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低身長遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

低身長遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

低身長とは

低身長とは、同じ年齢・同じ性別の子どもの平均身長と比較して、身長が標準偏差(SD)の−2.0以下に位置する状態を指します。100人の子どもが身長順に並んだとき、前から2〜3番目に該当する身長です。

身長はお父さん、お母さんから受け継ぐ遺伝的要因に加えて、ホルモン、栄養、慢性疾患、生活習慣など様々な因子が影響して決定されます。低身長の約70%は両親の身長が低いなどの体質によるもので、病気ではありません。しかし、残りの約30%には治療が必要な疾患が隠れていることがあります。

低身長の背景には、成長ホルモン分泌不全症、甲状腺機能低下症、ターナー症候群、プラダー・ウィリー症候群、ヌーナン症候群、歌舞伎症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、3-M症候群など、様々な遺伝性疾患が含まれることがあります。適切な遺伝学的検査により原因を特定することで、患者さんとご家族にとって重要な医学的情報を提供し、最適な治療方針の決定に役立てることができます。

低身長の原因となる主な遺伝性疾患

下垂体ホルモン欠損症(Pituitary hormone deficiency)

下垂体から分泌される成長ホルモンやその他のホルモンが不足することにより、低身長や様々な内分泌異常を引き起こす疾患群です。成長ホルモン分泌不全性低身長症が代表的で、遺伝性のものと後天性のものがあります。

遺伝性成長ホルモン分泌不全症では、乳幼児期から著しい低身長(-3SD以下)を示し、額が相対的に大きく見える特有の顔貌が特徴です。GH1、GHRHR、GHSR、POU1F1、PROP1などの遺伝子変異が原因となることが知られています。

ヌーナン症候群(Noonan syndrome)

ヌーナン症候群は、RAS/MAPKシグナル伝達経路の異常により発症する疾患で、低身長、特徴的な顔貌、先天性心疾患、軽度から中等度の知的障害を主徴とします。発症頻度は出生1,000〜2,500人に1人と比較的高く、指定難病(難病指定195)に認定されています。

特徴的な顔貌として、眼間開離(両眼の間が広い)、眼瞼裂斜下(目じりが下がっている)、眼瞼下垂、低位耳、翼状頸などが認められます。約50〜80%の患者さんに先天性心疾患(肺動脈弁狭窄、肥大型心筋症など)が合併します。成長ホルモン治療により身長の改善が期待でき、最終身長の増加効果は男児で9.5〜13cm、女児で9.0〜9.8cmとされています。

PTPN11、SOS1、RAF1、RIT1、KRAS、BRAF、NRAS、SHOC2、CBL、SOS2、MRAS、RRAS、LZTR1、MAP2K1、MAP2K2などの遺伝子変異が原因として報告されており、常染色体優性遺伝形式をとります。

3-M症候群(3-M syndrome)

3-M症候群は、低出生体重、出生後の重篤な成長不全、軽微な形態異常を特徴とする、常染色体劣性遺伝形式をとる稀少な疾患です。病名の「3-M」は、この疾患を初めて報告した3人の研究者(Miller、McKusick、Malvaux)の頭文字に由来します。

出生時から身長・体重が小さく、生後も著しい成長障害が持続します。特徴的な骨格異常として、細長い長骨、細長い椎体、比較的幅広い胸郭などがX線写真で認められます。顔貌は比較的正常ですが、長頭症(前後に長い頭)、眼球近接、突出した口、三角形の顔などが見られることがあります。知的発達は通常正常ですが、一部の患者さんでは軽度の遅れが報告されています。

CUL7、OBSL1、CCDC8の3つの遺伝子変異が原因として同定されており、いずれもユビキチン-プロテアソーム系に関与するタンパク質をコードしています。成長ホルモン治療に対する反応性が報告されており、特に早期から治療を開始した患者さんで良好な追いつき成長が得られることがあります。

歌舞伎症候群(Kabuki syndrome)

歌舞伎症候群は、1981年に日本で初めて報告された先天性疾患で、特徴的な顔貌から歌舞伎役者の隈取を連想させることからこの名前が付けられました。発症頻度は約32,000人に1人で、国内の推定患者数は約4,000人、指定難病(難病指定187)に認定されています。

特徴的な顔貌として、切れ長の目、下眼瞼外側1/3の外反、弓状で広い眉毛、短い鼻柱、押しつぶされた鼻尖、大きく突出した耳またはカップ耳が認められます。約90%の患者さんに指尖部の膨らみ(フィンガー・パッド)が見られ、診断の重要な手がかりとなります。

軽度から中等度の知的障害、出生後に始まる成長障害、先天性心疾患(約半数)、腎尿路生殖器異常、摂食困難、難聴(40〜50%)などが合併します。成長ホルモン治療により低身長の改善が期待できることが報告されています。

約70%の患者さんでKMT2D(MLL2)遺伝子の変異が、約5%でKDM6A遺伝子の変異が同定されています。これらはヒストンメチル化に関わる遺伝子で、常染色体優性遺伝形式またはX連鎖性遺伝形式をとります。残りの約25%では原因遺伝子が未同定です。

コルネリア・デ・ランゲ症候群(Cornelia de Lange syndrome)

コルネリア・デ・ランゲ症候群は、特徴的な顔貌、成長遅延(出生前から発症し、生涯を通じて5パーセンタイル未満)、上肢の減数異常を主徴とする先天異常症候群です。発症頻度は出生1万〜3万人に1人で、国内の推定患者数は約4,000人、小児慢性特定疾病に指定されています。

特徴的な顔貌として、眉毛癒合(左右の眉毛がつながっている)、アーチ型の眉、長くカールした睫毛、小さく上向きの鼻孔、長い人中、薄い上口唇、小頭症などが認められます。多毛症も特徴的です。

上肢の異常は特徴的で、指の形成不全から前腕や手の欠損まで幅広く認められます。合指症、側弯症なども見られます。IQは30未満から102の範囲で、平均は53です。多くの患者さんは自閉的で自己破壊的な傾向を示します。しばしば心臓中隔欠損症、胃腸機能障害(胃食道逆流、腸回転異常など)、難聴、近視、停留精巣または性器低形成を合併します。

約60%の患者さんでNIPBL遺伝子の変異が、約5%でSMC1A遺伝子の変異が同定されています。その他、SMC3、RAD21、HDAC8、BRD4、ANKRD11遺伝子の変異も報告されています。これらはコヒーシン複合体の機能に関わる遺伝子で、常染色体優性遺伝形式またはX連鎖性遺伝形式をとります。約15%では原因遺伝子が未同定です。

成長ホルモン不感症候群(Growth hormone insensitivity syndrome)

成長ホルモン不感症候群(別名:ラロン症候群)は、成長ホルモン(GH)は正常または高値に分泌されているにもかかわらず、GH受容体の異常やGHシグナル伝達経路の障害により、GHに対する反応が低下している状態です。その結果、IGF-1(インスリン様成長因子1)の産生が低下し、著しい低身長を引き起こします。

GHR(成長ホルモン受容体)、STAT5B、IGF1、IGFALS遺伝子などの変異が原因として報告されており、常染色体劣性遺伝形式をとります。IGF-1補充療法が有効な場合があります。

単独性成長ホルモン欠損症(Isolated growth hormone deficiency)

成長ホルモンのみが選択的に欠乏する疾患で、他の下垂体ホルモンは正常に保たれています。GH1、GHRHR遺伝子の変異が原因として知られており、常染色体劣性遺伝形式または常染色体優性遺伝形式をとります。早期からの成長ホルモン補充療法により良好な成長が期待できます。

ブルーム症候群(Bloom syndrome)

ブルーム症候群は、DNAの安定性維持に関わるBLM遺伝子の変異により発症する常染色体劣性遺伝疾患です。著しい低身長、日光過敏性の顔面紅斑、免疫不全、がんの発症リスク増加を特徴とします。出生時から小さく、成人期の最終身長は男性で平均151cm、女性で平均144cmとされています。

ナイメーヘン染色体不安定症候群(Nijmegen breakage syndrome)

NBN遺伝子の変異により発症する常染色体劣性遺伝疾患で、小頭症、低身長、免疫不全、染色体不安定性、がん発症リスク増加を特徴とします。特徴的な顔貌(後退した前額、大きな耳など)が認められます。

マイヤー・ゴーリン症候群(Meier-Gorlin syndrome)

マイヤー・ゴーリン症候群は、子宮内発育遅延、出生後の重度の成長障害、小頭症、小耳症、膝蓋骨の低形成または欠損を特徴とする常染色体劣性遺伝疾患です。ORC1、ORC4、ORC6、CDT1、CDC6遺伝子などのDNA複製開始複合体に関わる遺伝子の変異が原因として同定されています。

これらの疾患以外にも、低身長を引き起こす遺伝性疾患は多数存在します。当検査パネルでは、これら主要な疾患を含む153遺伝子を包括的に検査することで、低身長の遺伝的原因を効率的に特定することができます。

ミネルバクリニックの低身長遺伝子パネル検査の特徴

「低身長遺伝子パネル検査」とは、現在低身長の原因として報告されている153の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、低身長に関連する遺伝子を一度に調べられる「低身長遺伝子パネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で低身長の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、低身長に関係するとされる153の遺伝子を一度に調べられる「低身長遺伝子パネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える低身長の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「低身長遺伝子パネル検査」の場合、低身長に関係する153の遺伝子を、2〜3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から低身長の原因を推測して単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「低身長遺伝子パネル検査」ならば、低身長の原因となる主要な遺伝子を同時に検査できるという利点があります。これには、内分泌異常、骨格異常による不均衡な低身長、均衡のとれた単独の低身長、低身長を含む症候群など、多様な原因が含まれます。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「低身長遺伝子パネル検査」では、低身長に関係するとされる153種類の遺伝子をまとめて検査します。これらの遺伝子は以下のような多様な病態に関連しています:

  • 下垂体ホルモン欠損症
  • ヌーナン症候群
  • 3-M症候群
  • 歌舞伎症候群
  • コルネリア・デ・ランゲ症候群
  • 成長ホルモン不感症候群
  • 単独性成長ホルモン欠損症
  • ブルーム症候群
  • ナイメーヘン染色体不安定症候群
  • マイヤー・ゴーリン症候群

「低身長遺伝子パネル検査」は、低身長の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【低身長の個人歴または家族歴のある方】に
「低身長遺伝子パネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・同性・同年齢の平均身長より2標準偏差(SD)以上低い方
・年間の身長増加率が著しく低い方
・特徴的な顔貌や骨格異常を伴う低身長の方
・先天性心疾患、腎尿路生殖器異常などを合併する低身長の方
・知的障害や発達遅滞を伴う低身長の方
・成長ホルモン治療に反応が乏しい方
・低身長の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている方で、低身長のリスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、低身長の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認、予後情報の提供
・成長ホルモン治療の適応判断と最適化
・IGF-1補充療法など特異的治療の選択
・合併症(心疾患、腎疾患、内分泌異常など)のスクリーニングと管理
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理の意思決定
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族のリスクを評価することが重要です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることができます。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ACAN, ACTB, ACTG1, ALMS1, AMMECR1, ANKRD11, ARCN1, ARID1A, ARID1B, ATR, ATRIP, B3GAT3, BLM, BMP2, BRAF, BRF1, BTK, CBL, CCDC8, CDC45, CDC6, CDT1, CENPJ, CEP152, CEP63, COL10A1, COL11A1, COL11A2, COL1A1, COL27A1, COL2A1, COL9A1, COL9A2, COL9A3, COMP, CREBBP, CRIPT, CUL7, DHCR7, DNA2, DONSON, DVL1, EP300, ERCC6, ERCC8, EVC, EVC2, FANCA, FANCC, FANCG, FBN1, FGD1, FGFR3, FN1, GH1, GHR, GHRHR, GHSR, GLI2, GLI3, GNAS, HDAC8, HESX1, HRAS, HSPG2, IDUA, IGF1, IGF1R, IGF2, IGFALS, IHH, INSR, KDM6A, KMT2D, KRAS, LARP7, LFNG, LHX3, LHX4, LIG4, LMNA, LZTR1, MAP2K1, MAP2K2, MATN3, MRAS, NBN, NF1, NIPBL, NOTCH2, NPPC, NRAS, NSMCE2, OBSL1, ORC1, ORC4, ORC6, OSGEP, OTX2, PCNT, PDE4D, PIK3R1, PISD, PLK4, POC1A, POP1, POU1F1, PPP1CB, PPP3CA, PRKAR1A, PRMT7, PROP1, PTH1R, PTPN11, PUF60, RAD21, RAF1, RALA, RASA2, RBBP8, RIT1, RNU4ATAC, ROR2, RPS6KA3, RRAS, RTTN, SGMS2, SHOC2, SHOX, SMARCA2, SMARCA4, SMARCAL1, SMARCB1, SMARCE1, SMC1A, SMC3, SOS1, SOS2, SOX11, SOX2, SOX3, SOX9, SPRED1, SRCAP, STAT5B, TALDO1, TBX2, TBX3, TOP3A, TRIM37, TRMT10A, WNT5A, XRCC4 ( 153遺伝子 )

主要な遺伝子の詳細:

・GH1遺伝子:成長ホルモンをコードする遺伝子。この遺伝子の変異により単独性成長ホルモン欠損症が発症します。

・GHRHR遺伝子:成長ホルモン放出ホルモン受容体をコードする遺伝子。変異により成長ホルモン分泌不全が生じます。

・GHR遺伝子:成長ホルモン受容体をコードする遺伝子。変異により成長ホルモン不感症候群(ラロン症候群)が発症します。

・PTPN11、SOS1、RAF1、KRAS、NRAS、BRAF、MAP2K1、MAP2K2遺伝子:RAS/MAPKシグナル伝達経路に関わる遺伝子群。これらの変異によりヌーナン症候群およびその類縁疾患が発症します。

・KMT2D(MLL2)、KDM6A遺伝子:ヒストンメチル化に関わる遺伝子。これらの変異により歌舞伎症候群が発症します。

・NIPBL、SMC1A、SMC3、RAD21、HDAC8遺伝子:コヒーシン複合体の機能に関わる遺伝子群。これらの変異によりコルネリア・デ・ランゲ症候群が発症します。

・CUL7、OBSL1、CCDC8遺伝子:ユビキチン-プロテアソーム系に関与する遺伝子群。これらの変異により3-M症候群が発症します。

・BLM遺伝子:DNAヘリカーゼをコードする遺伝子。変異によりブルーム症候群が発症します。

・NBN遺伝子:DNA損傷応答に関わる遺伝子。変異によりナイメーヘン染色体不安定症候群が発症します。

・SHOX遺伝子:骨の成長に重要な転写因子をコードする遺伝子。変異により特発性低身長やレリ・ワイル症候群が発症します。

・FGFR3遺伝子:線維芽細胞成長因子受容体3をコードする遺伝子。変異により軟骨無形成症などの骨系統疾患が発症します。

・ACAN遺伝子:アグリカンをコードする遺伝子で、軟骨の主要な構成成分です。変異により家族性低身長が発症します。

※ACAN遺伝子については、エクソン12に長いタンデムリピートが存在するため、現在の検査方法では同部位の変異を確実に検出することができません。

※SOX3遺伝子については、三塩基反復伸長の評価は行っておりません。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

遺伝子特異的な限界:

ACAN遺伝子:長いタンデムリピートが存在するため、エクソン12の変異を確実に検出できません。

SOX3遺伝子:三塩基反復伸長の評価は行っておりません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
同性・同年齢の平均身長より2標準偏差(SD)以上低い方、年間の身長増加率が著しく低い方、特徴的な顔貌や骨格異常を伴う低身長の方、先天性心疾患や腎尿路生殖器異常などを合併する低身長の方、知的障害や発達遅滞を伴う低身長の方におすすめします。また、低身長の家族歴がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
低身長の原因遺伝子が同定された場合、遺伝形式によって家族のリスクが異なります。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が同じ疾患を発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。常染色体優性遺伝の場合、親から子への遺伝リスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
この検査では153遺伝子を対象としていますが、検査で病原性変異が検出されなくても、他の未知の遺伝子変異や非遺伝的要因が原因である可能性があります。主治医と相談して、必要に応じて追加の検査を受けることが重要です。また、体質性低身長の可能性もあります。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。ただし、診断確定後は疾患によって指定難病制度や小児慢性特定疾病制度により医療費助成を受けられる可能性があります。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療選択肢(成長ホルモン治療やIGF-1補充療法など)について、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって異なりますが、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが疾患を発症する確率は25%、常染色体優性遺伝の場合は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
低身長の治療はどのように行われますか?
原因疾患によって治療法が異なります。成長ホルモン分泌不全性低身長症では成長ホルモン補充療法、成長ホルモン不感症候群ではIGF-1補充療法が有効です。ヌーナン症候群、歌舞伎症候群、ターナー症候群などでも成長ホルモン治療が承認されています。早期診断と適切な治療により、最終身長の改善が期待できます。
成長ホルモン治療はいつまで受けられますか?
成長ホルモン治療は、骨端線(成長期の骨の端にある軟骨層)が閉鎖するまでの期間に有効です。そのため、できるだけ早期に診断し、早期に治療を開始することが最終身長を伸ばすことにつながります。男子では骨年齢17歳未満、女子では15歳未満が一般的な治療適応期間です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では低身長の原因となる主要な153遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも検査を受けることが可能です。また、専門的な遺伝カウンセリングにより、検査結果の解釈から今後の治療方針まで包括的にサポートいたします。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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