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核遺伝子ミトコンドリア病NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

核遺伝子ミトコンドリア病NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

ミトコンドリア病とは

ミトコンドリア病は、細胞内のエネルギー産生を担うミトコンドリアの機能障害により、臨床症状が出現する疾患の総称です。ミトコンドリアは体内のほぼすべての細胞に存在し、酸素と栄養素からエネルギー(ATP)を作り出す重要な役割を担っています。このミトコンドリアの働きが低下すると、細胞が必要とするエネルギーを十分に作ることができず、さまざまな臓器や組織に障害が生じます。

特にエネルギーを多く必要とする脳、心臓、骨格筋、神経系などの組織が障害されやすく、多彩な症状を呈します。発症年齢や症状の重症度は患者さんによって大きく異なり、乳児期から成人期まで幅広い年齢層で発症する可能性があります。

ミトコンドリア病の原因には、ミトコンドリア自身が持つDNA(ミトコンドリアDNA:mtDNA)の異常と、細胞の核内にあるDNA(核DNA)の異常の2種類があります。核DNA上には200種類近くのミトコンドリア関連遺伝子が存在しており、これらの遺伝子変異により発症する疾患を「核遺伝子ミトコンドリア病」と呼びます。本検査は、この核DNA上の遺伝子異常を検出することを目的としています。

症状と病態

ミトコンドリア病の症状は非常に多様で、複数の臓器にまたがる症状が認められることが特徴です。エネルギー需要の大きい臓器ほど障害を受けやすく、脳・神経系、筋肉、心臓が最も影響を受けやすい組織となります。

主要症状

  • 中枢神経症状:知的退行、記憶障害、けいれん、精神症状、脳卒中様発作
  • 筋症状:筋力低下、易疲労性、運動不耐性、筋肉痛
  • 眼症状:眼瞼下垂、外眼筋麻痺、視神経萎縮、網膜色素変性
  • 心症状:心筋症、心伝導障害、不整脈
  • 聴覚症状:感音性難聴
  • 内分泌症状:糖尿病、低身長、成長障害
  • 消化器症状:肝機能障害、膵外分泌不全
  • 腎症状:糸球体硬化症、腎尿細管機能異常
  • その他:乳酸アシドーシス、発達遅滞

代表的なミトコンドリア病の病型

特徴的な症状パターンに基づいて、いくつかの臨床病型が定義されています:

  • MELAS(ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群):繰り返す脳卒中様発作、けいれん、認知症、乳酸アシドーシスを特徴とします。小児期から成人期に発症し、頭痛・嘔吐・けいれん・意識障害・片麻痺などの脳卒中様発作が特徴的です。
  • MERRF(赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群):ミオクローヌス(不随意運動)、てんかん、小脳失調、筋力低下が主症状です。筋生検で赤色ぼろ線維(ragged-red fibers)が認められます。
  • Leigh症候群(リー脳症):乳幼児期に発症することが多く、精神運動発達遅滞、筋緊張低下、呼吸障害、けいれんを呈します。MRIで基底核や脳幹に特徴的な病変を認めます。
  • CPEO(慢性進行性外眼筋麻痺):進行性の眼瞼下垂と外眼筋麻痺が主症状で、眼球運動が制限されます。
  • Kearns-Sayre症候群(KSS):20歳未満で発症するCPEOに、網膜色素変性、心伝導障害、小脳失調などを伴います。
  • LHON(レーベル遺伝性視神経症):若年成人期に発症する両側性の急性または亜急性視力障害を特徴とします。
  • NARP(運動失調と網膜色素変性症を伴う神経衰弱):神経筋障害、運動失調、網膜色素変性を呈します。
  • Pearson症候群:乳幼児期発症の鉄芽球性貧血と膵外分泌不全が特徴です。

診断の難しさ

ミトコンドリア病の診断は、症状の多様性と他の疾患との症状の重複により困難な場合が多くあります。血液検査での乳酸値上昇、画像検査での特徴的な所見、筋生検での赤色ぼろ線維の存在などが診断の手がかりとなりますが、最終的な診断確定には遺伝子検査が重要な役割を果たします。

遺伝形式と原因遺伝子

核遺伝子ミトコンドリア病は、核DNA上の遺伝子変異により発症します。これらの遺伝子はミトコンドリアの構造タンパク質、呼吸鎖複合体の構成要素、ミトコンドリアDNAの複製・維持に関わる酵素など、ミトコンドリアの機能維持に必要なタンパク質をコードしています。

遺伝形式

核遺伝子ミトコンドリア病の遺伝形式は、以下のパターンがあります:

  • 常染色体劣性(潜性)遺伝:最も頻度が高く、両親がそれぞれ保因者である場合、子どもが発症する確率は25%です
  • 常染色体優性(顕性)遺伝:親が発症している場合、子どもが発症する確率は50%です
  • X連鎖遺伝:比較的稀で、主に男性が発症します
  • 孤発例:家族歴がなく、新規変異により発症する場合もあります

核遺伝子の役割

核DNA上のミトコンドリア関連遺伝子は、以下のような機能を担っています:

  • 呼吸鎖複合体(複合体I、II、III、IV、V)の構成要素
  • 呼吸鎖複合体の組み立てに関与する因子
  • ミトコンドリアDNAの複製・修復に関わる酵素
  • ミトコンドリア内でのタンパク質合成に必要な因子
  • ミトコンドリアの融合・分裂に関与するタンパク質
  • ミトコンドリア内への物質輸送に関わるタンパク質
  • 補酵素(コエンザイムQ10など)の合成に関わる酵素

主要な原因遺伝子

現在までに200種類近くの核遺伝子がミトコンドリア病の原因として同定されています。当検査パネルでは、臨床的に重要な677遺伝子を対象としています。主要な遺伝子には以下のようなものがあります:

  • 呼吸鎖複合体I関連:NDUFS1, NDUFS2, NDUFS4, NDUFS7, NDUFS8, NDUFV1, NDUFV2など
  • 呼吸鎖複合体II関連:SDHA, SDHB, SDHC, SDHD, SDHAFなど
  • 呼吸鎖複合体III関連:BCS1L, TTC19, UQCRB, UQCRQなど
  • 呼吸鎖複合体IV関連:COX10, COX15, SCO1, SCO2, SURF1など
  • 呼吸鎖複合体V関連:ATP5F1A, ATP5F1E, ATAPAFなど
  • mtDNA維持関連:POLG, POLG2, TWNK(旧称PEO1), TK2, DGUOK, RRM2Bなど
  • 補酵素Q10合成関連:COQ2, COQ4, COQ6, COQ7, COQ8A, COQ9など
  • ミトコンドリア翻訳関連:EARS2, FARS2, MARS2, YARS2など

注意:本検査は核DNA上の遺伝子のみを対象としており、ミトコンドリアDNA自体の変異(MELASやMERRFの原因となる最も頻度の高い変異など)は検出できません。ミトコンドリアDNAの検査が必要な場合は、別途ミトコンドリアゲノム検査が必要です。

ミネルバクリニックの核遺伝子ミトコンドリア病遺伝子パネル検査の特徴

「核遺伝子ミトコンドリア病 NGSパネル検査」とは、現在ミトコンドリア病の原因として報告されている核DNA上の677の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、ミトコンドリア病に関連する677遺伝子を一度に調べられる「核遺伝子ミトコンドリア病 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でミトコンドリア病の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、ミトコンドリア病に関係するとされる677の遺伝子を一度に調べられる「核遺伝子ミトコンドリア病 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるミトコンドリア病の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「核遺伝子ミトコンドリア病 NGSパネル検査」の場合、677の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からミトコンドリア病を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「核遺伝子ミトコンドリア病 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な677の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「核遺伝子ミトコンドリア病 NGSパネル検査」では、ミトコンドリア病に関係するとされる677種類の核DNA上の遺伝子をまとめて検査します。これには呼吸鎖複合体の構成要素、ミトコンドリアDNA維持に関わる遺伝子、補酵素合成遺伝子、ミトコンドリア内タンパク質合成関連遺伝子など、ミトコンドリア機能に必要なほぼすべての核遺伝子が含まれます。

「核遺伝子ミトコンドリア病 NGSパネル検査」は、ミトコンドリア病の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【ミトコンドリア病の個人歴または家族歴のある方】に
「核遺伝子ミトコンドリア病 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・原因不明の多臓器症状がある方
・脳、筋肉、心臓の複数の症状がある方
・慢性進行性外眼筋麻痺(眼瞼下垂、眼球運動障害)がある方
・繰り返す脳卒中様発作がある方
・原因不明のけいれん、認知機能低下がある方
・筋力低下、易疲労性、運動不耐性がある方
・心筋症、心伝導障害がある方
・感音性難聴がある方
・糖尿病と難聴を合併している方
・乳酸アシドーシスを認める方
・家族にミトコンドリア病の方がいる方
・筋生検で赤色ぼろ線維が認められた方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、ミトコンドリア病の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な対症療法、補酵素の補充、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の神経筋疾患や代謝性疾患との鑑別
・適切な対症療法の選択(けいれんに対する抗てんかん薬、心伝導障害に対するペースメーカーなど)
・補酵素(コエンザイムQ10、ビタミン類など)の補充療法の適応判断
・MELAS脳卒中様発作に対するタウリン療法などの特異的治療の適応判断
・呼吸機能障害、心機能障害などの合併症の早期発見と管理
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%、常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

AAAS, AARS, AARS2, AASS, ABAT, ABCB11, ABCB4, ABCB6, ABCB7, ABCB8, ABCC8, ABCC9, ABCD1, ABCD3, ABCD4, ABHD5, ACACA, ACAD8, ACAD9, ACADL, ACADM, ACADS, ACADSB, ACADVL, ACAT1, ACAT2, ACHE, ACLY, ACO2, ACSF3, ACSL4, ACSL5, ACSM3, ADSL, AFG3L2, AGK, AGL, AGPS, AGXT, AGXT2, AIFM1, AK2, AK3, AKAP10, AKR7A2, AKT1, AKT2, ALAS2, ALDH18A1, ALDH2, ALDH3A2, ALDH4A1, ALDH5A1, ALDH6A1, ALDH7A1, ALDOA, ALDOB, ALG1, ALG11, ALG13, ALG2, ALG3, ALG6, ALG9, AMACR, AMT, ANK2, ANKRD26, APOPT1, APTX, ARG1, ARMS2, ARX, AS3MT, ASL, ASS1, ATAD3A, ATAD3B, ATIC, ATP10D, ATP5F1A, ATP5F1B, ATP5F1E, ATP7B, ATP8B1, ATPAF2, ATXN7, AUH, B4GALT1, BAX, BCAT1, BCAT2, BCKDHA, BCKDHB, BCL2, BCS1L, BOLA3, C12orf65, C19orf12, CA5A, CACNA1A, CACNA1S, CACNA2D1, CARS2, CASP8, CCT7, CDC42BPB, CDKL5, CFTR, CHAT, CHCHD10, CHDH, CHKB, CHRNA4, CHRNB2, CISD2, CKM, CKMT1B, CLCN1, CLCN2, CLCN5, CLCN7, CLCNKB, CLN3, CLN5, CLN6, CLN8, CLPB, CLPP, CLYBL, CNR1, COA5, COA6, COASY, COG4, COG5, COG6, COG7, COG8, COMT, COQ2, COQ4, COQ5, COQ6, COQ7, COQ8A, COQ8B, COQ9, COX10, COX14, COX15, COX20, COX4I1, COX4I2, COX6A1, COX6B1, COX7A1, COX7A2, COX7B, COX8A, CPOX, CPS1, CPT1A, CPT1B, CPT2, CTSD, CYB5A, CYB5R3, CYBA, CYBB, CYC1, CYCS, CYP11A1, CYP11B1, CYP11B2, CYP24A1, CYP27A1, CYP27B1, D2HGDH, DARS, DARS2, DBT, DDAH1, DDC, DDHD1, DDHD2, DDOST, DECR1, DGUOK, DHODH, DHTKD1, DIABLO, DISC1, DLAT, DLD, DMAC2, DMGDH, DNA2, DNAJC19, DNAJC5, DNM1L, DNM2, DOLK, DPAGT1, DPM1, DPM3, DTNBP1, EARS2, ECHS1, ECI1, ECSIT, ELAC2, ELN, ENO1, ENO3, ETFA, ETFB, ETFDH, ETHE1, FAAH, FAH, FARS2, FASN, FASTKD2, FBP1, FBXL4, FDPS, FDX2, FECH, FH, FLAD1, FOLR1, FOXC1, FOXG1, FOXRED1, FTH1, FXN, G6PC, G6PD, GAA, GAD1, GAD2, GALC, GAMT, GARS, GATD3A, GATM, GBE1, GCDH, GCK, GCSH, GDAP1, GFER, GFM1, GFM2, GK, GLDC, GLO1, GLRA1, GLRX5, GLS, GLUD1, GLYCTK, GMPPA, GNAS, GNPAT, GPAM, GPD1, GPD2, GPI, GPX1, GPX4, GSS, GTPBP3, GYG1, GYG2, GYS1, GYS2, H6PD, HADH, HADHA, HADHB, HARS, HARS2, HCCS, HCFC1, HIBCH, HIGD2A, HK1, HK2, HLCS, HMGCL, HMGCS2, HOGA1, HSD17B10, HSD17B4, HSD3B1, HSD3B2, HSPA9, HSPB7, HSPD1, HSPE1, HTRA2, IARS2, IBA57, IDE, IDH1, IDH2, IDH3B, IMMP2L, IMMT, INPP5E, INSR, ISCA2, ISCU, IVD, KARS, KCNA1, KCNE1, KCNE2, KCNH2, KCNJ11, KCNJ2, KCNQ1, KCNQ2, KCNQ3, KIF1B, KRT5, KYNU, L2HGDH, LAMP2, LARS, LARS2, LDHA, LDHB, LETM1, LIAS, LIPT1, LMBRD1, LRPPRC, LRRK2, LYRM4, LYRM7, MAOA, MAOB, MARS, MARS2, MAVS, MCCC1, MCCC2, MCEE, MDH1, MECP2, MECR, MED23, MEN1, MFF, MFN2, MFSD8, MGAT2, MGLL, MGME1, MGST3, MICU1, MLYCD, MMAA, MMAB, MMACHC, MMADHC, MOCOS, MOCS1, MOCS2, MOGS, MPC1, MPDU1, MPI, MPV17, MRPL12, MRPL15, MRPL19, MRPL3, MRPL43, MRPL44, MRPL48, MRPL57, MRPS12, MRPS16, MRPS17, MRPS18A, MRPS22, MRPS7, MRRF, MTCH2, MTFMT, MTHFD1, MTHFD1L, MTO1, MTPAP, MTR, MTRR, MUT, MUTYH, NADK2, NAGS, NARS2, NDUFA1, NDUFA10, NDUFA11, NDUFA12, NDUFA13, NDUFA2, NDUFA4, NDUFA6, NDUFA7, NDUFA8, NDUFA9, NDUFAF1, NDUFAF2, NDUFAF3, NDUFAF4, NDUFAF5, NDUFAF6, NDUFAF7, NDUFB1, NDUFB11, NDUFB3, NDUFB6, NDUFB8, NDUFB9, NDUFC2, NDUFS1, NDUFS2, NDUFS3, NDUFS4, NDUFS5, NDUFS6, NDUFS7, NDUFS8, NDUFV1, NDUFV2, NDUFV3, NFS1, NFU1, NGLY1, NIPSNAP1, NIPSNAP3A, NLRX1, NME1, NNT, NOS3, NPL, NR2F1, NRXN1, NUBPL, OAT, OGG1, OPA1, OPA3, OTC, OXCT1, PACRG, PAH, PAK5, PANK2, PARL, PARP1, PARS2, PC, PCCA, PCCB, PCK1, PCK2, PDHA1, PDHB, PDHX, PDP1, PDSS1, PDSS2, PDX1, PET100, PEX1, PEX10, PEX11B, PEX12, PEX13, PEX14, PEX16, PEX19, PEX2, PEX26, PEX3, PEX5, PEX6, PEX7, PFKM, PGAM2, PGK1, PGM1, PHB, PHKA1, PHKA2, PHKB, PHKG2, PHYH, PKLR, PMM2, PNKD, PNMT, PNPT1, POLG, POLG2, POLRMT, PPARGC1A, PPOX, PPT1, PREPL, PRKAG2, PRKN, PRODH, PRPS1, PTGES2, PTRH2, PTS, PUS1, PYCR1, PYGM, QARS, QDPR, RAB11FIP5, RANBP2, RARS, RARS2, REEP1, RFT1, RMND1, RMRP, RNASEL, RPL35A, RPS14, RRM2B, RSPH9, RYR1, RYR2, SACS, SARDH, SARS2, SCN1A, SCN1B, SCN2A, SCN4A, SCN5A, SCO1, SCO2, SCP2, SDHA, SDHAF1, SDHAF2, SDHB, SDHC, SDHD, SECISBP2, SERAC1, SFXN4, SHMT1, SHMT2, SIRT1, SIRT3, SIRT5, SLC16A1, SLC19A2, SLC19A3, SLC22A4, SLC22A5, SLC25A1, SLC25A12, SLC25A13, SLC25A15, SLC25A16, SLC25A19, SLC25A20, SLC25A21, SLC25A22, SLC25A3, SLC25A32, SLC25A35, SLC25A38, SLC25A39, SLC25A4, SLC25A42, SLC25A5, SLC25A6, SLC27A4, SLC2A1, SLC2A2, SLC35A1, SLC35A2, SLC35C1, SLC37A4, SLC3A1, SLC5A8, SLC6A8, SLC7A7, SOD2, SPART, SPAST, SPG7, SPR, SPTLC1, SPTLC2, SRD5A3, SSR4, STAR, STT3A, STT3B, STXBP1, SUCLA2, SUCLG1, SUGCT, SUOX, SURF1, TACO1, TAP1, TARS2, TAT, TAZ, TCIRG1, TDP1, TFAM, TFB1M, TIMM13, TIMM44, TIMM50, TIMM8A, TIMM9, TK2, TKT, TMEM126A, TMEM165, TMEM70, TOMM40, TOP1MT, TP53, TPH2, TPI1, TPK1, TPP1, TRIT1, TRMU, TRNT1, TSFM, TSPO, TST, TTC19, TUFM, TWNK, TXN2, TXNRD2, TYMP, UBE3A, UCP1, UCP2, UCP3, UNG, UQCC2, UQCC3, UQCRB, UQCRC2, UQCRQ, UROS, USP24, VARS2, WARS2, WDR4, WFS1, WWOX, XPNPEP3, YARS2 ( 677遺伝子 )

これらの遺伝子は以下のような機能別カテゴリーに分類されます:

呼吸鎖複合体関連遺伝子:
ミトコンドリアの呼吸鎖は5つの複合体(複合体I~V)から構成されており、これらの構成要素や組み立て因子をコードする遺伝子が含まれます。NDUFS1-8, NDUFV1-2(複合体I)、SDHA-D(複合体II)、BCS1L, UQCRB(複合体III)、COX10, COX15, SCO1-2, SURF1(複合体IV)、ATP5F1A, ATP5F1E(複合体V)など。

ミトコンドリアDNA維持関連遺伝子:
ミトコンドリアDNAの複製、修復、維持に関わる遺伝子。POLG, POLG2(DNAポリメラーゼγ)、TWNK(ヘリカーゼ)、TK2, DGUOK(デオキシヌクレオチド合成)、RRM2B(リボヌクレオチド還元酵素)など。これらの遺伝子の異常により二次的にミトコンドリアDNAの欠失や枯渇が生じます。

補酵素Q10合成関連遺伝子:
補酵素Q10(コエンザイムQ10)の合成に関わる遺伝子。COQ2, COQ4, COQ5, COQ6, COQ7, COQ8A, COQ8B, COQ9など。補酵素Q10は電子伝達に必須の成分です。

ミトコンドリアタンパク質合成関連遺伝子:
ミトコンドリア内でのタンパク質合成に必要なアミノアシルtRNA合成酵素、リボソームタンパク質、翻訳因子などをコードする遺伝子。EARS2, FARS2, MARS2, YARS2(tRNA合成酵素)、MRPL3, MRPL12(ミトコンドリアリボソーム)、TUFM(翻訳伸長因子)など。

ミトコンドリア動態関連遺伝子:
ミトコンドリアの融合、分裂、品質管理に関わる遺伝子。MFN2(融合)、DNM1L(分裂)、OPA1(融合と視神経維持)など。

ミトコンドリア輸送関連遺伝子:
ミトコンドリア内外への物質輸送に関わる遺伝子。SLC25ファミリー(キャリアータンパク質)、TIMM, TOMMファミリー(タンパク質輸入装置)など。

代謝関連遺伝子:
ミトコンドリアで行われるさまざまな代謝経路に関わる酵素をコードする遺伝子。脂肪酸β酸化、アミノ酸代謝、ヘム合成、クエン酸回路などに関与。

特記事項:
・FXN遺伝子:Friedreich失調症の原因遺伝子で、GAA三塩基リピートの異常伸長が最も多い変異です。本検査では塩基配列変異のみ検出可能で、リピート伸長は検出できません。
・ALG1遺伝子:偽遺伝子との相同性が高いため、エキソン6-13の検出感度が低下する可能性があります。
・MECP2遺伝子:現在の技術では、エキソン1の単一エキソン欠失/重複の検出が困難です。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基リピート、特にFXN遺伝子のGAAリピート伸長)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※重要な制限事項:
・本検査は核DNA上の遺伝子のみを対象としており、ミトコンドリアDNA自体の変異は検出できません。
・MELASの約80%、MERRFのほぼすべてなど、ミトコンドリア病の中で最も頻度の高い原因であるミトコンドリアDNAの変異(m.3243A>G、m.8344A>G など)は本検査では検出されません。
・ミトコンドリアDNA変異が疑われる場合は、別途ミトコンドリアゲノム検査が必要です。
・検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
原因不明の多臓器症状がある方、特に脳・筋肉・心臓の複数の症状を持つ方におすすめします。具体的には、繰り返す脳卒中様発作、けいれん、眼瞼下垂、外眼筋麻痺、筋力低下、易疲労性、心筋症、感音性難聴、糖尿病などの症状がある方です。また、筋生検で赤色ぼろ線維が認められた方や、血液検査で乳酸値が高い方も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
ミトコンドリアDNAの検査もできますか?
本検査は核DNA上の遺伝子のみを対象としており、ミトコンドリアDNA自体の変異は検出できません。MELASやMERRFの最も頻度の高い原因であるミトコンドリアDNAの変異(m.3243A>G、m.8344A>Gなど)を調べる場合は、別途ミトコンドリアゲノム検査が必要です。臨床症状からどちらの検査が適切かを判断しますので、遺伝カウンセリングでご相談ください。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
核遺伝子に病原性変異が検出されなくても、ミトコンドリア病を完全に否定することはできません。ミトコンドリアDNAの変異が原因である可能性や、まだ発見されていない新しい遺伝子の変異である可能性があります。臨床症状と各種検査結果に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%、常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
ミトコンドリア病の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法は限られていますが、対症療法が積極的に行われます。けいれんに対する抗てんかん薬、糖尿病に対するインスリン治療、心伝導障害に対するペースメーカー植込み、補酵素(コエンザイムQ10、ビタミンB群など)の補充療法などがあります。MELAS脳卒中様発作に対してはタウリン大量療法が保険適用となっています。
予後はどうですか?
ミトコンドリア病の臨床経過は原因遺伝子や個人によって大きく差があります。乳幼児期発症の重症型から成人期発症の緩徐進行型まで幅広く、中心的に障害される臓器(脳、心臓、腎臓など)や合併する他の臓器症状の程度により予後が異なります。適切な対症療法と定期的なモニタリングにより、生活の質を維持できる場合も多くあります。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な677の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。

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“text”: “血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。まず遺伝カウンセリングを受けていただき、検査料金お支払い後に検体採取キットをお送りします。検体を返送いただければ、2-3週間程度で結果が出ます。”
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“name”: “ミトコンドリアDNAの検査もできますか?”,
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“@type”: “Question”,
“name”: “家族も検査を受ける必要がありますか?”,
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“text”: “遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。遺伝カウンセリングでご家族の状況に応じた検査計画をご提案いたします。”
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“@type”: “Question”,
“name”: “検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?”,
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“text”: “核遺伝子に病原性変異が検出されなくても、ミトコンドリア病を完全に否定することはできません。ミトコンドリアDNAの変異が原因である可能性や、まだ発見されていない新しい遺伝子の変異である可能性があります。臨床症状と各種検査結果(筋生検、乳酸値、画像検査など)に基づいた診断と管理が引き続き重要です。必要に応じてミトコンドリアDNA検査など追加の検査をご提案いたします。”
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“@type”: “Question”,
“name”: “保険は適用されますか?”,
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“text”: “当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。至急オプション(33,000円)をご利用いただくと、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。”
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“text”: “検査結果は必ず臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の医学的意味、今後の対応、ご家族への影響、利用可能な治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。オンライン診療での結果説明も可能です。”
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“@type”: “Question”,
“name”: “子どもや将来の妊娠への影響はありますか?”,
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“text”: “遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%、常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。遺伝カウンセリングで個別の状況に応じたアドバイスをいたします。”
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“name”: “ミトコンドリア病の治療はどのように行われますか?”,
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“text”: “当院では臨床的に重要な677の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。検査結果の解釈から家族計画まで、トータルでサポートいたします。”
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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら