InstagramInstagram

非症候群性難聴NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

非症候群性難聴NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

非症候群性難聴とは

非症候群性難聴(Nonsyndromic Hearing Loss)は、難聴以外の症状を伴わない遺伝性難聴のことで、遺伝的要因による難聴の約70%を占めています。先天性難聴は約1,000人に1人の割合で発症し、その約半数が遺伝性難聴と推定されています。

本疾患は遺伝学的にも臨床的にも非常に多様性が高く、発症年齢、難聴の程度、進行性の有無などが患者さんによって異なります。遺伝形式は常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝、ミトコンドリア遺伝のいずれの形式もあり、現在までに100以上の原因遺伝子が同定されています。

非症候群性難聴は、難聴以外の症状(網膜色素変性症、甲状腺腫、腎障害など)を合併する症候群性難聴と対比されます。症候群性難聴が遺伝性難聴の約30%を占めるのに対し、非症候群性難聴は約70%と大多数を占めており、遺伝性疾患の中で最も頻度の高い疾患の一つです。

症状と病態

非症候群性難聴の主な症状は、両側性または片側性の感音難聴です。多くの場合、生まれつき(先天性)の難聴として発症しますが、幼児期から成人期にかけて発症・進行する遺伝性難聴(若年発症型両側性感音難聴)もあります。

主要症状

  • 両側性または片側性の感音難聴
  • 言語習得前(先天性)または言語習得後の難聴発症
  • 軽度から重度(ろう)まで様々な難聴の程度
  • 高音域のみまたは全音域の難聴
  • 進行性または非進行性の難聴
  • 難聴以外の臓器症状を伴わない

難聴の程度分類

難聴は聴力検査により評価され、以下のように分類されます:

  • 軽度難聴:20~40 dBの障害。小さな声や遠くの音が聞き取りにくい
  • 中度難聴:41~70 dBの障害。普通の会話が聞き取りにくい
  • 高度難聴:71~90 dBの障害。大きな声でないと聞き取れない
  • 重度難聴:91~120 dBの障害。非常に大きな音でないと聞こえない
  • ろう:120 dBを超える障害。ほとんど聞こえない

発症時期による分類

発症時期により以下のように分類されます:

  • 言語習得前難聴:生まれつきまたは言語習得前(通常3歳以前)に発症。新生児聴覚スクリーニングで発見されることが多い。75~80%が常染色体劣性遺伝、20~25%が常染色体優性遺伝、1~1.5%がX連鎖性遺伝
  • 言語習得後難聴:言語習得後に発症・進行。常染色体優性遺伝が多い

遺伝性難聴の特徴

遺伝性難聴というと両親のどちらかが難聴者であると思われがちですが、実際には非症候群性難聴症例の過半数を占める常染色体劣性遺伝の場合、通常は両親とも正常聴力(難聴遺伝子変異の保因者)です。このため、家族歴がなくても遺伝性難聴である可能性は十分にあります。

遺伝形式と原因遺伝子

非症候群性難聴は遺伝学的に非常に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝、ミトコンドリア遺伝のいずれの形式でも発症します。現在までに100以上の原因遺伝子が同定されていますが、原因遺伝子が多様な点が非症候群性難聴の特徴です。

常染色体劣性遺伝形式(DFNB)

言語習得前難聴の75~80%を占める最も頻度の高い遺伝形式です:

  • GJB2遺伝子(DFNB1):コネキシン26をコードし、非症候群性難聴の最も多い原因遺伝子です。日本人の遺伝性難聴の50%以上を占めるとされています。内耳の細胞間イオン輸送を担うギャップ結合を構成し、内耳リンパ液のイオン組成維持に重要な役割を果たします
  • GJB6遺伝子(DFNB1):コネキシン30をコードし、GJB2遺伝子と同じDFNB1に分類されます
  • SLC26A4遺伝子:ペンドリンをコードし、前庭水管拡大症を伴う難聴の原因となります
  • MYO15A遺伝子:ミオシンXVAをコードし、内耳有毛細胞の不動毛形成に関与します
  • OTOF遺伝子:オトフェリンをコードし、聴覚神経伝達に関与します
  • CDH23遺伝子:カドヘリン23をコードし、内耳有毛細胞の不動毛連結に関与します

常染色体優性遺伝形式(DFNA)

言語習得前難聴の20~25%、言語習得後難聴の大部分を占めます:

  • KCNQ4遺伝子:カリウムチャネルをコードし、進行性の高音域難聴の原因となります
  • TECTA遺伝子:αテクトリンをコードし、蓋膜の構成成分です。変異の位置により難聴の聴力型が異なります
  • MYH9遺伝子:非筋ミオシン重鎖IIAをコードし、細胞骨格の構成に関与します
  • WFS1遺伝子:ウォルフラミンをコードし、低音域難聴の原因となります
  • GJB2遺伝子:劣性遺伝だけでなく、優性遺伝形式(DFNA3)もあります

X連鎖遺伝形式(DFN)

言語習得前難聴の1~1.5%を占めます:

  • POU3F4遺伝子(DFN3):転写因子をコードし、混合型難聴(伝音難聴と感音難聴の両方)の原因となります
  • PRPS1遺伝子:ホスホリボシルピロリン酸合成酵素をコードします

ミトコンドリア遺伝

母系遺伝を示し、母親から子どもへ遺伝します:

  • MT-RNR1遺伝子:12SリボゾームRNAをコードします。1555A>G変異はアミノグリコシド系抗生物質による薬剤性難聴の感受性を高めます

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な100遺伝子を対象としています。これにより、非症候群性難聴の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックの非症候群性難聴遺伝子パネル検査の特徴

「非症候群性難聴 NGSパネル検査」とは、現在非症候群性難聴の原因として報告されている100の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、非症候群性難聴に関連する100遺伝子を一度に調べられる「非症候群性難聴 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で非症候群性難聴の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、非症候群性難聴に関係するとされる100の遺伝子を一度に調べられる「非症候群性難聴 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える非症候群性難聴の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「非症候群性難聴 NGSパネル検査」の場合、100の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から非症候群性難聴を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「非症候群性難聴 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な100の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「非症候群性難聴 NGSパネル検査」では、非症候群性難聴に関係するとされる100種類の遺伝子をまとめて検査します。

「非症候群性難聴 NGSパネル検査」は、非症候群性難聴の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【非症候群性難聴の個人歴または家族歴のある方】に
「非症候群性難聴 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・新生児聴覚スクリーニングで異常を指摘された方
・先天性または幼児期からの両側性難聴がある方
・進行性の感音難聴がある方
・難聴以外の症状(視覚障害、腎障害など)を伴わない方
・聴力検査で感音難聴と診断された方
・家族に同様の難聴がある方
・非症候群性難聴または遺伝性難聴の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
・アミノグリコシド系抗生物質使用前の感受性評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、非症候群性難聴の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な補聴器装用、人工内耳手術の検討、言語訓練、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・症候群性難聴や他の原因による難聴との鑑別
・適切な補聴器の選択と装用
・人工内耳手術の適応判断
・言語訓練・聴覚訓練の早期開始
・薬剤性難聴のリスク評価(アミノグリコシド系抗生物質など)
・進行性難聴の予測と定期的な聴力評価
・合併症(前庭水管拡大症など)の早期発見
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ACTG1, ADCY1, BDP1, BSND, CABP2, CCDC50, CD164, CDC14A, CDH23, CEACAM16, CEP78, CIB2, CLDN14, CLIC5, COCH, COL11A2, COL4A6, CRYL1, CRYM, DCDC2, DIABLO, DIAPH1, DIAPH3, DSPP, ELMOD3, EPS8, ESPN, ESRRB, EYA4, GIPC3, GJB2, GJB3, GJB6, GPSM2, GRHL2, GRXCR1, GRXCR2, GSDME, HARS2, HGF, HOMER2, ILDR1, KARS, KCNQ4, KITLG, LHFPL5, LOXHD1, LRTOMT, MARVELD2, MET, MIR96, MSRB3, MYH14, MYH9, MYO15A, MYO3A, MYO6, MYO7A, NARS2, OSBPL2, OTOA, OTOF, OTOG, OTOGL, P2RX2, PCDH15, PJVK, PNPT1, POU3F4, POU4F3, PRPS1, PTPRQ, RDX, RIPOR2, ROR1, S1PR2, SERPINB6, SIX1, SLC17A8, SLC26A4, SLC26A5, SLITRK6, SMPX, STRC, SYNE4, TBC1D24, TECTA, TJP2, TMC1, TMC2, TMEM132E, TMIE, TMPRSS3, TNC, TPRN, TRIOBP, TSPEAR, USH1C, WFS1, WHRN ( 100遺伝子 )

主要遺伝子の詳細:
・GJB2遺伝子:
コネキシン26をコードする遺伝子。日本人の遺伝性難聴の50%以上を占める最も頻度の高い原因遺伝子です。内耳の細胞間ギャップ結合を構成し、カリウムイオンなどの低分子の輸送を担います。常染色体劣性遺伝(DFNB1)と常染色体優性遺伝(DFNA3)の両方の形式があります。

・GJB6遺伝子:
コネキシン30をコードする遺伝子。GJB2遺伝子と同じDFNB1として分類されます。GJB2遺伝子との複合ヘテロ接合体も報告されています。

・SLC26A4遺伝子:
ペンドリンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、前庭水管拡大症を伴う難聴の原因となります。内耳のイオン恒常性維持に関与します。

・CDH23遺伝子:
カドヘリン23をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、内耳有毛細胞の不動毛連結(tip link)の構成成分です。変異により不動毛の構造が障害されます。

・MYO15A遺伝子:
ミオシンXVAをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、内耳有毛細胞の不動毛形成に必須です。

・OTOF遺伝子:
オトフェリンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、内耳有毛細胞のシナプス小胞の開口放出に関与します。聴性脳幹反応(ABR)が無反応であるにもかかわらず、耳音響放射(OAE)が検出される聴覚神経障害の原因となります。

・KCNQ4遺伝子:
カリウムチャネルKCNQ4をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式(DFNA2)で、進行性の高音域難聴の原因となります。

・TECTA遺伝子:
αテクトリンをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式(DFNA8/12)で、蓋膜の主要な構成成分です。変異の位置により聴力型が異なり、ZPドメインの変異は中音域難聴、ZAドメインの変異は高音域難聴を呈します。

・MYO7A遺伝子:
ミオシンVIIAをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝(DFNB2)と常染色体優性遺伝(DFNA11)の両方の形式があります。また、症候群性難聴であるUsher症候群1B型の原因遺伝子でもあります。

・WFS1遺伝子:
ウォルフラミンをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、低音域難聴(DFNA6/14/38)の原因となります。小胞体ストレス応答に関与します。

・POU3F4遺伝子:
転写因子POU3F4をコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式(DFN3)で、内耳奇形を伴う混合型難聴の原因となります。

・PRPS1遺伝子:
ホスホリボシルピロリン酸合成酵素をコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式で、プリン代謝に関与します。

・MYH9遺伝子:
非筋ミオシン重鎖IIAをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、進行性難聴の原因となります。

・STRC遺伝子:
ステレオシリンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、内耳有毛細胞の不動毛に局在します。偽遺伝子が存在するため、検査が困難な遺伝子の一つです。

※OTOA遺伝子のエキソン20-28は偽遺伝子の干渉により現在の検査方法では信頼性のある変異検出ができません。

※STRC遺伝子は一般的なSTRC/CATSPER2連続遺伝子欠失の検出が可能ですが、偽遺伝子の干渉により他の変異(部分欠失や配列変異)の評価は通常行われません。

※TPRN遺伝子のエキソン1は現在の配列決定方法に適さないため、この領域の配列決定および欠失/重複分析は実施されません。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、100の原因遺伝子のみを対象としています。非症候群性難聴は遺伝的に非常に多様であり、検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

※OTOA遺伝子のエキソン20-28(NM_144672.3)は偽遺伝子の干渉により、現在の検査方法では信頼性のある変異検出ができません。

※STRC遺伝子は一般的なSTRC/CATSPER2連続遺伝子欠失の検出が可能です。しかし、偽遺伝子の干渉により、STRC遺伝子の他の変異(部分遺伝子欠失やSTRC遺伝子内の配列変異)は通常評価されません。

※TPRN遺伝子のエキソン1は現在の配列決定方法に適さないため、この領域の配列決定および欠失/重複分析は実施されません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
新生児聴覚スクリーニングで異常を指摘された方、先天性または幼児期からの両側性難聴がある方、進行性の感音難聴がある方におすすめします。難聴以外の症状(視覚障害、腎障害、甲状腺腫など)を伴わない感音難聴の場合は、非症候群性難聴の可能性が高くなります。また、家族に同様の症状がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
症候群性難聴との違いは何ですか?
症候群性難聴は難聴以外の症状(網膜色素変性症、腎障害、甲状腺腫など)を合併するのに対し、非症候群性難聴は難聴のみを呈することが大きな違いです。遺伝性難聴の約70%は非症候群性難聴です。当検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な診断が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
非症候群性難聴は遺伝的に非常に多様であり、現在知られている遺伝子以外にも未同定の原因遺伝子が存在する可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と聴力検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
非症候群性難聴の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、補聴器装用、人工内耳手術、言語訓練、聴覚訓練などが行われます。早期診断により早期介入が可能となり、言語発達やコミュニケーション能力の向上が期待できます。適切な管理により、多くの患者さんは良好な社会生活を維持できます。
予後はどうですか?
予後は原因遺伝子や難聴の程度によって大きく異なります。多くの症例では非進行性または緩徐進行性で、適切な補聴器装用や人工内耳手術、言語訓練により、良好な言語発達とコミュニケーション能力を獲得できます。早期診断・早期介入が予後改善の鍵となります。
アミノグリコシド系抗生物質との関連は?
MT-RNR1遺伝子の1555A>G変異を持つ方は、アミノグリコシド系抗生物質(ストレプトマイシン、カナマイシンなど)により薬剤性難聴を発症するリスクが高くなります。遺伝子検査により事前にリスクを知ることで、これらの薬剤の使用を避けることができます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な100の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら