多発性嚢胞腎遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック
多発性嚢胞腎とは
多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)は、両側の腎臓に多数の嚢胞(液体で満たされた袋状の構造物)が発生・増大する遺伝性疾患です。嚢胞が徐々に大きくなることで正常な腎組織が圧迫され、腎機能が低下していきます。進行すると末期腎不全に至り、透析や腎移植が必要となることがあります。
多発性嚢胞腎には、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD:Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease)と常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD:Autosomal Recessive Polycystic Kidney Disease)の2つの主要な病型があります。ADPKDは成人期に発症することが多く、ARPKDは乳幼児期に発症する重症型です。
多発性嚢胞腎は日本では指定難病67に認定されており、最も頻度の高い遺伝性腎疾患です。ADPKDの有病率は10万人あたり約60人で、日本全体では約3万1千人の患者さんがいると推定されています。ARPKDはより稀で、出生2万人に1人程度の頻度です。腎不全の原因として、ADPKDは透析導入原因の約5%を占めています。
症状と病態
多発性嚢胞腎の症状は病型や個人によって大きく異なります。ADPKDは成人期まで無症状で経過することが多く、30~40歳代で症状が現れることが一般的です。一方、ARPKDは出生時または乳幼児期に症状が現れ、より重症な経過をたどります。
ADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)の症状
ADPKDの多くの方は30~40歳代まで無症状で経過し、健康診断や人間ドックの超音波検査、あるいは家族歴から偶然発見されることが多いです。症状が出現する場合の主な症状は以下の通りです。
- 肉眼的血尿(目で見てわかる血尿):嚢胞出血により発生(約31%)
- 側腹部痛・背部痛:嚢胞の増大や出血、感染により発生(約30%)
- 腹部膨満感:腎臓や肝臓が著しく大きくなることによる(約4%)
- 腹部腫瘤:触診で腎臓の腫大が触知される(約8%)
- 高血圧:腎機能が正常な時期から発症することが多い(50~80%)
- 易疲労感:腎機能低下に伴い出現(約9%)
- 発熱:嚢胞感染時に出現(約7%)
- 浮腫:腎機能低下に伴い出現(約6%)
- 頭痛:高血圧や脳動脈瘤に関連(約5%)
- 嘔気:腎機能低下や腹部圧迫感により出現(約5%)
嚢胞関連の合併症
ADPKDでは腎嚢胞に関連した以下の合併症が起こることがあります。
- 嚢胞出血:嚢胞内の細い血管から出血が起こり、肉眼的血尿の原因となります。痛みを伴うこともあります。
- 嚢胞感染:嚢胞や腎臓に細菌が侵入して感染を起こします。背部痛、発熱、全身倦怠感などの症状が現れます。30~50%の患者さんが経験し、時に難治性となり再発を繰り返すことがあります。
- 尿路結石:ADPKDでは尿路結石ができやすく、男性の21%、女性の13%に起こると報告されています。きわめて強い右または左に偏った背部痛や腹痛が特徴的です。
腎外合併症
多発性嚢胞腎では腎臓以外の臓器にも嚢胞や異常が生じることがあります。
- 肝嚢胞:最も頻度の高い腎外合併症で、多くの患者さんに認められます。通常は無症状ですが、肝臓が著しく大きくなると腹部膨満感や食欲不振が生じることがあります。肝機能は通常正常に保たれます。
- 脳動脈瘤:脳の血管に膨らみ(こぶ)ができる病気で、破裂するとくも膜下出血を起こし生命に関わります。ADPKDでは一般人より発生頻度が高く、家族に脳動脈瘤の既往がある場合は約16%、ない場合でも約5~10%に認められます。診断時には必ず検査が行われ、陰性の場合も数年に1回の定期検査が必要です。
- 心臓弁膜症:約25%の患者さんに僧房弁逸脱などの心臓弁膜症が認められます。動悸や胸痛を伴うことがあります。
- 大腸憩室:大腸の壁に小さな袋状のくぼみができる病気で、ADPKDで頻度が高いとされています。
- 腹壁ヘルニア:鼠径ヘルニアや臍ヘルニアなどが起こりやすいことが知られています。
ARPKD(常染色体劣性多発性嚢胞腎)の症状
ARPKDは乳幼児期に発症する重症型で、症状の発現時期により予後が異なります。
- 周産期・新生児期発症:胎児期から腎臓が著しく腫大し、羊水過少を伴います。肺の発育不全により出生後の呼吸不全が問題となり、約30%が新生児期に死亡します。腹部の著明な膨隆が特徴的です。
- 乳児期発症:生後4週から1歳までに発症する型で、腎腫大と肝線維症が主な特徴です。高血圧が早期から出現します。
- 小児期・若年成人発症:より軽症な型で、肝線維症による門脈圧亢進症(食道静脈瘤、脾腫など)が主な症状となります。腎機能低下は比較的緩徐です。
進行と予後
ADPKDは緩徐進行性の疾患で、腎機能低下の速度は個人差が大きく、原因遺伝子によっても異なります。PKD1遺伝子変異の場合は比較的進行が早く、平均53歳で末期腎不全に至りますが、PKD2遺伝子変異の場合は進行が遅く、平均74歳で末期腎不全に至ります。全体として、60歳までに約半数の患者さんが末期腎不全となり透析や腎移植が必要となります。
遺伝形式と原因遺伝子
多発性嚢胞腎は遺伝性疾患であり、病型により遺伝形式と原因遺伝子が異なります。
常染色体優性(顕性)遺伝形式:ADPKD
ADPKDは常染色体優性遺伝形式をとり、両親のどちらか一方が病気をもっている場合、子どもに50%(2分の1)の確率で遺伝します。性別に関係なく遺伝し、遺伝しなかった子どもは発症しません。ただし、約5~10%の患者さんでは家族歴がなく、新規変異(de novo変異)によって発症します。
ADPKDの原因遺伝子は2つあります。
- PKD1遺伝子(16番染色体):Polycystin-1というタンパク質をコードします。ADPKD患者の約85%がこの遺伝子変異によるもので、PKD2変異よりも症状が重く、進行が早い傾向があります。平均53歳で末期腎不全に至ります。
- PKD2遺伝子(4番染色体):Polycystin-2というタンパク質をコードします。ADPKD患者の約15%がこの遺伝子変異によるもので、PKD1変異よりも症状が軽く、進行が遅い傾向があります。平均74歳で末期腎不全に至ります。
Polycystin-1とPolycystin-2は細胞内カルシウム輸送や細胞周期調節に関与しており、これらの異常が嚢胞形成につながると考えられています。また、繊毛(せんもう)という細胞の突起構造の機能異常が病態に関与していることも明らかになっています。
常染色体劣性(潜性)遺伝形式:ARPKD
ARPKDは常染色体劣性遺伝形式をとります。両親がともに保因者(キャリア)である場合、子どもが発症する確率は25%(4分の1)、保因者となる確率は50%(2分の1)、完全に正常である確率は25%(4分の1)です。保因者は通常無症状です。
- PKHD1遺伝子(6番染色体):Fibrocystin/Polyductinというタンパク質をコードします。ARPKDの原因遺伝子として唯一知られています。この遺伝子変異により、腎集合管と胆管の拡張、腎嚢胞形成、肝線維症が生じます。
その他の関連遺伝子
最近の研究により、多発性嚢胞腎に関連する追加の遺伝子が報告されています。
- DNAJB11遺伝子:小胞体ストレス応答に関与するシャペロンタンパク質をコードします。この遺伝子変異により多発性嚢胞腎を発症することが報告されています。
- DZIP1L遺伝子:繊毛形成に関与するタンパク質をコードします。変異により多発性嚢胞腎様の症状を呈することがあります。
- GANAB遺伝子:糖タンパク質プロセシングに関与する酵素をコードします。変異によりADPKD様の症状を呈することが報告されています。
当検査パネルでは、これらの原因遺伝子を含む6遺伝子(DNAJB11、DZIP1L、GANAB、PKD1、PKD2、PKHD1)を対象としています。これにより、多発性嚢胞腎の主要な遺伝的原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。
ミネルバクリニックの多発性嚢胞腎遺伝子パネル検査の特徴
「多発性嚢胞腎 NGSパネル検査」とは、現在多発性嚢胞腎の原因として報告されている6つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、多発性嚢胞腎に関連する6遺伝子を一度に調べられる「多発性嚢胞腎 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で多発性嚢胞腎の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、多発性嚢胞腎に関係するとされる6つの遺伝子を一度に調べられる「多発性嚢胞腎 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える多発性嚢胞腎の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「多発性嚢胞腎 NGSパネル検査」の場合、6つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状や画像検査から多発性嚢胞腎を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「多発性嚢胞腎 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な6つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「多発性嚢胞腎 NGSパネル検査」では、多発性嚢胞腎に関係するとされる6種類の遺伝子(DNAJB11、DZIP1L、GANAB、PKD1、PKD2、PKHD1)をまとめて検査します。
「多発性嚢胞腎 NGSパネル検査」は、多発性嚢胞腎の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【多発性嚢胞腎の個人歴または家族歴のある方】に
「多発性嚢胞腎 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・超音波検査やCT検査で両側腎臓に多数の嚢胞が認められた方
・腎臓の腫大が指摘された方
・原因不明の腎機能低下がある方
・肉眼的血尿を繰り返す方
・側腹部痛や背部痛が続く方
・腹部膨満感がある方
・若年で高血圧を発症した方
・肝嚢胞が認められる方
・脳動脈瘤が指摘された方
・多発性嚢胞腎の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
・新生児や乳児で腎腫大や肝線維症が認められる方(ARPKD疑い)
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、多発性嚢胞腎の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な血圧管理、進行抑制治療、合併症のスクリーニング、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の嚢胞性腎疾患との鑑別
・疾患の進行予測(PKD1とPKD2で予後が異なる)
・適切な血圧管理の開始
・進行抑制薬(トルバプタン)の適応判断
・脳動脈瘤や心臓弁膜症などの合併症スクリーニング
・肝嚢胞の評価と管理
・嚢胞感染や嚢胞出血への対応計画
・食事療法や生活指導の個別化
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
・難病医療費助成制度の申請サポート
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝(ADPKD)の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝(ARPKD)の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
-
DNAJB11, DZIP1L, GANAB, PKD1, PKD2, PKHD1 ( 6遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・DNAJB11遺伝子:
小胞体局在性シャペロンタンパク質をコードする遺伝子。小胞体ストレス応答に関与し、タンパク質の適切な折り畳みをサポートします。この遺伝子変異により多発性嚢胞腎を発症することが報告されています。
・DZIP1L遺伝子:
繊毛形成に関与するタンパク質をコードする遺伝子。繊毛は細胞表面の突起構造で、細胞内シグナル伝達に重要な役割を果たします。変異により多発性嚢胞腎様の症状を呈することがあります。
・GANAB遺伝子:
グルコシダーゼIIαサブユニットをコードする遺伝子。糖タンパク質のプロセシングに関与します。変異によりADPKD様の症状を呈することが報告されており、PKD1やPKD2に変異が見つからない症例で同定されることがあります。
・PKD1遺伝子(16番染色体):
Polycystin-1をコードする遺伝子。Polycystin-1は細胞間接着や細胞内シグナル伝達に関与する大型の膜貫通タンパク質です。ADPKD患者の約85%がこの遺伝子変異によるもので、PKD2変異よりも症状が重く、進行が早い傾向があります。平均53歳で末期腎不全に至ります。
・PKD2遺伝子(4番染色体):
Polycystin-2をコードする遺伝子。Polycystin-2はカルシウムチャネルとして機能し、細胞内カルシウム濃度の調節に重要な役割を果たします。ADPKD患者の約15%がこの遺伝子変異によるもので、PKD1変異よりも症状が軽く、進行が遅い傾向があります。平均74歳で末期腎不全に至ります。
・PKHD1遺伝子(6番染色体):
Fibrocystin/Polyductinをコードする遺伝子。このタンパク質は腎集合管と胆管の上皮細胞に存在し、繊毛に局在します。常染色体劣性遺伝形式で、ARPKDの原因遺伝子として唯一知られています。両親がともに保因者の場合、子どもが発症する確率は25%です。新生児期または乳幼児期に発症し、腎嚢胞、肝線維症、門脈圧亢進症を呈します。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、6つの原因遺伝子のみを対象としています。多発性嚢胞腎と類似の症状を呈する他の嚢胞性腎疾患(ネフロン癆、髄質嚢胞性腎疾患など)の原因遺伝子は含まれていません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と画像検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 超音波検査やCT検査で両側腎臓に多数の嚢胞が認められた方、腎臓の腫大が指摘された方、原因不明の腎機能低下がある方におすすめします。また、肉眼的血尿を繰り返す方、側腹部痛や背部痛が続く方、若年で高血圧を発症した方、肝嚢胞が認められる方も検査をご検討ください。家族に多発性嚢胞腎の方がいる場合は、無症状でも検査をお勧めします。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- ADPKDとARPKDの違いは何ですか?
- ADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)は成人期に発症することが多く、比較的緩徐に進行します。一方、ARPKD(常染色体劣性多発性嚢胞腎)は出生時または乳幼児期に発症し、より重症な経過をたどります。遺伝形式も異なり、ADPKDは親から子へ50%の確率で遺伝しますが、ARPKDは両親がともに保因者の場合に25%の確率で子どもが発症します。当検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な診断と予後予測が可能になります。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。ADPKDの場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。ARPKDの場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。特にADPKDでは早期発見により合併症のスクリーニングや血圧管理を適切に行うことができます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- 当検査は主要な6つの原因遺伝子を対象としていますが、すべての多発性嚢胞腎の原因を網羅しているわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状と画像検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。また、他の嚢胞性腎疾患の可能性も考慮する必要があります。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。ただし、多発性嚢胞腎と診断された場合、腎機能低下の程度によっては指定難病医療費助成制度の対象となり、治療費の一部または全部が公費負担される場合があります。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。特にPKD1とPKD2では予後が異なるため、遺伝子型に応じた個別化された管理計画をご提案します。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。ADPKDの場合は子どもが発症する確率は50%、ARPKDの場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 多発性嚢胞腎の治療はどのように行われますか?
- ADPKDに対しては、進行抑制薬としてトルバプタン(サムスカ)が使用可能です。この薬剤は腎機能が比較的良好な時期から使用することで、腎嚢胞の増大と腎機能低下を抑制します。また、高血圧の管理が非常に重要で、ACE阻害薬やARBが推奨されます。食塩制限、適正体重の維持、定期的な合併症スクリーニング(脳動脈瘤、心臓弁膜症など)も重要な管理の柱です。腎不全が進行した場合は、透析療法や腎移植が必要となります。
- 予後はどうですか?
- ADPKDの予後は原因遺伝子により異なります。PKD1変異の場合は平均53歳、PKD2変異の場合は平均74歳で末期腎不全に至ります。全体として60歳までに約半数の患者さんが透析や腎移植が必要となります。適切な血圧管理と生活習慣の改善により進行を遅らせることが可能です。ARPKDの予後は発症時期により異なり、新生児期発症の重症例では約30%が早期に死亡しますが、小児期以降に発症する軽症例では比較的良好な経過をたどります。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な6つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら