QT延長症候群/ブルガダ症候群遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック
QT延長症候群/ブルガダ症候群とは
QT延長症候群(LQTS)とブルガダ症候群は、いずれも心室性不整脈を引き起こす遺伝性心疾患です。これらの疾患は、心電図上での特徴的な異常所見により診断され、突然死のリスクを伴う重要な疾患です。
QT延長症候群は、心電図でQT間隔の延長が認められる疾患で、トルサード・ド・ポアンツ(Torsade de Pointes)という致命的な不整脈を引き起こすリスクがあります。ブルガダ症候群は、心電図でブルガダパターンと呼ばれる特徴的な波形異常を示し、心室細動による突然死のリスクが高い疾患です。
重要なことは、これらの遺伝子変異を持つすべての人が症状を発症するわけではないということです。遺伝子検査によりご自身の体質を知り、適切な治療と経過観察を受けることで、心血管イベントのリスクを軽減し、より安心な生活を送ることができると考えております。
症状と特徴
QT延長症候群とブルガダ症候群の症状には共通点と相違点があります。
共通する症状:
- 動悸(心拍数の異常な増加や不規則な拍動)
- めまい・立ちくらみ
- 失神発作
- 息切れ
- 胸痛や胸部不快感
- 原因不明の発汗
- けいれん様発作
- 心停止・突然死
QT延長症候群の特徴:
- 心電図でQT間隔の延長(通常、補正QT時間が450ms以上)
- 運動時、興奮時、驚いた時に症状が出やすい
- 女性により多く見られる傾向
- 薬剤により症状が誘発されることがある
ブルガダ症候群の特徴:
- 心電図でブルガダパターン(広いP波、J点上昇、coved型ST上昇、陰性T波)
- 安静時、特に睡眠中に症状が出やすい
- 男性により多く見られる傾向
- 発熱時に症状が誘発されることがある
一部の患者さんでは、遺伝子変異があっても症状が現れない場合もありますが、定期的な経過観察が重要です。
ミネルバクリニックのQT延長症候群/ブルガダ症候群遺伝子パネル検査の特徴
「QT延長症候群/ブルガダ症候群遺伝子パネル検査」とは、これらの疾患に関係があると報告されている34の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、QT延長症候群・ブルガダ症候群に関連する遺伝子を一度に調べられる「QT延長症候群/ブルガダ症候群遺伝子パネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関でQT延長症候群やブルガダ症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、検体を海外の機関で検査しますので、QT延長症候群・ブルガダ症候群に関係するとされる34の遺伝子を一度に調べられる「QT延長症候群/ブルガダ症候群遺伝子パネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
検体の提出先はアメリカの臨床検査機関です。アメリカは日本と異なりCLIA認証を必ず受け、精度管理が厳しく行われています。我が国はこのあたりの法整備が遅れています。
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行えるQT延長症候群・ブルガダ症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「QT延長症候群/ブルガダ症候群遺伝子パネル検査」の場合、関係する34の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
家族歴や症状から特定の遺伝性不整脈症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「QT延長症候群/ブルガダ症候群遺伝子パネル検査」ならば、現在これらの疾患に関係すると報告されている34の遺伝子を網羅的に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
デュオ/トリオ検査:ご家族と一緒に検査することで、より正確な解釈が可能です。
検査内容
「QT延長症候群/ブルガダ症候群遺伝子パネル検査」では、これらの疾患に関係するとされる34種類の遺伝子をまとめて検査します。このパネルでは、遺伝性QT延長症候群とブルガダ症候群の遺伝的原因を包括的に評価できます。
「QT延長症候群/ブルガダ症候群遺伝子パネル検査」は、これらの疾患の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を最大限に高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【QT延長症候群またはブルガダ症候群を示唆する、個人歴または家族歴のある方】に
「QT延長症候群/ブルガダ症候群遺伝子パネル検査」を受けることをおすすめします。
以下の症状や所見がある方に推奨されます:
・心電図でQT間隔延長が認められる方
・心電図でブルガダパターンが認められる方
・動悸、めまい、失神エピソードがある方
・息切れや胸痛の症状がある方
・けいれん様発作の既往がある方
・心停止の既往がある方
・突然死の家族歴がある方
一部の患者さんでは、遺伝子変異があっても症状が現れない場合もありますが、家族歴がある場合は検査をご検討ください。
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。体細胞モザイクの検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
QT延長症候群またはブルガダ症候群が認められた患者さんは、継続的な経過観察と心血管イベントのリスクをより適切に管理するための予防的ステップから便益を得ることができます。
医学的介入には以下が含まれます:
・ベータ遮断薬による薬物療法
・植込み型除細動器(ICD)の装着
・ライフスタイルの変更(運動制限、薬剤回避など)
・定期的な心電図モニタリング
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・突然死リスクの層別化
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクも50%と高くなります。ご家族を検査することで、そのリスクを明らかにすることも可能です。場合によっては、小児期からのスクリーニングが必要になることもあります。
対象遺伝子
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ABCC9, AKAP9, ANK2, CACNA1C, CACNA2D1, CACNB2, CALM1, CALM2, CALM3, CAV3, GPD1L, HCN4, KCND3, KCNE1, KCNE2, KCNE3, KCNE5, KCNH2, KCNJ2, KCNJ5, KCNJ8, KCNQ1, PKP2, RANGRF, SCN10A, SCN1B, SCN2B, SCN3B, SCN4B, SCN5A, SLMAP, SNTA1, TRDN, TRPM4 ( 34遺伝子 )
カバレッジ
カバレッジについての説明は別ページをご覧ください。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜ぬぐい液の場合は、遠方の方でもクリニックへお越しにならずに検査が可能です。(オンライン診療)
その場合は、遠隔診療(ビデオスルーでの診療のことをいいます)で遺伝カウンセリングをしたのち、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- QT延長症候群とブルガダ症候群の違いは何ですか?
- QT延長症候群は心電図でQT間隔が延長する疾患で、主に運動時や興奮時に症状が出やすく、女性に多く見られます。ブルガダ症候群は心電図でブルガダパターンという特徴的な波形を示し、主に安静時や睡眠中に症状が出やすく、男性に多く見られます。
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 動悸、めまい、失神、胸痛などの症状がある方、心電図でQT延長やブルガダパターンを指摘された方、突然死の家族歴がある方におすすめします。症状がなくても家族歴がある場合は検査をご検討ください。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 患者さんで病原性変異が見つかった場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクは50%になります。ご家族の検査により、そのリスクを明らかにすることが可能です。場合によっては小児期からのスクリーニングが必要になることもあります。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- 検査で病原性変異が検出されなくても、症状がある場合は他の原因が考えられます。主治医と相談して、引き続き適切な経過観察や治療を受けることが重要です。
- 治療法はありますか?
- QT延長症候群にはベータ遮断薬、ブルガダ症候群には植込み型除細動器(ICD)などの治療法があります。また、ライフスタイルの変更や定期的な心電図モニタリングも重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 遺伝性不整脈は50%の確率で親から子に受け継がれる可能性があります。検査結果により、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では34遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。また、アメリカのCLIA認証機関での検査により、高い精度を保証しています。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら