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症候性難聴NGS遺伝子検査(92遺伝子パネル)|ミネルバクリニック

症候性難聴NGS遺伝子検査(92遺伝子パネル)|ミネルバクリニック

症候性難聴とは

症候性難聴(Syndromic Hearing Loss)は、難聴が他の臓器や器官の異常を伴う遺伝性疾患の総称です。難聴のみを症状とする非症候性難聴とは異なり、眼、腎臓、心臓、骨格系、皮膚、甲状腺など、様々な器官の症状を合併することが特徴です。

遺伝性難聴全体の約30%が症候性難聴に該当し、現在までに400以上の症候性難聴が報告されています。遺伝形式は常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝のいずれの形式もあり、疾患によって臨床症状や重症度が大きく異なります。

症候性難聴の早期診断は、難聴への対応だけでなく、合併する他臓器の症状に対する適切な管理や予防的治療を可能にします。特に腎機能障害や心機能異常など生命に関わる合併症を伴う疾患では、遺伝子診断による早期発見が患者さんの予後を大きく改善します。

主な症候性難聴の種類

症候性難聴には多様な疾患が含まれますが、ここでは代表的な疾患について説明します。

アッシャー症候群(Usher Syndrome)

アッシャー症候群は、難聴と網膜色素変性症を特徴とする常染色体劣性遺伝疾患です。難聴は先天性が多く、その程度は中等度から重度が多くを占めます。網膜色素変性は遅発性に発症し、徐々に視野狭窄が進行して社会的失明に至ることがあります。

  • 1型:先天性重度難聴、前庭機能障害による歩行開始遅延、思春期に網膜色素変性発症
  • 2型:先天性中等度難聴、前庭機能は正常、成人期に網膜色素変性発症
  • 3型:進行性難聴、網膜色素変性の発症時期は多様

ペンドレッド症候群(Pendred Syndrome)

ペンドレッド症候群は、先天性難聴と甲状腺腫を合併する常染色体劣性遺伝疾患です。約80%の症例で内耳に前庭水管拡大という奇形を認め、蝸牛にモンディーニ型奇形を認める場合も多くあります。難聴は先天性が多いですが、一部の症例では小児期に発症します。甲状腺腫は10歳以降に発症することが多く、甲状腺機能は正常の症例が多いものの、一部では甲状腺機能低下を認めます。

アルポート症候群(Alport Syndrome)

アルポート症候群は、慢性腎炎、感音性難聴、眼症状を三主徴とする遺伝性疾患です。最も多いのはCOL4A5遺伝子の異常によるX染色体連鎖型で、この場合男性患者では女性患者に比べて明らかに重症となります。幼少期には血尿のみですが、年齢とともに蛋白尿が出現し、20~30歳代で腎不全に至ることがあります。難聴は高音領域で著明で、腎障害の進行とともに進行します。眼症状として、水晶体異常や白内障を伴うことがあります。

ワーデンブルグ症候群(Waardenburg Syndrome)

ワーデンブルグ症候群は、難聴と色素異常を特徴とする常染色体優性遺伝疾患です。特徴的な顔貌(内眼角開離、眉毛の癒合、広い鼻根部)、虹彩の色素異常(虹彩異色症)、前頭部白髪などの色素異常を伴います。難聴は感音性で、片側性または両側性に認められます。

トリーチャー・コリンズ症候群(Treacher Collins Syndrome)

トリーチャー・コリンズ症候群は、特徴的な顔面骨の低形成と伝音性難聴を特徴とする常染色体優性遺伝疾患です。頬骨・下顎骨の低形成、下方に傾斜した瞼裂、下眼瞼の欠損、外耳の奇形などを認めます。外耳道閉鎖や耳小骨の奇形により伝音性難聴を呈します。

スティックラー症候群(Stickler Syndrome)

スティックラー症候群は、感音性難聴、眼症状(近視、網膜剥離、白内障)、関節症状(関節過伸展、早期変形性関節症)を特徴とする常染色体優性遺伝疾患です。特徴的な顔貌(扁平な顔面、小顎)、口蓋裂を伴うこともあります。

ジャーベル・ランゲニールセン症候群(Jervell and Lange-Nielsen Syndrome)

ジャーベル・ランゲニールセン症候群は、先天性重度難聴とQT延長症候群を特徴とする常染色体劣性遺伝疾患です。QT延長症候群により、失神発作や突然死のリスクがあります。心電図検査による早期診断と適切な管理が重要です。

BOR症候群(Branchio-Oto-Renal Syndrome)

BOR症候群は、鰓弓由来の異常(耳介奇形、耳瘻孔、頸部瘻孔)、難聴、腎奇形を特徴とする常染色体優性遺伝疾患です。難聴は伝音性、感音性、混合性のいずれもあり、程度も多様です。腎奇形は軽度のものから腎不全に至る重症例まで様々です。

遺伝形式と原因遺伝子

症候性難聴は遺伝学的に非常に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝、さらにミトコンドリア遺伝のいずれの形式でも発症します。現在までに100以上の原因遺伝子が同定されています。

常染色体優性(顕性)遺伝形式

変異した遺伝子を1つだけ持っていても発症する遺伝形式です。親から子への伝わる確率は50%です。

  • ワーデンブルグ症候群:PAX3、MITF、EDN3、EDNRB、SOX10、SNAI2遺伝子など
  • トリーチャー・コリンズ症候群:TCOF1、POLR1C、POLR1D遺伝子
  • スティックラー症候群:COL2A1、COL11A1、COL11A2、COL9A1、COL9A2、COL9A3遺伝子
  • BOR症候群:EYA1、SIX1、SIX5遺伝子
  • 神経線維腫症2型:NF2遺伝子

常染色体劣性(潜性)遺伝形式

両親がそれぞれ変異した遺伝子を1つずつ持っている場合(保因者)、その子どもが両方の変異遺伝子を受け継ぐと発症します。発症リスクは25%です。

  • アッシャー症候群:MYO7A、USH1C、CDH23、PCDH15、USH1G、USH2A、ADGRV1、WHRN、CLRN1、PDZD7遺伝子など
  • ペンドレッド症候群:SLC26A4、FOXI1遺伝子
  • ジャーベル・ランゲニールセン症候群:KCNQ1、KCNE1遺伝子
  • レフサム病:PHYH、PEX7遺伝子
  • バイオチニダーゼ欠損症:BTD遺伝子

X連鎖遺伝形式

X染色体上の遺伝子変異により発症します。男性は1つのX染色体しか持たないため、変異があると発症しやすく、女性は2つのX染色体を持つため保因者となることが多いです。

  • アルポート症候群:COL4A5遺伝子
  • Mohr-Tranebjaerg症候群:TIMM8A遺伝子

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な92遺伝子を対象としています。これにより、症候性難聴の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックの症候性難聴遺伝子パネル検査の特徴

「症候性難聴 NGSパネル検査」とは、現在症候性難聴の原因として報告されている92の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、症候性難聴に関連する92遺伝子を一度に調べられる「症候性難聴 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で症候性難聴の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、症候性難聴に関係するとされる92の遺伝子を一度に調べられる「症候性難聴 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える症候性難聴の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「症候性難聴 NGSパネル検査」の場合、92の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から症候性難聴を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「症候性難聴 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な92の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「症候性難聴 NGSパネル検査」では、症候性難聴に関係するとされる92種類の遺伝子をまとめて検査します。

「症候性難聴 NGSパネル検査」は、症候性難聴の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【症候性難聴の個人歴または家族歴のある方】に
「症候性難聴 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・難聴があり、他の臓器の症状も合併している方
・難聴と視力障害がある方(アッシャー症候群などの可能性)
・難聴と甲状腺腫がある方(ペンドレッド症候群の可能性)
・難聴と腎機能障害がある方(アルポート症候群の可能性)
・難聴と色素異常(前頭部白髪、虹彩異色症など)がある方(ワーデンブルグ症候群の可能性)
・難聴と特徴的な顔貌がある方(トリーチャー・コリンズ症候群などの可能性)
・難聴と心電図異常(QT延長)がある方(ジャーベル・ランゲニールセン症候群の可能性)
・難聴と耳瘻孔や腎奇形がある方(BOR症候群の可能性)
・症候性難聴の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、症候性難聴の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、難聴への対応だけでなく、合併する他臓器の症状に対する適切な管理や予防的治療を行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・合併症の早期発見と予防的管理(腎機能障害、心機能異常、視力障害など)
・難聴に対する適切な介入(補聴器、人工内耳など)
・眼科的管理(網膜色素変性、水晶体異常など)
・腎機能のモニタリングと治療
・心電図モニタリングと不整脈の管理
・甲状腺機能のモニタリングと治療
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABHD12, ACTB, ACTG1, ADGRV1, AIFM1, ALMS1, AMMECR1, ANKH, ATP6V1B1, BCS1L, BSND, BTD, CACNA1D, CD151, CDH23, CDKN1C, CEP78, CHD7, CHSY1, CIB2, CISD2, CLPP, CLRN1, COL11A1, COL11A2, COL2A1, COL4A3, COL4A4, COL4A5, COL4A6, COL9A1, COL9A2, COL9A3, DLX5, EDN3, EDNRB, EYA1, FGF3, FGFR1, FGFR2, FOXI1, GATA3, HARS, HARS2, HOXB1, HSD17B4, KCNE1, KCNJ10, KCNQ1, LARS2, LHX3, LRP2, MANBA, MITF, MYH9, MYO7A, NDP, NF2, NLRP3, OPA1, PAX3, PCDH15, PDZD7, PEX1, PEX6, PMP22, POLR1C, POLR1D, SEMA3E, SIX1, SIX5, SLC19A2, SLC26A4, SLC4A11, SLC52A2, SLC52A3, SLITRK6, SMAD4, SNAI2, SOX10, TBX1, TCOF1, TFAP2A, TIMM8A, TRMU, TWNK, TYR, USH1C, USH1G, USH2A, WFS1, WHRN ( 92遺伝子 )

主要な遺伝子の詳細:

アッシャー症候群関連遺伝子:
MYO7A、USH1C、CDH23、PCDH15、USH1G、USH2A、ADGRV1、WHRN、CLRN1、PDZD7遺伝子など。これらの遺伝子は内耳の有毛細胞や網膜の光受容細胞の機能に重要な役割を果たしています。

ペンドレッド症候群関連遺伝子:
SLC26A4遺伝子:ペンドリンというヨウ素輸送体をコードし、内耳と甲状腺の機能に重要です。FOXI1遺伝子:SLC26A4の発現調節に関与します。

アルポート症候群関連遺伝子:
COL4A3、COL4A4、COL4A5、COL4A6遺伝子:IV型コラーゲンをコードし、腎臓の糸球体基底膜、内耳、眼の構造に重要な役割を果たします。

ワーデンブルグ症候群関連遺伝子:
PAX3、MITF、EDN3、EDNRB、SOX10、SNAI2遺伝子:神経堤細胞の発生や色素細胞の分化に関与します。

トリーチャー・コリンズ症候群関連遺伝子:
TCOF1、POLR1C、POLR1D遺伝子:リボソームRNA合成に関与し、神経堤細胞の発生に重要です。

スティックラー症候群関連遺伝子:
COL2A1、COL11A1、COL11A2、COL9A1、COL9A2、COL9A3遺伝子:II型、IX型、XI型コラーゲンをコードし、軟骨や硝子体の構造に重要です。

ジャーベル・ランゲニールセン症候群関連遺伝子:
KCNQ1、KCNE1遺伝子:カリウムチャネルをコードし、心臓と内耳の機能に重要です。

BOR症候群関連遺伝子:
EYA1、SIX1、SIX5遺伝子:耳、鰓弓、腎臓の発生に重要な転写因子です。

神経線維腫症2型関連遺伝子:
NF2遺伝子:メルリンという腫瘍抑制タンパク質をコードし、聴神経腫瘍の原因となります。

CHARGE症候群関連遺伝子:
CHD7遺伝子:クロマチンリモデリングに関与し、多臓器の発生異常を引き起こします。

その他の重要な遺伝子:
GATA3遺伝子:HDR症候群(難聴、糖尿病、腎臓異常)の原因。
WFS1遺伝子:ウォルフラム症候群(難聴、糖尿病、視神経萎縮)の原因。
TIMM8A遺伝子:Mohr-Tranebjaerg症候群(難聴、ジストニア、視神経萎縮)の原因。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、92の原因遺伝子のみを対象としています。400以上の症候性難聴が知られており、検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、原因遺伝子が未同定の症候性難聴も存在します。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
難聴に加えて、視力障害、腎機能障害、心電図異常、色素異常、特徴的な顔貌、甲状腺腫などの症状がある方におすすめします。特に、アッシャー症候群(難聴+網膜色素変性)、ペンドレッド症候群(難聴+甲状腺腫)、アルポート症候群(難聴+腎機能障害)などが疑われる場合は、早期診断が重要です。また、家族に同様の症状がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
非症候性難聴との違いは何ですか?
非症候性難聴は難聴のみを症状とする疾患ですが、症候性難聴は難聴に加えて他の臓器の症状を伴います。症候性難聴の場合、難聴への対応だけでなく、合併する他臓器の症状(腎機能障害、心機能異常、視力障害など)に対する適切な管理が必要です。遺伝子検査により原因を特定することで、将来起こりうる合併症を予測し、予防的な管理を行うことができます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。特に腎機能障害や心機能異常を伴う疾患では、ご家族の検査により早期発見・早期治療が可能になります。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
400以上の症候性難聴が知られており、当検査パネルでは主要な92遺伝子を対象としていますが、すべての原因を網羅しているわけではありません。また、原因遺伝子が未同定の症候性難聴も存在します。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。特に合併症のリスクや予防的管理について、詳しくご説明いたします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
症候性難聴の治療はどのように行われますか?
疾患によって治療・管理方法が異なります。難聴に対しては補聴器や人工内耳による聴覚補償、視力障害に対しては眼科的管理、腎機能障害に対しては腎保護療法や透析、心機能異常に対してはペースメーカーや抗不整脈薬などが行われます。遺伝子診断により疾患を特定することで、適切な治療・管理方針を立てることができます。
予後はどうですか?
疾患によって予後は大きく異なります。アッシャー症候群では進行性の視力障害、アルポート症候群では腎不全、ジャーベル・ランゲニールセン症候群では突然死のリスクなど、生命予後や生活の質に大きく影響する疾患もあります。早期診断と適切な管理により、合併症を予防または遅らせることが可能です。
定期的な検査は必要ですか?
疾患によって必要な定期検査が異なります。アッシャー症候群では定期的な眼科検査、アルポート症候群では腎機能検査、ジャーベル・ランゲニールセン症候群では心電図検査などが必要です。遺伝子診断により疾患を特定することで、必要な定期検査の計画を立てることができます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な92の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら