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新生児てんかんNGSパネル遺伝子検査|ミネルバクリニック

新生児てんかんNGSパネル遺伝子検査|ミネルバクリニック

新生児てんかんとは

新生児てんかん(Neonatal Epilepsy)は、生後2年以内、特に新生児期から乳児期に発症するてんかんの総称です。この時期に2回以上の無誘発性発作を経験する場合に診断されます。新生児てんかんは非常に多様性の高い疾患群であり、孤立性の神経学的症状を示すものから、多臓器にわたる症状を呈するもの、先天性代謝異常症、脳の構造異常を伴うものまで、様々な病態が含まれます。

新生児期は人生の中で最もてんかん発作が起こりやすい時期であり、生後2年間の発作発生率は他のどの年齢層よりも高いことが知られています。これは、この時期の脳が急速に発達しており、神経回路の興奮性と抑制性のバランスが未熟であることが一因と考えられています。

新生児てんかんには、自然終息性家族性新生児てんかん(旧称:良性家族性新生児けいれん)のように予後良好なものから、点頭てんかん(ウエスト症候群)、大田原症候群、早期ミオクロニー脳症のように重篤なてんかん性脳症まで、幅広い疾患が含まれます。早期診断と適切な治療開始が、神経発達の予後を改善する鍵となります。

症状と病態

新生児てんかんの症状は、原因疾患や発症時期によって大きく異なります。新生児期の発作は、年長児や成人と比較して非定型的で、微細な症状のみを呈することも多く、診断が困難な場合があります。

主要症状

  • 微細発作(口部自動症、眼球運動異常、無呼吸発作)
  • 間代性けいれん(rhythmic jerking)
  • 強直性けいれん(筋の持続的収縮)
  • てんかん性スパズム(点頭発作)
  • ミオクロニー発作(瞬間的な筋収縮)
  • 意識障害
  • 無呼吸発作
  • チアノーゼ
  • 発達の遅れや退行
  • 哺乳困難
  • 異常な筋緊張(低緊張または過緊張)

代表的な新生児てんかん症候群

新生児期から乳児期に発症する主要なてんかん症候群には、以下のようなものがあります:

  • 自然終息性家族性新生児てんかん:生後数日から発症し、通常は数週間で自然に発作が消失します。KCNQ2、KCNQ3遺伝子変異が原因で、神経発達予後は良好です。
  • 点頭てんかん(ウエスト症候群):生後3~11ヶ月に発症し、特徴的な点頭発作(てんかん性スパズム)、脳波でのヒプスアリスミア、発達の停滞または退行を三徴とします。多くの原因遺伝子が同定されており、早期治療が重要です。
  • 大田原症候群:生後3ヶ月以内、特に新生児期に発症する重篤なてんかん性脳症です。強直性スパズムと脳波でのサプレッション・バーストパターンが特徴です。STXBP1、ARX、KCNQ2、SCN2Aなどの遺伝子変異が報告されています。
  • 早期ミオクロニー脳症:新生児期に発症し、ミオクロニー発作と部分発作が特徴です。代謝異常症(非ケトン性高グリシン血症など)や遺伝子異常が原因となります。
  • 遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん:生後6ヶ月以内に発症し、難治性の焦点発作が特徴です。KCNT1、SCN1A、SCN2A、KCNQ2などの遺伝子変異が同定されています。

脳症を伴うてんかん

新生児期から乳児期に発症するてんかんの多くは、「てんかん性脳症」に分類されます。これは、てんかん発作そのものと、脳波で見られる持続的な異常な電気活動が、脳の発達に悪影響を及ぼす病態です。発作の抑制だけでなく、脳波異常の改善も治療目標となります。

進行と予後

新生児てんかんの予後は、原因疾患によって大きく異なります。自然終息性家族性新生児てんかんのように予後良好なものもあれば、点頭てんかんや大田原症候群のように発達遅滞や難治性てんかんが持続する重症例もあります。一般的に、発症時期が早いほど、また脳の構造異常や代謝異常を伴う場合は、予後が不良となる傾向があります。

遺伝形式と原因遺伝子

新生児てんかんは遺伝学的に非常に多様性が高く、約70%以上の症例で遺伝的要因が関与していると考えられています。遺伝形式は常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝、de novo変異(新生突然変異)など様々です。現在までに200以上の原因遺伝子が同定されており、その数は今も増加し続けています。

主要な遺伝子グループ

新生児てんかんの原因遺伝子は、その機能によっていくつかのグループに分類されます:

1. イオンチャネル遺伝子

神経細胞の興奮性を調節するイオンチャネルの遺伝子変異は、新生児てんかんの最も頻度の高い原因です:

  • KCNQ2、KCNQ3遺伝子:カリウムチャネルをコードし、自然終息性家族性新生児てんかんの原因遺伝子です。重症型の大田原症候群の原因にもなります。
  • SCN1A、SCN2A、SCN8A遺伝子:ナトリウムチャネルをコードし、様々な重症度のてんかんを引き起こします。SCN1Aはドラベ症候群の主要な原因遺伝子です。
  • KCNT1遺伝子:ナトリウム依存性カリウムチャネルをコードし、遊走性焦点発作を伴う乳児てんかんの最も頻度の高い原因です。
  • CACNA1A、CACNA1H遺伝子:カルシウムチャネルをコードします。

2. シナプス機能関連遺伝子

神経伝達物質の放出や受容に関わる遺伝子の変異も重要です:

  • STXBP1遺伝子:シナプス小胞の融合に関与し、大田原症候群や点頭てんかんの原因となります。
  • PCDH19遺伝子:細胞接着分子をコードし、女性に限定的に発症する特徴的なてんかんを引き起こします。
  • GABRA1、GABRB3、GABRG2遺伝子:GABA受容体のサブユニットをコードします。

3. 代謝関連遺伝子

先天性代謝異常症に関連するてんかんの原因遺伝子:

  • ALDH7A1、PNPO遺伝子:ビタミンB6依存性てんかんの原因となります。早期診断により、ビタミンB6投与で劇的に改善します。
  • GLDC、AMT遺伝子:非ケトン性高グリシン血症の原因遺伝子で、早期ミオクロニー脳症の原因となります。
  • SLC2A1遺伝子:グルコーストランスポーター1欠損症の原因で、ケトン食療法が有効です。

4. 脳形成異常関連遺伝子

脳の構造形成に関わる遺伝子の変異:

  • ARX遺伝子:脳の発達に重要な転写因子をコードし、大田原症候群、点頭てんかん、X連鎖性精神遅滞などを引き起こします。
  • DCX、LIS1(PAFAH1B1)遺伝子:神経細胞の移動に関与し、滑脳症を伴うてんかんの原因となります。
  • TSC1、TSC2遺伝子:結節性硬化症の原因遺伝子で、点頭てんかんの重要な原因です。

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子を含む285遺伝子を対象としています。これにより、新生児てんかんの主要な遺伝的原因を包括的にスクリーニングすることが可能です。遺伝子診断により、適切な治療選択(例:ビタミンB6依存性てんかんに対するビタミンB6投与、グルコーストランスポーター1欠損症に対するケトン食療法など)や予後予測、家族計画に重要な情報を提供できます。

ミネルバクリニックの新生児てんかん遺伝子パネル検査の特徴

「新生児てんかん NGSパネル検査」とは、現在新生児てんかんの原因として報告されている285の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、新生児てんかんに関連する285遺伝子を一度に調べられる「新生児てんかん NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で新生児てんかんの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、新生児てんかんに関係するとされる285の遺伝子を一度に調べられる「新生児てんかん NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える新生児てんかんの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「新生児てんかん NGSパネル検査」の場合、285の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から新生児てんかんを疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「新生児てんかん NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な285の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「新生児てんかん NGSパネル検査」では、新生児てんかんに関係するとされる285種類の遺伝子をまとめて検査します。これには、イオンチャネル遺伝子(KCNQ2、SCN1A、SCN2Aなど)、シナプス機能関連遺伝子(STXBP1、PCDH19など)、代謝関連遺伝子(ALDH7A1、SLC2A1など)、脳形成異常関連遺伝子(ARX、TSC1、TSC2など)が含まれます。

「新生児てんかん NGSパネル検査」は、新生児てんかんの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【新生児てんかん・乳児てんかんの個人歴または家族歴のある方】に
「新生児てんかん NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・生後2年以内にてんかん発作を経験した方
・2回以上の無誘発性けいれんがあった方
・点頭発作(てんかん性スパズム)がある方
・脳波でヒプスアリスミアやサプレッション・バーストパターンが認められた方
・発達の遅れや退行が認められる方
・哺乳困難や無呼吸発作がある方
・反復性の熱性けいれんがある方
・新生児期から乳児期に難治性てんかんがある方
・てんかんの家族歴がある方
・原因不明の脳症がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、新生児てんかんの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。特に、ビタミンB6依存性てんかんやグルコーストランスポーター1欠損症のように、特異的治療が有効な疾患の早期発見は、神経発達予後を大きく改善します。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・病因に基づいた特異的治療の選択(ビタミンB6投与、ケトン食療法など)
・抗てんかん薬の適切な選択(ナトリウムチャネル遮断薬の効果予測など)
・悪化させる可能性のある薬剤の回避
・発作予後と神経発達予後の予測
・追加の関連症状のリスクの特定
・早期介入による神経発達支援
・発作コントロールの最適化
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・遺伝カウンセリングによる家族計画支援
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。de novo変異の場合は再発リスクは低いですが、常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABAT, ABCC8, ACY1, ADAR, ADSL, AKT3, ALDH4A1, ALDH5A1, ALDH7A1, ALG1, ALG12, ALG13, ALG2, ALG3, ALG6, ALG8, ALG9, AMT, ARG1, ARHGEF9, ARL13B, ARSA, ARSB, ARX, ASAH1, ASNS, ASPA, ATIC, ATP1A2, ATP6AP2, ATP7A, ATRX, AUH, B4GALT1, BCKDK, BCS1L, BOLA3, BRAF, BRAT1, BTD, BUB1B, C12orf57, CACNA1A, CACNA1H, CASK, CASR, CC2D2A, CCDC88C, CDKL5, CENPJ, CEP290, CHD2, CHRNA2, CHRNA4, CHRNB2, CLCN4, CLN8, CNTNAP2, COG7, COG8, COL4A1, COQ2, COQ8A, COQ9, COX10, COX15, CPA6, CPT2, CTSD, CUX2, CYFIP2, DCX, DEPDC5, DHCR7, DHFR, DLD, DNM1, DOCK7, DOLK, DPAGT1, DPM1, DPM2, DPYD, DYRK1A, EEF1A2, EIF2B1, EIF2B2, EIF2B3, EIF2B4, EIF2B5, EMX2, FARS2, FGFR3, FH, FOXG1, FUCA1, GABRA1, GABRB3, GABRD, GABRG2, GALC, GAMT, GATM, GCDH, GCSH, GFAP, GLB1, GLDC, GLI2, GLI3, GLRA1, GLRB, GLUD1, GNAO1, GOSR2, GPHN, GRIA3, GRIN1, GRIN2A, GRIN2B, GRIN2D, HCN1, HECW2, HEXA, HEXB, HNRNPU, HRAS, HSD17B10, IDS, IQSEC2, IRF2BPL, KANSL1, KCNA1, KCNA2, KCNB1, KCNH5, KCNJ10, KCNJ11, KCNMA1, KCNQ2, KCNQ3, KCNT1, KCTD7, KDM6A, KMT2D, L2HGDH, LAMA2, LIAS, LRPPRC, MAP2K1, MBD5, MDH2, MECP2, MED12, MED17, MEF2C, MFSD8, MGAT2, MLC1, MOCS1, MOCS2, MOGS, MPDU1, MTOR, NDE1, NDUFA1, NDUFA2, NDUFS1, NDUFS3, NDUFS4, NDUFS7, NDUFS8, NDUFV1, NECAP1, NEDD4L, NEU1, NEXMIF, NF1, NGLY1, NPC1, NPC2, NRXN1, NSD1, OFD1, OPHN1, PAFAH1B1, PC, PCDH19, PDHA1, PDSS2, PEX1, PEX12, PEX14, PEX2, PEX26, PEX3, PEX5, PEX6, PHF6, PIGA, PIGO, PIGV, PLA2G6, PLCB1, PLP1, PLPBP, PMM2, PNKP, PNPO, POLG, POMGNT1, POMT1, POMT2, PPP3CA, PPT1, PRICKLE1, PRODH, PRRT2, PSAP, PURA, QARS, QDPR, RARS2, RFT1, RNASEH2A, RNASEH2B, RNASEH2C, ROGDI, SAMHD1, SCN1A, SCN1B, SCN2A, SCN3A, SCN8A, SCN9A, SCO2, SDHA, SETBP1, SHH, SIK1, SLC12A5, SLC13A5, SLC17A5, SLC19A3, SLC25A12, SLC25A15, SLC25A22, SLC2A1, SLC35A2, SLC6A1, SLC6A8, SLC9A6, SMARCA2, SMS, SNAP25, SPTAN1, ST3GAL5, STX1B, STXBP1, SUMF1, SUOX, SURF1, SYNGAP1, SZT2, TBC1D24, TBL1XR1, TBX1, TCF4, TMEM70, TPP1, TSC1, TSC2, TSEN2, TSEN34, TSEN54, TUBA1A, TUBA8, TUBB2A, TUBB2B, TWNK, UBE2A, UBE3A, UNC80, WWOX, ZEB2 ( 285遺伝子 )

主要遺伝子の詳細:

・イオンチャネル関連遺伝子:
KCNQ2、KCNQ3(カリウムチャネル、自然終息性家族性新生児てんかん)
SCN1A、SCN2A、SCN8A(ナトリウムチャネル、様々な重症度のてんかん)
KCNT1(ナトリウム依存性カリウムチャネル、遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん)
CACNA1A、CACNA1H(カルシウムチャネル)

・シナプス機能関連遺伝子:
STXBP1(シナプス小胞融合、大田原症候群、点頭てんかん)
PCDH19(細胞接着分子、女性限定てんかん)
GABRA1、GABRB3、GABRG2(GABA受容体サブユニット)
GRIN1、GRIN2A、GRIN2B(グルタミン酸受容体サブユニット)

・代謝関連遺伝子:
ALDH7A1、PNPO(ビタミンB6依存性てんかん)
SLC2A1(グルコーストランスポーター1欠損症)
GLDC、AMT(非ケトン性高グリシン血症)
BCKDK、ALDH5A1(その他の代謝異常症)

・脳形成異常関連遺伝子:
ARX(脳発達転写因子、大田原症候群、点頭てんかん)
DCX、PAFAH1B1(神経細胞移動、滑脳症)
TSC1、TSC2(結節性硬化症)
FOXG1、MEF2C(脳発達制御因子)

・その他の重要遺伝子:
CDKL5(X連鎖性てんかん性脳症)
MECP2(レット症候群、てんかん性脳症)
DEPDC5、MTOR(mTOR経路、焦点性てんかん)

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

遺伝子特異的な制限:
・ALG1遺伝子:高度に相同な領域の干渉により、エキソン6-13(NM_019109.4)の変異検出感度が低下します。
・MECP2遺伝子:現在利用可能な技術(NGSおよびqPCR)では、エキソン1の単一エキソン欠失/重複の検出は困難です。

※この検査パネルでは、285の原因遺伝子を対象としていますが、新生児てんかんに関連する遺伝子は現在も新たに発見され続けています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、臨床症状や脳波所見、画像検査所見に基づいた総合的な診断が重要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
生後2年以内に2回以上のてんかん発作を経験した方、点頭発作(頭部を一瞬垂れる発作)がある方、反復性の熱性けいれんがある方、発達の遅れや退行が認められる方におすすめします。特に、脳波で特徴的な異常(ヒプスアリスミアやサプレッション・バーストパターン)が認められる場合や、家族にてんかんの方がいる場合は、遺伝子検査により原因が判明する可能性が高くなります。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。乳児の場合は頬粘膜スワブが推奨されます。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
点頭てんかん(ウエスト症候群)が疑われていますが、この検査で診断できますか?
点頭てんかんは多様な原因で発症し、遺伝子異常が原因の場合も多くあります。当検査パネルには、ARX、CDKL5、STXBP1、TSC1、TSC2など、点頭てんかんの主要な原因遺伝子が含まれています。遺伝子診断により、病因に基づいた治療選択や予後予測が可能になります。特に、結節性硬化症(TSC1、TSC2変異)の場合は、ビガバトリンが第一選択薬となります。
遺伝子検査でビタミンB6依存性てんかんと分かった場合、治療はどうなりますか?
ビタミンB6依存性てんかん(ALDH7A1やPNPO遺伝子変異)と診断された場合、ビタミンB6の投与により劇的に発作が改善します。早期診断と治療開始により、神経発達予後が大きく改善するため、遺伝子診断は非常に重要です。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。de novo変異(新生突然変異)の場合は再発リスクは低いですが、常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
新生児てんかんに関連する遺伝子は現在も新たに発見され続けています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状、脳波検査、画像検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。また、将来新しい原因遺伝子が発見された場合、再検査を検討することも可能です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。特に、病因特異的治療が可能な場合は、その詳細についてもご説明します。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。de novo変異の場合は再発リスクは低いですが、親が保因者の場合や常染色体優性遺伝の場合は、子どもに遺伝する可能性があります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
新生児てんかんの治療はどのように行われますか?
治療は原因によって異なります。多くの場合、抗てんかん薬による治療が基本となりますが、ビタミンB6依存性てんかんではビタミンB6投与、グルコーストランスポーター1欠損症ではケトン食療法、結節性硬化症ではビガバトリンなど、病因特異的治療が有効な場合があります。遺伝子診断により、最適な治療選択が可能になります。
予後はどうですか?
新生児てんかんの予後は原因疾患によって大きく異なります。自然終息性家族性新生児てんかんのように予後良好なものもあれば、重篤なてんかん性脳症のように発達遅滞や難治性てんかんが持続する場合もあります。遺伝子診断により予後予測が可能になり、早期からの適切な支援や療育につなげることができます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な285の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら