ルビンシュタイン・テイビ症候群NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック
ルビンシュタイン・テイビ症候群とは
ルビンシュタイン・テイビ症候群(Rubinstein-Taybi Syndrome: RTS)は、特徴的な顔貌、幅広い母指・母趾、精神運動発達遅滞を主な特徴とする先天異常症候群です。1963年にRubinsteinとTaybiによって初めて報告されました。
本症候群は、先天性心疾患、眼科疾患、泌尿器・腎疾患、歯科疾患など全身の様々な臓器に合併症を伴うことがあります。発症頻度は10,000~20,000出生に1人と推定されており、日本では年間50~100人程度の新規患者が発生していると考えられています。
ルビンシュタイン・テイビ症候群は、日本において指定難病102番として登録されており、また小児慢性特定疾病にも指定されています。早期診断により、適切な医療管理と多領域にわたる支援を受けることで、生活の質の向上が期待できます。
症状と病態
ルビンシュタイン・テイビ症候群の症状は多岐にわたり、個人差が大きいことが特徴です。主要症状として、幅広い母指・母趾、特徴的な顔貌、精神運動発達遅滞が挙げられます。
主要症状
- 幅広い母指・母趾(しばしば横側に偏位)
- 特徴的な顔貌(下記参照)
- 精神運動発達遅滞(IQは通常40~50、個人差あり)
特徴的な顔貌
ルビンシュタイン・テイビ症候群に特徴的な顔貌の特徴は以下の通りです:
- 小頭症
- 太い眉毛・濃い眉毛(高度なアーチ状)
- 長い睫毛
- 眼瞼裂斜下(目じりが下がる)
- 鼻翼より下方に伸びた鼻中隔(鼻柱の延長)
- 幅広い鼻稜
- 高口蓋
- 小さい口
- 小顎症
- 耳介変形
成長と発達
出生時の体格は標準のことが多いですが、生後数ヶ月で身長、体重、頭囲のパーセンタイルが急速に低下します。成人期には通常低身長を示し、平均最終身長は男性で約152cm、女性で約143cmと報告されています。精神発達遅滞は必発で、通常IQは40~50台ですが、EP300遺伝子変異の一部の方は知能正常である場合もあり、発達の転帰には相当な個人差があります。
その他の合併症
ルビンシュタイン・テイビ症候群では、全身の様々な臓器に合併症が生じる可能性があります:
- 眼科疾患:斜視、屈折異常、鼻涙管閉塞、白内障、緑内障
- 心疾患:先天性心疾患(心房中隔欠損、心室中隔欠損など)
- 泌尿器・腎疾患:腎奇形、停留精巣、小陰茎、尿道下裂、膀胱尿管逆流症
- 整形外科的問題:頚椎後弯、脊椎側弯、関節過伸展、扁平足、第5指内彎
- 歯科疾患:叢生、切歯結節(talon cusps)
- 皮膚症状:多毛、前頭部の火焔状母斑、ケロイド形成傾向
- 呼吸器系:呼吸困難、反復性呼吸器感染症
- 消化器系:摂食障害、哺乳困難、重度の便秘
- 行動面:注意欠陥・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴
- 腫瘍:一部の患者で良性・悪性腫瘍のリスク増加
年齢による症状の変化
乳幼児期には、呼吸困難、哺乳困難、体重増加不良、反復性感染症、重度の便秘などが主な問題となります。呼吸器感染を起こしやすい乳幼児期を乗り越えると、全身状態は比較的安定することが多いとされています。年齢を経ると、精神運動発達遅滞による影響が前面に出るようになります。
遺伝形式と原因遺伝子
ルビンシュタイン・テイビ症候群は、主にCREBBP遺伝子またはEP300遺伝子の異常によって引き起こされます。これらの遺伝子は細胞の成長、分裂、発達に重要な役割を果たしており、遺伝子の異常により正常な発達が障害されると考えられています。
遺伝形式
ルビンシュタイン・テイビ症候群は常染色体優性(顕性)遺伝形式をとります。しかし、ほとんどの症例は家族歴のない散発例で、新生突然変異(de novo mutation)によるものです。親がルビンシュタイン・テイビ症候群である場合、子どもが発症する確率は50%です。
CREBBP遺伝子
16番染色体短腕(16p13.3)に位置するCREB結合タンパク質(CREB-binding protein)をコードする遺伝子です。CREBBP遺伝子はヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性を持ち、遺伝子発現の調節に重要な役割を果たしています。ルビンシュタイン・テイビ症候群はヒストンアセチル化異常症と考えられています。
ルビンシュタイン・テイビ症候群患者の約50~60%でCREBBP遺伝子の変異が同定されており、最も頻度の高い原因遺伝子です。変異のタイプには点変異、小さな欠失・挿入、16番染色体短腕の欠失などがあります。
EP300遺伝子
22番染色体長腕(22q13.2)に位置するE1A結合タンパク質p300をコードする遺伝子です。EP300もCREBBPと同様にヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性を持ち、遺伝子発現の調節に関与しています。
EP300遺伝子の変異は、ルビンシュタイン・テイビ症候群患者の約3~8%で同定されています。EP300遺伝子変異による症例の一部では知能正常である場合もあり、CREBBP遺伝子変異による症例と比較して表現型が軽度である可能性が示唆されています。
SRCAP遺伝子
SRCAP遺伝子はSNF2関連クロマチンリモデリング因子をコードし、CREB結合タンパク質のコアクチベーターとして機能します。SRCAP遺伝子の変異はFloating-Harbor症候群の原因となりますが、ルビンシュタイン・テイビ症候群と表現型がオーバーラップすることが知られています。本検査パネルではこの遺伝子も対象としています。
遺伝子型と表現型の関連
原因遺伝子が同定されない症例も存在し、約30~40%の患者では既知の遺伝子に変異が見つかりません。これは、未知の原因遺伝子が存在する可能性や、検出が困難な遺伝子変化が関与している可能性を示唆しています。
ミネルバクリニックのルビンシュタイン・テイビ症候群遺伝子パネル検査の特徴
「ルビンシュタイン・テイビ症候群 NGSパネル検査」とは、現在ルビンシュタイン・テイビ症候群の原因として報告されている3つの遺伝子(CREBBP、EP300、SRCAP)に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、ルビンシュタイン・テイビ症候群に関連する3遺伝子を一度に調べられる「ルビンシュタイン・テイビ症候群 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関でルビンシュタイン・テイビ症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、ルビンシュタイン・テイビ症候群に関係するとされる3つの遺伝子を一度に調べられる「ルビンシュタイン・テイビ症候群 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行えるルビンシュタイン・テイビ症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「ルビンシュタイン・テイビ症候群 NGSパネル検査」の場合、3つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状からルビンシュタイン・テイビ症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「ルビンシュタイン・テイビ症候群 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な3つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「ルビンシュタイン・テイビ症候群 NGSパネル検査」では、ルビンシュタイン・テイビ症候群に関係するとされる3種類の遺伝子(CREBBP、EP300、SRCAP)をまとめて検査します。
「ルビンシュタイン・テイビ症候群 NGSパネル検査」は、ルビンシュタイン・テイビ症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【ルビンシュタイン・テイビ症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「ルビンシュタイン・テイビ症候群 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・幅広い母指・母趾がある方
・特徴的な顔貌(濃い眉毛、長い睫毛、鼻柱の延長、眼瞼裂斜下など)がある方
・精神運動発達遅滞がある方
・低身長を示す方
・先天性心疾患、眼科疾患、腎奇形などの合併症がある方
・ルビンシュタイン・テイビ症候群の臨床診断を受けた方で遺伝学的確定診断を希望される方
・ルビンシュタイン・テイビ症候群の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、ルビンシュタイン・テイビ症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な療育、リハビリテーション、各種合併症の早期発見・治療、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の先天異常症候群との鑑別
・適切な療育プログラムの立案
・合併症(心疾患、腎疾患、眼科疾患など)の早期発見と管理
・腫瘍発生リスクの評価と定期的なスクリーニング
・発達支援の最適化
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体優性遺伝のため子どもが発症するリスクは50%です。ただし、ほとんどの症例は新生突然変異によるもので、家族内での再発リスクは低いことが多いです。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
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-
CREBBP, EP300, SRCAP ( 3遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・CREBBP遺伝子:
16番染色体短腕(16p13.3)に位置し、CREB結合タンパク質(CREB-binding protein)をコードする遺伝子。ヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性を持ち、遺伝子発現の調節に重要な役割を果たします。ルビンシュタイン・テイビ症候群患者の約50~60%でCREBBP遺伝子の変異が同定されており、最も頻度の高い原因遺伝子です。変異のタイプには点変異、小さな欠失・挿入、16番染色体短腕の微細欠失などがあります。ルビンシュタイン・テイビ症候群はヒストンアセチル化異常症として位置づけられます。
・EP300遺伝子:
22番染色体長腕(22q13.2)に位置し、E1A結合タンパク質p300をコードする遺伝子。CREBBPと同様にヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性を持ち、転写調節に関与します。EP300遺伝子の変異は、ルビンシュタイン・テイビ症候群患者の約3~8%で同定されています。EP300遺伝子変異による症例の一部では知能正常である場合もあり、CREBBP遺伝子変異による症例と比較して表現型が軽度である可能性があります。妊娠中の母体に妊娠高血圧腎症のリスクが高いことが報告されています。
・SRCAP遺伝子:
16番染色体短腕(16p11.2)に位置し、SNF2関連クロマチンリモデリング因子をコードする遺伝子。CREB結合タンパク質のコアクチベーターとして機能します。SRCAP遺伝子の病原性変異はFloating-Harbor症候群の原因となりますが、ルビンシュタイン・テイビ症候群と表現型がオーバーラップすることが知られています。特徴的な顔貌、低身長、発達遅滞などの症状が共通しており、鑑別診断のために本パネルに含まれています。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、3つの原因遺伝子のみを対象としています。約30~40%のルビンシュタイン・テイビ症候群症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状に基づく診断も重要です。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 幅広い母指・母趾、特徴的な顔貌(濃い眉毛、長い睫毛、鼻柱の延長、眼瞼裂斜下など)、精神運動発達遅滞がある方におすすめします。また、低身長、先天性心疾患、眼科疾患、腎奇形などの合併症がある場合も検査をご検討ください。臨床的にルビンシュタイン・テイビ症候群が疑われる場合、遺伝学的確定診断により適切な管理と支援を受けることができます。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- ルビンシュタイン・テイビ症候群は常染色体優性遺伝ですが、ほとんどの症例は新生突然変異によるもので、家族歴がないことが多いです。患者さんがお子さんを持つ場合、子どもが発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- 約30~40%のルビンシュタイン・テイビ症候群症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状に基づいてルビンシュタイン・テイビ症候群と診断されることがあります。未知の原因遺伝子が存在する可能性もあり、臨床症状と検査所見に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- ルビンシュタイン・テイビ症候群の患者さんがお子さんを持つ場合、子どもが発症する確率は50%です。ただし、ほとんどの症例は新生突然変異によるもので、両親が正常である場合、次子での再発リスクは低いです。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- ルビンシュタイン・テイビ症候群の治療はどのように行われますか?
- 現在のところ根本的な治療法はありませんが、合併症に対する対症療法が行われます。早期療育、発達支援、定期的な各科受診(心臓、眼科、泌尿器科、整形外科など)による管理が重要です。個々の症状に応じた多領域にわたる支援により、生活の質を向上させることができます。
- 予後はどうですか?
- 呼吸器感染を起こしやすい乳幼児期を乗り越えると、全身状態は比較的安定することが多いです。精神運動発達遅滞の程度には個人差があり、IQは通常40~50台ですが、EP300遺伝子変異の一部では知能正常の場合もあります。適切な療育と支援により、多くの患者さんは安定した生活を送ることができます。腫瘍発生のリスクが若干高いため、定期的なスクリーニングが推奨されます。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な3つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
- CREBBP遺伝子とEP300遺伝子の違いは何ですか?
- どちらもヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性を持ち、遺伝子発現の調節に関与する類似したタンパク質をコードしています。CREBBP遺伝子変異が約50~60%と最も頻度が高く、EP300遺伝子変異は約3~8%です。EP300遺伝子変異による症例の一部では表現型が軽度である可能性が示唆されており、知能正常の場合もあります。
- 指定難病の申請はできますか?
- ルビンシュタイン・テイビ症候群は指定難病102番として登録されており、診断基準を満たし一定の重症度以上の場合、医療費助成の対象となります。遺伝学的検査により診断が確定すれば、指定難病の申請がしやすくなります。詳しくはお住まいの自治体の保健所にお問い合わせください。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら