ACTB, ACTG1, ADGRG1, AKT3, ARFGEF2, ARX, ASPM, ATP6V0A2, B3GALNT2, B4GAT1, CASK, CCND2, CHD7, CLP1, COL18A1, COL4A1, COL4A2, CPT2, CUL4B, DCX, DYNC1H1, EMX2, EOMES, ERMARD, EXOSC3, FAT4, FGFR3, FH, FKRP, FKTN, FLNA, GMPPB, GPSM2, IER3IP1, ISPD, KIF1BP, KIF2A, KIF5C, KIF7, L1CAM, LAMA2, LAMC3, LARGE1, MACF1, MED12, MEF2C, NDE1, NSDHL, OCLN, OFD1, OPHN1, PAFAH1B1, PAX6, PEX7, PIK3CA, PIK3R2, POMGNT1, POMGNT2, POMK, POMT1, POMT2, PQBP1, RAB18, RAB3GAP1, RAB3GAP2, RELN, RTTN, RXYLT1, SEPSECS, SNAP29, SRD5A3, SRPX2, TBC1D20, TUBA1A, TUBA8, TUBB, TUBB2A, TUBB2B, TUBB3, TUBB4A, TUBG1, VDAC1, VLDLR, WDR62 ( 84遺伝子 )
主要な遺伝子の詳細:
・PAFAH1B1(LIS1)遺伝子:
古典的滑脳症の最も頻度の高い原因遺伝子。17番染色体上に位置し、細胞内シグナル伝達と細胞骨格の調節に関与します。常染色体優性遺伝形式をとり、ミラー・ディーカー症候群ではこの遺伝子を含む領域の欠失が認められます。
・DCX(ダブルコルチン)遺伝子:
X連鎖性の滑脳症の原因遺伝子。微小管結合タンパク質をコードし、神経細胞の移動に必須の役割を果たします。男性では古典的滑脳症を、女性では皮質下帯状異所性灰白質(二重皮質症候群)を呈することが多いです。
・FLNA(フィラミンA)遺伝子:
脳室周囲結節性異所性灰白質の最も頻度の高い原因遺伝子。X連鎖遺伝形式をとり、アクチン細胞骨格の架橋タンパク質をコードします。女性に発症し、男性は胎生致死となることが多いです。
・ARX遺伝子:
X連鎖性の滑脳症や水無脳症の原因遺伝子。転写因子をコードし、GABAergic介在ニューロンの移動に重要な役割を果たします。重症から軽症まで幅広い表現型を示します。
・TUBA1A、TUBB2A、TUBB2B、TUBB3、TUBB、TUBB4A遺伝子:
チューブリンファミリーの遺伝子。微小管の主要構成成分をコードし、神経細胞の移動や軸索伸展に不可欠です。様々な脳形成異常(滑脳症、多小脳回、小脳低形成など)を引き起こします。
・TUBG1遺伝子:
γチューブリンをコードし、微小管形成中心の構成成分として機能します。皮質異形成や多小脳回の原因となります。
・POMT1、POMT2、POMGNT1、POMGNT2、POMK、FKTN、FKRP、LARGE1遺伝子:
α-ジストログリカンの糖鎖修飾に関与する遺伝子群。これらの遺伝子変異は敷石様滑脳症(タイプII滑脳症)と筋ジストロフィーを合併することが特徴です。ウォーカー・ワールブルグ症候群、福山型先天性筋ジストロフィーなどを引き起こします。
・RELN(リーリン)遺伝子:
神経細胞の配置を制御する細胞外マトリックスタンパク質をコードします。常染色体劣性遺伝形式で、著明な小脳低形成を伴う滑脳症の原因となります。
・VLDLR遺伝子:
超低密度リポタンパク質受容体をコードし、RELNシグナル経路に関与します。常染色体劣性遺伝形式で、小脳低形成を伴う滑脳症の原因となります。
・DYNC1H1遺伝子:
細胞質ダイニン重鎖をコードし、細胞内輸送と神経細胞移動に重要な役割を果たします。常染色体優性遺伝形式で、多小脳回や皮質異形成の原因となります。
・KIF2A、KIF5C遺伝子:
キネシンファミリーの遺伝子で、微小管依存性の細胞内輸送に関与します。皮質異形成や多小脳回の原因となります。
・PIK3CA遺伝子:
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼをコードします。体細胞モザイク変異により巨脳症や限局性皮質異形成を引き起こします。注記:PIK3CA変異の大部分は受精後に生じるモザイク変異であるため、複数の組織を検査する必要がある場合があります。
・AKT3遺伝子:
セリン・トレオニンキナーゼをコードし、細胞増殖とサイズの調節に関与します。巨脳症や多小脳回の原因となります。
・COL4A1、COL4A2遺伝子:
IV型コラーゲンをコードし、基底膜の主要構成成分です。多小脳回、裂脳症、脳室周囲白質軟化症などを引き起こします。
・ADGRG1(旧GPR56)遺伝子:
接着G蛋白質共役受容体をコードします。常染色体劣性遺伝形式で、両側前頭頭頂多小脳回の原因となります。
・NDE1遺伝子:
核分裂欠損タンパク質をコードし、有糸分裂と神経細胞移動に関与します。小滑脳症の原因となります。
・ASPM遺伝子:
有糸分裂紡錘体の形成に関与します。常染色体劣性遺伝形式で、小頭症と滑脳症を引き起こします。
・WDR62遺伝子:
神経前駆細胞の分裂に関与します。常染色体劣性遺伝形式で、小滑脳症の原因となります。
・CASK遺伝子:
シナプス機能とシグナル伝達に関与します。X連鎖遺伝形式で、小頭症や脳梁低形成を伴う脳形成異常の原因となります。
その他の遺伝子も神経細胞の移動、細胞骨格の調節、糖鎖修飾、細胞内輸送などの重要な機能に関与しており、それぞれ特徴的な脳形成異常パターンを引き起こします。