神経線維腫症NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック
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神経線維腫症とは
神経線維腫症(Neurofibromatosis)は、神経系や皮膚に良性腫瘍が発生する遺伝性の疾患群です。主に神経線維腫症1型(NF1)、神経線維腫症2型(NF2)、およびレギウス症候群(Legius syndrome)の3つに分類されます。これらは臨床症状や原因遺伝子が異なる別の疾患ですが、皮膚の色素斑など一部の症状が共通することがあります。
神経線維腫症は、細胞の増殖や成長を調節する遺伝子の変異によって引き起こされます。これらの遺伝子は本来、腫瘍の発生を抑制する働きを持っていますが、変異によってその機能が失われると、神経組織や皮膚に腫瘍が発生します。
神経線維腫症は常染色体優性(顕性)遺伝の形式をとり、患者さんの約半数は親からの遺伝、残りの半数は新生突然変異(de novo変異)によって発症します。遺伝子変異を持つ親からお子さんへ遺伝する確率は50%です。早期診断と適切な管理により、合併症のリスクを減らし、生活の質を向上させることが可能です。
神経線維腫症1型(NF1)
神経線維腫症1型(Neurofibromatosis Type 1: NF1)は、1882年にドイツの病理学者レックリングハウゼン氏によって報告されたため、レックリングハウゼン病とも呼ばれています。最も頻度の高い神経線維腫症で、出生約3,000人に1人の割合で発症します。日本では約40,000人の患者さんがいると推定されています。
主要症状
NF1は多臓器に様々な症状が現れる疾患で、患者さんによって症状の進行や重症度が大きく異なります。主な症状は以下の通りです:
- カフェ・オ・レ斑:ミルクコーヒー色の平坦な色素斑で、思春期前では6個以上(直径5mm以上)、思春期以降では6個以上(直径15mm以上)が診断基準となります
- 神経線維腫:皮膚や皮下、神経に沿って発生する良性腫瘍。思春期以降に数が増加する傾向があります
- 腋窩・鼠径部の雀卵斑様色素斑:脇の下や足の付け根にできる小さな斑点
- 虹彩小結節(Lisch結節):眼の虹彩にできる小結節で、細隙灯顕微鏡で確認されます
- 骨病変:脛骨異形成、蝶形骨異形成、側彎症などの骨の変形
- 視神経膠腫:視神経に発生する腫瘍。多くは無症状ですが、視力低下を来すこともあります
- 叢状神経線維腫:神経に沿って広がる神経線維腫で、約半数の患者さんに認められます
- 学習障害・行動障害:注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習困難を伴うことがあります
診断基準
NF1の臨床診断は、以下の7項目のうち2項目以上が該当する場合に確定します:
- 6個以上のカフェ・オ・レ斑(思春期前:直径5mm以上、思春期以降:直径15mm以上)
- 2個以上の神経線維腫または1個の叢状神経線維腫
- 腋窩または鼠径部の雀卵斑様色素斑
- 視神経膠腫
- 2個以上の虹彩小結節または脈絡膜異常
- 特徴的な骨病変(脊柱・胸郭の変形、四肢骨の変形など)
- 第一度近親者(親・兄弟姉妹・子ども)にNF1患者がいる
または、1つの臨床的特徴に加えてNF1遺伝子のヘテロ接合性病的バリアントを有することで診断が確定します。
合併症と管理
NF1患者さんは以下のような合併症のリスクがあるため、定期的な検査とフォローアップが重要です:
- 悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST):叢状神経線維腫から発生する悪性腫瘍
- 乳癌:NF1女性は乳癌のリスクが高くなります
- 高血圧・血管病変:若年での脳卒中のリスクがあります
- 呼吸器疾患:びまん性肺疾患が成人患者の10~20%に認められます
神経線維腫症2型(NF2)
神経線維腫症2型(Neurofibromatosis Type 2: NF2)は、NF1とは全く異なる疾患で、両側性の聴神経腫瘍(正確には前庭神経鞘腫)を主徴とします。発症頻度は出生25,000~40,000人に1人と、NF1より稀な疾患です。最近では、主として神経鞘腫が多発することから「NF2関連神経鞘腫症(NF2-related schwannomatosis)」と呼ばれることもあります。
主要症状
- 両側性聴神経鞘腫:NF2の最も特徴的な症状で、90~95%の患者さんに認められます。小児期から成人期早期に発症し、進行性の難聴、耳鳴り、めまい、ふらつきを引き起こします
- 髄膜腫:約50%の患者さんに認められ、頭蓋内や脊椎管内に多発します
- 脊髄神経鞘腫:多くの患者さんに見られ、手足のしびれや脱力を引き起こすことがあります
- 三叉神経鞘腫:顔の感覚を伝える三叉神経から発生する腫瘍
- 若年性白内障:後嚢下白内障や皮質楔状白内障として現れます
- 皮下・皮内の神経鞘腫:皮膚に小結節として現れることがあります
診断基準(マンチェスター診断基準)
以下のいずれかに該当する場合にNF2と診断されます:
- 両側性の前庭神経鞘腫(MRIまたはCTで確認)
- 第一度近親者にNF2患者がいて、かつ一側性の前庭神経鞘腫がある
- 第一度近親者にNF2患者がいて、かつ髄膜腫、神経鞘腫、神経膠腫、若年性白内障のうち2つ以上の所見がある
臨床経過と予後
NF2の症状は10~20歳代に発症することが多く、比較的速く進行します。腫瘍の成長速度には個人差があり、長期間無症状で経過する場合もあれば、急速に症状が進行する場合もあります。
経過中に最も生活上で問題となるのは難聴です。両側の聴神経鞘腫により、最終的に両耳の聴力を失う可能性があります。治療には手術による腫瘍摘出、ガンマナイフ治療(定位放射線治療)、薬物療法(ベバシズマブなど)があります。難聴に対しては、補聴器、人工内耳、聴性脳幹インプラント、手話や読唇術の習得などの対応が行われます。
レギウス症候群(Legius Syndrome)
レギウス症候群(Legius syndrome)は、2007年に報告された比較的新しい疾患で、NF1に臨床症状が類似していることから「NF1様症候群」とも呼ばれます。SPRED1遺伝子の変異によって引き起こされ、多発性のカフェ・オ・レ斑を特徴としますが、NF1のような腫瘍性病変を欠くことが大きな違いです。
主要症状
- 多発性カフェ・オ・レ斑:NF1と同様に、6個以上のカフェ・オ・レ斑が認められます
- 腋窩・鼠径部の雀卵斑様色素斑:脇の下や足の付け根にできる色素斑
- 脂肪腫:成人期に皮下の良性脂肪腫瘍が現れることがあります
- 大頭症:頭囲が大きい傾向があります
- 学習障害・注意欠陥:学習困難や注意力の問題を伴うことがあります
NF1との鑑別
レギウス症候群では、NF1に特徴的な以下の症状は認められません:
- 神経線維腫(皮膚、皮下、叢状神経線維腫)
- 視神経膠腫
- 虹彩小結節(Lisch結節)
- NF1に特徴的な骨病変(脛骨異形成、蝶形骨異形成など)
レギウス症候群と診断された患者さんの約半数は、NF1の臨床診断基準(カフェ・オ・レ斑6個以上と腋窩・鼠径部の雀卵斑様色素斑)を満たします。しかし、腫瘍性病変を欠くため、NF1よりも医学的監視の必要性は低くなります。
頻度
多発性カフェ・オ・レ斑を有する患者さんの約1~4%がレギウス症候群であると推定されています。NF1と思われている患者さんの1~2%は、実際にはレギウス症候群である可能性があります。
ミネルバクリニックの神経線維腫症遺伝子パネル検査の特徴
「神経線維腫症 NGSパネル検査」とは、神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、レギウス症候群の原因となる3つの遺伝子(NF1, NF2, SPRED1)に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、NF1遺伝子の検査をして異常がなければ次にNF2遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、神経線維腫症に関連する3遺伝子を一度に調べられる「神経線維腫症 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で神経線維腫症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、神経線維腫症に関係するとされる3つの遺伝子を一度に調べられる「神経線維腫症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える神経線維腫症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「神経線維腫症 NGSパネル検査」の場合、3つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から神経線維腫症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「神経線維腫症 NGSパネル検査」ならば、NF1、NF2、レギウス症候群の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「神経線維腫症 NGSパネル検査」では、神経線維腫症に関係するとされる3種類の遺伝子(NF1、NF2、SPRED1)をまとめて検査します。
「神経線維腫症 NGSパネル検査」は、神経線維腫症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【神経線維腫症の個人歴または家族歴のある方】に
「神経線維腫症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
神経線維腫症1型(NF1)が疑われる方
・6個以上のカフェ・オ・レ斑がある方
・皮膚や皮下に神経線維腫がある方
・腋窩または鼠径部に雀卵斑様色素斑がある方
・虹彩小結節(Lisch結節)がある方
・視神経膠腫と診断された方
・脊柱側彎症や脛骨異形成などの骨病変がある方
・学習障害や行動障害がある方
・NF1の家族歴がある方
神経線維腫症2型(NF2)が疑われる方
・両側性または一側性の聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)がある方
・進行性の難聴、耳鳴り、めまいがある方
・髄膜腫、神経鞘腫、神経膠腫が多発している方
・若年性白内障がある方
・NF2の家族歴がある方
レギウス症候群が疑われる方
・多発性カフェ・オ・レ斑があるが神経線維腫がない方
・腋窩または鼠径部に雀卵斑様色素斑があるが他のNF1症状がない方
・学習障害や注意欠陥があり、カフェ・オ・レ斑を有する方
・NF1と診断されたが定期検査で腫瘍が見つからない方
その他
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
・家族計画や出生前診断について相談したい方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、神経線維腫症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。特にNF1とレギウス症候群の鑑別は臨床症状だけでは困難なため、遺伝子検査が重要です。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・NF1、NF2、レギウス症候群の正確な鑑別
・適切なサーベイランス(定期検査)計画の立案
・合併症(悪性末梢神経鞘腫瘍、乳癌、脳卒中など)の早期発見
・NF1とレギウス症候群の鑑別により、不要な医学的監視を避けることができる
・NF2の早期診断により、聴力保存の可能性が高まる
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式は常染色体優性(顕性)遺伝で、子どもが発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
-
NF1, NF2, SPRED1 ( 3遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・NF1遺伝子:
17番染色体(17q11.2)に位置し、ニューロフィブロミン(neurofibromin)というタンパク質をコードする遺伝子。ニューロフィブロミンは、Rasタンパク質を制御することで細胞の増殖を抑制する腫瘍抑制因子として機能します。NF1遺伝子の変異により、細胞増殖の制御が失われ、神経線維腫や他の腫瘍が発生します。1000を超える突然変異が同定されており、神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病)の原因となります。浸透率はほぼ100%で、変異を持つほとんどの方が何らかの症状を示します。・NF2遺伝子:
22番染色体(22q12)に位置し、マーリン(merlin)またはシュワンノミン(schwannomin)と呼ばれる腫瘍抑制タンパク質をコードする遺伝子。マーリンは細胞の形態、細胞の成長、細胞同士の接着などを制御する細胞内情報伝達に関わる重要なタンパク質です。NF2遺伝子の変異により、正常なマーリンが作られなくなると、特にシュワン細胞や髄膜細胞において腫瘍が発生します。神経線維腫症2型(NF2関連神経鞘腫症)の原因となり、両側性聴神経鞘腫を主徴とします。200を超える変異が同定されています。・SPRED1遺伝子:
15番染色体(15q13.2)に位置し、Sprouty関連EVH1ドメイン含有タンパク質1(SPRED1)をコードする遺伝子。SPRED1は、RAS-MAPK(マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ)シグナル伝達経路の負の制御因子として機能し、細胞の増殖や分化を調節します。NF1遺伝子がコードするニューロフィブロミンと同様に、RAS-MAPK経路を抑制する働きを持ちます。SPRED1遺伝子の変異により、この経路の制御が失われますが、NF1遺伝子変異とは異なり、腫瘍は形成されません。レギウス症候群(NF1様症候群)の原因となり、カフェ・オ・レ斑などの色素異常を主徴としますが、神経線維腫や視神経膠腫などの腫瘍性病変は認められません。多発性カフェ・オ・レ斑を有する患者さんの約1~4%がSPRED1遺伝子変異を持つと推定されています。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
-
すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※NF1遺伝子は非常に大きく複雑な遺伝子であり、すべての病原性変異を検出できるわけではありません。臨床的にNF1が強く疑われる場合でも、遺伝子検査で変異が検出されない場合があります(検出率は約95%)。また、検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 6個以上のカフェ・オ・レ斑がある方、皮膚や皮下に神経線維腫がある方、両側性の聴神経腫瘍がある方、進行性の難聴や耳鳴りがある方におすすめします。また、家族に神経線維腫症の方がいる場合も検査をご検討ください。カフェ・オ・レ斑のみで神経線維腫がない場合は、レギウス症候群の可能性もあり、遺伝子検査による鑑別が重要です。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- NF1とレギウス症候群の違いは何ですか?
- どちらもカフェ・オ・レ斑や腋窩・鼠径部の雀卵斑様色素斑を特徴としますが、NF1では神経線維腫、視神経膠腫、虹彩小結節、特徴的な骨病変などの腫瘍性・器質的病変が認められるのに対し、レギウス症候群ではこれらの病変は認められません。遺伝子検査により正確な診断が可能となり、適切な医学的管理を受けることができます。レギウス症候群の場合、NF1よりも厳重な医学的監視は不要です。
- NF1とNF2はどう違いますか?
- NF1とNF2は全く異なる疾患です。NF1は皮膚のカフェ・オ・レ斑や神経線維腫を主徴とし、出生3,000人に1人と比較的頻度が高い疾患です。一方、NF2は両側性の聴神経鞘腫(前庭神経鞘腫)を主徴とし、難聴や平衡障害を引き起こします。NF2の頻度は出生25,000~40,000人に1人と稀です。原因遺伝子も症状も異なるため、遺伝子検査による正確な診断が重要です。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 神経線維腫症は常染色体優性(顕性)遺伝の形式をとり、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。ただし、患者さんの約半数は新生突然変異(de novo変異)によって発症しており、この場合は親に変異がなく、兄弟姉妹への遺伝リスクも低くなります。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- NF1遺伝子は非常に大きく複雑な遺伝子で、検出率は約95%です。臨床的にNF1が強く疑われる場合でも、遺伝子検査で変異が検出されない場合があります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床診断基準に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。なお、一部の医療機関では保険診療での遺伝子検査が可能な場合もありますが、検査できる遺伝子や条件が限定されることがあります。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。病原性変異が見つかった場合、どの疾患(NF1、NF2、レギウス症候群)であるか、推奨されるサーベイランス(定期検査)についてもご説明します。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 神経線維腫症は常染色体優性(顕性)遺伝で、子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。ただし、日本では神経線維腫症に対する出生前診断や着床前診断は一般的に行われていませんので、細心の遺伝カウンセリングが必要です。
- 神経線維腫症の治療はどのように行われますか?
- NF1では、美容上問題となる神経線維腫の外科的切除、視神経膠腫に対する化学療法または放射線療法、叢状神経線維腫に対するMEK阻害薬(セルメチニブ)などが行われます。NF2では、聴神経鞘腫に対する手術、ガンマナイフ治療、薬物療法(ベバシズマブ)、難聴に対する補聴器や人工内耳などが行われます。レギウス症候群は腫瘍を形成しないため、特別な治療は通常不要ですが、学習障害などに対する支援が必要な場合があります。
- 定期的な検査は必要ですか?
- NF1では、悪性末梢神経鞘腫瘍、視神経膠腫、乳癌、高血圧、血管病変などの合併症があるため、定期的なサーベイランスが重要です。子どもでは半年~1年に1回程度、大人では1年~数年に1回程度の定期受診が推奨されます。NF2では、聴神経鞘腫や他の腫瘍の成長を監視するため、定期的なMRI検査が必要です。レギウス症候群では、腫瘍が形成されないため、NF1ほど厳重な医学的監視は不要です。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院ではNF1、NF2、SPRED1の3つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。





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