プロピオン酸血症NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック
プロピオン酸血症とは
プロピオン酸血症(Propionic Acidemia: PA)は、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)という酵素の活性低下によって、プロピオン酸をはじめとする有機酸が体内に蓄積し、重篤な代謝性アシドーシスや高アンモニア血症を引き起こす常染色体劣性遺伝形式の先天代謝異常症です。
プロピオン酸血症は有機酸代謝異常症の中で最も頻度が高い疾患の一つであり、日本では新生児マススクリーニングにより、約45,000人に1人の割合で発見されています。特に日本では軽症型が多く発見されることが特徴です。
プロピオン酸血症では、必須アミノ酸であるバリン、イソロイシン、スレオニン、メチオニンの代謝過程でプロピオニルCoAが蓄積します。正常ではプロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)という酵素がプロピオニルCoAをメチルマロニルCoAに変換しますが、この酵素が働かないため、プロピオン酸やその代謝物(3-ヒドロキシプロピオン酸、プロピオニルグリシン、メチルクエン酸など)が蓄積し、多臓器に障害をもたらします。
症状と病態
プロピオン酸血症の症状は、新生児期に発症する重症型から、幼児期以降に診断される軽症型まで、幅広いスペクトラムを示します。最も一般的な新生児発症型では、生後数日以内に急激に症状が現れます。
主要症状
- 新生児期から乳児期の哺乳不良
- 嘔吐・吐き気
- 傾眠・不活発(ぐったりとしてうとうとする状態)
- 筋緊張低下(hypotonia)
- 呼吸障害(多呼吸・頻呼吸)
- けいれん
- 意識障害・昏睡
- 体重増加不良・成長障害
検査所見
プロピオン酸血症の診断には、特徴的な検査所見が重要です:
- 代謝性アシドーシス:血液が酸性に傾き、アニオンギャップが開大します
- ケトーシス:尿中ケトン体が陽性となります
- 高アンモニア血症:血中アンモニア濃度が上昇し、意識障害の原因となります
- 低血糖:血糖値が低下することがあります
- 汎血球減少:白血球、赤血球、血小板がすべて減少します
- 高乳酸血症:血中乳酸値が上昇します
- 肝機能障害:AST、ALTなどの肝酵素が上昇します
長期合併症
適切な治療を行っても、長期的には以下のような合併症が出現することがあります:
- 神経発達遅滞:知的発達の遅れや運動発達の遅れが見られることがあります
- 基底核病変:脳の基底核(特に尾状核、被殻、淡蒼球)に障害が生じ、運動障害や不随意運動を引き起こします
- 心筋症:心臓の筋肉が障害され、心不全や不整脈(QT延長)を生じることがあります
- 膵炎:膵臓の炎症を繰り返すことがあります
- 腎障害:慢性腎不全に進行することがあります
- 骨粗鬆症:骨が脆くなり、骨折しやすくなります
- 視覚障害:視神経萎縮などにより視力が低下することがあります
- 免疫機能低下:感染症にかかりやすくなります
代謝発作
プロピオン酸血症の患者さんは、感染症(風邪、胃腸炎など)、発熱、手術、外傷、絶食などのストレス状況下で、急性の代謝発作を起こすことがあります。代謝発作時には、嘔吐、傾眠、呼吸促迫、意識障害などが急激に進行し、速やかな治療を行わなければ生命に危険が及びます。
遺伝形式と原因遺伝子
プロピオン酸血症は常染色体劣性遺伝形式をとります。両親がそれぞれ変異遺伝子を1つずつ持つ保因者(キャリア)の場合、子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%、正常遺伝子のみを持つ確率は25%です。
主要な原因遺伝子
プロピオン酸血症の直接的な原因となる遺伝子は以下の2つです:
- PCCA遺伝子:プロピオニルCoAカルボキシラーゼのα-サブユニットをコードする遺伝子。染色体13q32に位置し、24個のエキソンから構成されています
- PCCB遺伝子:プロピオニルCoAカルボキシラーゼのβ-サブユニットをコードする遺伝子。染色体3q13.2-q22に位置し、15個のエキソンから構成されています。日本人では特にY435C変異が高頻度に見られ、この変異は軽症型と関連しています
関連する有機酸代謝異常症
プロピオン酸血症と臨床症状や生化学所見が類似する疾患として、以下の有機酸代謝異常症があります。これらの疾患は鑑別診断上重要であり、当検査パネルに含まれています:
- メチルマロン酸血症(MMA遺伝子変異によるもの):プロピオン酸血症の次の代謝段階の障害で、メチルマロン酸が蓄積します。MUT遺伝子、MMAA遺伝子、MMAB遺伝子、MMACHC遺伝子、MMADHC遺伝子の変異が原因となります
- 複合カルボキシラーゼ欠損症:プロピオニルCoAカルボキシラーゼを含む複数のビオチン依存性酵素が障害される疾患です。ビオチニダーゼ欠損症(BTD遺伝子変異)やホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症(HLCS遺伝子変異)が含まれます
ミネルバクリニックのプロピオン酸血症遺伝子パネル検査の特徴
「プロピオン酸血症 NGSパネル検査」とは、プロピオン酸血症および関連する有機酸代謝異常症の原因として報告されている9つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、プロピオン酸血症および関連疾患に関連する9遺伝子を一度に調べられる「プロピオン酸血症 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関でプロピオン酸血症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、プロピオン酸血症および関連疾患に関係するとされる9つの遺伝子を一度に調べられる「プロピオン酸血症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行えるプロピオン酸血症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「プロピオン酸血症 NGSパネル検査」の場合、9つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状からプロピオン酸血症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、メチルマロン酸血症や複合カルボキシラーゼ欠損症など、類似の臨床症状を呈する他の有機酸代謝異常症との鑑別が必要な場合もあります。
当院で行う「プロピオン酸血症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な9つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「プロピオン酸血症 NGSパネル検査」では、プロピオン酸血症および関連する有機酸代謝異常症に関係するとされる9種類の遺伝子(BTD、HLCS、MMAA、MMAB、MMACHC、MMADHC、MUT、PCCA、PCCB)をまとめて検査します。
「プロピオン酸血症 NGSパネル検査」は、プロピオン酸血症および関連疾患の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【プロピオン酸血症または有機酸代謝異常症の個人歴または家族歴のある方】に
「プロピオン酸血症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・新生児マススクリーニングでプロピオニルカルニチン(C3)高値を指摘された方
・原因不明の代謝性アシドーシスを呈する方
・高アンモニア血症がある方
・新生児期から乳児期に哺乳不良・嘔吐・傾眠などの症状がある方
・尿中有機酸分析で3-ヒドロキシプロピオン酸、プロピオニルグリシン、メチルクエン酸の増加が認められた方
・メチルマロン酸の増加が認められた方
・発達遅滞や成長障害がある方
・反復する嘔吐や意識障害がある方
・プロピオン酸血症またはメチルマロン酸血症の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、プロピオン酸血症または関連する有機酸代謝異常症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な食事療法、薬物療法、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・プロピオン酸血症とメチルマロン酸血症の鑑別
・ビオチン反応性の複合カルボキシラーゼ欠損症の同定とビオチン治療の開始
・適切な食事療法(低タンパク質食、特殊ミルク)の導入
・薬物療法(L-カルニチン、抗生物質など)の適応判断
・代謝発作のリスク評価と予防的管理
・合併症(心筋症、腎障害、膵炎など)の早期発見と対応
・肝移植の適応評価
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝であるため、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
-
BTD, HLCS, MMAA, MMAB, MMACHC, MMADHC, MUT, PCCA, PCCB ( 9遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・BTD遺伝子:
ビオチニダーゼをコードする遺伝子。ビオチニダーゼ欠損症の原因遺伝子です。ビオチニダーゼはビオチンを食事から吸収し、ビオチン依存性酵素に供給する役割を担います。この遺伝子の変異により複合カルボキシラーゼ欠損症を呈し、プロピオン酸血症と類似の症状を示しますが、ビオチン投与により治療可能です。
・HLCS遺伝子:
ホロカルボキシラーゼ合成酵素(HCS)をコードする遺伝子。ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症の原因遺伝子です。HCSはビオチンを各種カルボキシラーゼ酵素に結合させる役割を担います。この遺伝子の変異により複合カルボキシラーゼ欠損症を呈し、プロピオン酸血症と類似の症状を示しますが、大量のビオチン投与により治療可能です。
・MMAA遺伝子:
メチルマロニルCoAムターゼのコバラミン(ビタミンB12)代謝に関与するタンパク質をコードする遺伝子。メチルマロン酸血症(cblA型)の原因遺伝子です。プロピオン酸血症の次の代謝段階の障害であり、メチルマロン酸が蓄積します。一部の症例ではビタミンB12投与が有効です。
・MMAB遺伝子:
メチルマロニルCoAムターゼのコバラミン代謝に関与するタンパク質をコードする遺伝子。メチルマロン酸血症(cblB型)の原因遺伝子です。一部の症例ではビタミンB12投与が有効です。
・MMACHC遺伝子:
コバラミンの細胞内代謝に関与するタンパク質をコードする遺伝子。メチルマロン酸血症とホモシステイン尿症の合併型(cblC型)の原因遺伝子です。最も頻度の高いメチルマロン酸血症のサブタイプです。
・MMADHC遺伝子:
コバラミンの細胞内代謝に関与するタンパク質をコードする遺伝子。メチルマロン酸血症とホモシステイン尿症の合併型(cblD型)の原因遺伝子です。
・MUT遺伝子:
メチルマロニルCoAムターゼをコードする遺伝子。メチルマロン酸血症(mut型)の原因遺伝子です。メチルマロニルCoAをスクシニルCoAに変換する酵素であり、この酵素の欠損によりメチルマロン酸が蓄積します。プロピオン酸血症の次の代謝段階の障害です。
・PCCA遺伝子:
プロピオニルCoAカルボキシラーゼのα-サブユニットをコードする遺伝子。染色体13q32に位置し、24個のエキソンから構成されています。この遺伝子の変異によりプロピオン酸血症が発症します。
・PCCB遺伝子:
プロピオニルCoAカルボキシラーゼのβ-サブユニットをコードする遺伝子。染色体3q13.2-q22に位置し、15個のエキソンから構成されています。この遺伝子の変異によりプロピオン酸血症が発症します。日本人ではY435C変異が高頻度に見られ、この変異は軽症型と関連しています。酵素活性が正常の約7%程度で、重篤なケトアシドーシス発作を起こしにくいとされています。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、9つの原因遺伝子のみを対象としています。プロピオン酸血症では大部分の症例で原因遺伝子が同定されますが、検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床診断と生化学的検査所見を総合的に判断する必要があります。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 新生児期から乳児期に哺乳不良、嘔吐、傾眠、筋緊張低下などの症状がある方、原因不明の代謝性アシドーシスや高アンモニア血症を呈する方におすすめします。また、新生児マススクリーニングでプロピオニルカルニチン(C3)高値を指摘された方、尿中有機酸分析で特徴的な所見がある方も検査をご検討ください。家族にプロピオン酸血症やメチルマロン酸血症の方がいる場合も検査が推奨されます。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- メチルマロン酸血症との違いは何ですか?
- プロピオン酸血症とメチルマロン酸血症は、代謝経路で隣接する疾患です。プロピオン酸血症ではメチルマロン酸の増加を伴わず、プロピオン酸とその代謝物(3-ヒドロキシプロピオン酸、プロピオニルグリシン、メチルクエン酸)のみが増加します。メチルマロン酸血症ではこれらに加えてメチルマロン酸も増加します。当検査により原因遺伝子を特定することで、正確な診断と適切な治療方針の決定が可能になります。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- プロピオン酸血症は常染色体劣性遺伝形式をとるため、両親はそれぞれ変異遺伝子を1つずつ持つ保因者です。兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- プロピオン酸血症では大部分の症例で原因遺伝子が同定されますが、検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状と生化学的検査所見に基づいた診断と管理が引き続き重要です。また、今後新たな原因遺伝子が発見される可能性もあります。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 常染色体劣性遺伝形式のため、保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- プロピオン酸血症の治療はどのように行われますか?
- 現在のところ根本的な治療法はありませんが、食事療法(低タンパク質食、特殊ミルク)、薬物療法(L-カルニチン、抗生物質など)、急性期の輸液療法などが行われます。重症例や反復する代謝発作がある場合は、肝移植が検討されることもあります。早期診断と適切な管理により、多くの患者さんは良好な予後が期待できます。
- 予後はどうですか?
- 予後は症例によって大きく異なります。日本で多く発見される軽症型(PCCB遺伝子Y435C変異)では、適切な管理により比較的良好な予後が期待できます。一方、新生児期発症の重症型では、早期診断と集中的な治療が必要です。長期的には神経発達遅滞、心筋症、腎障害などの合併症に注意が必要ですが、適切な管理により生活の質を維持できます。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な9つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら