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ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック

ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック

ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群とは

ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(Steroid-Resistant Nephrotic Syndrome: SRNS)は、糸球体の濾過機能が障害を受け、結果的に高度蛋白尿、低アルブミン血症、脂質異常、浮腫を呈する腎疾患です。小児における特発性ネフローゼ症候群の大部分はステロイド反応性ですが、10~20%の症例はステロイド治療を4週間行っても蛋白尿が消失しないステロイド抵抗性を示します。

小児期発症のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の67~73%の症例は病理学的に巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)を示し、高い確率で腎不全へと進行すると言われています。治療に反応せずネフローゼ状態が持続する場合には、10年で30~40%が腎不全に進行します。

ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群は、臨床的にも遺伝学的にも多様性が高い疾患群です。約30%の症例では遺伝子変異が原因となっており、糸球体の濾過機能を担う足細胞(ポドサイト)の構造蛋白やシグナル伝達に関わる遺伝子の変異が同定されています。有病率は小児ネフローゼ症候群全体の10~20%程度と推定されています。

症状と病態

ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の主な症状は、ステロイド治療にもかかわらず持続する高度蛋白尿とそれに伴う低アルブミン血症、浮腫です。初発時からステロイド抵抗性の場合もありますが、何回目かの再発時に抵抗性になる場合もあります。

主要症状

  • 高度蛋白尿(夜間蓄尿で40mg/hr/m²以上または早朝尿で尿蛋白クレアチニン比2.0g/gCr以上)
  • 低アルブミン血症(血清アルブミン2.5g/dL以下)
  • 全身性浮腫(顔面、四肢、腹部の浮腫)
  • 脂質異常(高コレステロール血症)
  • 体重増加
  • 尿量減少
  • 易感染性(免疫抑制療法による)

病理所見

ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の病理学的特徴は、腎生検により以下のような所見が認められます:

  • 巣状分節性糸球体硬化症(FSGS):最も頻度の高い病理所見で、67~73%の症例で認められます。糸球体の一部に硬化性病変が見られます
  • 微小変化型ネフローゼ症候群:光学顕微鏡では異常が認められず、電子顕微鏡で足細胞の足突起消失が観察されます
  • びまん性メサンギウム硬化症:稀ですが、重症型で認められることがあります
  • 足細胞の構造異常:電子顕微鏡で足突起の消失、スリット膜の異常などが観察されます

合併症と予後

ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群では、以下のような合併症のリスクがあります:

  • 感染症:低アルブミン血症と免疫抑制療法により、細菌性腹膜炎などの感染症リスクが高まります
  • 血栓症:凝固亢進状態により、深部静脈血栓症や肺塞栓症のリスクがあります
  • 腎不全への進行:抵抗性が10年以上続いた場合、約50%が腎不全(透析を必要とする)になると報告されています
  • 成長障害:小児では長期のステロイド投与や免疫抑制薬の使用により、成長障害が生じることがあります
  • 骨粗鬆症:長期のステロイド使用により骨密度低下が起こります

進行と予後

疾患の予後は原因遺伝子や治療反応性によって大きく異なります。免疫抑制薬などの併用により寛解に導入できた場合は腎予後が比較的良好ですが、治療に反応せずネフローゼ状態が持続する場合は、10年で30~40%が腎不全に進行します。早期の遺伝子診断により、適切な治療方針の決定と家族へのカウンセリングが可能になります。

遺伝形式と原因遺伝子

ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群は遺伝学的に非常に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝のいずれの形式でも発症します。約30%の症例で遺伝子変異が同定されており、現在までに50以上の原因遺伝子が報告されていますが、約70%の症例では遺伝学的原因が未だ特定されていません。

常染色体劣性(潜性)遺伝形式

最も頻度の高い遺伝形式で、早期発症・重症型が多い傾向があります:

  • NPHS1遺伝子(ネフリン):スリット膜の主要構成蛋白をコードし、先天性ネフローゼ症候群のフィンランド型の原因遺伝子として同定されました。生後間もなく発症する重症型が多いですが、小児期や成人発症例も報告されています
  • NPHS2遺伝子(ポドシン):小児期発症のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群で最も頻度の高い原因遺伝子です。生後3ヶ月から6歳の間に発症することが多く、ステロイドや免疫抑制薬に反応しません
  • LAMB2遺伝子:糸球体基底膜のラミニンβ2鎖をコードし、ピアソン症候群(眼異常を伴う)の原因となります
  • PLCE1遺伝子:ホスホリパーゼCε1をコードし、早期発症型ネフローゼ症候群の原因となります
  • CD2AP遺伝子:CD2関連蛋白をコードし、スリット膜とアクチン細胞骨格を繋ぐ役割を果たします
  • SCARB2遺伝子:リソソーム膜蛋白をコードし、アクションミオクローヌス腎不全症候群の原因となります
  • COQ2、PDSS2遺伝子:ミトコンドリアのコエンザイムQ10合成に関わる酵素をコードします

常染色体優性(顕性)遺伝形式

比較的稀ですが、思春期から成人期に発症することが多い遺伝形式です:

  • ACTN4遺伝子(α-アクチニン4):アクチン架橋蛋白をコードし、足細胞の細胞骨格を安定化させます。変異により蛋白尿が出現し、成人期に慢性腎不全へ進行します
  • TRPC6遺伝子:カルシウムチャネルをコードし、変異により機能亢進型となります。通常、非ネフローゼ域の蛋白尿で発症し、徐々に腎機能が低下します
  • INF2遺伝子:細胞骨格の再構成に関与するフォーミンファミリーのメンバーをコードし、家族性FSGSの最も頻度の高い原因遺伝子です(最大17%)

その他の原因遺伝子

  • WT1遺伝子:転写因子をコードし、変異によりデニス・ドラッシュ症候群やフレイジャー症候群などの症候群性ネフローゼ症候群を引き起こします
  • LMX1B遺伝子:転写因子をコードし、爪膝蓋骨症候群の原因となります
  • SMARCAL1遺伝子:DNA修復に関与する遺伝子で、免疫不全を伴うシンメル・ライトシュナイダー症候群の原因となります

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な14遺伝子を対象としています。これにより、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックのステロイド抵抗性ネフローゼ症候群遺伝子パネル検査の特徴

「ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 NGSパネル検査」とは、現在ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の原因として報告されている14の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群に関連する14遺伝子を一度に調べられる「ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群に関係するとされる14の遺伝子を一度に調べられる「ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 NGSパネル検査」の場合、14の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からステロイド抵抗性ネフローゼ症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な14の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 NGSパネル検査」では、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群に関係するとされる14種類の遺伝子(ACTN4、CD2AP、COQ2、INF2、LAMB2、LMX1B、NPHS1、NPHS2、PDSS2、PLCE1、SCARB2、SMARCAL1、TRPC6、WT1)をまとめて検査します。

「ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 NGSパネル検査」は、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・4週間のステロイド治療にもかかわらず蛋白尿が消失しない方
・高度蛋白尿(夜間蓄尿で40mg/hr/m²以上または早朝尿で尿蛋白クレアチニン比2.0g/gCr以上)がある方
・低アルブミン血症(血清アルブミン2.5g/dL以下)がある方
・全身性浮腫(顔面、四肢、腹部の浮腫)がある方
・腎生検で巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)と診断された方
・先天性ネフローゼ症候群と診断された方
・免疫抑制薬に反応しない難治性ネフローゼ症候群の方
・ネフローゼ症候群の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な免疫抑制療法、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・ステロイド感受性ネフローゼ症候群や他の腎疾患との鑑別
・遺伝子型に応じた個別化医療の実施
・免疫抑制薬の適切な選択と使用回避(遺伝性の場合は免疫抑制薬の効果が期待できない)
・腎移植後の再発リスクの評価
・腎不全への進行リスクの評価と管理
・合併症(感染症、血栓症など)の早期発見と予防
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ACTN4, CD2AP, COQ2, INF2, LAMB2, LMX1B, NPHS1, NPHS2, PDSS2, PLCE1, SCARB2, SMARCAL1, TRPC6, WT1 ( 14遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・ACTN4遺伝子:
α-アクチニン4をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、アクチン架橋蛋白として足細胞の細胞骨格を安定化させます。変異によりアクチン結合能が亢進し、細胞骨格の生物物理学的特性が変化します。成人期に蛋白尿が出現し、慢性腎不全へ進行します。

・CD2AP遺伝子:
CD2関連蛋白をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、スリット膜とアクチン細胞骨格を繋ぐアダプター蛋白として機能します。小児期発症のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の原因となります。

・COQ2遺伝子:
コエンザイムQ2(4-ヒドロキシ安息香酸ポリプレニルトランスフェラーゼ)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、ミトコンドリアにおけるコエンザイムQ10(CoQ10)の生合成に必須の酵素です。変異により早期発症型ネフローゼ症候群と神経症状を呈することがあります。

・INF2遺伝子:
逆転フォーミン2をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、成人発症の家族性FSGSの最も頻度の高い原因遺伝子(最大17%)です。アクチンと微小管の細胞骨格の再構成に関与するジアファナス関連フォーミンファミリーのメンバーです。

・LAMB2遺伝子:
ラミニンβ2鎖をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、糸球体基底膜の主要構成成分です。変異によりピアソン症候群(先天性ネフローゼ症候群、眼異常、神経発達遅滞を特徴とする)を引き起こします。

・LMX1B遺伝子:
LIMホメオボックス転写因子1βをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、爪膝蓋骨症候群(爪異形成、膝蓋骨形成不全、腎疾患を特徴とする)の原因となります。足細胞の発生と分化に重要な役割を果たします。

・NPHS1遺伝子:
ネフリンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、スリット膜の主要構成蛋白として糸球体濾過バリアの中心的役割を果たします。先天性ネフローゼ症候群のフィンランド型の原因遺伝子として最初に同定されました。生後間もなく発症する重症型が多いですが、小児期や成人発症例も報告されています。200以上の病的変異が同定されています。

・NPHS2遺伝子:
ポドシンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、スリット膜の構成成分として機能します。小児期発症のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群で最も頻度の高い原因遺伝子です。生後3ヶ月から6歳の間に発症することが多く、ステロイドや免疫抑制薬に反応しません。腎移植後の再発リスクは低いことが知られています。

・PDSS2遺伝子:
プレニルジホスフェート合成酵素サブユニット2をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、ミトコンドリアにおけるコエンザイムQ10の生合成に関与します。変異により早期発症型ネフローゼ症候群を引き起こします。

・PLCE1遺伝子:
ホスホリパーゼCε1をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、細胞内シグナル伝達に関与します。早期発症型ネフローゼ症候群の原因となり、びまん性メサンギウム硬化症を呈することがあります。

・SCARB2遺伝子:
スカベンジャー受容体クラスBメンバー2(リソソーム統合膜蛋白2、LIMP-2)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、アクションミオクローヌス腎不全症候群(進行性ミオクローヌスてんかんとネフローゼ症候群を特徴とする)の原因となります。

・SMARCAL1遺伝子:
SWI/SNF関連マトリックス関連アクチン依存性クロマチン調節因子サブファミリーAライク1をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、DNA修復とクロマチンリモデリングに関与します。シンメル・ライトシュナイダー症候群(免疫不全、腎疾患、骨異常を特徴とする)の原因となります。

・TRPC6遺伝子:
一過性受容体電位カチオンチャネル6をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、カルシウム透過性陽イオンチャネルとして機能します。変異により機能亢進型となり、チャネル活性が増加します。家族性FSGSの約6%、孤発性FSGSの約2%の原因となります。通常、非ネフローゼ域の蛋白尿で発症し、徐々に腎機能が低下します。

・WT1遺伝子:
ウィルムス腫瘍1蛋白をコードする遺伝子。転写因子として足細胞の発生と維持に重要な役割を果たします。変異によりデニス・ドラッシュ症候群(びまん性メサンギウム硬化症、偽性半陰陽、ウィルムス腫瘍を特徴とする)やフレイジャー症候群(FSGS、性分化異常を特徴とする)などの症候群性ネフローゼ症候群を引き起こします。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、14の原因遺伝子のみを対象としています。約70%のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
4週間のステロイド治療にもかかわらず蛋白尿が消失しない方、高度蛋白尿と低アルブミン血症がある方におすすめします。特に、腎生検で巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)と診断された方、先天性ネフローゼ症候群の方、免疫抑制薬に反応しない難治性ネフローゼ症候群の方は検査をご検討ください。また、家族に同様の症状がある場合も重要です。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
ステロイド感受性ネフローゼ症候群との違いは何ですか?
ステロイド感受性ネフローゼ症候群はステロイド治療により蛋白尿が消失するのに対し、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群は4週間のステロイド治療にもかかわらず蛋白尿が持続します。ステロイド抵抗性の場合は遺伝子変異が原因となっている可能性が高く、免疫抑制薬の効果も限定的です。当検査により原因遺伝子を特定することで、適切な治療方針の決定が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
約70%のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と腎生検所見に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の治療はどのように行われますか?
遺伝子変異が原因の場合、ステロイドや免疫抑制薬の効果は限定的です。治療の中心は、蛋白尿の軽減、浮腫の管理、合併症の予防となります。ACE阻害薬やARBによる蛋白尿の軽減、利尿薬による浮腫の管理、感染症や血栓症の予防が重要です。腎不全に進行した場合は、透析療法や腎移植が必要になります。
予後はどうですか?
予後は原因遺伝子や治療反応性によって大きく異なります。免疫抑制薬に反応して寛解に至る場合は腎予後が比較的良好ですが、治療に反応せずネフローゼ状態が持続する場合は、10年で30~40%が腎不全に進行します。抵抗性が10年以上続いた場合、約50%が透析を必要とする腎不全になると報告されています。早期の遺伝子診断により、適切な管理計画を立てることが重要です。
腎移植後に再発することはありますか?
原因遺伝子によって腎移植後の再発リスクが異なります。NPHS2やNPHS1など、足細胞の構造蛋白をコードする遺伝子の変異による場合は、腎移植後の再発リスクは低いことが知られています。一方、原因不明のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の場合は、腎移植後に高率で再発することがあります。遺伝子検査により再発リスクを評価することができます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な14の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら