眼皮膚白皮症(OCA)NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック
眼皮膚白皮症とは
眼皮膚白皮症(Oculocutaneous Albinism: OCA)は、メラニン色素の生合成に関わる遺伝子の異常により、先天的にメラニン色素が減少または欠失する遺伝性疾患です。皮膚、毛髪、眼の色素が薄くなることを特徴とし、全身の皮膚が白色調、虹彩は青~灰色調、毛髪は白~茶褐色あるいは銀色を呈します。
本疾患は、メラニン色素の減少による症状のみを呈する「非症候型」と、出血傾向や免疫不全などの全身症状を伴う「症候型」に大別されます。非症候型の眼皮膚白皮症は7種類、症候型にはヘルマンスキー・パドラック症候群(HPS)、チェディアック・東症候群(CHS)、グリセリ症候群(GS)が含まれ、計20種類以上の原因遺伝子が報告されています。
眼皮膚白皮症は世界中のあらゆる民族で発症し、発症頻度は地域や民族により異なります。アフリカでは4,000~7,000人に1人、欧州では12,000~15,000人に1人の頻度で発症すると推定されています。日本における患者数は約5,000人と推定され、指定難病(指定難病164)に指定されています。日本では眼皮膚白皮症4型(OCA4)が約27%を占め、主要な病型の一つとなっています。
症状と病態
眼皮膚白皮症の主な症状は、皮膚・毛髪・眼の色素異常と、それに伴う視覚障害です。メラニン色素の欠乏により、紫外線に対する防御機能が低下し、日光による皮膚障害のリスクが高まります。また、眼の発達異常により様々な視覚障害が生じます。
主要症状
- 全身の皮膚が白色調(乳白色~淡色)
- 毛髪の色素異常(白~茶褐色、銀色、プラチナブロンド)
- 虹彩の色素異常(青~灰色調、淡青色、紫色)
- 視力低下(矯正困難な低視力~法的盲)
- 眼振(眼球の不随意運動)
- 羞明(光に対する過敏性)
- 斜視
- 深視力の低下(立体視の障害)
- 中心窩低形成(網膜の黄斑部の発達不全)
- 視交叉における神経線維の異常交叉
皮膚症状
メラニン色素の欠乏または減少により、皮膚は白色調を呈します。紫外線に対する防御機能が低下しているため、日光曝露により容易に日焼けや皮膚損傷を起こします。長期的な紫外線曝露により、日光角化症、基底細胞癌、扁平上皮癌、悪性黒色腫などの皮膚癌のリスクが著しく増加します。
病型によっては、加齢とともに若干の色素沈着が認められることがあります。特に眼皮膚白皮症1型B(OCA1B)や眼皮膚白皮症2型(OCA2)では、成長に伴い毛髪や皮膚に若干の色素が出現することがあります。
眼症状
眼皮膚白皮症における視覚障害は、単なる色素欠乏だけでなく、胎生期における眼の発達異常に起因します。中心窩低形成(網膜の黄斑部における視細胞の発達不全)により、中心視力が著しく低下します。視力は通常0.1以下で、矯正しても改善が困難です。
虹彩の色素欠乏により、瞳孔を通過する光量の調節が不十分となり、羞明(まぶしさ)を訴えます。眼振(眼球の不随意運動)は乳児期から認められ、視力低下の一因となります。また、視交叉における神経線維の異常な交叉により、両眼視機能が障害され、立体視が困難となります。
症候型眼皮膚白皮症の全身症状
症候型の眼皮膚白皮症では、色素異常以外の全身症状を伴います:
- ヘルマンスキー・パドラック症候群(HPS):血小板機能異常による出血傾向、間質性肺炎、肉芽腫性大腸炎を伴います。間質性肺炎は中高年で発症し、生命予後に影響します
- チェディアック・東症候群(CHS):免疫不全(反復感染)、神経症状(末梢神経障害)、白血球内の巨大顆粒を特徴とします
- グリセリ症候群(GS):免疫不全、神経症状を呈しますが、白血球巨大顆粒は認めません
病型による症状の違い
眼皮膚白皮症の症状の程度は病型により大きく異なります:
- 眼皮膚白皮症1型A(OCA1A):チロシナーゼ活性が完全に欠損し、メラニンを全く生成できません。生涯を通じて色素が増加することはなく、皮膚は乳白色、毛髪はプラチナブロンド、虹彩は無色または淡青色を呈します。一般的にアルビノと認知されている方の多くがこの型です
- 眼皮膚白皮症1型B(OCA1B):チロシナーゼ活性が部分的に残存し、加齢とともに若干の色素沈着が認められることがあります。日焼けも可能です
- 眼皮膚白皮症2型(OCA2):最も頻度の高い病型で、OCA1Aに比べて色素が多く、毛髪はブロンドやブラウン、虹彩は淡青色や灰色を呈します
- 眼皮膚白皮症3型(OCA3):「赤毛型アルビノ」とも呼ばれ、毛髪は赤毛、皮膚は赤みがかり、虹彩は褐色です。アフリカ南部やニューギニアで報告されています
- 眼皮膚白皮症4型(OCA4):日本人では眼皮膚白皮症の4人に1人がこの型で、日本人に特徴的です。少量のメラニンを持ち、色素沈着の度合いは個人により様々です
遺伝形式と原因遺伝子
すべての眼皮膚白皮症は常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとります(眼白皮症のみX連鎖劣性遺伝)。患者さんは両親からそれぞれ1つずつ変異遺伝子を受け継いでおり、両親は保因者(キャリア)であることが多いです。保因者同士のカップルでは、子どもが眼皮膚白皮症を発症する確率は25%、保因者となる確率は50%、正常である確率は25%です。
非症候型眼皮膚白皮症の原因遺伝子
以下の遺伝子変異により、メラニン合成経路のさまざまな段階で障害が生じます:
- TYR遺伝子(OCA1):チロシナーゼをコードする遺伝子。メラニン合成の律速段階を触媒する重要な酵素です。1989年に日本の研究チームにより世界で初めて責任遺伝子が同定されました
- OCA2遺伝子(OCA2):P蛋白をコードする遺伝子。メラノソーム膜タンパク質の異常により、メラニン原料のチロシンがメラノソーム内に取り込まれず、メラニンを生成できません。眼皮膚白皮症では最も頻度の高い病型です
- TYRP1遺伝子(OCA3):チロシナーゼ関連タンパク質-1をコードする遺伝子。ドーパキノンをメラニンに変換する酵素の異常によるものです
- SLC45A2遺伝子(OCA4):膜関連輸送タンパク質をコードする遺伝子。日本人では最も頻度の高い病型です
- SLC24A5遺伝子(OCA6):カルシウム交換タンパク質をコードする遺伝子
- その他:DCT(OCA8)、LRMDA、MC1R遺伝子など
症候型眼皮膚白皮症の原因遺伝子
色素異常に加えて全身症状を伴う疾患の原因遺伝子:
- ヘルマンスキー・パドラック症候群:HPS1、HPS3、HPS4、HPS5、HPS6、AP3D1など9種類以上の遺伝子が同定されています。日本ではHPS1型が最も多く報告されています
- チェディアック・東症候群:LYST遺伝子の変異により、リソソーム関連小器官の形成異常が生じます
- グリセリ症候群:MYO5A、RAB27A遺伝子などの変異により、メラノソーム輸送の障害が生じます
- ワールデンブルグ症候群:MITF遺伝子などの変異により、神経堤細胞の分化異常が生じ、難聴などを合併します
当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な15遺伝子を対象としています。これにより、眼皮膚白皮症および関連症候群の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。
ミネルバクリニックの眼皮膚白皮症遺伝子パネル検査の特徴
「眼皮膚白皮症 NGSパネル検査」とは、現在眼皮膚白皮症および関連症候群の原因として報告されている15の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、眼皮膚白皮症に関連する15遺伝子を一度に調べられる「眼皮膚白皮症 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で眼皮膚白皮症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、眼皮膚白皮症に関係するとされる15の遺伝子を一度に調べられる「眼皮膚白皮症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える眼皮膚白皮症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「眼皮膚白皮症 NGSパネル検査」の場合、15の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から眼皮膚白皮症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「眼皮膚白皮症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な15の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「眼皮膚白皮症 NGSパネル検査」では、眼皮膚白皮症および関連症候群に関係するとされる15種類の遺伝子(AP3D1、DCT、GPR143、HPS6、LRMDA、LYST、MC1R、MITF、MYO5A、OCA2、RAB27A、SLC24A5、SLC45A2、TYR、TYRP1)をまとめて検査します。
「眼皮膚白皮症 NGSパネル検査」は、眼皮膚白皮症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【眼皮膚白皮症の個人歴または家族歴のある方】に
「眼皮膚白皮症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・皮膚、毛髪、眼の色素が薄い方
・全身の皮膚が白色調の方
・白~茶褐色、銀色、プラチナブロンドの毛髪の方
・虹彩が青色、灰色、淡青色、紫色の方
・矯正困難な視力低下がある方
・眼振(眼球の不随意運動)がある方
・羞明(光に対する過敏性)がある方
・斜視がある方
・深視力の低下(立体視の障害)がある方
・眼皮膚白皮症またはアルビノの家族歴がある方
・出血傾向がある方(ヘルマンスキー・パドラック症候群の可能性)
・反復感染がある方(チェディアック・東症候群、グリセリ症候群の可能性)
・難聴がある方(ワールデンブルグ症候群の可能性)
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、眼皮膚白皮症の診断確定や、適切な管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、紫外線防御、皮膚癌検診、視覚障害への対応、合併症の早期発見など、適切な管理を行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・病型の特定(非症候型か症候型か、どの型か)
・紫外線防御の適切な指導
・皮膚癌のリスク評価と定期的な皮膚科検診
・視覚障害に対する適切な支援(遮光眼鏡、拡大鏡、弱視訓練)
・症候型の場合、合併症(出血傾向、間質性肺炎、免疫不全など)の早期発見と管理
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝のため、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。保因者同士のカップルでは子どもが発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
-
AP3D1, DCT, GPR143, HPS6, LRMDA, LYST, MC1R, MITF, MYO5A, OCA2, RAB27A, SLC24A5, SLC45A2, TYR, TYRP1 ( 15遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・TYR遺伝子:
チロシナーゼをコードする遺伝子。メラニン合成の律速酵素であり、変異により眼皮膚白皮症1型(OCA1)を発症します。OCA1Aではチロシナーゼ活性が完全に欠損し、生涯を通じてメラニンを生成できません。OCA1Bでは部分的な活性が残存し、加齢とともに若干の色素沈着が認められることがあります。
・OCA2遺伝子:
P蛋白をコードする遺伝子。メラノソーム膜タンパク質の異常により、チロシン(メラニンの原料)がメラノソーム内に取り込まれず、メラニンを生成できません。眼皮膚白皮症2型(OCA2)の原因となり、眼皮膚白皮症では最も頻度の高い病型です。
・TYRP1遺伝子:
チロシナーゼ関連タンパク質-1をコードする遺伝子。チロシナーゼによって生成されたドーパキノンをメラニンに変換する酵素です。変異により眼皮膚白皮症3型(OCA3)を発症し、「赤毛型アルビノ」とも呼ばれます。アフリカ南部やニューギニアで報告されています。
・SLC45A2遺伝子:
膜関連輸送タンパク質(MATP)をコードする遺伝子。変異により眼皮膚白皮症4型(OCA4)を発症します。日本人では眼皮膚白皮症の約27%(4人に1人)がこの型であり、日本人に最も頻度の高い病型です。少量のメラニンを持ち、色素沈着の度合いは個人により様々です。
・SLC24A5遺伝子:
カルシウム交換タンパク質をコードする遺伝子。メラノソームの成熟に関与し、変異により眼皮膚白皮症6型(OCA6)を発症します。
・DCT遺伝子:
ドーパクロムトートメラーゼをコードする遺伝子。メラニン合成経路の酵素であり、変異により眼皮膚白皮症8型(OCA8)を発症します。
・MC1R遺伝子:
メラノコルチン1受容体をコードする遺伝子。メラニン合成の調節に関与します。
・LRMDA遺伝子:
ロイシンリッチメラノサイト分化関連遺伝子。メラノサイトの分化と機能に関与します。
・HPS6遺伝子:
ヘルマンスキー・パドラック症候群6型の原因遺伝子。リソソーム関連小器官の形成に関与し、変異により眼皮膚白皮症に加えて出血傾向を呈します。
・AP3D1遺伝子:
アダプタータンパク質複合体3のδサブユニットをコードする遺伝子。ヘルマンスキー・パドラック症候群の原因遺伝子の一つです。
・LYST遺伝子:
リソソーム輸送調節タンパク質をコードする遺伝子。変異によりチェディアック・東症候群を発症し、眼皮膚白皮症に加えて免疫不全、神経症状、白血球内の巨大顆粒を呈します。
・MYO5A遺伝子:
ミオシンVaをコードする遺伝子。メラノソームの細胞内輸送に関与し、変異によりグリセリ症候群1型を発症します。
・RAB27A遺伝子:
Rab27aタンパク質をコードする遺伝子。メラノソームの輸送に関与し、変異によりグリセリ症候群2型を発症します。
・MITF遺伝子:
小眼球症関連転写因子をコードする遺伝子。メラノサイトの発生と分化を調節します。変異によりワールデンブルグ症候群2型を発症し、眼皮膚白皮症に加えて難聴を呈することがあります。
・GPR143遺伝子:
Gタンパク質共役受容体143をコードする遺伝子。X連鎖性眼白皮症(OA1)の原因遺伝子です。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、15の原因遺伝子のみを対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、眼皮膚白皮症を完全に否定することはできません。臨床症状に基づいた診断が引き続き重要です。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 皮膚、毛髪、眼の色素が薄い方、視力低下や眼振がある方、羞明(光に対する過敏性)がある方におすすめします。また、出血傾向がある方(ヘルマンスキー・パドラック症候群の可能性)、反復感染がある方(チェディアック・東症候群、グリセリ症候群の可能性)、難聴がある方(ワールデンブルグ症候群の可能性)も検査をご検討ください。家族に眼皮膚白皮症またはアルビノの方がいる場合も重要です。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 眼皮膚白皮症の病型を特定することはなぜ重要ですか?
- 病型により症状の程度や合併症のリスクが大きく異なります。非症候型(OCA1~8)では色素異常と視覚障害のみですが、症候型(ヘルマンスキー・パドラック症候群、チェディアック・東症候群、グリセリ症候群など)では出血傾向、間質性肺炎、免疫不全などの重篤な合併症を伴います。原因遺伝子を特定することで、将来起こりうる合併症を予測し、適切な管理を行うことができます。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 眼皮膚白皮症は常染色体劣性遺伝のため、患者さんの兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。保因者同士のカップルでは子どもが発症する確率は25%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- このパネルは15の主要な原因遺伝子を対象としていますが、すべての眼皮膚白皮症の原因遺伝子を網羅しているわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、病型の特定、今後の対応、合併症のリスク、ご家族への影響、管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 眼皮膚白皮症は常染色体劣性遺伝のため、患者さん自身のお子さんは必ず保因者となります。配偶者も保因者の場合は子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 眼皮膚白皮症の治療はどのように行われますか?
- 現在のところ根本的な治療法はありませんが、適切な管理により生活の質を改善できます。紫外線防御(サンスクリーン、遮光衣類、帽子)、定期的な皮膚科検診、視覚障害への対応(遮光眼鏡、拡大鏡、弱視訓練)、症候型の場合は合併症の管理(出血傾向、間質性肺炎、免疫不全など)が行われます。
- 予後はどうですか?
- 非症候型の眼皮膚白皮症では、適切な紫外線防御と定期的な皮膚科検診により、生命予後は良好です。ただし、長期的な紫外線曝露により皮膚癌のリスクが高まります。症候型(特にヘルマンスキー・パドラック症候群)では、間質性肺炎が中高年で発症し、生命予後に影響することがあります。視覚障害は矯正困難ですが、適切な支援により日常生活を送ることが可能です。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な15の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら