ABCC8, ALG5, ALG8, ALG9, ANKS6, ARL6, BBS1, BBS10, BBS12, BBS2, BBS4, BBS5, BBS7, BBS9, BICC1, BLK, CCND1, CEL, CEP164, CEP290, CEP83, CEP89, COL4A1, CRB2, DCDC2, DICER1, DNAJB11, DZIP1L, GANAB, GCK, GLIS2, HNF1B, HNF4A, IFT140, IFT172, INS, INVS, IQCB1, JAG1, KCNJ11, KLF11, LRP5, MAPKBP1, MKKS, MKS1, MUC1, NEK8, NEUROD1, NOTCH2, NPHP1, NPHP3, NPHP4, OFD1, PAX2, PAX4, PDX1, PKD1, PKD2, PKHD1, PMM2, PRKCSH, RPGRIP1L, SDCCAG8, SEC61A1, SEC61B, SEC63, SRCAP, TMEM67, TRIM32, TSC1, TSC2, TTC21B, TTC8, UMOD, VHL, WDPCP, WDR19, ZNF423 ( 78遺伝子 )
主要な遺伝子の詳細:
・PKD1遺伝子:
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の最も主要な原因遺伝子で、約85%の症例に関与します。ポリシスチン1というタンパク質をコードしており、尿細管上皮細胞の一次繊毛に発現します。PKD1変異はPKD2変異よりも重症で、腎不全への進行が速い傾向があります。
・PKD2遺伝子:
ADPKDの約15%を占める原因遺伝子です。ポリシスチン2(カルシウムチャネル)をコードしており、PKD1と協調して機能します。PKD2変異による多発性嚢胞腎は、PKD1変異と比較して症状の発現が遅く、腎不全への進行も緩徐です。
・PKHD1遺伝子:
常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)の原因遺伝子です。フィブロシスチン/ポリダクチンというタンパク質をコードしており、一次繊毛に局在します。両親から変異遺伝子を1つずつ受け継いだ場合に発症し、胎児期・新生児期から症状を呈することが多いです。
・NPHP1遺伝子:
若年性ネフロン癆の最も頻度の高い原因遺伝子で、ネフロン癆全体の約20~40%を占めます。ネフロシスチン1をコードしており、尿細管上皮細胞の一次繊毛に発現します。約85%の変異はホモ接合体のlarge deletion(大きな欠失)です。
・NPHP3遺伝子:
思春期ネフロン癆の原因遺伝子です。ネフロシスチン3をコードしており、細胞間接着や細胞極性の維持に関与します。
・NPHP4遺伝子:
ネフロン癆の原因遺伝子の一つで、ネフロシスチン4をコードします。若年性~思春期ネフロン癆で変異が見られます。
・INVS(NPHP2)遺伝子:
乳児ネフロン癆の原因遺伝子で、インバーシンというタンパク質をコードします。内臓逆位を伴うことがあり、3~5歳頃までに末期腎不全に至ります。
・HNF1B遺伝子:
腎嚢胞・糖尿病症候群(RCAD)の原因遺伝子です。転写因子をコードしており、腎臓の発生に重要な役割を果たします。片側または両側の腎嚢胞、腎低形成、糖尿病などを呈します。
・MUC1遺伝子:
常染色体優性尿細管間質性腎疾患(ADTKD)の原因遺伝子の一つです。ムチン1をコードしており、変異により成人期に進行性の腎機能低下をきたします。
※注意:本検査では、MUC1遺伝子のVNTR(variable number tandem repeat)領域の重複変異は検出できません。また、三塩基リピート伸長も評価対象外です。
・TSC1、TSC2遺伝子:
結節性硬化症(TSC)の原因遺伝子です。腎血管筋脂肪腫や腎嚢胞を形成することがあり、多発性嚢胞腎との鑑別が必要な場合があります。
・VHL遺伝子:
フォン・ヒッペル・リンドウ病の原因遺伝子です。腎嚢胞や腎細胞癌を形成することがあり、嚢胞性腎疾患との鑑別が必要です。
・バルデー・ビードル症候群関連遺伝子(BBS1, BBS2, BBS4, BBS5, BBS7, BBS9, BBS10, BBS12, MKKS, TRIM32など):
一次繊毛の機能異常により、腎嚢胞、網膜色素変性症、肥満、多指症、精神発達遅滞などを呈する症候群の原因遺伝子群です。
・ジュベール症候群関連遺伝子(CEP290, RPGRIP1L, TMEM67, ARL6など):
小脳虫部低形成(molar tooth sign)、発達遅滞、眼球運動異常、腎嚢胞を特徴とする症候群の原因遺伝子群です。
・メッケル・グルーバー症候群関連遺伝子(MKS1など):
後頭部脳瘤、多指症、腎嚢胞を特徴とする重症の多臓器異常症候群の原因遺伝子です。
・その他の重要な遺伝子:
GANAB, PRKCSH(ADPKDの稀な原因遺伝子)、UMOD(常染色体優性尿細管間質性腎疾患)、IFT140, IFT172, WDR19(繊毛輸送関連遺伝子)、COL4A1(脳小血管病と腎嚢胞)など、多様な嚢胞性腎疾患や関連症候群の原因遺伝子が含まれています。