な折りたたみ構造を持つアミロイド繊維となって、体内の様々な組織や臓器に沈着する疾患群の総称です。TTRアミロイドーシスは主に神経系、心臓、胃腸管に影響を及ぼし、進行性の症状を呈します。
TTRアミロイドーシスは常染色体優性遺伝パターンを示すため、変異を持つ親から子に50%の確率で受け継がれます。早期診断により、適切な治療や症状管理を開始でき、患者さんの生活の質の向上と疾患進行の抑制が期待できます。
症状と病態
TTRアミロイドーシスの症状は、アミロイド沈着の部位と程度によって多岐にわたります。主な症状には、筋力低下やしびれなどの末梢神経症状、中枢神経系の問題、心肥大、胃腸管障害などがあります。
TTRアミロイドーシスに関連する主な病態には以下があります:
- 家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)
- 家族性アミロイド心筋症(FAC)
- 老人性全身性アミロイドーシス(SSA)
- 中枢神経系アミロイドーシス
- 眼アミロイドーシス
- 腎アミロイドーシス
症状は通常、成人期に発症し、徐々に進行します。早期の症状としては手足のしびれや筋力低下から始まることが多く、進行すると心不全、胃腸管運動障害、自律神経障害などの重篤な症状が現れることがあります。家族歴がある場合は、症状出現前の段階でも検査を検討することが重要です。
ミネルバクリニックのTTR遺伝子検査の特徴
「TTR遺伝子検査」とは、トランスサイレチン関連遺伝性アミロイドーシスの原因となるTTR遺伝子に異常があるかどうかを調べる検査方法です。
従来の診断方法では、症状や家族歴から疑われた場合でも、確定診断までに組織生検や複数の検査が必要で、診断確定まで時間がかかることがありました。また、症状が出現してからの診断では、すでに不可逆的な臓器障害が進行している場合があります。
TTR遺伝子検査により、症状出現前や早期の段階で診断を確定できれば、適切な治療や経過観察を開始でき、疾患の進行抑制や症状改善に大きく貢献できます。ミネルバクリニックでは、TTRアミロイドーシスが疑われる患者さんや家族歴のある方に対して、迅速で正確な遺伝子検査を提供しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関でTTR遺伝子検査を行う場合、保険適用外となることが多く、数万円から数十万円の費用がかかることがあります。また、確定診断のために必要な組織生検や画像検査などを含めると、さらに高額になることがあります。
当院では、TTR遺伝子検査をリーズナブルな料金でご提供しています。(費用はページの一番下をご確認ください。)検査は海外の高品質な臨床検査機関で実施されており、厳格な品質管理のもとで正確な結果をお届けします。
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行えるTTR遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、検査可能な施設が限られているため、検査開始まで時間がかかる場合もあります。
当院で行う「TTR遺伝子検査」の場合、TTR遺伝子の変異を2~3週間程度で調べることが可能です。迅速な診断により、早期の治療開始や適切な経過観察を実現できます。
3.包括的な検査
TTR遺伝子の塩基配列解析に加えて、遺伝子の欠失・重複解析も実施可能です。これにより、点変異だけでなく、大きな遺伝子の構造異常も検出できるため、より包括的な診断が可能になります。
また、家族内での変異の有無を調べることで、発症前診断や遺伝カウンセリングにも活用できます。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
Duo/Trio解析:両親・兄弟姉妹との組み合わせ解析(別途相談)
出生前診断:妊娠中の診断(別途相談)
検査内容
「TTR遺伝子検査」では、トランスサイレチン関連遺伝性アミロイドーシスの原因となるTTR遺伝子の変異を検査します。この検査により、家族性アミロイドポリニューロパチー、家族性アミロイド心筋症、中枢神経系アミロイドーシスなど、TTRアミロイドーシスの様々な病型を評価できます。
「TTR遺伝子検査」は、TTRアミロイドーシスの遺伝的原因をお持ちの方を特定し、現在および将来的に活用できる重要な医学的情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【TTRアミロイドーシスの個人歴または家族歴のある方】に
「TTR遺伝子検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・筋力低下やしびれ、感覚障害がある方
・中枢神経系の症状(認知機能低下、運動失調など)がある方
・体内でのアミロイドタンパク質の蓄積が疑われる方
・心肥大や心不全の症状がある方
・胃腸管症状(消化不良、便秘、下痢など)が続く方
・TTRアミロイドーシスの家族歴がある方
・原因不明の多臓器症状がある方
・将来子どもを持つことを考えている方で、リスク評価を希望される方
このTTR遺伝子検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。体細胞モザイク現象や腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
TTR遺伝子検査により変異が判明すると、TTRアミロイドーシスの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、変異が判明した場合には、疾患修飾療法、症状管理のための支持療法、肝移植などの治療選択肢を検討できます。
TTR遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・TTRアミロイドーシスの確定診断
・タファミジス、パチシランなどの疾患修飾薬の適応判断
・症状管理のための支持療法の適用
・肝移植の適応評価
・疾患進行のモニタリング指針
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクも50%と高くなります。一部の家系では症状出現前からのスクリーニングが推奨される場合もあるため、家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
カバレッジ
カバレッジについての説明は別ページをご覧ください。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜ぬぐい液の場合は、遠方の方でもクリニックへお越しにならずに検査が可能です。(オンライン診療)
その場合は、オンライン診療(ビデオスルーでの診療のことをいいます)で遺伝カウンセリングをしたのち、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み220,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 筋力低下やしびれ、心肥大、胃腸管症状、中枢神経系の症状、原因不明の多臓器症状がある方におすすめします。また、TTRアミロイドーシスの家族歴がある場合は、症状がなくても検査をご検討ください。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 患者さんで病原性変異が見つかった場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクは50%になります。症状出現前の早期診断により適切な経過観察や予防的治療が可能になるため、ご家族の検査によりリスクを明らかにすることが重要です。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- 検査で病原性変異が検出されなくても、症状がある場合は他の原因のアミロイドーシスや別の疾患が関与している可能性があります。主治医と相談して、引き続き適切な検査や治療を受けることが重要です。
- TTRアミロイドーシスの治療法はありますか?
- 現在、タファミジス(ビンダケル)やパチシランなどの疾患修飾薬があり、疾患の進行を抑制できる可能性があります。また、症状に応じた支持療法や、進行例では肝移植も治療選択肢となります。早期診断により最適な治療を開始できます。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み220,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療選択肢、経過観察方針などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- TTRアミロイドーシスは50%の確率で親から子に受け継がれる可能性があります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- TTRアミロイドーシスは治る病気ですか?
- 現在のところ根治的な治療法はありませんが、早期診断により疾患修飾薬や支持療法を適切に使用することで、症状の進行を抑制し、生活の質を向上させることが可能です。肝移植により劇的な改善が得られる場合もあります。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では海外の高品質な臨床検査機関での検査により、迅速で正確な結果をリーズナブルな料金でご提供しています。また、包括的な遺伝カウンセリングにより、検査結果の解釈から今後の方針まで総合的にサポートいたします。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら