ADA, AICDA, ATM, BLNK, BTK, CD19, CD40, CD40LG, CD79A, CD79B, CD81, CR2, DCLRE1C, ICOS, IGLL1, IKBKG, IL2RG, LRBA, LRRC8A, MRE11, MS4A1, NBN, NFKB2, NFKBIA, PIK3CD, PIK3R1, PLCG2, PRKCD, PTPRC, RAG1, RAG2, SH2D1A, TNFRSF13B, TNFRSF13C, UNG, VAV1, XIAP ( 37遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・ADA遺伝子:
アデノシンデアミナーゼをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、重症複合免疫不全症(SCID)の約10-15%の原因となります。酵素補充療法や造血幹細胞移植が治療選択肢となります。
・AICDA遺伝子:
活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、高IgM症候群2型(HIGM2)の原因となります。抗体のクラススイッチと体細胞高頻度変異に必須です。
・ATM遺伝子:
毛細血管拡張性運動失調症の原因遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、免疫不全、神経症状、悪性腫瘍のリスク増加を特徴とします。DNA修復に関与します。
・BLNK遺伝子:
B細胞リンカータンパク質をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、無ガンマグロブリン血症の原因となります。B細胞受容体シグナル伝達に重要です。
・BTK遺伝子:
Brutonチロシンキナーゼをコードする遺伝子。X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)の原因遺伝子で、男性に発症します。B細胞の成熟に必須で、分子標的治療薬の開発も進んでいます。
・CD19遺伝子:
B細胞受容体複合体の一部をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、無ガンマグロブリン血症の原因となります。
・CD40遺伝子:
TNF受容体ファミリーのメンバーをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、高IgM症候群の原因となります。
・CD40LG遺伝子:
CD40リガンドをコードする遺伝子。X連鎖高IgM症候群(HIGM1)の原因遺伝子で、最も頻度の高い高IgM症候群です。抗体のクラススイッチに必須で、日和見感染症のリスクが高くなります。
・CD79A遺伝子:
B細胞受容体のシグナル伝達分子をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、無ガンマグロブリン血症の原因となります。
・CD79B遺伝子:
B細胞受容体のシグナル伝達分子をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、無ガンマグロブリン血症の原因となります。
・CD81遺伝子:
B細胞の活性化に関与するテトラスパニンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、抗体欠損症の原因となります。
・CR2遺伝子:
補体受容体2型(CD21)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、分類不能型免疫不全症(CVID)様の症状を呈します。
・DCLRE1C遺伝子:
DNAクロスリンク修復酵素をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、重症複合免疫不全症(SCID)の原因となります。
・ICOS遺伝子:
誘導性共刺激分子をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、分類不能型免疫不全症(CVID)の原因となります。
・IGLL1遺伝子:
免疫グロブリンλ様ポリペプチド1をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、無ガンマグロブリン血症の原因となります。
・IKBKG遺伝子(NEMO):
IκBキナーゼγをコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式で、色素失調症や免疫不全を引き起こします。
・IL2RG遺伝子:
インターロイキン2受容体γ鎖(共通γ鎖)をコードする遺伝子。X連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)の原因遺伝子で、最も頻度の高いSCIDです。
・LRBA遺伝子:
LPS応答性ベージュ様アンカータンパク質をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、分類不能型免疫不全症(CVID)や自己免疫疾患を引き起こします。
・LRRC8A遺伝子:
ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーAをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、無ガンマグロブリン血症の原因となります。
・MRE11遺伝子:
DNA二本鎖切断修復に関与する遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、毛細血管拡張性運動失調症様症候群の原因となります。
・MS4A1遺伝子(CD20):
B細胞表面抗原CD20をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、抗体欠損症の原因となります。
・NBN遺伝子:
ナイブリンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、ナイミーヘン染色体不安定症候群の原因となります。DNA修復に関与し、免疫不全と悪性腫瘍のリスク増加を特徴とします。
・NFKB2遺伝子:
NFκB2転写因子をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、分類不能型免疫不全症(CVID)の原因となります。
・NFKBIA遺伝子:
NFκB阻害因子αをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、免疫不全症の原因となります。
・PIK3CD遺伝子:
ホスファチジルイノシトール3キナーゼδをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式(機能獲得型変異)で、活性化PI3Kδ症候群(APDS)の原因となります。分子標的治療薬が利用可能です。
・PIK3R1遺伝子:
ホスファチジルイノシトール3キナーゼ調節サブユニットをコードする遺伝子。常染色体優性または劣性遺伝形式で、活性化PI3Kδ症候群様の症状を呈します。
・PLCG2遺伝子:
ホスホリパーゼCγ2をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、抗体欠損症や自己免疫疾患の原因となります。
・PRKCD遺伝子:
プロテインキナーゼCδをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、抗体欠損症や自己免疫疾患の原因となります。
・PTPRC遺伝子(CD45):
タンパク質チロシンホスファターゼ受容体Cをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、重症複合免疫不全症(SCID)の原因となります。
・RAG1遺伝子:
組換え活性化遺伝子1をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、重症複合免疫不全症(SCID)やオーメン症候群の原因となります。V(D)J組換えに必須です。
・RAG2遺伝子:
組換え活性化遺伝子2をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、RAG1と同様にSCIDの原因となります。
・SH2D1A遺伝子(SAP):
SH2ドメイン含有1Aをコードする遺伝子。X連鎖リンパ増殖症候群1型(XLP1)の原因遺伝子で、EBウイルス感染に対する異常な免疫応答を特徴とします。
・TNFRSF13B遺伝子(TACI):
TNF受容体スーパーファミリーメンバー13Bをコードする遺伝子。常染色体優性または劣性遺伝形式で、分類不能型免疫不全症(CVID)や選択的IgA欠損症の最も頻度の高い原因遺伝子の一つです。
・TNFRSF13C遺伝子(BAFF-R):
B細胞活性化因子受容体をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、分類不能型免疫不全症(CVID)の原因となります。
・UNG遺伝子:
ウラシルDNAグリコシラーゼをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、高IgM症候群5型(HIGM5)の原因となります。AICAと協調して抗体の多様性生成に関与します。
・VAV1遺伝子:
グアニンヌクレオチド交換因子をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、重症複合免疫不全症(SCID)の原因となります。
・XIAP遺伝子:
X連鎖アポトーシス阻害タンパク質をコードする遺伝子。X連鎖リンパ増殖症候群2型(XLP2)の原因遺伝子で、EBウイルス感染や炎症性腸疾患のリスクが高まります。