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重症複合免疫不全症(SCID)NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

重症複合免疫不全症(SCID)NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

重症複合免疫不全症(SCID)とは

重症複合免疫不全症(Severe Combined Immunodeficiency: SCID)は、生まれつき免疫システムがほとんど機能しない、原発性免疫不全症の中で最も重篤な疾患の一つです。T細胞(Tリンパ球)が生まれつき作られないため、抗体をつくることもできず、あらゆる病原体(細菌、ウイルス、真菌など)に対する免疫系による防御が実質的にまったくありません。

SCIDは複数の遺伝子の異常によって引き起こされる遺伝性疾患で、現在までに20以上の原因遺伝子が同定されています。適切な治療を受けなければ、生後1年以内に重篤な感染症により命を落とすことが多い、緊急性の高い疾患です。

SCIDの発生頻度は約4万〜7.5万人の新生児に1人とされており、比較的稀な疾患です。しかし、早期発見と適切な治療(造血幹細胞移植など)により、多くの患者さんが健康な生活を送ることが可能になります。新生児スクリーニングによる早期診断が、生命予後の改善に極めて重要です。

症状と病態

重症複合免疫不全症の患者さんは、生後数ヶ月頃から種々の重症感染症にかかりやすくなります。通常生後6ヶ月までに、肺炎、持続性ウイルス感染症、鵞口瘡(がこうそう)、難治性下痢などを発症し、発育不良を来します。

主要症状

  • 繰り返す重度の感染症(肺炎、中耳炎、敗血症、髄膜炎など)
  • 持続性ウイルス感染症(サイトメガロウイルス、RSウイルスなど)
  • 日和見感染症(ニューモシスチス肺炎、カンジダ症など)
  • 鵞口瘡(口腔内カンジダ症)
  • 難治性下痢(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)
  • 発育不良(体重増加不良)
  • 剥脱性皮膚炎(オーメン症候群の場合)
  • 生ワクチンによる重篤な副反応のリスク

感染症の特徴

SCIDの患者さんでは、以下のような特徴的な感染症が見られます:

  • ウイルス感染:母乳から感染するサイトメガロウイルス、RSウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルスなどの呼吸器ウイルス感染が重症化します
  • 真菌感染:空気中のニューモシスチス(旧カリニ原虫)やアスペルギルス(カビの一種)による重篤な肺炎
  • 細菌感染:化膿菌による反復感染、結核菌などの日和見感染
  • 生ワクチン関連:BCG、ロタウイルスワクチンなどの生ワクチン接種による重篤な副反応

免疫学的特徴

SCIDの病型によって免疫細胞のパターンが異なります:

  • T- B+ NK-型:X連鎖型SCIDに多く、T細胞とNK細胞が欠損し、B細胞は正常数存在しますが機能しません
  • T- B- NK-型:ADA欠損症に特徴的で、すべてのリンパ球系細胞が欠損します
  • T- B- NK+型:RAG1/RAG2遺伝子変異などで見られ、オーメン症候群を呈することがあります
  • T細胞数:通常300/μL未満と著減しています
  • 免疫グロブリン:出生後数ヶ月は母体からのIgGが存在するため、必ずしも低値とは限りません

合併症と長期的影響

適切な治療を受けない場合、以下の重篤な合併症が生じます:

  • 中耳炎の反復による難聴
  • 肺感染の反復による気管支拡張症
  • 移植片対宿主病(母親のリンパ球や輸血に起因)
  • 胸腺の極度の低形成または欠如
  • リンパ組織の縮小または欠如
  • 骨異常(ADA欠損症の場合)
  • 生命予後:治療しなければ通常1歳までに死亡

予後

生後できるだけ早く、感染症にかかる前に診断して根治療法(造血幹細胞移植)を受けることで治癒が望めます。適切な治療を受けた場合、特に早期に骨髄移植を受けた場合、生存率は大幅に改善されます。しかし、治療を受けない場合、重度の感染症によって生後1年以内に死亡するリスクが非常に高いです。

遺伝形式と原因遺伝子

重症複合免疫不全症は遺伝学的に非常に多様性が高く、X連鎖遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝のいずれの形式でも発症します。現在までに20以上の原因遺伝子が同定されており、遺伝子によって免疫細胞のパターンや臨床症状が異なります。

X連鎖型SCID

全SCIDの約半数を占め、最も頻度の高い病型です:

  • IL2RG遺伝子:インターロイキン2(IL-2)受容体の共通γ鎖をコードする遺伝子。少なくとも6種類のサイトカイン受容体の成分であり、この変異により重度の疾患を引き起こします。表現型はT- B+ NK-です。男性に多く見られます

常染色体劣性(潜性)遺伝形式

様々な原因遺伝子があり、両方の染色体に同じ遺伝子の変異が必要です:

  • ADA遺伝子:アデノシンデアミナーゼ欠損症の原因。2番目に頻度が高い病型で、B細胞、T細胞、NK細胞の前駆細胞にアポトーシスをもたらします。表現型はT- B- NK-です。骨異常を伴うことがあります。酵素補充療法が可能です
  • JAK3遺伝子:Janus kinase 3をコードし、IL-2受容体シグナル伝達に関与します
  • RAG1/RAG2遺伝子:V(D)J組換えの異常を引き起こし、オーメン症候群の原因となることがあります。表現型はT- B- NK+です
  • DCLRE1C遺伝子:Artemis欠損SCIDの原因。主にアパッチ族またはナバホの子孫の小児に発生するまれな型です
  • PTPRC(CD45)遺伝子:protein tyrosine phosphatase, receptor type, Cをコードします
  • AK2遺伝子:アデニル酸キナーゼ2をコードします
  • その他多数の遺伝子:IL7R、CD3D、CD3E、CD3G、CD247、LCK、ZAP70など、T細胞の発生・機能に関わる多数の遺伝子が原因となります

オーメン症候群

T- B- NK+ SCIDの特殊な表現型で、典型的にはRAGアレルの1つの欠損の結果です:

  • 一般的にatypical SCIDまたはleaky SCIDと呼ばれます
  • 剥脱性皮膚炎、紅皮症、落屑、脱毛症が特徴的です
  • 慢性下痢、発育不良、リンパ節腫脹を呈します
  • 好酸球増多症、血清IgE高値がみられます
  • IgA、IgG、IgMは低値ですが、IgEは高値です

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子を含む91遺伝子を対象としています。これにより、重症複合免疫不全症の主要な原因を包括的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックの重症複合免疫不全症遺伝子パネル検査の特徴

「重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」とは、現在重症複合免疫不全症の原因として報告されている91の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、重症複合免疫不全症に関連する91遺伝子を一度に調べられる「重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で重症複合免疫不全症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、重症複合免疫不全症に関係するとされる91の遺伝子を一度に調べられる「重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える重症複合免疫不全症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」の場合、91の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から重症複合免疫不全症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な91の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」では、重症複合免疫不全症に関係するとされる91種類の遺伝子をまとめて検査します。

「重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」は、重症複合免疫不全症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【重症複合免疫不全症の個人歴または家族歴のある方】に
「重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・生後6ヶ月までに反復性重症感染症を発症した乳児
・持続性ウイルス感染症がある乳児
・鵞口瘡(口腔カンジダ症)が見られる乳児
・難治性下痢がある乳児
・発育不良(体重増加不良)が認められる乳児
・日和見感染症(ニューモシスチス肺炎など)を発症した乳児
・剥脱性皮膚炎がある乳児
・生ワクチン(BCG、ロタウイルスワクチンなど)接種後に重篤な副反応を示した乳児
・リンパ球減少症が認められる乳児
・T細胞数が300/μL未満の乳児
・胸腺低形成が認められる乳児
・新生児スクリーニング(TREC検査)で異常を指摘された乳児
・重症複合免疫不全症の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、重症複合免疫不全症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、造血幹細胞移植などの根治療法を適切な時期に行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・SCIDの病型の特定(X連鎖型、ADA欠損症、オーメン症候群など)
・造血幹細胞移植の適応判断と最適なタイミングの決定
・ADA欠損症の場合、酵素補充療法の適応判断
・遺伝子治療の適応判断(一部の病型)
・感染予防策の最適化(予防的免疫グロブリン投与、抗菌薬投与など)
・生ワクチン接種の回避による重篤な副反応の予防
・移植前の感染症予防管理の最適化
・予後予測と長期的な管理計画の立案
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。X連鎖遺伝の場合は母親が保因者で、男児が発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ACD, ADA, AK2, ATM, B2M, BCL11B, BLM, CARD11, CD247, CD27, CD3D, CD3E, CD3G, CD40, CD40LG, CD8A, CHD7, CIITA, CORO1A, CTC1, CTPS1, DCLRE1C, DKC1, DNMT3B, DOCK2, DOCK8, EPG5, FOXN1, ICOS, IFNGR1, IKBKB, IL12RB1, IL21R, IL2RA, IL2RG, IL7R, IRF8, ITGB2, ITK, JAK3, LAT, LCK, LIG4, LRBA, MAGT1, MALT1, MAP3K14, MSN, NBN, NFKBIA, NHEJ1, NHP2, ORAI1, PARN, PGM3, PIK3CD, PIK3R1, PMS2, PNP, POLE, PRKDC, PTPRC, RAC2, RAG1, RAG2, RFX5, RFXANK, RFXAP, RMRP, RTEL1, SH2D1A, SMARCAL1, SP110, SPINK5, STAT1, STAT3, STAT5B, STIM1, STK4, TAP1, TAP2, TBX1, TCN2, TERC, TERT, TINF2, TTC7A, TYK2, WAS, ZAP70, ZBTB24 ( 91遺伝子 )

各遺伝子の詳細:

【主要なSCID原因遺伝子】

・IL2RG遺伝子:
インターロイキン2受容体の共通γ鎖をコードする遺伝子。X連鎖型SCIDの原因で、全SCIDの約半数を占める最も頻度の高い病型です。少なくとも6種類のサイトカイン受容体の成分であり、T細胞とNK細胞が欠損します(T- B+ NK-)。

・ADA遺伝子:
アデノシンデアミナーゼをコードする遺伝子。2番目に頻度が高い病型で、B細胞、T細胞、NK細胞の前駆細胞にアポトーシスをもたらします(T- B- NK-)。骨異常を伴うことがあり、酵素補充療法が可能です。

・JAK3遺伝子:
Janus kinase 3をコードする遺伝子。IL-2受容体シグナル伝達に関与し、常染色体劣性遺伝形式をとります。

・RAG1/RAG2遺伝子:
V(D)J組換えに関与する遺伝子。オーメン症候群(atypical SCIDまたはleaky SCID)の原因となることがあります(T- B- NK+)。

・DCLRE1C遺伝子:
Artemisをコードする遺伝子。Artemis欠損SCIDの原因で、主にアパッチ族またはナバホの子孫の小児に発生します。

・IL7R遺伝子:
インターロイキン7受容体をコードする遺伝子。T細胞の発生に重要です。

・PTPRC(CD45)遺伝子:
protein tyrosine phosphatase, receptor type, Cをコードする遺伝子。リンパ球の活性化に関与します。

・AK2遺伝子:
アデニル酸キナーゼ2をコードする遺伝子。ミトコンドリアの機能に関与します。

【T細胞受容体シグナル伝達関連遺伝子】

・CD3D/CD3E/CD3G遺伝子:
T細胞受容体複合体のCD3分子をコードする遺伝子群。T細胞の活性化に必須です。

・CD247遺伝子:
CD3ζ鎖をコードする遺伝子。T細胞受容体シグナル伝達に関与します。

・LCK遺伝子:
リンパ球特異的チロシンキナーゼをコードする遺伝子。T細胞受容体シグナル伝達の初期段階に重要です。

・ZAP70遺伝子:
ζ鎖結合タンパク質チロシンキナーゼをコードする遺伝子。T細胞受容体シグナル伝達に重要です。

・LAT遺伝子:
リンカー・フォー・アクティベーション・オブ・T細胞をコードする遺伝子。T細胞活性化のアダプター分子です。

【その他の免疫関連遺伝子】

・FOXN1遺伝子:
胸腺上皮細胞の分化に重要な転写因子をコードする遺伝子。胸腺低形成を引き起こします。

・PNP遺伝子:
プリンヌクレオシドホスホリラーゼをコードする遺伝子。T細胞に毒性のある代謝産物の蓄積を引き起こします。

・PRKDC遺伝子:
DNA依存性プロテインキナーゼをコードする遺伝子。V(D)J組換えに関与します。

・LIG4遺伝子:
DNAリガーゼIVをコードする遺伝子。V(D)J組換えに必要です。

・NHEJ1遺伝子:
非相同末端結合因子1をコードする遺伝子。DNA修復に関与します。

・その他の遺伝子:
ATM, B2M, BCL11B, BLM, CARD11, CD27, CD40, CD40LG, CD8A, CHD7, CIITA, CORO1A, CTC1, CTPS1, DKC1, DNMT3B, DOCK2, DOCK8, EPG5, ICOS, IFNGR1, IKBKB, IL12RB1, IL21R, IL2RA, IRF8, ITGB2, ITK, LRBA, MAGT1, MALT1, MAP3K14, MSN, NBN, NFKBIA, NHP2, ORAI1, PARN, PGM3, PIK3CD, PIK3R1, PMS2, POLE, RAC2, RFX5, RFXANK, RFXAP, RMRP, RTEL1, SH2D1A, SMARCAL1, SP110, SPINK5, STAT1, STAT3, STAT5B, STIM1, STK4, TAP1, TAP2, TBX1, TCN2, TERC, TERT, TINF2, TTC7A, TYK2, WAS, ZBTB24など、免疫系の発生、機能、調節に関与する多数の遺伝子が含まれます。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※CD40LG遺伝子の現在の検査方法では、三塩基反復伸長は評価しません。

※この検査パネルでは、91の原因遺伝子を対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、今後新たな原因遺伝子が同定される可能性があります。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
生後6ヶ月までに反復性の重症感染症(肺炎、鵞口瘡、難治性下痢など)を発症した乳児、持続性ウイルス感染症がある乳児、発育不良が認められる乳児におすすめします。また、新生児スクリーニング(TREC検査)で異常を指摘された場合や、家族にSCIDの方がいる場合も検査をご検討ください。生ワクチン接種後に重篤な副反応を示した場合も重要な指標となります。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
SCIDにはどのような種類がありますか?
SCIDは原因遺伝子によって様々な病型があります。最も頻度が高いのはX連鎖型SCID(IL2RG遺伝子変異)で全SCIDの約半数を占めます。2番目に多いのはADA欠損症です。その他、RAG1/RAG2遺伝子変異によるオーメン症候群、Artemis欠損SCIDなど、20以上の原因遺伝子が知られています。当検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な診断と適切な治療選択が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。X連鎖遺伝の場合、母親が保因者で男児が発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。今後新たな原因遺伝子が同定される可能性もあります。臨床症状と免疫学的検査(リンパ球数、免疫グロブリン値など)に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。X連鎖遺伝の場合、母親が保因者で男児が発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、両親が保因者で子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
SCIDの治療はどのように行われますか?
造血幹細胞移植が最も効果的な根治療法で、できるだけ早期に、感染症にかかる前に行うことが重要です。ADA欠損症の場合は酵素補充療法も可能です。一部の病型では遺伝子治療も行われるようになってきています。治療までの間は、予防的免疫グロブリン投与、抗菌薬投与、生ワクチン接種の回避などの感染予防策が重要です。
予後はどうですか?
適切な治療を受けない場合、生後1年以内に重度の感染症により死亡するリスクが非常に高いです。しかし、早期に診断し、感染症にかかる前に造血幹細胞移植を受けた場合、生存率は大幅に改善されます。新生児スクリーニングによる早期発見と早期治療介入が、生命予後の改善に極めて重要です。
新生児スクリーニング(TREC検査)で異常を指摘されました。どうすればよいですか?
TREC検査で異常を指摘された場合、速やかに精密検査(血液検査でリンパ球数、T細胞・B細胞・NK細胞の数、免疫グロブリン値などを測定)を受けることが重要です。その結果SCIDが疑われる場合、当遺伝子検査により原因遺伝子を特定し、適切な治療方針を決定することができます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な91の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら