テロメア関連肺線維症遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック
テロメア関連肺線維症とは
テロメア関連肺線維症は、テロメアの短縮により引き起こされる遺伝性の肺線維症です。肺線維症とは、肺組織が損傷または瘢痕化することで、息切れ、乾いた咳、疲労感、筋肉痛などを引き起こす疾患です。
テロメアは染色体の末端部にある保護構造で、細胞分裂のたびに短くなります。テロメラーゼという酵素がテロメアの長さを維持していますが、TERT遺伝子やTERC遺伝子に病的変異があると、テロメラーゼ複合体が正常に機能せず、テロメアが過度に短縮します。短縮したテロメアは、肺線維症をはじめ、皮膚、毛髪、爪の異常など、多様な症状を引き起こします。
家族性肺線維症(家族内で2人以上が肺線維症を発症する場合)の約25%、孤発性肺線維症の約3%に、TERT遺伝子またはTERC遺伝子の病的変異が認められます。肺線維症による肺の損傷は元に戻すことができませんが、治療薬や療法により生活の質を改善し、疾患を管理することが可能です。一部の重症例では肺移植が推奨されることもあります。
症状と病態
テロメア関連肺線維症の主な症状は、進行性の呼吸機能低下です。テロメアの短縮により肺胞上皮細胞が正常に再生できなくなり、肺組織の線維化が進行します。
主要症状
- 息切れ(特に労作時)
- 乾いた咳(痰を伴わない咳)
- 疲労感、倦怠感
- 筋肉痛
- 体重減少
- ばち指(指の先端が太鼓のばちのように膨らむ)
- 呼吸音の異常(捻髪音、ベルクロラ音)
肺以外の症状
テロメア関連疾患では、肺線維症以外にも様々な症状が現れることがあります:
- 皮膚の異常:色素沈着異常、網状の色素変化
- 爪の異常:爪ジストロフィー、爪の変形
- 毛髪の異常:若年性白髪、脱毛
- 血液異常:骨髄不全、血球減少症(貧血、血小板減少、白血球減少)
- 肝臓異常:肝線維症、肝硬変
- 消化器症状:食道狭窄、胃食道逆流症
疾患の進行
テロメア関連肺線維症の進行速度は個人差が大きいですが、多くの場合、発症は緩徐で、数ヶ月から数年かけて症状が悪化していきます。検診で偶然発見される無症状の段階もありますが、進行すると呼吸不全、肺性心(右心不全)、末梢性浮腫などを引き起こします。
特に注意が必要なのは急性増悪で、急速に呼吸不全が進行する状態です。感染症、誤嚥、手術などが引き金となることがありますが、明らかな誘因がなく発症する場合もあります。
遺伝形式と原因遺伝子
テロメア関連肺線維症は主に常染色体優性(顕性)遺伝の形式をとりますが、浸透率は低く、同じ病的変異を持っていても必ずしも発症するとは限りません。また、発症年齢や症状の重症度も個人によって大きく異なります。
TERT遺伝子とTERC遺伝子
テロメア関連肺線維症の主な原因遺伝子は以下の2つです:
- TERT遺伝子(Telomerase Reverse Transcriptase):テロメラーゼの触媒サブユニットである逆転写酵素をコードする遺伝子です。この遺伝子の変異により、テロメラーゼの酵素活性が低下します。家族性肺線維症の約15%、孤発性特発性肺線維症の約1-3%にTERT遺伝子変異が認められます。
- TERC遺伝子(Telomerase RNA Component):テロメラーゼのRNA鋳型成分をコードする遺伝子です。この遺伝子の変異により、テロメラーゼ複合体が正常に機能しなくなります。家族性肺線維症の約3-5%にTERC遺伝子変異が認められます。
テロメア短縮のメカニズム
正常な細胞では、テロメラーゼがテロメアの長さを維持していますが、TERT遺伝子やTERC遺伝子に病的変異があると、テロメラーゼの機能が低下します。その結果、細胞分裂のたびにテロメアが過度に短縮し、細胞が正常に分裂・再生できなくなります。
特に、細胞の入れ替わりが活発な組織(肺胞上皮、骨髄、肝臓、皮膚など)では、テロメア短縮の影響が顕著に現れます。肺胞上皮細胞が正常に再生できなくなると、損傷した肺組織が線維化し、肺線維症が発症します。
遺伝カウンセリングの重要性
テロメア関連肺線維症は常染色体優性遺伝形式をとるため、病的変異を持つ親から子どもへ変異が伝わる確率は50%です。ただし、浸透率が不完全であるため、変異を持っていても発症しない場合もあります。家族内での発症リスクを評価し、適切な管理や家族計画のために、遺伝カウンセリングが重要です。
ミネルバクリニックのテロメア関連肺線維症遺伝子パネル検査の特徴
「テロメア関連肺線維症 NGSパネル検査」とは、テロメア関連肺線維症の原因として報告されている2つの遺伝子(TERT、TERC)に病的変異があるかどうかを調べる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、テロメア関連肺線維症に関連する2遺伝子を一度に調べられる「テロメア関連肺線維症 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関でテロメア関連肺線維症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、テロメア関連肺線維症に関係するとされる2つの遺伝子(TERT、TERC)を一度に調べられる「テロメア関連肺線維症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行えるテロメア関連肺線維症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「テロメア関連肺線維症 NGSパネル検査」の場合、2つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状からテロメア関連肺線維症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「テロメア関連肺線維症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な2つの原因遺伝子(TERT、TERC)を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「テロメア関連肺線維症 NGSパネル検査」では、テロメア関連肺線維症に関係するとされる2種類の遺伝子(TERT、TERC)をまとめて検査します。
「テロメア関連肺線維症 NGSパネル検査」は、テロメア関連肺線維症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【テロメア関連肺線維症または家族性肺線維症、特発性肺線維症の個人歴または家族歴のある方】に
「テロメア関連肺線維症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・家族性肺線維症(家族内に2人以上の肺線維症患者がいる)の方
・特発性肺線維症と診断された方
・進行性の息切れ(特に労作時)がある方
・乾いた咳が続く方
・原因不明の肺線維症の方
・若年発症の肺線維症の方(50歳未満)
・肺線維症に加えて、皮膚・爪・毛髪の異常がある方
・肺線維症に加えて、血球減少症(貧血、血小板減少、白血球減少)がある方
・肺線維症に加えて、肝機能異常がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、テロメア関連肺線維症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な治療介入、定期的なモニタリング、合併症の早期発見を行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・特発性肺線維症や他の間質性肺疾患との鑑別
・抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)の適応判断
・酸素療法の適応判断とタイミング
・肺移植の適応評価と準備
・血液異常(骨髄不全、血球減少症)のリスク評価と管理
・肝臓異常(肝線維症、肝硬変)のリスク評価と管理
・感染症予防策の立案
・急性増悪のリスク評価と予防策
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体優性遺伝形式のため、子どもが変異を受け継ぐリスクは50%です。ただし、浸透率が不完全であるため、変異を持っていても必ずしも発症するとは限りません。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
-
TERC, TERT ( 2遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・TERC遺伝子(Telomerase RNA Component):
テロメラーゼのRNA鋳型成分をコードする遺伝子。テロメラーゼは、テロメア配列の鋳型となるRNAと逆転写酵素、その他の制御サブユニットからなる複合体です。TERC遺伝子はこのRNA成分をコードしており、ヒトでは451塩基長のRNAとなります。この遺伝子の変異により、テロメラーゼ複合体が正常に機能せず、テロメアの維持ができなくなります。家族性肺線維症の約3-5%にTERC遺伝子変異が認められます。
・TERT遺伝子(Telomerase Reverse Transcriptase):
テロメラーゼの触媒サブユニットである逆転写酵素をコードする遺伝子。TERTは、TERC遺伝子がコードするRNA鋳型を用いて、テロメア配列を合成する逆転写酵素活性を持ちます。この遺伝子の変異により、テロメラーゼの酵素活性が低下し、テロメアが過度に短縮します。家族性肺線維症の約15%、孤発性特発性肺線維症の約1-3%にTERT遺伝子変異が認められます。TERT遺伝子とTERC遺伝子を合わせると、家族性肺線維症全体の約15-25%、孤発性特発性肺線維症の約3%程度を占めると推定されています。
テロメアとテロメラーゼの機能:
テロメアは染色体の末端部にある特殊な構造で、染色体を保護する役割を持ちます。細胞分裂のたびにテロメアは短くなりますが、テロメラーゼがテロメアを伸長させることで、細胞の分裂能力を維持しています。ヒトの体細胞ではテロメラーゼ活性が低いか欠如しているため、細胞分裂のたびにテロメアが短縮し、一定の長さ以下になると細胞老化が起こります。生殖細胞や幹細胞、がん細胞ではテロメラーゼ活性が高く、細胞分裂を継続できます。
テロメア短縮と疾患の関係:
テロメアが過度に短縮すると、細胞が正常に分裂・再生できなくなり、様々な疾患が発症します。特に細胞の入れ替わりが活発な組織(肺胞上皮、骨髄、肝臓、皮膚など)では、テロメア短縮の影響が顕著に現れます。肺線維症のほか、骨髄不全(再生不良性貧血、骨髄異形成症候群)、肝硬変、皮膚の色素異常、早期白髪などが知られています。これらの症状が複数組み合わさって現れる場合、テロメア病(telomeropathy)と総称されることもあります。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、TERT遺伝子とTERC遺伝子のみを対象としています。家族性肺線維症の約75-85%、孤発性特発性肺線維症の約97%では、これらの遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、テロメア関連肺線維症以外の原因による肺線維症の可能性も考慮する必要があります。
※TERC遺伝子のプロモーター領域(調節領域)の変異については、本検査では検出できない場合があります。必要に応じて、サンガーシーケンスによる追加検査が推奨されることがあります。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 進行性の息切れ(特に労作時)や乾いた咳が続く方、家族内に肺線維症の患者さんがいる方(家族性肺線維症)、若年発症の肺線維症の方、肺線維症に加えて皮膚・爪・毛髪の異常や血球減少症がある方などが検査の対象となります。特に家族性肺線維症の約25%にTERT遺伝子またはTERC遺伝子の病的変異が認められるため、家族歴がある場合は検査をご検討ください。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 特発性肺線維症との違いは何ですか?
- 特発性肺線維症は原因不明の肺線維症の総称で、その中の一部がテロメア関連肺線維症です。孤発性特発性肺線維症の約3%にTERT遺伝子またはTERC遺伝子の病的変異が認められます。遺伝子検査により原因を特定することで、より正確な診断と適切な管理が可能になります。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- テロメア関連肺線維症は常染色体優性遺伝形式をとるため、病的変異を持つ親から子どもへ変異が伝わる確率は50%です。ただし、浸透率が不完全であるため、変異を持っていても発症しない場合もあります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- 家族性肺線維症の約75-85%、孤発性特発性肺線維症の約97%では、TERT遺伝子やTERC遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。他のテロメア関連遺伝子や、サーファクタント代謝関連遺伝子など、他の原因の可能性もあります。臨床症状と画像検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- テロメア関連肺線維症は治りますか?
- 残念ながら、肺線維症による肺の損傷は元に戻すことができません。しかし、抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)により線維化の進行を遅らせることができます。また、酸素療法、呼吸リハビリテーション、栄養療法、誤嚥性肺炎の予防などにより、生活の質を改善し、症状を管理することが可能です。重症例では肺移植が検討されます。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- テロメア関連肺線維症は常染色体優性遺伝形式をとるため、病的変異を持つ親から子どもへ変異が伝わる確率は50%です。ただし、浸透率が不完全であるため、変異を持っていても必ずしも発症するとは限りません。また、発症年齢や症状の重症度も個人によって大きく異なります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- テロメアの長さを測定する検査もありますか?
- 当院では、テロメアの長さを測定する検査も別途ご提供しています。テロメア長測定は、遺伝子検査とは異なる情報を提供します。TERT遺伝子やTERC遺伝子に病的変異がある場合、テロメアが短縮している可能性が高いため、テロメア長測定を併用することで、より包括的な評価が可能になります。詳しくは遺伝カウンセリングにてご相談ください。
- 肺線維症以外の症状も現れますか?
- テロメア関連疾患では、肺線維症以外にも、骨髄不全(再生不良性貧血、骨髄異形成症候群など)、肝硬変、皮膚の色素異常、早期白髪、爪の変形などが現れることがあります。これらの症状が複数組み合わさって現れる場合、テロメア病(telomeropathy)と総称されます。遺伝子検査により原因が特定されると、これらの合併症のリスク評価と早期発見・管理が可能になります。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な2つの原因遺伝子(TERT、TERC)を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら