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骨形成不全症・骨密度異常NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

骨形成不全症・骨密度異常NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

骨形成不全症とは

骨形成不全症(Osteogenesis Imperfecta: OI)は、全身の骨が脆弱で、軽微な外傷や通常の日常活動でも容易に骨折してしまう遺伝性の先天性疾患です。進行性の骨変形に加え、様々な程度の結合組織症状を示すことが特徴です。

骨形成不全症の90%以上の症例では、結合組織の主要な成分であるⅠ型コラーゲンの遺伝子変異(COL1A1、COL1A2)により、質的あるいは量的異常が原因で発症します。Ⅰ型コラーゲンは骨を形成する鉄筋コンクリートの鉄筋に相当する重要な構造タンパク質であり、この異常により骨が弱くなります。近年、Ⅰ型コラーゲン遺伝子に異常を認めない症例でも、FKBP10、LEPRE1、CRTAP、PPIB、SERPINH1、SERPINF1、BMP1、IFITM5、SP7、TMEM38B、WNT1などの遺伝子異常が報告されています。

発生頻度は約2~3万人に1人とされており、指定難病274および小児慢性特定疾病に指定されています。臨床像は非常に多彩で、生まれてすぐに死亡する周産期致死型から、生涯にわたり明らかな症状がなく偶然発見される軽症型まで、重症度に大きな幅があります。

骨形成不全症の分類

骨形成不全症は、Sillence分類が最も広く使用されています:

  • Ⅰ型(非変形型):最も軽度。青色強膜が特徴的で、小児期に骨折を繰り返すが骨変形は少ない
  • Ⅱ型(周産期致死型):最も重症。多数の骨折を伴って出生し、呼吸不全により周産期に死亡
  • Ⅲ型(変形進行型):進行性で重度の骨変形、低身長、脊柱弯曲を呈する
  • Ⅳ型(中等症型):中等度の重症度。骨変形と骨折を繰り返すが、強膜は正常色
  • Ⅴ型:骨間膜石灰化・過形成仮骨を伴う型

低ホスファターゼ症とは

低ホスファターゼ症(Hypophosphatasia: HPP)は、組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)酵素をコードするALPL遺伝子の機能喪失変異によって引き起こされる遺伝性骨疾患で、骨の石灰化障害を特徴とします。

TNSALPの酵素活性喪失により、基質であるホスホエタノールアミン(PEA)、ピロリン酸、ピリドキサール5’リン酸(PLP)などが分解されずに体内に蓄積します。特にピロリン酸の蓄積により、ハイドロキシアパタイトが形成されず、骨の石灰化が阻害されます。また、ピリドキサール5’リン酸の蓄積により、ビタミンB6代謝異常から脳内神経伝達物質合成が阻害され、けいれんが起こることがあります。

発症年齢や重症度には幅があり、周産期重症型、周産期軽症型、乳児型、小児型、成人型、歯限局型の6つに分類されます。最重症である周産期重症型の日本人における発症頻度は15~30万人に1人程度と推定されていますが、他の病型の頻度は不明で、診断に至っていない症例が少なからず存在する可能性があります。

低ホスファターゼ症の主な症状

  • 骨の石灰化障害によるくる病様の骨変化
  • 血清アルカリホスファターゼ(ALP)活性の低下
  • 乳歯の早期脱落(原因なく抜ける)
  • 骨が弱く骨折しやすい
  • 低身長、骨変形
  • けいれん(ビタミンB6代謝異常による)
  • 高カルシウム血症/尿症
  • 筋力低下

大理石骨病とは

大理石骨病(Osteopetrosis)は、全身の骨に硬化性変化をきたし、骨密度が過剰に高くなる遺伝性疾患です。骨が「石のように硬い」ことから「大理石骨病」と呼ばれますが、硬い一方で脆く骨折しやすいという特徴があります。

大理石骨病は、破骨細胞の発達または機能障害により、骨吸収が正常に行われないことが原因です。通常、骨は骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスで健康に保たれますが、破骨細胞の機能不全により古い骨が吸収されず、過剰に密な骨が形成されます。

遺伝形式により、常染色体劣性遺伝形式(ARO:乳児期発症の重症型)と常染色体優性遺伝形式(ADO:青年期または成人期発症の軽症型)に分類されます。常染色体劣性型の発症頻度は25万人に1人、常染色体優性型は2万人に1人程度とされています。

大理石骨病の主な症状

  • 骨密度の著明な増加(X線で全身の骨が白く写る)
  • 骨折(骨が硬いが脆いため)
  • 骨髄腔の狭小化による骨髄機能不全(貧血、易感染性、出血傾向)
  • 肝脾腫(髄外造血による)
  • 視神経・聴神経の圧迫による視力障害・難聴
  • 顔面神経麻痺などの脳神経障害
  • 低身長、骨変形
  • 歯の萌出障害

症状と病態

骨形成不全症の症状

骨形成不全症の臨床症状は、易骨折性、骨変形などの長管骨の骨脆弱性と脊椎骨の変形に加え、成長障害、青色強膜、歯牙(象牙質)形成不全、難聴、関節皮膚の過伸展、心臓弁の異常などです。

  • 易骨折性:軽微な外傷や日常活動(おむつ替え、抱き上げ、歩行など)で骨折を繰り返す
  • 骨変形:長管骨の弯曲変形、脊柱側弯・後弯
  • 青色強膜:強膜が薄いため、下にある血管が透けて青く見える(Ⅰ型に特徴的)
  • 象牙質形成不全:歯が変色し、虫歯になりやすい
  • 難聴:全症例の50~65%に認められる感音難聴
  • 低身長:骨変形と成長障害により
  • 関節の過可動性:結合組織の異常による
  • 呼吸機能障害:脊柱変形や胸郭変形による
  • 心臓弁膜症:大動脈弁や僧帽弁の異常

低ホスファターゼ症の症状

低ホスファターゼ症では、骨石灰化障害のほか、けいれん、高カルシウム血症/尿症、筋力低下、乳歯の早期脱落など、多彩な症状を示します。病型により症状の重症度が大きく異なります:

  • 周産期重症型:胸郭低形成による呼吸不全、多発骨折、生後早期に死亡
  • 周産期軽症型:胎児期から骨変形があるが、出生後は症状が自然軽快
  • 乳児型:生後6ヶ月までに骨変形や高カルシウム血症
  • 小児型:生後6ヶ月以降に乳児型の症状が出現
  • 成人型:中年期以降に反復する疲労骨折
  • 歯限局型:歯のみに症状が限局

大理石骨病の症状

大理石骨病の症状は、遺伝形式により大きく異なります:

  • 常染色体劣性型(乳児型・重症型):生後数ヶ月以内に発症。頻回の感染、異常な出血・あざ、重度の貧血、肝脾腫、骨折、視力・聴力障害、顔面神経麻痺。未治療の場合、多くが生後10年以内に死亡
  • 常染色体優性型(成人型・軽症型):青年期または成人期に発症。多くは無症状で偶然発見される。骨折、骨痛、脊柱側弯、変形性関節症、手根管症候群、脳神経障害による難聴や視力障害

遺伝形式と原因遺伝子

骨形成不全症の遺伝形式

骨形成不全症は、常染色体顕性遺伝(優性遺伝)と常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)の両方の形式があります。約90%の症例ではⅠ型プロコラーゲンのプロα鎖をコードするCOL1A1またはCOL1A2遺伝子に変異があり、多くは常染色体顕性遺伝です。

Ⅰ型コラーゲン遺伝子以外の原因遺伝子には、コラーゲンの折りたたみ、プロセシング、架橋に関与する遺伝子(CRTAP、P3H1、PPIB、FKBP10、SERPINH1など)、骨芽細胞の分化に関与する遺伝子(SP7、WNT1など)、骨石灰化に関与する遺伝子(IFITM5、SERPINF1など)があり、これらの多くは常染色体潜性遺伝です。

低ホスファターゼ症の遺伝形式

低ホスファターゼ症は、ALPL遺伝子の変異により発症します。多くは常染色体潜性遺伝ですが、常染色体顕性遺伝を示す変異も存在します。ALPL遺伝子の変異は翻訳領域全体にわたって認められ、現在300種類以上報告されています。変異の種類により残存酵素活性が異なり、臨床像の多彩さにつながっています。

大理石骨病の遺伝形式

大理石骨病は、常染色体劣性遺伝、常染色体優性遺伝、X連鎖遺伝のいずれの形式でも発症します。これまでに少なくとも10の遺伝子が原因として同定されており、全体の約70%の症例で原因遺伝子が特定されています。

  • 常染色体劣性型:TCIRG1、CLCN7、OSTM1、PLEKHM1、SNX10遺伝子など。破骨細胞は豊富だが機能不全
  • 常染色体優性型:主にCLCN7遺伝子変異。塩化物チャネルClC-7の異常
  • X連鎖型:

ミネルバクリニックの骨形成不全症・骨密度異常遺伝子パネル検査の特徴

「骨形成不全症・骨密度異常 NGSパネル検査」とは、現在骨形成不全症、低ホスファターゼ症、大理石骨病およびその他の骨石灰化障害の原因として報告されている98の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる包括的な検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、骨形成不全症、低ホスファターゼ症、大理石骨病および骨石灰化障害に関連する98遺伝子を一度に調べられる「骨形成不全症・骨密度異常 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で骨形成不全症や骨密度異常の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、骨形成不全症、低ホスファターゼ症、大理石骨病および骨石灰化障害に関係するとされる98の遺伝子を一度に調べられる「骨形成不全症・骨密度異常 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える骨形成不全症や骨密度異常の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「骨形成不全症・骨密度異常 NGSパネル検査」の場合、98の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から骨形成不全症や骨密度異常を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「骨形成不全症・骨密度異常 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な98の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。これには当院の「骨形成不全症パネル」「低リン血症性くる病パネル」に含まれるすべての遺伝子が含まれています。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「骨形成不全症・骨密度異常 NGSパネル検査」では、骨形成不全症、低ホスファターゼ症、大理石骨病および骨石灰化障害に関係するとされる98種類の遺伝子をまとめて検査します。

このパネルは、骨形成不全症、低ホスファターゼ症、大理石骨病および骨密度異常の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【骨形成不全症、低ホスファターゼ症、大理石骨病または骨石灰化障害の個人歴または家族歴のある方】に
「骨形成不全症・骨密度異常 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・軽微な外傷で繰り返し骨折する方
・骨変形(長管骨の弯曲、脊柱側弯・後弯)がある方
・青色強膜がある方
・象牙質形成不全(歯の変色、虫歯になりやすい)がある方
・難聴がある方
・低身長、成長障害がある方
・関節の過可動性がある方
・乳歯が原因なく早期に脱落した方
・血清アルカリホスファターゼ(ALP)活性が低い方
・くる病様の骨変化があるがビタミンD欠乏症ではない方
・骨密度が著明に高い方(大理石骨病)
・X線検査で全身の骨が異常に白く写る方
・貧血、易感染性、出血傾向がある方(骨髄機能不全)
・骨形成不全症、低ホスファターゼ症、大理石骨病の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、骨形成不全症、低ホスファターゼ症、大理石骨病または骨石灰化障害の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・類似症状を呈する他疾患(くる病、骨軟化症、副甲状腺機能亢進症など)との鑑別
・適切な治療法の選択(ビスホスホネート療法、酵素補充療法、造血幹細胞移植など)
・骨折予防のための適切な管理と生活指導
・リハビリテーションプログラムの立案
・整形外科的治療(骨折治療、骨変形矯正手術など)の適応判断
・合併症(難聴、心臓弁膜症、呼吸機能障害など)の早期発見と管理
・定期的なモニタリング計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体顕性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体潜性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABCC6, ALPL, ANKH, ANO5, AP2S1, ARCN1, ASCC1, ATP6V0A4, ATP7A, B3GAT3, B4GALT7, BAAT, BMP1, CA2, CASR, CCDC13, CLCN5, CLCN7, COL1A1, COL1A2, CREB3L1, CRTAP, CTNS, CTSK, CYP27B1, CYP2R1, DMP1, ENPP1, EPHX1, FAH, FAM20C, FGF23, FGFR1, FKBP10, GALNT3, GATM, GBA, GNA11, GNAS, GORAB, HNF4A, HPGD, IFITM5, KDELR2, KL, LMNA, LRP5, LRRK1, MAFB, MBTPS2, MESD, MMP2, NDUFAF6, NOTCH2, NTRK1, OCRL, OSTM1, P3H1, P4HB, PHEX, PLEKHM1, PLOD2, PLOD3, PLS3, PPIB, PTH1R, RUNX2, SEC24D, SERPINF1, SERPINH1, SFRP4, SGMS2, SLC29A3, SLC2A2, SLC34A1, SLC34A3, SLC4A1, SLC9A3R1, SNX10, SOST, SOX9, SP7, SPARC, SUCO, TAPT1, TCIRG1, TENT5A, TJP2, TMEM38B, TNFRSF11A, TNFRSF11B, TNFSF11, TRIP4, VDR, WNT1, WNT3A, XYLT2, YY1AP1 ( 98遺伝子 )

主要な遺伝子の詳細:

骨形成不全症関連遺伝子:
・COL1A1、COL1A2:Ⅰ型コラーゲンをコード。最も頻度の高い原因遺伝子
・CRTAP、P3H1、PPIB:コラーゲンのプロリン3-水酸化複合体を構成
・FKBP10:コラーゲンの折りたたみに関与
・SERPINH1、SERPINF1:コラーゲンのプロセシングに関与
・BMP1:プロコラーゲンのプロセシングに関与
・IFITM5:骨石灰化に関与(V型の原因)
・SP7:骨芽細胞の分化に関与
・WNT1:骨形成シグナル伝達に関与
・TMEM38B、PLS3:その他の骨形成不全症原因遺伝子

低ホスファターゼ症関連遺伝子:
・ALPL:組織非特異型アルカリホスファターゼをコード。低ホスファターゼ症の原因遺伝子

大理石骨病関連遺伝子:
・TCIRG1:破骨細胞のプロトンポンプサブユニット。常染色体劣性型の最多原因
・CLCN7:塩化物チャネルClC-7をコード。常染色体優性型と劣性型の両方の原因
・OSTM1:CLCN7のβサブユニット
・PLEKHM1、SNX10:破骨細胞の機能に関与
・CTSK:カテプシンKをコード。破骨細胞による骨吸収に必要
・CA2:炭酸脱水酵素Ⅱをコード。腎尿細管性アシドーシスを伴う大理石骨病の原因

低リン血症性くる病・骨軟化症関連遺伝子:
・PHEX:リン酸調節遺伝子。X連鎖性低リン血症性くる病の原因
・FGF23:線維芽細胞増殖因子23をコード
・DMP1、ENPP1:リン酸代謝に関与
・SLC34A1、SLC34A3:腎臓のリン酸輸送体
・CYP27B1、CYP2R1:ビタミンD代謝に関与
・VDR:ビタミンD受容体

その他の骨石灰化障害関連遺伝子:
・SOST:スクレロスチンをコード。骨硬化症の原因
・LRP5:Wntシグナル伝達に関与。骨量異常症候群の原因
・RUNX2:骨芽細胞の分化に関与。鎖骨頭蓋異形成症の原因
・FAM20C:カゼインキナーゼをコード。Raine症候群の原因

遺伝子特記事項

RUNX2遺伝子:現在の検査方法では、この遺伝子のトリヌクレオチドリピート伸長は評価されません。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基(RUNX2遺伝子のトリヌクレオチドリピート伸長を含む))、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
軽微な外傷で繰り返し骨折する方、骨変形がある方、青色強膜がある方、象牙質形成不全がある方、乳歯が原因なく早期に脱落した方、血清アルカリホスファターゼ活性が低い方、X線検査で骨密度異常が認められる方などにおすすめします。また、骨形成不全症、低ホスファターゼ症、大理石骨病の家族歴がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
骨形成不全症と診断された場合、治療法はありますか?
根本的な治療法はありませんが、ビスホスホネート療法により骨密度の増加、骨痛および骨折リスクの低減が期待できます。また、骨折予防のための生活指導、理学療法、必要に応じて整形外科的治療(骨折治療、骨変形矯正手術など)が行われます。合併症(難聴、心臓弁膜症、呼吸機能障害など)に対する管理も重要です。
低ホスファターゼ症と診断された場合、治療法はありますか?
2015年から酵素補充療法(アスホターゼ アルファ:ストレンジック®)が導入され、重症例も救命可能となりました。この治療により、骨石灰化の改善、骨折の減少、呼吸機能の改善などが期待できます。病型により対症療法も行われます。
大理石骨病と診断された場合、治療法はありますか?
常染色体劣性型の重症例に対しては、造血幹細胞移植が唯一の根治的治療法であり、最良の長期生存の機会を提供します。常染色体優性型の軽症例に対しては、骨折の予防と治療、合併症(難聴、視力障害、脳神経障害など)の管理が中心となります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体顕性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体潜性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
このパネルは98の遺伝子を対象としていますが、まだ発見されていない原因遺伝子が存在する可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状に基づいた診断と管理が引き続き重要です。定期的な経過観察と適切な治療を継続してください。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体顕性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体潜性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
予後はどうですか?
予後は疾患の種類と重症度により大きく異なります。骨形成不全症の軽症型(Ⅰ型)では生命予後は良好ですが、重症型(Ⅱ型)は周産期致死型です。低ホスファターゼ症の周産期重症型は未治療では生後早期に死亡しますが、酵素補充療法により救命可能となりました。大理石骨病の常染色体劣性型は未治療では生後10年以内に死亡することが多いですが、造血幹細胞移植により長期生存が期待できます。常染色体優性型では生命予後は正常です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な98の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら