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脊椎肋骨異形成症(Spondylocostal Dysostosis)NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

脊椎肋骨異形成症(Spondylocostal Dysostosis)NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

脊椎肋骨異形成症とは

脊椎肋骨異形成症(Spondylocostal Dysostosis: SCDO)は、椎体の分節異常と肋骨の異常を特徴とする稀な先天性骨系統疾患です。主に胎児期における脊椎と肋骨の形成過程で異常が生じ、出生時から多発性の椎体分節欠損と肋骨の変形を呈します。

本疾患は、椎体が正常に分節化されず、複数の椎骨が融合したり、半椎などの奇形を伴うことが特徴です。また、肋骨の癒合、欠損、形態異常が生じることで胸郭の変形を来たし、重症例では呼吸機能障害を引き起こすことがあります。

脊椎肋骨異形成症は、ヤルコ・レビン症候群(Jarcho-Levin syndrome)の一亜型として分類されることがあります。類似疾患である脊椎胸郭異形成症(Spondylothoracic Dysplasia: STD)とは、肋骨の異常パターンが異なり、SCDOでは肋骨自体の内在性異常(分岐、融合、欠損など)が特徴的です。厚生労働省の指定難病「肋骨異常を伴う先天性側弯症」に含まれる疾患の一つです。

症状と病態

脊椎肋骨異形成症の主な症状は、椎体の多発性分節異常と肋骨の変形による体幹の短縮、胸郭の変形、そして呼吸機能障害です。症状の重症度は患者さんによって大きく異なり、軽症例では比較的正常な生活が可能ですが、重症例では生命に関わることもあります。

主要症状

  • 短い体幹(身長に対して胴が短い)
  • 短い首
  • 椎体の多発性分節異常(10個以上の連続する椎体の異常分節)
  • 肋骨の異常(癒合、欠損、分岐、形態異常)
  • 胸郭の変形(狭小化)
  • 非進行性の軽度から中等度の側弯症
  • 呼吸機能障害(重症例)
  • 反復性呼吸器感染症

放射線学的特徴

脊椎肋骨異形成症の診断は、特徴的な放射線学的所見に基づいて行われます:

  • 椎体の異常:複数の椎体分節欠損(M-SDV)が脊柱全体に広がり、特に胸椎と腰椎に顕著です。乳児期や幼児期には、各椎体が円形または卵形で滑らかな境界を持ち、脊柱全体が「小石浜(pebble beach)」のような外観を呈します。成長とともに骨化が進むと、不規則な形状の椎体や半椎が個別に識別しにくくなることがあります
  • 肋骨の異常:少なくとも一部の肋骨に位置異常があり、様々な数の肋間融合が認められます。肋骨数の減少を伴うこともあります。肋骨は非対称に融合、欠損、または過成長している点が特徴的です
  • 遺伝子による違い:DLL3遺伝子変異例では「小石浜」徴候が特に顕著で、MESP2遺伝子変異例では腰椎が胸椎に比べて軽度に障害される傾向があります

呼吸機能への影響

重症例では、胸郭の変形により肺の発育が制限され、呼吸機能不全を来たすことがあります。新生児期に重度の疾患を持つ患者さんでは、胸郭サイズの縮小により呼吸機能が低下する可能性があります。ただし、2歳頃までに肺の成長が改善し、比較的正常な成長と発達を支えられるようになることもあります。

重度の肺容量制限を伴う患者さんでは、肺高血圧症が心機能に影響を及ぼす可能性があります。また、反復性の呼吸器感染症や肺炎のリスクも高まります。

その他の臨床的特徴

  • 身長への影響:脊柱の異常により、体幹が短縮し、四肢の長さに対して相対的に短い身長となります。データは限られていますが、下肢長測定に基づくと、SCDO患者さんは予測される成人身長より約10%低くなると報告されています
  • 鼠径ヘルニア:男性のSCDO患者さんは鼠径ヘルニアのリスクが高いことが知られています
  • 神経学的合併症:一部の症例では、脊髄係留症候群や二分脊椎などの潜在性脊髄異形成を伴うことがあります

進行と予後

脊椎肋骨異形成症の側弯症は、多くの症例で非進行性であり、軽度から中等度にとどまります。ただし、稀により重度の側弯症が進行する症例もあります。

予後は疾患の重症度によって大きく異なります。軽症例では比較的正常な生活が可能で、適切な管理により成人期まで健康に過ごせることも多いです。一方、重症の呼吸機能障害を伴う症例では、乳児期や小児期早期に死亡するリスクが高くなります。

遺伝形式と原因遺伝子

脊椎肋骨異形成症は主に常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとる遺伝性疾患です。現在までに複数の原因遺伝子が同定されており、これらの遺伝子の多くはNotchシグナル伝達経路に関与しています。Notchシグナル伝達経路は、胎児期における体節形成と脊椎・肋骨の正常な発生に重要な役割を果たしています。

主要な原因遺伝子

当検査パネルでは以下の3つの主要原因遺伝子を対象としています:

  • DLL3遺伝子(SCDO1):Delta様Notchリガンド3をコードする遺伝子で、最も頻度の高い原因遺伝子です。DLL3はNotchシグナル伝達の調節因子として機能し、体節形成において重要な役割を果たします。DLL3遺伝子変異例では、特徴的な「小石浜」徴候が脊柱全体に顕著に認められます
  • LFNG遺伝子(SCDO3):Lunatic Fringe糖転移酵素をコードする遺伝子です。LFNGはNotch受容体を修飾することでNotchシグナル伝達を調節し、体節の境界形成に関与します。LFNG遺伝子の変異は、椎体と肋骨の分節異常を引き起こします
  • MESP2遺伝子(SCDO2):中胚葉後方bHLH転写因子2をコードする遺伝子です。MESP2は体節の分節化と脊椎・肋骨の形成に必須の転写因子で、Notchシグナル伝達の下流で機能します。MESP2遺伝子変異例では、腰椎が胸椎に比べて比較的軽度に障害される傾向があり、肋骨はより整然と配列し直線的で、融合部位が少なく「カニ様」外観を呈することがあります

その他の原因遺伝子

当検査パネルには含まれませんが、その他にもHES7遺伝子(SCDO4)、TBX6遺伝子(SCDO5)、RIPPLY2遺伝子(SCDO6)などが脊椎肋骨異形成症の原因として報告されています。これらの遺伝子もNotchシグナル伝達経路や体節形成に関与しています。

遺伝カウンセリングの重要性

脊椎肋骨異形成症は常染色体劣性遺伝形式をとるため、患者さんの両親は通常、無症状の保因者(キャリア)です。保因者同士のカップルでは、子どもが:

  • 25%の確率で疾患を発症
  • 50%の確率で保因者となる
  • 25%の確率で非保因者となる

患者さんの同胞(兄弟姉妹)が疾患を発症するリスクは25%です。遺伝カウンセリングにより、家族計画や出生前診断・着床前診断の選択肢について、適切な情報提供とサポートを受けることができます。

ミネルバクリニックの脊椎肋骨異形成症遺伝子パネル検査の特徴

「脊椎肋骨異形成症 NGSパネル検査」とは、現在脊椎肋骨異形成症の主要な原因として報告されている3つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、脊椎肋骨異形成症に関連する3遺伝子を一度に調べられる「脊椎肋骨異形成症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で脊椎肋骨異形成症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、脊椎肋骨異形成症に関係するとされる3つの遺伝子を一度に調べられる「脊椎肋骨異形成症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える脊椎肋骨異形成症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「脊椎肋骨異形成症 NGSパネル検査」の場合、3つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状や放射線学的所見から脊椎肋骨異形成症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「脊椎肋骨異形成症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な3つの主要原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「脊椎肋骨異形成症 NGSパネル検査」では、脊椎肋骨異形成症に関係するとされる3種類の遺伝子(DLL3、LFNG、MESP2)をまとめて検査します。

「脊椎肋骨異形成症 NGSパネル検査」は、脊椎肋骨異形成症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【脊椎肋骨異形成症の個人歴または家族歴のある方】に
「脊椎肋骨異形成症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・出生時から椎体の多発性分節異常が認められる方
・肋骨の異常(癒合、欠損、形態異常)がある方
・短い体幹・短い首が認められる方
・胸郭の変形がある方
・X線検査で「小石浜」徴候など特徴的な椎体異常が認められる方
・10個以上の連続する椎体に分節異常がある方
・非進行性の側弯症がある方
・呼吸機能障害や反復性呼吸器感染症がある方
・脊椎肋骨異形成症またはヤルコ・レビン症候群の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
・胎児期に椎体・肋骨異常が指摘された方の出生前診断

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、脊椎肋骨異形成症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な呼吸管理、整形外科的介入、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の骨系統疾患や先天性側弯症との鑑別
・呼吸機能障害のリスク評価と管理
・肺高血圧症や心機能障害の早期発見
・整形外科的治療の適応判断
・成長・発達の予後予測
・反復性呼吸器感染症の予防と管理
・鼠径ヘルニアなど合併症のリスク評価
・疾患の長期的な管理計画の立案
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝のため、同胞(兄弟姉妹)が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

DLL3, LFNG, MESP2 ( 3遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・DLL3遺伝子(SCDO1):
Delta様Notchリガンド3(Delta-like canonical Notch ligand 3)をコードする遺伝子。染色体19q13.2に位置します。DLL3はNotchシグナル伝達経路の調節因子として機能し、胎児期の体節形成において重要な役割を果たします。最も頻度の高い脊椎肋骨異形成症の原因遺伝子で、多くの症例がこの遺伝子の両アレル性病原性変異によるものです。DLL3遺伝子変異例では、X線検査で特徴的な「小石浜(pebble beach)」徴候が脊柱全体に顕著に認められます。

・LFNG遺伝子(SCDO3):
Lunatic Fringe糖転移酵素(Lunatic Fringe)をコードする遺伝子。染色体7p22.3に位置します。LFNGはNotch受容体のO-フコース糖鎖を修飾することでNotchシグナル伝達を調節し、体節の境界形成に必須の役割を果たします。LFNG遺伝子の両アレル性病原性変異により、椎体と肋骨の多発性分節異常が生じます。

・MESP2遺伝子(SCDO2):
中胚葉後方basic helix-loop-helix転写因子2(Mesoderm posterior bHLH transcription factor 2)をコードする遺伝子。染色体15q26.1に位置します。MESP2は体節の分節化と脊椎・肋骨の正常な形成に必須の転写因子で、Notchシグナル伝達の下流で機能します。MESP2遺伝子変異による脊椎肋骨異形成症(SCDO2)では、DLL3遺伝子変異例と比較して腰椎が胸椎より軽度に障害される傾向があります。また、肋骨はより整然と配列し直線的で、融合部位が少なく「カニ様」外観を呈することがあります。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、主要な3つの原因遺伝子(DLL3、LFNG、MESP2)のみを対象としています。その他の原因遺伝子(HES7、TBX6、RIPPLY2など)に変異がある症例や、まだ同定されていない原因遺伝子による症例では、病原性変異が検出されない可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床診断や放射線学的診断を覆すものではありません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
出生時から椎体の多発性分節異常や肋骨の異常(癒合、欠損、形態異常)が認められる方、短い体幹・短い首、胸郭の変形がある方におすすめします。X線検査で10個以上の連続する椎体に分節異常があり、特徴的な「小石浜」徴候が認められる場合は、脊椎肋骨異形成症の可能性が高くなります。また、家族に同様の症状がある場合や、呼吸機能障害を伴う場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
脊椎胸郭異形成症(STD)との違いは何ですか?
脊椎肋骨異形成症(SCDO)と脊椎胸郭異形成症(STD)は、いずれもヤルコ・レビン症候群の亜型ですが、肋骨異常のパターンが異なります。SCDOでは肋骨自体の内在性異常(分岐、融合、欠損など)が非対称に生じるのに対し、STDでは肋骨自体は比較的正常ですが、肋椎関節部で対称的に後方融合し、特徴的な「カニ様」または「扇状」の外観を呈します。当検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な診断が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
脊椎肋骨異形成症は常染色体劣性遺伝のため、患者さんの両親は通常、無症状の保因者です。同胞(兄弟姉妹)が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。特に、将来子どもを持つことを考えている保因者の方は、遺伝カウンセリングと検査を受けることをお勧めします。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
この検査パネルでは主要な3つの原因遺伝子(DLL3、LFNG、MESP2)のみを対象としています。その他の原因遺伝子(HES7、TBX6、RIPPLY2など)に変異がある可能性や、まだ同定されていない原因遺伝子による可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状と放射線学的所見に基づいた診断は変わりません。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
常染色体劣性遺伝のため、保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。胎児期にX線検査やMRI検査で椎体・肋骨異常が指摘された場合の出生前診断も可能です。
脊椎肋骨異形成症の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、症状に応じた対症療法が行われます。呼吸機能障害に対しては、呼吸管理や酸素療法、重症例では人工呼吸器管理が必要になることがあります。側弯症の進行がある場合は、装具療法や手術的治療が検討されます。反復性呼吸器感染症の予防と管理も重要です。
予後はどうですか?
予後は疾患の重症度によって大きく異なります。軽症例では比較的正常な生活が可能で、適切な管理により成人期まで健康に過ごせることも多いです。一方、重症の呼吸機能障害を伴う症例では、乳児期や小児期早期の死亡リスクが高くなります。新生児期に重度の疾患を持つ患者さんでも、2歳頃までに肺の成長が改善し、比較的正常な成長と発達を支えられるようになることもあります。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な3つの主要原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
出生前診断は可能ですか?
はい、可能です。家族内で病原性変異が同定されている場合、胎児期にX線検査やMRI検査で椎体・肋骨異常が指摘された場合など、出生前診断の適応となります。出生前診断により、出生後の適切な呼吸管理や治療計画の準備が可能になります。詳しくは遺伝カウンセリングでご相談ください。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら