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掌蹠角化症(PPK)遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

掌蹠角化症(PPK)遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

掌蹠角化症とは

掌蹠角化症(しょうせきかくかしょう、Palmoplantar Keratoderma: PPK)は、手掌(てのひら)と足底(足の裏)の皮膚が異常に厚くなる遺伝性の皮膚疾患群です。過度な角化により、手のひらや足の裏の皮膚が硬く厚くなり、日常生活に支障をきたすことがあります。

本疾患は臨床的にも遺伝学的にも多様性が高く、角化の分布パターン、随伴症状、発症年齢などが患者さんによって異なります。遺伝形式は常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝のいずれの形式もあり、現在までに多数の原因遺伝子が同定されています。

掌蹠角化症は、単独で発症する場合と、他の症状を伴う症候群の一部として発症する場合があります。症候群型では、毛髪・歯・爪の異常、難聴、心筋症、食道癌のリスク増加などの全身症状を伴うことがあります。有病率は明確には確立されていませんが、遺伝性掌蹠角化症は比較的稀な疾患とされています。

症状と病態

掌蹠角化症の主な症状は、手掌と足底の過度な角化による皮膚の肥厚です。角化のパターンにより、びまん性(広範囲)、限局性/線状、点状/粒状の3つの主要な形態に分類されます。

主要症状

  • 手掌と足底の過度な角化(皮膚の肥厚)
  • 皮膚の硬化とワックス様の外観
  • 境界が明瞭な対称性の角化
  • 歩行時の疼痛や不快感
  • 手作業の困難
  • 過度の発汗(多汗症)
  • 真菌感染症への易感染性
  • 足の変形(凹足など)を伴うことがある

臨床分類による特徴

掌蹠角化症は角化の分布パターンにより以下のように分類されます:

  • びまん性掌蹠角化症:手掌と足底の全体に均一な角化がみられます。最も一般的な形態で、境界明瞭で対称性の角化が特徴です。乳児期から小児期に発症することが多く、Unna-Thost病やVörner病などが含まれます
  • 限局性/線状掌蹠角化症:圧迫を受けやすい部位や摩擦部位に限局した角化がみられます。線状の角化病変を呈することもあり、胼胝(たこ)に類似した外観を示します
  • 点状/粒状掌蹠角化症:手掌と足底に多数の小さな角化性の丘疹が散在します。1~5mm程度の角化性結節が特徴的です

随伴症状を伴う症候群型

掌蹠角化症は、他の臓器や組織の異常を伴う症候群の一部として発症することがあります:

  • Papillon-Lefèvre症候群:生後6ヶ月未満で発症し、重度の歯周炎による早期の歯牙喪失を伴います。CTSC遺伝子変異が原因です
  • Howel-Evans症候群:若年での食道癌発症リスクが高く、5~15歳で掌蹠角化症が発症します
  • Vohwinkel症候群:毀損性掌蹠角化症とも呼ばれ、指の自然切断や爪の異常、難聴を伴うことがあります。GJB2遺伝子変異が原因の一つです
  • ウーリーヘア・心筋症症候群:縮毛(ウーリーヘア)と不整源性心筋症を伴う重篤な病型で、DSP、JUP、DSG1などの遺伝子変異が原因です
  • KID症候群:角化症、魚鱗癬様紅皮症、難聴を特徴とする症候群で、GJB2遺伝子変異が原因です

合併症と生活への影響

掌蹠角化症の患者さんは、以下のような合併症や生活上の困難を経験することがあります:

  • 真菌感染症(白癬など)の易感染性
  • 細菌感染症の二次感染
  • 歩行時の疼痛や不快感
  • 手指の巧緻運動障害
  • 社会的・心理的な影響(外観への懸念)
  • 靴の選択の困難
  • 多汗症による不快感

遺伝形式と原因遺伝子

掌蹠角化症は遺伝学的に非常に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝のいずれの形式でも発症します。現在までに多数の原因遺伝子が同定されており、原因遺伝子により臨床像や随伴症状が異なることが知られています。

主要な原因遺伝子と関連する病型

掌蹠角化症の原因となる遺伝子には以下のようなものがあります:

ケラチン遺伝子

  • KRT1遺伝子:表皮融解性掌蹠角化症(Vörner型)の原因となります。常染色体優性遺伝形式をとり、水疱形成を伴うことが特徴です
  • KRT9遺伝子:非表皮融解性掌蹠角化症の最も一般的な原因の一つです。Unna-Thost病とも呼ばれ、常染色体優性遺伝形式をとります
  • KRT6A, KRT6B, KRT6C遺伝子:Pachyonychia congenita(爪甲肥厚症)に関連し、爪の肥厚と掌蹠角化症を伴います
  • KRT14, KRT16, KRT17遺伝子:様々な角化異常症に関連します

デスモソーム関連遺伝子

  • DSP遺伝子:デスモプラキンをコードし、ウーリーヘア・心筋症症候群の原因となります。不整源性心筋症を伴うため、心臓のモニタリングが重要です
  • DSG1遺伝子:デスモグレイン1をコードし、掌蹠角化症と心筋症を伴う病型の原因となります
  • JUP遺伝子:プラコグロビンをコードし、Naxos病(掌蹠角化症、ウーリーヘア、不整源性右室心筋症)の原因となります
  • PKP1遺伝子:プラコフィリン1をコードし、掌蹠角化症と皮膚脆弱性を伴います

ギャップジャンクション遺伝子

  • GJB2遺伝子:コネキシン26をコードし、Vohwinkel症候群やKID症候群の原因となります。難聴を伴うことが特徴的です
  • GJB4遺伝子:コネキシン30.3をコードし、常染色体優性遺伝形式の紅色角皮症を伴う掌蹠角化症の原因となります
  • GJB6遺伝子:コネキシン30をコードし、Clouston症候群(外胚葉異形成症)の原因となります

その他の重要な遺伝子

  • CTSC遺伝子:カテプシンCをコードし、Papillon-Lefèvre症候群の原因となります。重度の歯周炎を伴います
  • SERPINB7遺伝子:セリンプロテアーゼ阻害剤をコードし、Nagashima型掌蹠角化症の原因となります
  • SLURP1遺伝子:Mal de Meleda(メレダ病)の原因となります。常染色体劣性遺伝形式をとり、進行性で手足の背側にも拡大します
  • LOR遺伝子:ロリクリンをコードし、Vohwinkel症候群の一部の症例の原因となります
  • TRPV3遺伝子:イオンチャネルをコードし、オルムステッド症候群の原因となります

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子を含む臨床的に重要な36遺伝子を対象としています。これにより、掌蹠角化症の主要な原因を効率的にスクリーニングし、適切な診断と管理につなげることが可能です。

ミネルバクリニックの掌蹠角化症遺伝子パネル検査の特徴

「掌蹠角化症 NGSパネル検査」とは、現在掌蹠角化症の原因として報告されている36の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、掌蹠角化症に関連する36遺伝子を一度に調べられる「掌蹠角化症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で掌蹠角化症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、掌蹠角化症に関係するとされる36の遺伝子を一度に調べられる「掌蹠角化症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える掌蹠角化症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「掌蹠角化症 NGSパネル検査」の場合、36の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から掌蹠角化症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「掌蹠角化症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な36の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「掌蹠角化症 NGSパネル検査」では、掌蹠角化症に関係するとされる36種類の遺伝子(AAGAB、AQP5、CAST、COL14A1、CRYL1、CTSC、DSG1、DSP、ENPP1、FAM83G、GJB2、GJB4、GJB6、JUP、KRT1、KRT14、KRT16、KRT17、KRT6A、KRT6B、KRT6C、KRT9、LOR、MBTPS2、PKP1、POMP、RHBDF2、RSPO1、SERPINB7、SLURP1、SMARCAD1、SNAP29、TAT、TRPV3、VPS33B、WNT10A)をまとめて検査します。

「掌蹠角化症 NGSパネル検査」は、掌蹠角化症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【掌蹠角化症の個人歴または家族歴のある方】に
「掌蹠角化症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・手掌や足底の過度な角化(皮膚の肥厚)がある方
・びまん性、限局性、または点状の掌蹠角化症の症状がある方
・歩行時の疼痛や不快感がある方
・掌蹠角化症に加えて、毛髪、歯、爪の異常がある方
・難聴を伴う掌蹠角化症の方
・心筋症や不整脈を伴う掌蹠角化症の方
・家族に掌蹠角化症の方がいる場合
・原因不明の掌蹠角化症の診断確定を希望される方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、体細胞変異の検出には適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、掌蹠角化症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、随伴症状のリスクが判明した場合には、適切な予防的モニタリングや早期介入を行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・症候群型か単独型かの判別
・心筋症リスクの評価と心臓モニタリングの必要性判断
・難聴リスクの評価と聴力検査の必要性判断
・歯周炎リスクの評価と予防的歯科管理
・食道癌リスクの評価と定期的スクリーニング(Howel-Evans症候群など)
・適切なスキンケアと治療法の選択
・二次感染予防のための管理
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

AAGAB, AQP5, CAST, COL14A1, CRYL1, CTSC, DSG1, DSP, ENPP1, FAM83G, GJB2, GJB4, GJB6, JUP, KRT1, KRT14, KRT16, KRT17, KRT6A, KRT6B, KRT6C, KRT9, LOR, MBTPS2, PKP1, POMP, RHBDF2, RSPO1, SERPINB7, SLURP1, SMARCAD1, SNAP29, TAT, TRPV3, VPS33B, WNT10A ( 36遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・AAGAB遺伝子:
α-およびγ-アダプチン結合タンパク質をコードする遺伝子。点状掌蹠角化症1型の原因となります。

・AQP5遺伝子:
アクアポリン5(水チャネル)をコードする遺伝子。汗腺の機能に関与します。

・CAST遺伝子:
カルパスタチンをコードする遺伝子。タンパク質分解の調節に関与します。

・COL14A1遺伝子:
XIV型コラーゲンをコードする遺伝子。結合組織の構造維持に関与します。

・CRYL1遺伝子:
クリスタリンラムダ1をコードする遺伝子。

・CTSC遺伝子:
カテプシンCをコードする遺伝子。Papillon-Lefèvre症候群の原因となり、重度の歯周炎と掌蹠角化症を伴います。

・DSG1遺伝子:
デスモグレイン1をコードする遺伝子。細胞接着に関与し、掌蹠角化症と心筋症を伴う病型の原因となります。

・DSP遺伝子:
デスモプラキンをコードする遺伝子。ウーリーヘア・心筋症症候群の原因となり、不整源性心筋症を伴うことがあります。

・ENPP1遺伝子:
エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ1をコードする遺伝子。

・FAM83G遺伝子:
FAM83Gタンパク質をコードする遺伝子。

・GJB2遺伝子:
コネキシン26をコードする遺伝子。Vohwinkel症候群やKID症候群の原因となり、難聴を伴うことが特徴的です。

・GJB4遺伝子:
コネキシン30.3をコードする遺伝子。紅色角皮症を伴う掌蹠角化症の原因となります。

・GJB6遺伝子:
コネキシン30をコードする遺伝子。Clouston症候群(外胚葉異形成症)の原因となります。

・JUP遺伝子:
プラコグロビンをコードする遺伝子。Naxos病(掌蹠角化症、ウーリーヘア、不整源性右室心筋症)の原因となります。

・KRT1遺伝子:
ケラチン1をコードする遺伝子。表皮融解性掌蹠角化症(Vörner型)の原因となります。

・KRT14遺伝子:
ケラチン14をコードする遺伝子。様々な角化異常症に関連します。

・KRT16遺伝子:
ケラチン16をコードする遺伝子。Pachyonychia congenitaなどに関連します。

・KRT17遺伝子:
ケラチン17をコードする遺伝子。Pachyonychia congenitaなどに関連します。

・KRT6A遺伝子:
ケラチン6Aをコードする遺伝子。Pachyonychia congenita(爪甲肥厚症)に関連します。

・KRT6B遺伝子:
ケラチン6Bをコードする遺伝子。Pachyonychia congenitaに関連します。

・KRT6C遺伝子:
ケラチン6Cをコードする遺伝子。掌蹠角化症に関連します。

・KRT9遺伝子:
ケラチン9をコードする遺伝子。非表皮融解性掌蹠角化症(Unna-Thost病)の最も一般的な原因の一つです。

・LOR遺伝子:
ロリクリンをコードする遺伝子。角質層の形成に関与し、Vohwinkel症候群の一部の症例の原因となります。

・MBTPS2遺伝子:
膜結合転写因子プロテアーゼ、部位2をコードするX連鎖遺伝子。

・PKP1遺伝子:
プラコフィリン1をコードする遺伝子。掌蹠角化症と皮膚脆弱性を伴います。

・POMP遺伝子:
プロテアソーム成熟タンパク質をコードする遺伝子。

・RHBDF2遺伝子:
Rhomboid 5 homolog 2をコードする遺伝子。

・RSPO1遺伝子:
R-spondin 1をコードする遺伝子。

・SERPINB7遺伝子:
セリンプロテアーゼ阻害剤をコードする遺伝子。Nagashima型掌蹠角化症の原因となります。

・SLURP1遺伝子:
分泌型Ly-6/uPAR関連タンパク質1をコードする遺伝子。Mal de Meleda(メレダ病)の原因となります。

・SMARCAD1遺伝子:
SWI/SNF関連マトリクス関連アクチン依存性クロマチン調節因子をコードする遺伝子。

・SNAP29遺伝子:
シナプトソーム関連タンパク質29をコードする遺伝子。CEDNIK症候群に関連します。

・TAT遺伝子:
チロシンアミノトランスフェラーゼをコードする遺伝子。チロシン血症II型の原因となり、掌蹠角化症を伴います。

・TRPV3遺伝子:
陽イオンチャネルTRPV3をコードする遺伝子。オルムステッド症候群の原因となります。

・VPS33B遺伝子:
液胞タンパク質選別33 homolog Bをコードする遺伝子。

・WNT10A遺伝子:
Wntファミリーメンバー10Aをコードする遺伝子。外胚葉異形成症に関連します。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、36の原因遺伝子のみを対象としています。掌蹠角化症は遺伝学的に非常に多様であり、まだ同定されていない原因遺伝子が存在する可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
手掌や足底の過度な角化(皮膚の肥厚)がある方、歩行時の疼痛がある方、手作業が困難な方におすすめします。特に、びまん性、限局性、または点状の掌蹠角化症の症状がある場合や、毛髪、歯、爪の異常、難聴、心筋症などの随伴症状がある場合は検査をご検討ください。また、家族に同様の症状がある場合も重要な検査対象となります。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
掌蹠角化症には治療法がありますか?
遺伝性掌蹠角化症に対する根本的な治療法は現在のところありませんが、症状を緩和する対症療法があります。保湿剤や角質軟化剤の使用、物理的な角質除去、経口レチノイドの使用などが行われます。二次感染には抗菌薬による治療が必要です。原因遺伝子が判明することで、より個別化された管理が可能になります。
心筋症のリスクがある掌蹠角化症とは何ですか?
DSP、DSG1、JUP遺伝子などの変異による掌蹠角化症では、不整源性心筋症を伴うことがあります。これらの病型では、定期的な心臓モニタリング(心電図、心エコー検査など)が重要です。遺伝子検査により心筋症リスクが判明した場合、早期発見と適切な管理により重篤な合併症を予防できる可能性があります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。特に心筋症や食道癌のリスクを伴う病型では、家族のスクリーニングが重要です。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
掌蹠角化症は遺伝学的に非常に多様であり、まだ同定されていない原因遺伝子が存在する可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床診断に基づいた適切な管理が引き続き重要です。後天性掌蹠角化症の可能性も考慮する必要があります。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢、随伴症状のリスクなどについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
後天性掌蹠角化症との違いは何ですか?
後天性掌蹠角化症は、遺伝的要因ではなく、他の疾患(乾癬、湿疹、感染症など)、薬剤、職業的要因、内科疾患などにより生じます。遺伝子検査により遺伝性か後天性かの鑑別が可能になり、適切な管理方針を立てることができます。
Papillon-Lefèvre症候群とは何ですか?
CTSC遺伝子変異による常染色体劣性遺伝の掌蹠角化症で、生後6ヶ月未満で発症し、重度の歯周炎により早期に歯牙を喪失することが特徴です。遺伝子検査により早期診断が可能になれば、予防的な歯科管理により歯牙喪失を遅らせることができる可能性があります。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な36の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら