好中球減少症NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック
好中球減少症とは
好中球減少症(Neutropenia)は、血液中の好中球(白血球の一種)の数が異常に少ない状態を指します。好中球は体内に侵入した細菌や真菌の感染を防ぐために重要な役割を果たしており、循環する白血球の大部分を占めています。通常、末梢血の好中球数が1,500/μL未満に減少した状態を好中球減少症と定義します。
好中球減少症の患者さんは、細菌感染症や真菌感染症にかかりやすく、適切な治療を受けないと、生命を脅かす重篤な感染症(好中球減少性敗血症)に進行する危険性があります。特に好中球数が500/μL未満の重度の好中球減少症では、感染症のリスクが大幅に上昇します。
好中球減少症は、先天性(遺伝性)と後天性に大きく分けられます。先天性好中球減少症は比較的稀な疾患ですが、遺伝子異常によって発症し、重症先天性好中球減少症(SCN)や周期性好中球減少症(CyN)などの病型があります。後天性好中球減少症は、薬剤の副作用、感染症、自己免疫疾患、がんなどのさまざまな原因で発症します。
症状と病態
好中球減少症の主な症状は、繰り返す細菌感染症や真菌感染症です。好中球が正常に機能しないため、体の防御機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。好中球減少症自体には特有の症状はありませんが、感染症を合併した際に症状が現れます。
主要症状
- 繰り返す発熱
- 口内炎、歯肉炎、歯周炎(口腔内の感染症)
- 咽頭痛、扁桃炎
- 皮膚感染症(蜂窩織炎、膿瘍など)
- 肺炎
- 中耳炎、副鼻腔炎
- 尿路感染症
- 敗血症(重症の場合)
好中球数と感染リスク
好中球減少症の重症度は好中球数によって分類され、感染リスクと相関します:
- 軽度:1,000~1,500/μL – 感染リスクはやや高い程度
- 中等度:500~1,000/μL – 感染リスクが高くなる
- 重度:500/μL未満 – 重篤な感染症のリスクが大幅に上昇
好中球数が500/μL未満になると、通常は無害な口腔内や腸内の常在菌によっても感染症が起こることがあります。特に重度の好中球減少症では、発熱を伴う場合は緊急の対応が必要となります。
先天性好中球減少症の特徴
遺伝性の先天性好中球減少症には、いくつかの病型があります:
- 重症先天性好中球減少症(SCN):乳児期から重度の好中球減少を示し、繰り返す重篤な感染症を特徴とします。ELANE遺伝子変異が最も多く、常染色体優性(顕性)遺伝または散発性に発症します。
- 周期性好中球減少症(CyN):約21日周期で好中球数が増減を繰り返す特徴的な病型です。好中球数が最低値になる時期に発熱や口内炎などの症状が出現します。ELANE遺伝子変異によることが多いです。
- コストマン症候群:HAX1遺伝子変異による常染色体劣性(潜性)遺伝形式の重症型です。
- シュワッハマン・ダイアモンド症候群:SBDS遺伝子変異により、好中球減少に加えて膵外分泌機能不全、骨格異常を伴います。
進行と予後
先天性好中球減少症の予後は病型によって異なります。G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)製剤による治療により、多くの患者さんで好中球数が改善し、感染症のリスクを減らすことができます。ただし、一部の患者さんでは白血病や骨髄異形成症候群に進行するリスクがあり、長期的なモニタリングが重要です。
遺伝形式と原因遺伝子
先天性好中球減少症は遺伝学的に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝のいずれの形式でも発症します。現在までに20以上の原因遺伝子が同定されており、それぞれの遺伝子変異によって異なる病態や重症度を示します。
常染色体優性(顕性)遺伝形式
最も頻度の高い遺伝形式で、以下の遺伝子が知られています:
- ELANE遺伝子(好中球エラスターゼ):重症先天性好中球減少症と周期性好中球減少症の最も多い原因遺伝子です。タンパク質分解酵素をコードし、変異により好中球の成熟障害が生じます。
- GFI1遺伝子:転写因子をコードし、好中球の分化に重要な役割を果たします。
- CSF3R遺伝子:G-CSF受容体をコードし、変異によりG-CSF治療への反応が低下することがあります。
- WAS遺伝子:ウィスコット・アルドリッチ症候群の原因遺伝子としても知られ、好中球減少を呈することがあります。
常染色体劣性(潜性)遺伝形式
比較的稀ですが、重症型が多い傾向があります:
- HAX1遺伝子:コストマン症候群の原因遺伝子で、アポトーシス(細胞死)の調節に関与します。重症の好中球減少を呈し、神経症状を伴うこともあります。
- SBDS遺伝子:シュワッハマン・ダイアモンド症候群の原因遺伝子で、好中球減少に加えて膵外分泌機能不全、骨格異常、骨髄不全を伴います。
- G6PC3遺伝子:グルコース6-ホスファターゼ触媒サブユニット3をコードし、重症先天性好中球減少症の原因となります。心血管系や泌尿生殖器系の異常を伴うことがあります。
- VPS45遺伝子:小胞輸送に関与するタンパク質をコードし、好中球減少に加えて骨髄線維症、腎障害を伴うことがあります。
- LYST遺伝子:チェディアック・東症候群の原因遺伝子で、好中球減少、易感染性、部分的白皮症、出血傾向を特徴とします。
- RAB27A遺伝子:グリセリ症候群2型の原因遺伝子で、好中球減少、免疫不全、部分的白皮症を呈します。
- AP3B1遺伝子:ハーマンスキー・パドラック症候群2型の原因遺伝子で、好中球減少と色素異常を伴います。
- GAN遺伝子:巨大軸索ニューロパチーの原因遺伝子ですが、好中球減少も呈することがあります。
X連鎖遺伝形式
- WAS遺伝子:ウィスコット・アルドリッチ症候群の原因遺伝子で、X連鎖劣性遺伝形式をとります。好中球減少、血小板減少、湿疹、易感染性を特徴とします。
- WIPF1遺伝子:WASタンパク質相互作用タンパク質をコードし、X連鎖好中球減少症の原因となります。
その他の関連遺伝子
- GATA2遺伝子:転写因子をコードし、好中球減少、単球減少、B細胞・NK細胞減少を伴うMonoMAC症候群の原因となります。
- SLC37A4遺伝子:糖原病Ib型の原因遺伝子で、グルコース6-リン酸トランスポーターをコードします。好中球減少と低血糖を特徴とします。
- TAZ遺伝子:バース症候群の原因遺伝子で、心筋症、好中球減少、ミトコンドリア異常を呈します。
- USB1遺伝子:ポイキロデルマと好中球減少症候群の原因遺伝子です。
- VPS13B遺伝子:コーエン症候群の原因遺伝子で、好中球減少、知的障害、網膜色素変性症を伴います。
当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な21遺伝子を対象としています。これにより、先天性好中球減少症の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。
ミネルバクリニックの好中球減少症遺伝子パネル検査の特徴
「好中球減少症 NGSパネル検査」とは、現在先天性好中球減少症の原因として報告されている21の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、好中球減少症に関連する21遺伝子を一度に調べられる「好中球減少症 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で好中球減少症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、好中球減少症に関係するとされる21の遺伝子を一度に調べられる「好中球減少症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える好中球減少症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「好中球減少症 NGSパネル検査」の場合、21の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から好中球減少症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「好中球減少症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な21の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「好中球減少症 NGSパネル検査」では、好中球減少症に関係するとされる21種類の遺伝子(AP3B1、CSF3R、CXCR4、ELANE、G6PC3、GATA1、GATA2、GFI1、HAX1、LAMTOR2、LYST、RAB27A、RAC2、SBDS、SLC37A4、TAZ、USB1、VPS13B、VPS45、WAS、WIPF1)をまとめて検査します。
「好中球減少症 NGSパネル検査」は、先天性好中球減少症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【好中球減少症の個人歴または家族歴のある方】に
「好中球減少症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・乳幼児期から繰り返す細菌感染症がある方
・重度の好中球減少(500/μL未満)が持続する方
・周期的に好中球数が変動し、発熱や口内炎を繰り返す方
・慢性の歯肉炎、歯周炎、口内炎がある方
・皮膚感染症を繰り返す方
・肺炎、中耳炎、副鼻腔炎を繰り返す方
・敗血症の既往がある方
・G-CSF治療を受けている、または検討している方
・好中球減少症の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている好中球減少症患者さんやその家族で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、好中球減少症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な予防的抗菌薬投与、G-CSF治療、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の疾患との鑑別(後天性好中球減少症、骨髄異形成症候群など)
・G-CSF治療の適応判断と治療効果の予測
・白血病や骨髄異形成症候群への進行リスクの評価
・造血幹細胞移植の適応判断
・合併症(心血管系異常、神経症状、膵機能不全など)の早期発見
・疾患の予後予測と長期的な管理計画の立案
・感染症予防のための適切な管理指針の提供
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
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AP3B1, CSF3R, CXCR4, ELANE, G6PC3, GATA1, GATA2, GFI1, HAX1, LAMTOR2, LYST, RAB27A, RAC2, SBDS, SLC37A4, TAZ, USB1, VPS13B, VPS45, WAS, WIPF1 ( 21遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・AP3B1遺伝子:
アダプタータンパク質複合体3ベータ1サブユニットをコードする遺伝子。ハーマンスキー・パドラック症候群2型の原因となり、好中球減少と色素異常を伴います。常染色体劣性遺伝形式をとります。
・CSF3R遺伝子:
コロニー刺激因子3受容体(G-CSF受容体)をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、重症先天性好中球減少症の原因となります。変異によりG-CSF治療への反応が低下することがあります。
・CXCR4遺伝子:
CXCケモカイン受容体4をコードする遺伝子。WHIM症候群(疣贅、低ガンマグロブリン血症、感染症、骨髄カテキシス)の原因となり、好中球減少を呈します。
・ELANE遺伝子(好中球エラスターゼ):
タンパク質分解酵素である好中球エラスターゼをコードする遺伝子。重症先天性好中球減少症と周期性好中球減少症の最も多い原因遺伝子です。常染色体優性遺伝形式をとります。変異により好中球の成熟障害が生じます。
・G6PC3遺伝子:
グルコース6-ホスファターゼ触媒サブユニット3をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、重症先天性好中球減少症の原因となります。心血管系や泌尿生殖器系の異常を伴うことがあります。
・GATA1遺伝子:
転写因子GATA1をコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式で、好中球減少、貧血、血小板減少を伴うことがあります。
・GATA2遺伝子:
転写因子GATA2をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、好中球減少、単球減少、B細胞・NK細胞減少を伴うMonoMAC症候群の原因となります。
・GFI1遺伝子:
成長因子非依存性1転写抑制因子をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、重症先天性好中球減少症の原因となります。好中球の分化に重要な役割を果たします。
・HAX1遺伝子:
HCLS1関連タンパク質X-1をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、コストマン症候群の原因遺伝子です。アポトーシス(細胞死)の調節に関与し、重症の好中球減少を呈します。神経症状を伴うこともあります。
・LAMTOR2遺伝子:
リソソーム関連膜タンパク質調節因子2をコードする遺伝子。好中球減少症の原因となります。
・LYST遺伝子:
リソソーム輸送調節因子をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、チェディアック・東症候群の原因遺伝子です。好中球減少、易感染性、部分的白皮症、出血傾向を特徴とします。
・RAB27A遺伝子:
低分子量Gタンパク質RAB27Aをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、グリセリ症候群2型の原因遺伝子です。好中球減少、免疫不全、部分的白皮症を呈します。
・RAC2遺伝子:
RAS関連C3ボツリヌス毒素基質2をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、好中球機能障害と好中球減少を呈します。
・SBDS遺伝子:
シュワッハマン・ボダイアン・ダイアモンド症候群タンパク質をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、シュワッハマン・ダイアモンド症候群の原因遺伝子です。好中球減少に加えて膵外分泌機能不全、骨格異常、骨髄不全を伴います。
・SLC37A4遺伝子:
グルコース6-リン酸トランスポーターをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、糖原病Ib型の原因遺伝子です。好中球減少と低血糖を特徴とします。
・TAZ遺伝子:
タファジンをコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式で、バース症候群の原因遺伝子です。心筋症、好中球減少、ミトコンドリア異常を呈します。
・USB1遺伝子:
U6 snRNA生合成因子1をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、ポイキロデルマと好中球減少症候群の原因遺伝子です。
・VPS13B遺伝子:
液胞タンパク質選別13ホモログBをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、コーエン症候群の原因遺伝子です。好中球減少、知的障害、網膜色素変性症を伴います。
・VPS45遺伝子:
液胞タンパク質選別45ホモログをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、小胞輸送に関与します。好中球減少に加えて骨髄線維症、腎障害を伴うことがあります。
・WAS遺伝子:
ウィスコット・アルドリッチ症候群タンパク質をコードする遺伝子。X連鎖劣性遺伝形式で、ウィスコット・アルドリッチ症候群の原因遺伝子です。好中球減少、血小板減少、湿疹、易感染性を特徴とします。
・WIPF1遺伝子:
WASタンパク質相互作用タンパク質をコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式で、好中球減少症の原因となります。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、21の原因遺伝子のみを対象としています。すべての好中球減少症症例で遺伝子変異が検出されるわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、後天性好中球減少症の場合は、遺伝子検査では原因を特定できません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 乳幼児期から繰り返す細菌感染症(肺炎、中耳炎、皮膚感染症など)がある方、慢性の歯肉炎や口内炎がある方、血液検査で好中球減少(特に500/μL未満)が持続する方におすすめします。また、周期的に好中球数が変動し、発熱や口内炎を繰り返す場合は周期性好中球減少症の可能性があります。家族に好中球減少症の方がいる場合も検査をご検討ください。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 先天性好中球減少症と後天性好中球減少症の違いは何ですか?
- 先天性好中球減少症は遺伝子異常によって生まれつき発症するもので、当検査の対象となります。後天性好中球減少症は、薬剤の副作用、感染症、自己免疫疾患、がんなどの後天的な原因で発症するもので、遺伝子検査では原因を特定できません。臨床症状や家族歴、血液検査の経過などから、どちらの可能性が高いかを判断します。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。X連鎖遺伝の場合、男児が発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- すべての好中球減少症症例で遺伝子変異が検出されるわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。後天性好中球減少症の可能性や、未だ同定されていない遺伝子の変異である可能性もあります。臨床症状と血液検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。X連鎖遺伝の場合は男児が発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 好中球減少症の治療はどのように行われますか?
- G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)製剤による治療が主体となります。G-CSF投与により好中球数を増やし、感染症のリスクを減らすことができます。感染症を合併した場合は抗菌薬による治療を行います。重症例や治療抵抗性の場合は、造血幹細胞移植が検討されることもあります。また、定期的な血液検査により、白血病や骨髄異形成症候群への進行を早期に発見することが重要です。
- 予後はどうですか?
- 予後は原因遺伝子や病型によって異なります。G-CSF治療により多くの患者さんで好中球数が改善し、通常の生活を送ることが可能です。ただし、一部の患者さんでは白血病や骨髄異形成症候群に進行するリスクがあり、長期的なモニタリングが必要です。適切な治療と管理により、生命予後は改善しています。
- 周期性好中球減少症とは何ですか?
- 周期性好中球減少症は、約21日周期で好中球数が増減を繰り返す特徴的な病型です。好中球数が最低値になる時期(通常3~6日間)に発熱、口内炎、リンパ節腫脹などの症状が出現します。ELANE遺伝子変異によることが多く、G-CSF治療が有効です。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な21の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら