パーキンソン病包括的遺伝子検査(NGS 26遺伝子パネル)|ミネルバクリニック
パーキンソン病とは
パーキンソン病は、脳の中脳黒質と呼ばれる部位に存在するドパミン神経細胞が徐々に減少・脱落することで、運動機能の調節に必要なドパミンという神経伝達物質が不足する進行性の神経変性疾患です。1817年にイギリスの医師ジェームス・パーキンソンによって初めて報告され、その名前にちなんで「パーキンソン病」と呼ばれるようになりました。
日本では約20~29万人の患者さんがいると推定されており、人口10万人あたり100~150人の有病率です。アルツハイマー型認知症に次いで頻度の高い神経変性疾患で、運動障害を引き起こす神経疾患としては最も多い疾患です。50~65歳での発症が多く、高齢化の進展とともに患者数は増加傾向にあります。
パーキンソン病の大多数(約90~95%)は原因不明の孤発性ですが、約5~10%は遺伝子変異が関与する家族性(遺伝性)パーキンソン病です。近年の遺伝学研究の進歩により、複数の原因遺伝子が同定され、遺伝子検査による診断確定が可能になってきています。
症状と病態
パーキンソン病では、中脳黒質のドパミン神経細胞が減少することにより、大脳基底核の機能が障害され、さまざまな運動症状と非運動症状が出現します。病理学的には、神経細胞内にαシヌクレインというタンパク質が異常に蓄積してレビー小体と呼ばれる封入体を形成することが特徴です。
主要な運動症状(パーキンソニズム)
パーキンソン病の診断において最も重要な4大運動症状は以下の通りです:
- 静止時振戦:安静時に手足がふるえる症状。動作中には振戦が軽減するのが特徴です。
- 筋強剛(筋固縮):筋肉がこわばり、他動的に関節を動かすときに抵抗を感じます。
- 無動・寡動(動作緩慢):動きが遅く、小さくなる症状。顔の表情が乏しくなる仮面様顔貌も特徴的です。
- 姿勢反射障害:バランスを保つ能力が低下し、転倒しやすくなります。
その他の運動症状
- 小刻み歩行:歩幅が狭く、小刻みに歩く
- 前傾姿勢:前かがみの姿勢になる
- すくみ足:歩き始めや方向転換時に足が出にくい
- 小字症:字が小さくなる
- 嚥下障害:飲み込みが困難になる
- 構音障害:声が小さく、単調になる
非運動症状
近年、運動症状以外の非運動症状も重要視されています。これらは運動症状の出現前から認められることがあり、早期診断の手がかりとなります:
- 自律神経症状:便秘、頻尿、起立性低血圧、発汗異常
- 精神症状:抑うつ、不安、幻視、認知機能障害
- 睡眠障害:レム睡眠行動異常症、日中の過度の眠気、不眠
- 感覚障害:嗅覚障害、痛み、しびれ
- その他:疲労感、体重減少
進行と経過
パーキンソン病は進行性の疾患ですが、進行速度には個人差があります。通常、症状は片側の手足から始まり(左右非対称性)、徐々に反対側にも広がっていきます。適切な治療により、多くの患者さんは長期間にわたって日常生活を維持することが可能です。
遺伝性パーキンソン病について
パーキンソン病の約5~10%は遺伝子変異が原因で発症する家族性(遺伝性)パーキンソン病です。これらは、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝のいずれかの遺伝形式をとります。現在までに20以上の原因遺伝子座(PARKと呼ばれる)が同定されています。
常染色体優性(顕性)遺伝形式
親から子へ50%の確率で遺伝します。以下の遺伝子が知られています:
- SNCA遺伝子(PARK1/4):αシヌクレインをコードする遺伝子。遺伝性パーキンソン病で最初に同定された遺伝子です。
- LRRK2遺伝子(PARK8):常染色体優性遺伝性パーキンソン病の最も頻度の高い原因遺伝子。欧米では遺伝性パーキンソン病の約5%、日本では約1%を占めます。
- VPS35遺伝子(PARK17):小胞輸送に関与する遺伝子。比較的稀です。
- UCHL1遺伝子(PARK5):ユビキチンC末端加水分解酵素をコードします。
- EIF4G1遺伝子:タンパク質合成に関与します。
常染色体劣性(潜性)遺伝形式
両親ともに保因者の場合、子どもが発症する確率は25%です。若年性パーキンソン病(40歳以下で発症)に多く見られます:
- PRKN遺伝子(PARK2):若年性パーキンソン病の最も頻度の高い原因遺伝子。日本の若年性パーキンソン病の約50%を占めます。
- PINK1遺伝子(PARK6):ミトコンドリア機能維持に関与。若年性パーキンソン病の原因遺伝子です。
- PARK7(DJ-1)遺伝子:酸化ストレスからの細胞保護に関与します。
- ATP13A2遺伝子(PARK9):若年発症型で認知症を合併することがあります。
- FBXO7遺伝子(PARK15):錐体路徴候を伴うことがあります。
- PLA2G6遺伝子(PARK14):若年発症型パーキンソン病やジストニア・パーキンソニズムの原因となります。
X連鎖遺伝形式
- TAF1遺伝子:X連鎖遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子。主にフィリピンの一部地域で報告されています。
リスク遺伝子
以下の遺伝子は、変異があると孤発性パーキンソン病の発症リスクが高まることが知られています:
- GBA遺伝子:グルコセレブロシダーゼをコードする遺伝子。ゴーシェ病の原因遺伝子でもあり、変異保因者はパーキンソン病の発症リスクが5~10倍高くなります。
- MAPT遺伝子:タウタンパク質をコードする遺伝子。パーキンソニズムと認知症を引き起こします。
遺伝性パーキンソン病では、孤発性と比較して若年発症(40歳以下)が多く、進行が比較的緩徐で、レボドパ製剤への反応が良好などの特徴があります。ただし、遺伝子変異があっても必ずしも発症するとは限らず(不完全浸透)、環境要因も発症に関与していると考えられています。
ミネルバクリニックのパーキンソン病包括的遺伝子パネル検査の特徴
「パーキンソン病包括的NGSパネル検査」とは、現在パーキンソン病の原因として報告されている26の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、パーキンソン病に関連する26遺伝子を一度に調べられる「パーキンソン病包括的NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関でパーキンソン病の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、パーキンソン病に関係するとされる26の遺伝子を一度に調べられる「パーキンソン病包括的NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行えるパーキンソン病の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「パーキンソン病包括的NGSパネル検査」の場合、26の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状からパーキンソン病を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「パーキンソン病包括的NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な26の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「パーキンソン病包括的NGSパネル検査」では、パーキンソン病に関係するとされる26種類の遺伝子(ATP13A2、ATP1A3、CSF1R、DCTN1、DNAJC6、EIF4G1、FBXO7、GBA、GCH1、HTRA2、LRRK2、MAPT、NOTCH3、PARK7、PINK1、PLA2G6、POLG、PRKN、PRKRA、PRNP、SLC6A3、SNCA、TAF1、TH、UCHL1、VPS35)をまとめて検査します。
「パーキンソン病包括的NGSパネル検査」は、パーキンソン病の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【パーキンソン病の個人歴または家族歴のある方】に
「パーキンソン病包括的NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・パーキンソン病と診断された方で遺伝的原因を調べたい方
・若年性パーキンソン病(40歳以下で発症)の方
・家族にパーキンソン病の患者さんがいる方
・振戦、筋強剛、無動などのパーキンソニズムの症状がある方
・レボドパ製剤への反応が良好な方
・症状が片側優位で始まった方
・嗅覚障害、便秘、レム睡眠行動異常症などの前駆症状がある方
・認知機能障害を伴うパーキンソニズムがある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、パーキンソン病の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な薬物療法、リハビリテーション、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他のパーキンソニズムを呈する疾患との鑑別
・個別化された治療計画の立案
・薬物療法の選択と最適化
・非運動症状の予測と管理
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
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ATP13A2, ATP1A3, CSF1R, DCTN1, DNAJC6, EIF4G1, FBXO7, GBA, GCH1, HTRA2, LRRK2, MAPT, NOTCH3, PARK7, PINK1, PLA2G6, POLG, PRKN, PRKRA, PRNP, SLC6A3, SNCA, TAF1, TH, UCHL1, VPS35 ( 26遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・ATP13A2遺伝子(PARK9):
リソソーム型P型ATPアーゼをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、若年発症型パーキンソン病の原因となり、認知症を合併することがあります。クーフォー・ラケボーク症候群の原因遺伝子でもあります。
・ATP1A3遺伝子:
Na+/K+-ATPアーゼα3サブユニットをコードする遺伝子。急速発症ジストニア・パーキンソニズムの原因となります。
・CSF1R遺伝子:
コロニー刺激因子1受容体をコードする遺伝子。脳白質症を伴うパーキンソニズムの原因となります。
・DCTN1遺伝子:
ダイナクチンをコードする遺伝子。細胞内輸送に関与し、運動ニューロン障害を伴うことがあります。
・DNAJC6遺伝子(PARK19):
シナプス小胞のエンドサイトーシスに関与する遺伝子。若年発症型パーキンソン病の原因となります。
・EIF4G1遺伝子:
真核生物翻訳開始因子4γをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式のパーキンソン病の原因となります。
・FBXO7遺伝子(PARK15):
F-box タンパク質7をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、若年発症型パーキンソン病の原因となり、錐体路徴候を伴うことがあります。
・GBA遺伝子:
グルコセレブロシダーゼをコードする遺伝子。ゴーシェ病の原因遺伝子であり、変異保因者はパーキンソン病の発症リスクが5~10倍高くなります。孤発性パーキンソン病の最も重要なリスク遺伝子です。
・GCH1遺伝子(PARK3):
GTPシクロヒドロラーゼIをコードする遺伝子。ドパ反応性ジストニアやパーキンソニズムの原因となります。
・HTRA2遺伝子(PARK13):
セリンプロテアーゼをコードする遺伝子。ミトコンドリア機能に関与します。
・LRRK2遺伝子(PARK8):
ロイシンリッチリピートキナーゼ2をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝性パーキンソン病の最も頻度の高い原因遺伝子です。欧米では遺伝性パーキンソン病の約5%、日本では約1%を占めます。
・MAPT遺伝子:
微小管結合タンパク質タウをコードする遺伝子。前頭側頭型認知症とパーキンソニズムの原因となります。
・NOTCH3遺伝子:
NOTCH3受容体をコードする遺伝子。CADASIL(皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症)の原因遺伝子で、血管性パーキンソニズムに関連します。
・PARK7(DJ-1)遺伝子:
DJ-1タンパク質をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、若年発症型パーキンソン病の原因となります。酸化ストレスからの細胞保護に関与します。
・PINK1遺伝子(PARK6):
PTEN誘導キナーゼ1をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、若年性パーキンソン病の原因遺伝子です。ミトコンドリアの品質管理に関与します。
・PLA2G6遺伝子(PARK14):
カルシウム非依存性ホスホリパーゼA2をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、若年発症型パーキンソン病やジストニア・パーキンソニズムの原因となります。
・POLG遺伝子:
ミトコンドリアDNAポリメラーゼγをコードする遺伝子。ミトコンドリア病に伴うパーキンソニズムの原因となります。
・PRKN遺伝子(PARK2):
パーキンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、若年性パーキンソン病の最も頻度の高い原因遺伝子です。日本の若年性パーキンソン病の約50%を占めます。
・PRKRA遺伝子:
dsRNA結合タンパク質をコードする遺伝子。ジストニア・パーキンソニズムの原因となることがあります。
・PRNP遺伝子:
プリオンタンパク質をコードする遺伝子。プリオン病に伴うパーキンソニズムの原因となります。
・SLC6A3遺伝子:
ドパミントランスポーターをコードする遺伝子。小児期発症のジストニア・パーキンソニズムの原因となります。
・SNCA遺伝子(PARK1/4):
αシヌクレインをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、遺伝性パーキンソン病で最初に同定された遺伝子です。レビー小体の主要構成成分であり、パーキンソン病の病態に中心的な役割を果たします。
・TAF1遺伝子:
TFIID基本転写因子複合体のサブユニットをコードする遺伝子。X連鎖遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子で、主にフィリピンの一部地域で報告されています。
・TH遺伝子:
チロシン水酸化酵素をコードする遺伝子。ドパミン合成の律速酵素で、ドパ反応性ジストニアやパーキンソニズムの原因となります。
・UCHL1遺伝子(PARK5):
ユビキチンC末端加水分解酵素L1をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式のパーキンソン病の原因となります。
・VPS35遺伝子(PARK17):
液胞タンパク質選別35をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、小胞輸送に関与します。比較的稀な原因遺伝子です。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、26の原因遺伝子のみを対象としています。パーキンソン病の約90~95%は原因不明の孤発性であり、既知の遺伝子に変異が見つからないことも多くあります。検査で病原性変異が検出されなくても、パーキンソン病を完全に否定することはできません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 振戦(ふるえ)、筋強剛(筋肉のこわばり)、動作緩慢、姿勢反射障害などのパーキンソニズムの症状がある方、特に40歳以下で発症した若年性パーキンソン病の方、または家族にパーキンソン病の患者さんがいる方におすすめします。また、レボドパ製剤への反応が良好な方、嗅覚障害や便秘などの前駆症状がある方も検査をご検討ください。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- パーキンソン病は必ず遺伝しますか?
- いいえ。パーキンソン病の約90~95%は孤発性で、遺伝しません。約5~10%が遺伝子変異による家族性(遺伝性)パーキンソン病です。遺伝形式は常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X連鎖遺伝があり、それぞれ遺伝する確率が異なります。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 患者さんで病原性変異が見つかった場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、お子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- パーキンソン病の約90~95%は孤発性で、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、パーキンソン病を完全に否定することはできません。臨床症状と画像検査、薬物反応性に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 若年性パーキンソン病とは何ですか?
- 40歳以下で発症するパーキンソン病を若年性パーキンソン病と呼びます。遺伝子変異が関与していることが多く、特にPRKN、PINK1、PARK7遺伝子の変異が知られています。進行が比較的緩徐で、レボドパ製剤への反応が良好などの特徴があります。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- パーキンソン病の治療はどのように行われますか?
- 現在のところ根本的な治療法はありませんが、レボドパ製剤やドパミンアゴニストなどの薬物療法、理学療法、作業療法、言語療法などのリハビリテーション、必要に応じて脳深部刺激療法(DBS)などが行われます。適切な治療により、多くの患者さんは長期間にわたって日常生活を維持できます。
- 予後はどうですか?
- パーキンソン病は進行性の疾患ですが、適切な治療により生命予後は一般人口とほぼ変わりません。遺伝性パーキンソン病、特に若年性パーキンソン病では、進行が比較的緩徐で、レボドパ製剤への反応が良好な傾向があります。ただし、長期的には運動合併症や認知機能障害が出現することもあります。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な26の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら