(更新日:2025/10/17)
偽性低アルドステロン症2型(ゴードン症候群)遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック
偽性低アルドステロン症2型(ゴードン症候群)とは
偽性低アルドステロン症2型(Pseudohypoaldosteronism Type 2: PHA2)は、腎臓における塩分とカリウムの調節異常によって引き起こされる遺伝性の疾患です。別名ゴードン症候群(Gordon syndrome)、家族性高カリウム血症性高血圧症(Familial Hyperkalemic Hypertension: FHHt)とも呼ばれています。1970年にGordonらによって初めて報告されました。
本疾患は、高カリウム血症(血液中のカリウム濃度が高い)、高血圧、高クロール血症性代謝性アシドーシス(血液が酸性に傾く)を三主徴とする常染色体優性遺伝形式の疾患です。腎機能は正常であるにもかかわらず、腎臓の遠位尿細管における塩化ナトリウムの再吸収が亢進し、カリウムの排泄が低下することが病態の中心です。
偽性低アルドステロン症2型は、「偽性」と名付けられていますが、これはアルドステロン欠乏症と似た症状(高カリウム血症、代謝性アシドーシス)を呈するにもかかわらず、実際にはアルドステロン自体の分泌は正常または低値であることに由来します。チアジド系利尿薬が著効することが特徴的で、診断と治療の重要な手がかりとなります。
症状と病態
偽性低アルドステロン症2型の主な症状は、高カリウム血症、高血圧、代謝性アシドーシスです。発症年齢は乳児期から成人期まで幅広く、症状の程度も個人差が大きいことが知られています。
主要症状
高カリウム血症(血清カリウム値 5.0~8.0 mmol/L以上)
高血圧(塩分感受性が高い)
高クロール血症性代謝性アシドーシス
低レニン血症(血漿レニン活性の抑制)
正常~低値のアルドステロン
正常な糸球体濾過率(腎機能は保たれている)
高カルシウム尿症
高カリウム血症による症状
高カリウム血症は本疾患の中心的な症状であり、重症例では生命に関わる不整脈を引き起こす可能性があります:
筋力低下
倦怠感
悪心・嘔吐
四肢のしびれ感
徐脈(心拍数の低下)
心電図異常(T波増高、QRS幅の延長など)
重症例:心室細動、心停止のリスク
高血圧の特徴
偽性低アルドステロン症2型における高血圧には以下の特徴があります:
塩分感受性: 食塩摂取により血圧が著明に上昇します
若年発症: 小児期から青年期にかけて発症することが多いです
薬物反応性: チアジド系利尿薬が著効します
合併症リスク: 未治療の場合、心血管疾患のリスクが高まります
代謝性アシドーシス
高クロール血症性の代謝性アシドーシスを呈し、血清重炭酸塩濃度は通常14~24 mmol/Lの範囲です。尿の酸性化能は保たれており、尿細管性アシドーシスとは異なる病態です。
その他の特徴
高カルシウム尿症: 尿中カルシウム排泄が増加し、腎結石や骨密度低下のリスクがあります
低身長: 一部の患者さんで低身長が認められることがあります
歯牙形成不全: Spitzer-Weinstein症候群と呼ばれる亜型では、歯の形成異常を伴うことがあります
筋力低下: 高カリウム血症に伴う筋力低下や周期性四肢麻痺が報告されています
原因遺伝子による症状の違い
原因遺伝子によって症状の重症度に違いが認められます:
CUL3遺伝子変異: 最も重症型で、乳児期から症状が出現し、高カリウム血症が著明です。発育遅延や知的障害を伴うこともあります
KLHL3遺伝子変異: 常染色体優性遺伝の場合は中等度、劣性遺伝の場合は重症型になります
WNK4遺伝子変異: 中等度の症状で、高カルシウム尿症が目立ちます
WNK1遺伝子変異: 比較的軽症で、成人期に診断されることが多いです
進行と予後
適切な治療を行えば、多くの患者さんで予後は良好です。チアジド系利尿薬による治療で電解質異常と高血圧が速やかに改善します。未治療の場合、持続する高血圧により心血管疾患のリスクが高まるため、早期診断と適切な治療が重要です。
遺伝形式と原因遺伝子
偽性低アルドステロン症2型は主に常染色体優性(顕性)遺伝形式をとりますが、KLHL3遺伝子変異による一部の症例では常染色体劣性(潜性)遺伝形式もあります。現在までに、WNK(With No lysine [K])キナーゼファミリーとそれに関連する遺伝子の変異が同定されています。
主要な原因遺伝子
WNK1遺伝子(With No lysine [K] kinase 1):
最初に同定された原因遺伝子の一つです
セリン・スレオニンキナーゼをコードします
第1イントロン内の欠失により、WNK1の発現量が増加します
塩化ナトリウム共輸送体(NCC)の活性を間接的に調節します
比較的軽症型が多く、成人期に診断されることが多いです
WNK4遺伝子(With No lysine [K] kinase 4):
セリン・スレオニンキナーゼをコードします
ミスセンス変異により、NCCの抑制機能が失われます
高カルシウム尿症を伴うことが特徴的です
腎臓のカルシウムチャネル(TRPV5)の活性も低下させます
中等度の臨床症状を呈します
KLHL3遺伝子(Kelch-like 3):
2012年に原因遺伝子として同定されました
E3ユビキチンリガーゼ複合体の基質認識サブユニットをコードします
WNK4の分解を促進する役割があります
変異により、WNK4の分解が抑制され、NCCの活性が亢進します
常染色体優性遺伝と劣性遺伝の両方の形式があります
劣性遺伝形式では重症化しやすいです
CUL3遺伝子(Cullin 3):
2012年に原因遺伝子として同定されました
E3ユビキチンリガーゼ複合体の中核タンパク質をコードします
KLHL3とともにWNK4の分解に関与します
エキソン9の変異(特にスキップ変異)が多いです
最も重症型で、乳児期から発症します
発育遅延、知的障害を伴うことがあります
de novo変異(新規変異)が多いです
その他の関連遺伝子
当検査パネルには、以下の遺伝子も含まれています:
HSD11B2遺伝子(11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 2):
コルチゾールをコルチゾンに変換する酵素をコードします
変異により、ミネラルコルチコイド受容体が過剰に活性化されます
見かけのミネラルコルチコイド過剰症(AME)の原因となります
KCNJ5遺伝子(potassium inwardly-rectifying channel, subfamily J, member 5):
副腎のカリウムチャネルをコードします
生殖細胞系列変異により、アルドステロン過剰産生を引き起こします
NR3C2遺伝子(nuclear receptor subfamily 3, group C, member 2):
ミネラルコルチコイド受容体をコードします
機能獲得変異により、受容体の活性が亢進します
SCNN1A、SCNN1B、SCNN1G遺伝子:
上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)のα、β、γサブユニットをコードします
機能獲得変異により、Liddle症候群を引き起こします
高血圧と低カリウム血症が特徴ですが、鑑別が必要な場合があります
当検査パネルでは、これらの原因遺伝子10個(CUL3、HSD11B2、KCNJ5、KLHL3、NR3C2、SCNN1A、SCNN1B、SCNN1G、WNK1、WNK4)を対象としています。これにより、偽性低アルドステロン症2型および関連する電解質代謝異常症の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。
ミネルバクリニックの偽性低アルドステロン症2型遺伝子パネル検査の特徴
「偽性低アルドステロン症2型 NGSパネル検査」とは、現在偽性低アルドステロン症2型および関連する電解質代謝異常の原因として報告されている10の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、偽性低アルドステロン症2型に関連する10遺伝子を一度に調べられる「偽性低アルドステロン症2型 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページ をご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で偽性低アルドステロン症2型の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、偽性低アルドステロン症2型に関係するとされる10の遺伝子を一度に調べられる「偽性低アルドステロン症2型 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える偽性低アルドステロン症2型の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「偽性低アルドステロン症2型 NGSパネル検査」の場合、10の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から偽性低アルドステロン症2型を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「偽性低アルドステロン症2型 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な10の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「偽性低アルドステロン症2型 NGSパネル検査」では、偽性低アルドステロン症2型および関連する電解質代謝異常に関係するとされる10種類の遺伝子(CUL3、HSD11B2、KCNJ5、KLHL3、NR3C2、SCNN1A、SCNN1B、SCNN1G、WNK1、WNK4)をまとめて検査します。
「偽性低アルドステロン症2型 NGSパネル検査」は、偽性低アルドステロン症2型の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【偽性低アルドステロン症2型の個人歴または家族歴のある方】に
「偽性低アルドステロン症2型 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・高カリウム血症(血清カリウム値 ≥5.0 mmol/L)がある方
・腎機能が正常にもかかわらず高カリウム血症がある方
・高血圧(特に若年発症)がある方
・高クロール血症性代謝性アシドーシスがある方
・血漿レニン活性が低下している方
・チアジド系利尿薬が著効する高血圧の方
・高カルシウム尿症がある方
・偽性低アルドステロン症2型またはゴードン症候群の家族歴がある方
・原因不明の電解質異常(高K、低HCO3、高Cl)がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、偽性低アルドステロン症2型の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な薬物療法、食事療法、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の電解質異常症(原発性アルドステロン症、Liddle症候群など)との鑑別
・チアジド系利尿薬による効果的な治療の開始
・塩分制限などの適切な食事療法の指導
・高カリウム血症による不整脈リスクの評価と管理
・高カルシウム尿症による腎結石リスクの評価
・心血管合併症の予防と長期的な管理計画の立案
・定期的な電解質モニタリングの計画
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
詳しくはこちら
CUL3, HSD11B2, KCNJ5, KLHL3, NR3C2, SCNN1A, SCNN1B, SCNN1G, WNK1, WNK4 ( 10遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・CUL3遺伝子(Cullin 3):
E3ユビキチンリガーゼ複合体の中核タンパク質をコードする遺伝子。KLHL3とともにWNKキナーゼの分解に関与します。エキソン9の変異が多く、最も重症型のPHA2を引き起こします。乳児期から発症し、発育遅延や知的障害を伴うことがあります。de novo変異(新規変異)が多いことが特徴です。
・HSD11B2遺伝子(11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 2):
11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型をコードする遺伝子。コルチゾールをコルチゾンに変換する酵素で、ミネラルコルチコイド受容体の特異性を維持します。変異により見かけのミネラルコルチコイド過剰症(AME)を引き起こし、高血圧と低カリウム血症を呈します。
・KCNJ5遺伝子(potassium inwardly-rectifying channel, subfamily J, member 5):
内向き整流性カリウムチャネル(GIRK4)をコードする遺伝子。副腎皮質の球状層に発現し、アルドステロン分泌を調節します。生殖細胞系列変異により家族性高アルドステロン症III型を引き起こします。
・KLHL3遺伝子(Kelch-like 3):
Kelch様タンパク質3をコードする遺伝子。E3ユビキチンリガーゼ複合体の基質認識サブユニットとして機能し、WNK4の分解を促進します。常染色体優性遺伝と劣性遺伝の両方の形式があり、劣性遺伝形式では重症化しやすいです。2012年に原因遺伝子として同定されました。
・NR3C2遺伝子(nuclear receptor subfamily 3, group C, member 2):
ミネラルコルチコイド受容体(MR)をコードする遺伝子。アルドステロンの標的受容体として、腎臓でのナトリウム再吸収とカリウム排泄を調節します。機能獲得変異により、受容体の活性が亢進し、高血圧と低カリウム血症を引き起こします。
・SCNN1A遺伝子(sodium channel, nonvoltage-gated 1 alpha):
上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)のαサブユニットをコードする遺伝子。遠位尿細管と集合管でのナトリウム再吸収を担います。機能獲得変異によりLiddle症候群を引き起こし、高血圧と低カリウム血症を呈します。
・SCNN1B遺伝子(sodium channel, nonvoltage-gated 1 beta):
上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)のβサブユニットをコードする遺伝子。αサブユニットとともにチャネルを構成します。機能獲得変異によりLiddle症候群を引き起こします。
・SCNN1G遺伝子(sodium channel, nonvoltage-gated 1 gamma):
上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)のγサブユニットをコードする遺伝子。チャネルの機能に重要な役割を果たします。機能獲得変異によりLiddle症候群を引き起こします。
・WNK1遺伝子(With No lysine [K] kinase 1):
セリン・スレオニンキナーゼをコードする遺伝子。第1イントロン内の欠失により、WNK1の発現量が増加し、塩化ナトリウム共輸送体(NCC)の活性を間接的に増加させます。PHA2の最初に同定された原因遺伝子の一つで、比較的軽症型が多く、成人期に診断されることが多いです。
・WNK4遺伝子(With No lysine [K] kinase 4):
セリン・スレオニンキナーゼをコードする遺伝子。ミスセンス変異により、NCCの抑制機能が失われ、NCCの活性が亢進します。高カルシウム尿症を伴うことが特徴的で、腎臓のカルシウムチャネル(TRPV5)の活性も低下させます。中等度の臨床症状を呈します。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能 です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
詳しくはこちら
すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、10の原因遺伝子のみを対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、臨床診断は検査結果だけでなく、臨床症状、電解質検査、血漿レニン・アルドステロン値などを総合的に評価して行う必要があります。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
腎機能が正常にもかかわらず高カリウム血症がある方、若年発症の高血圧がある方、高クロール血症性代謝性アシドーシスがある方におすすめします。特にチアジド系利尿薬が著効する場合や、血漿レニン活性が低下している場合は、偽性低アルドステロン症2型の可能性が高くなります。また、家族に同様の症状がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
原発性アルドステロン症との違いは何ですか?
原発性アルドステロン症は副腎からのアルドステロン分泌が過剰になる疾患で、高血圧と低カリウム血症が特徴です。一方、偽性低アルドステロン症2型は、アルドステロン値は正常~低値で、高カリウム血症を呈します。遺伝子検査により両者を明確に鑑別できます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。また、無症状のご家族でも遺伝子変異が見つかる場合があり、早期発見・早期治療につながります。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状に基づいて偽性低アルドステロン症2型と診断される場合があります。未同定の遺伝子が存在する可能性もあります。臨床症状と電解質検査、血漿レニン・アルドステロン値に基づいた診断と治療が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
偽性低アルドステロン症2型の治療はどのように行われますか?
チアジド系利尿薬が第一選択薬で、電解質異常と高血圧を速やかに改善します。塩分制限も重要な治療の一部です。高カリウム血症に対しては、カリウム制限食や陽イオン交換樹脂の使用が検討されます。定期的な電解質モニタリングが必要です。
予後はどうですか?
適切な治療を行えば、多くの患者さんで予後は良好です。チアジド系利尿薬による治療で症状がよくコントロールされ、通常の生活が可能です。ただし、未治療の場合は持続する高血圧により心血管疾患のリスクが高まるため、早期診断と適切な治療が重要です。CUL3遺伝子変異による重症型では、発育遅延や知的障害を伴うことがあり、より慎重な管理が必要です。
高カリウム血症は危険ですか?
重度の高カリウム血症は、心臓の不整脈を引き起こし、生命に関わる可能性があります。適切な治療により、高カリウム血症は良好にコントロールできます。定期的な血液検査によるモニタリングが重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な10の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得 して以来、のべ10万人以上 のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら