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QT短縮症候群NGSパネル検査|ミネルバクリニック

QT短縮症候群NGSパネル検査|ミネルバクリニック

QT短縮症候群(SQTS)とは

QT短縮症候群(SQTS)は、心電図上でQT間隔が異常に短縮することを特徴とする遺伝性不整脈疾患です。この疾患は2000年に初めて報告され、心室細動や心房細動などの生命を脅かす不整脈を引き起こす可能性があります。

SQTSは、心筋細胞の再分極(心臓の電気的リセット)が異常に速く進むことで発症します。カリウムチャネルやカルシウムチャネルといった心臓のイオンチャネル遺伝子に変異が生じることで、心臓の電気的伝導に異常をきたし、不整脈が起こりやすくなります。遺伝性疾患として家族内での発症が見られることが多く、早期診断により適切な治療や予防策を講じることが重要です。

SQTSは若年者における突然死の原因の一つとして知られており、特に10~20歳代での突然死との関連が注目されています。無症状から突然心臓死まで臨床像は幅広く、適切な遺伝学的検査により原因を特定することで、患者さんとご家族にとって重要な医学的情報を提供し、リスク管理に役立てることができます。

症状と病態

SQTSの症状には、動悸、失神(気絶)、心肺停止、若年での心房細動などがあります。重症例では突然心臓死のリスクもあります。一部の患者さんは無症状で、心電図検査で偶然発見されることもあります。

QT短縮症候群に関連する主な病態には以下があります:

  • 心室細動や心室頻拍などの重篤な不整脈
  • 若年での心房細動
  • 心筋の再分極時間の異常短縮
  • カリウムチャネル・カルシウムチャネルの機能異常
  • 失神や心肺停止
  • 突然心臓死のリスク

SQTSは構造的に正常な心臓を持つ患者さんに発症します。心電図上のQT間隔短縮が診断の要となりますが、無症状から突然死まで臨床像は幅広く、リスク層別化が重要です。QT間隔は心臓の電気的再充電にかかる時間を示し、これが異常に短いと心室不応期が短縮し、不整脈が発生しやすくなります。家族歴がある場合や、原因不明の失神、若年での突然死の家族歴がある場合は、遺伝的要因を強く疑う必要があります。

ミネルバクリニックのQT短縮症候群遺伝子パネル検査の特徴

「QT短縮症候群遺伝子パネル検査」とは、現在遺伝性SQTSに関係があると報告されている6つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、遺伝性SQTSに関連する遺伝子を一度に調べられる「QT短縮症候群遺伝子パネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で遺伝性SQTSの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、遺伝性SQTSに関係するとされる6つの遺伝子を一度に調べられる「QT短縮症候群遺伝子パネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える遺伝性SQTSの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「QT短縮症候群遺伝子パネル検査」の場合、遺伝性SQTSに関係する6つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

家族歴や症状から特定の遺伝性不整脈を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「QT短縮症候群遺伝子パネル検査」ならば、現在遺伝性SQTSに関係すると報告されている6つの遺伝子を網羅的に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「QT短縮症候群遺伝子パネル検査」では、遺伝性SQTSに関係するとされる6種類の遺伝子をまとめて検査します。このパネルでは、カリウムチャネル関連遺伝子(KCNH2、KCNQ1、KCNJ2)とカルシウムチャネル関連遺伝子(CACNA1C、CACNA2D1、CACNB2)を評価できます。

「QT短縮症候群遺伝子パネル検査」は、遺伝性SQTSの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を最大限に高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【遺伝性SQTSの個人歴または家族歴のある方】に
「QT短縮症候群遺伝子パネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・心電図でQT間隔の短縮を指摘された方
・SQTSと診断された方、またはその疑いがある方
・原因不明の失神の既往がある方
・若年での心房細動がある方
・心室細動や心室頻拍の既往がある方
・心肺停止の既往がある方
・SQTSや突然心臓死の家族歴がある方
・若年での突然死の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、SQTSの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、予防的治療や定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・抗不整脈薬(キニジンなど)によるQT延長効果を利用した薬物療法
・植込み型除細動器(ICD)などのデバイス治療の適応判断
・ベータ遮断薬などの薬物療法
・生活習慣の改善指導
・定期的なモニタリングと早期介入
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクも50%と高くなります。SQTSは生後1年以内の心肺停止リスクが約4%と報告されており、小児期からのスクリーニングが推奨される場合もあるため、家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

CACNA1C, CACNA2D1, CACNB2, KCNH2, KCNJ2, KCNQ1 ( 6遺伝子 )

カバレッジ

カバレッジについての説明は別ページをご覧ください。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
失神、動悸、若年での心房細動、心室細動、心肺停止の既往などがある方におすすめします。症状がなくても心電図でQT短縮を指摘された場合や、SQTSや突然心臓死の家族歴がある場合は検査をご検討ください。特に若年での突然死の家族歴がある方は早期の検査が重要です。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
患者さんで病原性変異が見つかった場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクは50%になります。SQTSは突然心臓死のリスクがある疾患で、特に生後1年以内のリスクが高いことが報告されています。乳幼児期からのスクリーニングが推奨される場合もあるため、ご家族の検査により、そのリスクを明らかにすることが重要です。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、症状がある場合は他の原因や未知の遺伝子が関与している可能性があります。現在の遺伝子診断率は20~30%程度とされており、主治医と相談して、引き続き適切な経過観察や治療を受けることが重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、予防策、治療選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝性SQTSは50%の確率で親から子に受け継がれる可能性があります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。特に生後1年以内のリスクが高いことが報告されているため、早期の対応が重要です。
QT間隔とは何ですか?
QT間隔は心電図上で心室の収縮開始から再分極(電気的リセット)完了までの時間を示します。SQTSではこの間隔が異常に短く、通常はQTc(心拍補正後のQT時間)が330ms以下、または360ms以下で遺伝子変異を伴う場合に診断されます。QT間隔が短いと心室の不応期が短くなり、不整脈が起こりやすくなります。
治療法はありますか?
SQTSと診断された場合、失神や心肺停止の既往がある方には植込み型除細動器(ICD)が第一選択治療となります。また、キニジンなどの抗不整脈薬によるQT延長効果を利用した薬物療法も有効です。特に若年のお子さんでICDの適応が難しい場合には薬物療法が選択されます。
無症状でも治療は必要ですか?
無症状のSQTS患者さんの予後についてはまだ十分に解明されていません。しかし、突然心臓死のリスクがあるため、定期的な心電図検査や専門医による経過観察が推奨されます。家族歴や遺伝子検査の結果を含めた総合的なリスク評価に基づいて、治療方針を決定します。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では6つの主要遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。カリウムチャネル関連遺伝子とカルシウムチャネル関連遺伝子を包括的に検査することにより、SQTSの遺伝的原因を見つける可能性を最大限に高めます。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら