原発性アルドステロン症遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック
原発性アルドステロン症とは
原発性アルドステロン症(Primary Aldosteronism: PA)は、副腎から過剰なアルドステロンが分泌されることにより、高血圧や低カリウム血症を引き起こす内分泌疾患です。かつては稀な疾患と考えられていましたが、近年の研究により、高血圧患者の5~10%が本疾患であることが明らかになっています。特に、治療抵抗性高血圧(3種類以上の降圧薬を内服しても血圧が下がりにくい)の患者さんでは約20%を占めるとされています。
アルドステロンは副腎皮質から分泌されるホルモンで、腎臓でのナトリウムと水の再吸収を促進し、血圧と水分量を適切な状態に調整する役割を果たしています。通常、アルドステロンの分泌は腎臓から分泌されるレニンという酵素によって制御されています。しかし、原発性アルドステロン症では、レニンが低値にもかかわらず副腎からアルドステロンが自律的に過剰分泌される状態となります。
原発性アルドステロン症は、単なる高血圧ではなく、本態性高血圧と比較して脳卒中、心筋梗塞、心房細動、心肥大、心不全、慢性腎臓病などの心血管系合併症のリスクが3~6倍高いことが報告されています。適切な診断がされないまま本態性高血圧として治療されているケースが多く、早期発見と適切な治療が極めて重要です。
原因遺伝子と病型
原発性アルドステロン症は、原因によって大きく2つのタイプに分けられます。1つは副腎腫瘍(ほとんどは良性腺腫)が原因となるタイプ(アルドステロン産生腺腫:APA)で、もう1つは両側の副腎全体からアルドステロンが過剰分泌される過形成タイプ(特発性アルドステロン症:IHA)です。これらのタイプの鑑別には、副腎静脈サンプリング検査が必須となります。
近年の遺伝学的研究により、アルドステロン産生腺腫の約90%で、イオンチャネルやポンプに関連する遺伝子の体細胞変異が同定されています。これらの変異は細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こし、結果としてアルドステロン合成酵素(CYP11B2)の発現が活性化され、アルドステロンが過剰産生されます。
主な原因遺伝子
KCNJ5遺伝子
内向き整流性カリウムチャネル(GIRK4)をコードする遺伝子です。この遺伝子の変異は、アルドステロン産生腺腫の約30~40%(日本では約70~80%)で検出され、最も頻度の高い原因遺伝子です。変異によりイオン選択性が障害され、細胞内にナトリウムが流入することで細胞膜の脱分極や細胞内カルシウム濃度上昇をきたし、アルドステロンの過剰産生につながります。また、KCNJ5遺伝子の生殖細胞系列変異は家族性アルドステロン症3型(FH-III)の原因となります。
CACNA1H遺伝子
電圧依存性T型カルシウムチャネルのα-1Hサブユニット(Cav3.2)をコードする遺伝子です。この遺伝子の生殖細胞系列変異は家族性アルドステロン症4型(FH-IV)の原因として知られており、小児期発症の原発性アルドステロン症に関連しています。近年、体細胞変異もアルドステロン産生腺腫の原因として報告されています。変異によりカルシウム電流の特性が変化し、細胞内カルシウム濃度が上昇することでアルドステロンの過剰産生を引き起こします。
CLCN2遺伝子
クロライド(塩素イオン)チャネル(ClC-2)をコードする遺伝子です。この遺伝子の体細胞変異は、アルドステロン産生腺腫の原因の一つとして近年同定されました。変異により、細胞の電気的特性が変化し、最終的にアルドステロンの過剰産生につながると考えられています。
CYP11B1遺伝子とCYP11B2遺伝子
CYP11B1遺伝子は11β-水酸化酵素をコードし、主にコルチゾール合成に関与します。CYP11B2遺伝子はアルドステロン合成酵素をコードし、アルドステロン合成の最終段階を触媒する重要な酵素です。この2つの遺伝子は第8染色体上で近接して存在しており、不等交叉によってCYP11B1/CYP11B2キメラ遺伝子が生じることがあります。このキメラ遺伝子は、グルココルチコイド抑制性アルドステロン症(GRA)または家族性アルドステロン症1型(FH-I)と呼ばれる遺伝性の原発性アルドステロン症の原因となります。この病型では、通常は副腎束状層でのみ発現するACTH(副腎皮質刺激ホルモン)による制御下でアルドステロンが産生されるため、少量のグルココルチコイド投与によってアルドステロン分泌が抑制されるという特徴があります。
これらの遺伝子変異は、主にカリウムチャネル、カルシウムチャネル、クロライドチャネルなど細胞内のイオン動態に関連するものが多く、共通して細胞内カルシウム濃度の上昇を通じてアルドステロンの過剰産生を引き起こすメカニズムが解明されつつあります。遺伝子検査により原因を特定することで、より適切な治療方針の決定が可能になります。
症状と病態
原発性アルドステロン症では、アルドステロンの過剰分泌により様々な症状と合併症が引き起こされます。アルドステロンは腎臓においてナトリウムの再吸収を促進し、カリウムの排出を増加させるため、高血圧と低カリウム血症が主要な特徴となります。
主要症状
- 高血圧:治療抵抗性の高血圧が多く、3種類以上の降圧薬を使用しても血圧が下がりにくいことが特徴です。夜から朝にかけて血圧が高くなりやすい傾向があります。
- 低カリウム血症:血液中のカリウム濃度が低下します。ただし、原発性アルドステロン症の患者さんの約半数はカリウム値が正常範囲内であるため、低カリウム血症がなくても本疾患を除外することはできません。
- 筋力低下・疲労感:低カリウム血症に伴う症状として、全身の筋力低下や易疲労感が現れることがあります。
- 多尿・多飲:低カリウム血症により腎臓の濃縮能が低下し、多尿と多飲がみられることがあります。
- 不整脈:低カリウム血症により心電図異常や不整脈が生じることがあります。
- 四肢麻痺:重度の低カリウム血症では、周期性四肢麻痺が出現することがあります。
- 頭痛・めまい:高血圧に伴う症状として頭痛やめまいが現れることがあります。
心血管系合併症のリスク
原発性アルドステロン症では、アルドステロン自体が直接的に臓器障害を引き起こすため、本態性高血圧と比較して心血管系合併症のリスクが著しく高くなります。
- 脳血管障害:脳卒中(脳出血・脳梗塞)のリスクが本態性高血圧の3~6倍
- 心疾患:心筋梗塞、心肥大、心房細動、心不全のリスク増加
- 腎障害:慢性腎臓病の進行リスク
- 動脈硬化:血管の動脈硬化が促進される
- 代謝異常:糖尿病やメタボリックシンドロームの合併リスク増加
これらの合併症は、高血圧の罹病期間が長くなるにつれて増加する傾向があります。原発性アルドステロン症では、発症から10年未満で臓器障害が起こり始めることが報告されており、早期診断と適切な治療開始が極めて重要です。
診断のポイント
診断には、血液検査でアルドステロン濃度とレニン活性を測定し、アルドステロン/レニン比(ARR)を計算します。ARRが200以上の場合、原発性アルドステロン症が疑われます。確定診断後は、副腎静脈サンプリング検査により、アルドステロンの過剰分泌が片側性か両側性かを判定し、治療方針を決定します。
ミネルバクリニックの原発性アルドステロン症遺伝子パネル検査の特徴
「原発性アルドステロン症NGSパネル検査」とは、現在原発性アルドステロン症の原因として報告されている5つの遺伝子(CACNA1H、CLCN2、CYP11B1、CYP11B2、KCNJ5)に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、原発性アルドステロン症に関連する主要な遺伝子を一度に調べられる「原発性アルドステロン症NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で原発性アルドステロン症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、原発性アルドステロン症に関係するとされる5つの遺伝子を一度に調べられる「原発性アルドステロン症NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える原発性アルドステロン症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「原発性アルドステロン症NGSパネル検査」の場合、5つの主要な遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から原発性アルドステロン症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「原発性アルドステロン症NGSパネル検査」ならば、主要な原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「原発性アルドステロン症NGSパネル検査」では、原発性アルドステロン症に関係するとされる5種類の遺伝子(CACNA1H、CLCN2、CYP11B1、CYP11B2、KCNJ5)をまとめて検査します。これらは国際的に原発性アルドステロン症の主要な原因遺伝子として認識されています。
「原発性アルドステロン症NGSパネル検査」は、原発性アルドステロン症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【原発性アルドステロン症の個人歴または家族歴のある方】に
「原発性アルドステロン症NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・治療抵抗性高血圧(3種類以上の降圧薬を使用しても血圧が下がりにくい)の方
・若年性高血圧(40歳未満での高血圧発症)の方
・低カリウム血症を伴う高血圧の方
・高血圧に伴う筋力低下、疲労感、多尿などの症状がある方
・血液検査でアルドステロン/レニン比(ARR)が高値の方
・副腎に偶発腫瘍が見つかった方
・原発性アルドステロン症の家族歴がある方(特に若年発症例)
・家族性高血圧の家系の方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、原発性アルドステロン症の病型診断や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、家族性アルドステロン症が判明した場合には、家族への情報提供や遺伝カウンセリングを通じて、適切な予防・早期発見につなげることができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・病型の鑑別(散発性か家族性か)
・治療方針の決定(手術適応か薬物療法か)
・家族性アルドステロン症の診断による家族のスクリーニング
・若年発症例での早期診断・早期治療介入
・心血管系合併症の予防
・脳卒中・心筋梗塞リスクの管理
・腎機能障害の進行予防
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前診断の選択肢提供(家族性の場合)
患者さんで病原性変異が同定された場合、特に家族性アルドステロン症では常染色体優性遺伝形式をとるため、第一度近親者(親、子、兄弟姉妹)が同じ変異を持つリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにし、早期発見・早期治療につなげることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
-
CACNA1H, CLCN2, CYP11B1, CYP11B2, KCNJ5 ( 5遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・CACNA1H遺伝子:
電圧依存性T型カルシウムチャネルのα-1Hサブユニット(Cav3.2)をコードする遺伝子。生殖細胞系列変異は家族性アルドステロン症4型(FH-IV)の原因となり、小児期発症の原発性アルドステロン症に関連。近年、体細胞変異もアルドステロン産生腺腫で報告されている。変異によりカルシウム電流の特性が変化し、細胞内カルシウム濃度上昇を通じてアルドステロンの過剰産生を引き起こす。
・CLCN2遺伝子:
クロライドチャネル(ClC-2)をコードする遺伝子。体細胞変異がアルドステロン産生腺腫の原因の一つとして近年同定された。変異により細胞の電気的特性が変化し、最終的にアルドステロンの過剰産生につながると考えられている。頻度は比較的低いが、原発性アルドステロン症の遺伝的多様性を示す重要な遺伝子。
・CYP11B1遺伝子:
11β-水酸化酵素をコードする遺伝子で、主に副腎束状層でコルチゾール合成に関与する。CYP11B2遺伝子と近接して存在し、不等交叉によりCYP11B1/CYP11B2キメラ遺伝子が形成されることがある。このキメラ遺伝子は、グルココルチコイド抑制性アルドステロン症(GRA)または家族性アルドステロン症1型(FH-I)の原因となる。この病型では、ACTH制御下でアルドステロンが産生されるため、少量のグルココルチコイド投与で治療可能という特徴がある。
・CYP11B2遺伝子:
アルドステロン合成酵素をコードする遺伝子で、アルドステロン合成の最終段階を触媒する重要な酵素。副腎球状層で特異的に発現し、11-デオキシコルチコステロン(DOC)をコルチコステロン、18-ヒドロキシコルチコステロンを経てアルドステロンに変換する。CYP11B1遺伝子との不等交叉によるキメラ遺伝子形成が家族性アルドステロン症1型の原因となる。また、CYP11B2遺伝子の発現異常は原発性アルドステロン症の病態に深く関与している。
・KCNJ5遺伝子:
内向き整流性カリウムチャネル(G protein-activated inward rectifier potassium channel 4:GIRK4)をコードする遺伝子。体細胞変異はアルドステロン産生腺腫の最も頻度の高い原因で、全体の約30~40%(日本では約70~80%)に認められる。変異によりイオン選択性が障害され、細胞内にナトリウムが流入することで細胞膜の脱分極や細胞内カルシウム濃度上昇をきたし、CYP11B2遺伝子の転写が活性化されてアルドステロンが過剰産生される。生殖細胞系列変異は家族性アルドステロン症3型(FH-III)の原因となる。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、5つの主要な原因遺伝子のみを対象としています。他の稀な原因遺伝子(ATP1A1、ATP2B3、CACNA1D、CTNNB1など)の検査が必要な場合は、別途ご相談ください。
※家族性アルドステロン症1型(グルココルチコイド抑制性アルドステロン症:GRA)の診断には、CYP11B1/CYP11B2キメラ遺伝子の検出が必要ですが、この検査では標準的な配列解析によりある程度の情報は得られるものの、キメラ遺伝子の完全な検出には特殊な解析手法が必要となる場合があります。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 治療抵抗性高血圧(3種類以上の降圧薬を使用しても血圧が下がりにくい)の方、若年性高血圧(40歳未満での高血圧発症)の方、低カリウム血症を伴う高血圧の方におすすめします。また、原発性アルドステロン症の家族歴がある場合や、副腎に偶発腫瘍が見つかった場合も検査をご検討ください。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 家族性アルドステロン症が判明した場合、常染色体優性遺伝形式をとるため、第一度近親者(親、子、兄弟姉妹)が同じ変異を持つリスクは50%です。ご家族の検査により、早期発見・早期治療につなげることができます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- この検査では5つの主要な原因遺伝子のみを対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、他の稀な遺伝子変異の可能性や、遺伝子変異を伴わない原発性アルドステロン症の可能性があります。主治医と相談して、必要に応じて追加の検査や副腎静脈サンプリングなどの精密検査を受けることが重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。ただし、診断確定後の治療については保険診療となります。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 家族性アルドステロン症は常染色体優性遺伝形式をとるため、変異を持つ親から子どもへ遺伝する確率は50%です。検査結果により、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 原発性アルドステロン症の治療はどのように行われますか?
- 治療は病型によって異なります。片側性のアルドステロン産生腺腫の場合は手術(腹腔鏡下副腎摘出術)により根治が期待できます。両側性の過形成や手術適応のない場合は、アルドステロン受容体拮抗薬(スピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノンなど)による薬物療法を行います。家族性アルドステロン症1型(GRA)の場合は、少量のグルココルチコイド投与で治療が可能です。
- 予後はどうですか?
- 適切な治療により、血圧のコントロールと心血管系合併症の予防が可能です。片側性腺腫で手術が成功した場合、約50~70%の患者さんで高血圧が治癒または改善します。特に若年者や高血圧の罹病期間が短い方では治療効果が高い傾向があります。早期診断と適切な治療により、脳卒中や心筋梗塞などの重篤な合併症を予防することが重要です。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では原発性アルドステロン症の主要な5つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも検査を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら