進行性ミオクローヌスてんかん NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック
進行性ミオクローヌスてんかんとは
進行性ミオクローヌスてんかん(Progressive Myoclonic Epilepsy: PME)は、中枢神経系を侵す遺伝性疾患群で、進行性の症状として①ミオクローヌス(不随意な筋収縮)、②てんかん発作、③認知機能障害の三徴を特徴とします。これらに加えて、小脳症状(失調、振戦など)を伴うことも多く、症状は経年的に悪化します。
本疾患群は日本では指定難病309に指定されており、小児期から思春期に発症して成人以降も罹病期間が長い疾患です。ミオクローヌスてんかんとの重要な違いは、PMEではミオクローヌスがてんかん発作とは独立して起こる点です。通常のミオクロニー発作では両者が同時に起こりますが、PMEではミオクローヌスは不随意運動として単独で出現します。
進行性ミオクローヌスてんかんには、ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病、ラフォラ病、神経セロイドリポフスチン症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(BAFME)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、ゴーシェ病III型、シアリドーシスなど、多様な疾患が含まれます。原因は遺伝子異常であり、遺伝形式は常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、母系遺伝のいずれもあります。
症状と病態
進行性ミオクローヌスてんかんの主な症状は、進行性のミオクローヌス、てんかん発作、認知機能障害の三徴です。多くの場合、ミオクローヌスとてんかん発作で発症し、その後小脳症状や認知機能障害が出現します。症状の出現順序や進行速度は原因疾患により異なります。
主要症状
- ミオクローヌス(不随意な筋肉の瞬間的収縮)
- ミオクロニー発作
- 全般強直間代発作(GTCS)
- 小脳症状(失調、振戦など)
- 認知機能障害(進行性)
- 精神運動退行
- 歩行障害
- 構音障害
ミオクローヌスの特徴
PMEにおけるミオクローヌスは、舌・顔面および四肢に比較的対称性に、同期性および非同期性に起こる不規則で急速な筋収縮です。自発性ミオクローヌスに加えて、刺激誘発性(感覚刺激やストレス負荷)もあり、疲労時に増強しやすい特徴があります。動作開始時や肢位保持時に悪化することが多く、日常生活動作に大きな影響を及ぼします。
てんかん発作
てんかん発作は主に全般性強直間代発作とミオクロニー発作が見られます。多くの症例で光過敏性があり、光刺激により発作が誘発されやすいことが特徴です。脳波検査では全般性突発波、多棘波が認められ、基礎律動の徐波化が進行とともに顕著になります。
代表的疾患の特徴
原因疾患によって、特徴的な症状パターンが認められます:
- ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病:6~16歳で発症し、ミオクローヌスとてんかん発作で始まります。発症数年後に小脳失調症状、認知機能障害が出現しますが、認知機能障害は軽度のことも多いです
- ラフォラ病:思春期に発症し、急速に進行します。視覚症状(幻視、皮質盲)を伴うことが特徴で、予後不良です
- 神経セロイドリポフスチン症:発症年齢により乳児型、幼児型、小児型、成人型に分類されます。視力障害、精神運動退行が顕著です
- MERRF:ミトコンドリア病の一つで、筋生検で赤色ぼろ線維が認められます。母系遺伝を示します
- BAFME:成人以降に発症し、当初症状は軽度で緩徐に進行しますが、高齢で症状が悪化します。日本で比較的多い疾患です
進行と予後
疾患の進行速度は原因遺伝子によって大きく異なります。多くの症例では進行性で、精神運動退行により重症心身障害となることがあります。生命予後も原因疾患により異なり、ラフォラ病や重症型の神経セロイドリポフスチン症では発症後10~20年で死亡することが多い一方、ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病やBAFMEでは比較的予後が良好です。
遺伝形式と原因遺伝子
進行性ミオクローヌスてんかんは遺伝学的に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、母系遺伝(ミトコンドリア遺伝)のいずれの形式でも発症します。現在までに多数の原因遺伝子が同定されています。
常染色体劣性(潜性)遺伝形式
最も多い遺伝形式で、以下の疾患・遺伝子が知られています:
- CSTB遺伝子(ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病):システインプロテアーゼ阻害因子をコードし、6~16歳で発症します
- EPM2A、NHLRC1遺伝子(ラフォラ病):ラフォリンとマリンをコードし、思春期発症の急速進行型です
- CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、PPT1、TPP1、MFSD8、KCTD7遺伝子(神経セロイドリポフスチン症):リソソーム酵素や関連タンパク質をコードし、発症年齢により多様な病型があります
- GOSR2遺伝子:進行性ミオクローヌスてんかんと失調を特徴とします
- SCARB2遺伝子:ミオクローヌスてんかんと腎不全を伴います
- PRICKLE1遺伝子:進行性ミオクローヌス失調症の原因遺伝子です
常染色体優性(顕性)遺伝形式
- ADRA2B遺伝子(良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん):α2Bアドレナリン受容体をコードし、成人発症の比較的良性な経過をとります
その他の遺伝子
- GBA遺伝子(ゴーシェ病III型):β-グルコセレブロシダーゼをコードし、水平性眼球運動障害を伴います
- GRN遺伝子:プログラニュリンをコードし、神経変性疾患の原因となります
- IRF2BPL遺伝子:インターフェロン制御因子2結合タンパク質様をコードします
- ASAH1遺伝子:酸性セラミダーゼをコードし、進行性ミオクロニーてんかんを伴う脊髄性筋萎縮症の原因となります
当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な19遺伝子を対象としています。これにより、進行性ミオクローヌスてんかんの主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。
ミネルバクリニックの進行性ミオクローヌスてんかん遺伝子パネル検査の特徴
「進行性ミオクローヌスてんかん NGSパネル検査」とは、現在進行性ミオクローヌスてんかんの原因として報告されている19の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、進行性ミオクローヌスてんかんに関連する19遺伝子を一度に調べられる「進行性ミオクローヌスてんかん NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で進行性ミオクローヌスてんかんの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、進行性ミオクローヌスてんかんに関係するとされる19の遺伝子を一度に調べられる「進行性ミオクローヌスてんかん NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える進行性ミオクローヌスてんかんの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「進行性ミオクローヌスてんかん NGSパネル検査」の場合、19の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から進行性ミオクローヌスてんかんを疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「進行性ミオクローヌスてんかん NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な19の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「進行性ミオクローヌスてんかん NGSパネル検査」では、進行性ミオクローヌスてんかんに関係するとされる19種類の遺伝子(ADRA2B、ASAH1、CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、CSTB、EPM2A、GBA、GOSR2、GRN、IRF2BPL、KCTD7、MFSD8、NHLRC1、PPT1、PRICKLE1、SCARB2、TPP1)をまとめて検査します。
「進行性ミオクローヌスてんかん NGSパネル検査」は、進行性ミオクローヌスてんかんの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【進行性ミオクローヌスてんかんの個人歴または家族歴のある方】に
「進行性ミオクローヌスてんかん NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・ミオクローヌス(不随意な筋収縮)がある方
・てんかん発作(ミオクロニー発作、全般強直間代発作)がある方
・ミオクローヌスとてんかん発作が独立して起こる方
・小脳症状(失調、振戦など)がある方
・認知機能の低下が進行している方
・精神運動発達の退行が認められる方
・光刺激で発作が誘発される方(光過敏性)
・脳波検査で全般性突発波や多棘波が認められる方
・進行性ミオクローヌスてんかんの家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、進行性ミオクローヌスてんかんの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な抗てんかん薬の選択、リハビリテーション、生活環境の調整、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・原因疾患の特定による予後予測
・最適な抗てんかん薬の選択(疾患により適切な薬剤が異なります)
・避けるべき薬剤の特定(例:ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病ではフェニトインを避けます)
・合併症のリスク評価と早期発見
・視力障害、腎機能障害などの定期的モニタリング
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・適切なリハビリテーションプログラムの立案
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%、常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
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ADRA2B, ASAH1, CLN3, CLN5, CLN6, CLN8, CSTB, EPM2A, GBA, GOSR2, GRN, IRF2BPL, KCTD7, MFSD8, NHLRC1, PPT1, PRICKLE1, SCARB2, TPP1 ( 19遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・ADRA2B遺伝子:
α2Bアドレナリン受容体をコードする遺伝子。良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(BAFME)の原因遺伝子です。常染色体優性遺伝形式で、成人以降に発症し、比較的良性の経過をとります。
・ASAH1遺伝子:
酸性セラミダーゼをコードする遺伝子。進行性ミオクロニーてんかんを伴う脊髄性筋萎縮症(SMA-PME)の原因となります。常染色体劣性遺伝形式です。
・CLN3遺伝子:
リソソーム膜タンパク質をコードする遺伝子。神経セロイドリポフスチン症3型(若年型)の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。視力障害と認知機能障害が特徴的です。
・CLN5遺伝子:
リソソーム酵素をコードする遺伝子。神経セロイドリポフスチン症5型の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。
・CLN6遺伝子:
小胞体膜タンパク質をコードする遺伝子。神経セロイドリポフスチン症6型の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。
・CLN8遺伝子:
小胞体膜タンパク質をコードする遺伝子。神経セロイドリポフスチン症8型の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。
・CSTB遺伝子:
システインプロテアーゼ阻害因子(システチンB)をコードする遺伝子。ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病(ULD)の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。6~16歳で発症し、ミオクローヌスとてんかん発作で始まります。
・EPM2A遺伝子:
ラフォリンをコードする遺伝子。ラフォラ病の原因遺伝子の一つで、常染色体劣性遺伝形式です。思春期発症で急速に進行します。
・GBA遺伝子:
β-グルコセレブロシダーゼをコードする遺伝子。ゴーシェ病III型(神経型)の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。水平性眼球運動障害を伴います。
・GOSR2遺伝子:
ゴルジ体SNAREタンパク質をコードする遺伝子。進行性ミオクローヌスてんかんと失調を特徴とする疾患の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。
・GRN遺伝子:
プログラニュリンをコードする遺伝子。前頭側頭型認知症や神経セロイドリポフスチン症11型の原因遺伝子です。
・IRF2BPL遺伝子:
インターフェロン制御因子2結合タンパク質様をコードする遺伝子。進行性ミオクローヌスてんかんの原因遺伝子の一つです。
・KCTD7遺伝子:
カリウムチャネルテトラマー化ドメイン含有タンパク質7をコードする遺伝子。神経セロイドリポフスチン症の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。
・MFSD8遺伝子:
主要ファシリテータースーパーファミリードメイン含有タンパク質8をコードする遺伝子。神経セロイドリポフスチン症7型の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。
・NHLRC1遺伝子:
マリンをコードする遺伝子。ラフォラ病のもう一つの主要な原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。EPM2A遺伝子変異と同様の臨床像を呈します。
・PPT1遺伝子:
パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ1をコードする遺伝子。神経セロイドリポフスチン症1型(乳児型)の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。最も重症型です。
・PRICKLE1遺伝子:
平面細胞極性タンパク質をコードする遺伝子。進行性ミオクローヌス失調症の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。
・SCARB2遺伝子:
スカベンジャー受容体クラスB2をコードする遺伝子。進行性ミオクローヌスてんかんと腎不全を伴う疾患の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。
・TPP1遺伝子:
トリペプチジルペプチダーゼ1をコードする遺伝子。神経セロイドリポフスチン症2型(幼児型)の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式です。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、19の原因遺伝子のみを対象としています。進行性ミオクローヌスてんかんには他にも多数の原因遺伝子が存在し、検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と電気生理学的検査に基づいた診断が引き続き重要です。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- ミオクローヌス(不随意な筋収縮)とてんかん発作の両方がある方、特にこれらが独立して起こる場合におすすめします。小脳症状(失調、振戦)や認知機能の低下が進行している場合、光刺激で発作が誘発される場合(光過敏性)も検査をご検討ください。また、家族に進行性ミオクローヌスてんかんの方がいる場合も重要です。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- ミオクロニー発作とミオクローヌスの違いは何ですか?
- ミオクロニー発作はてんかん発作の一種で、脳の異常な電気活動により筋肉が収縮します。一方、進行性ミオクローヌスてんかんのミオクローヌスは、てんかん発作とは独立した不随意運動として出現します。この違いが診断の重要なポイントです。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。最も多い常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。常染色体優性遺伝の場合(BAFMEなど)は、お子さんが発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- 進行性ミオクローヌスてんかんには多数の原因遺伝子が存在し、この検査パネルでは19遺伝子のみを対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と電気生理学的検査(脳波、誘発電位など)に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、原因疾患の特定、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体劣性遺伝の場合、保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 進行性ミオクローヌスてんかんの治療はどのように行われますか?
- 現在のところ根本的な治療法はありませんが、抗てんかん薬による対症療法が中心です。原因疾患により適切な薬剤が異なります。例えば、バルプロ酸、レベチラセタム、ペランパネルなどが有効です。一方、ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病ではフェニトインは小脳失調を悪化させるため避けます。原因遺伝子の特定により、最適な薬剤選択が可能になります。
- 予後はどうですか?
- 予後は原因疾患により大きく異なります。ラフォラ病や重症型の神経セロイドリポフスチン症では発症後10~20年で死亡することが多い一方、ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病やBAFMEでは適切な管理により比較的良好な予後が期待できます。原因遺伝子の特定により予後予測が可能になり、適切な管理計画を立てることができます。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な19の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
- 進行性ミオクローヌスてんかんは指定難病ですか?
- はい、進行性ミオクローヌスてんかんは日本の指定難病309に指定されています。ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病、ラフォラ病、良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(BAFME)などが含まれます。指定難病に認定されると、医療費助成を受けられる可能性があります。詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら