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ネマリンミオパチーNGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

ネマリンミオパチーNGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

ネマリンミオパチーとは

ネマリンミオパチー(Nemaline Myopathy)は、先天性ミオパチーの中で最も頻度が高い遺伝性筋疾患です。筋線維内に「ネマリン小体」と呼ばれる糸くず状の構造物が出現することが特徴で、この名称はギリシャ語の「nema(糸)」に由来します。生まれながらに筋組織の形態に異常があり、全身の筋力低下や筋緊張低下を主な症状とします。

本疾患は、筋肉の収縮に関係する構造タンパク質が障害されるため、骨格筋に筋力低下をきたしますが、心筋にはほとんど障害をきたさないとされています。発症年齢や重症度により、乳児重症型、良性先天型、成人型に分類され、症状の程度や進行速度は患者さんによって大きく異なります。

ネマリンミオパチーは先天性ミオパチーの中で最も頻度が高く、国内には推定1,000~3,000名の患者さんがいるとされています。海外では約1.7万出生に1人の割合で発症すると報告されています。本疾患は指定難病111「先天性ミオパチー」として指定されており、小児慢性特定疾病の対象にもなっています。

症状と病態

ネマリンミオパチーの主な症状は、全身の筋力低下と筋緊張低下です。症状の重症度は病型によって大きく異なり、乳児期から重篤な症状を呈する例から、成人期まで軽症のまま経過する例まで幅広いスペクトラムがあります。

主要症状

  • 全身の筋力低下、筋緊張低下
  • 顔面筋、頸部筋、近位筋(体幹に近い筋肉)の筋力低下
  • 嚥下障害(飲み込みが困難)
  • 呼吸筋の筋力低下、呼吸障害
  • 運動発達の遅れ(歩行開始の遅れなど)
  • 脊柱側弯症(背骨の曲がり)
  • 関節拘縮(関節が固くなる)
  • 特徴的な顔貌(細長い顔、高口蓋など)

病型による特徴

ネマリンミオパチーは発症年齢と重症度により、主に3つの病型に分類されます:

  • 乳児重症型:出生時または新生児期から重篤な筋力低下と筋緊張低下を呈します。呼吸筋の筋力低下により呼吸不全をきたし、人工呼吸管理が必要となることが多く、予後は不良です。ACTA1遺伝子変異を持つ例が多く、核内棒状封入体を認めることがあります。
  • 良性先天型:乳児期に発達の遅れで発見されることが多く、筋力・筋緊張低下を認めます。歩行開始が遅れることがありますが、多くの患者さんは歩行可能となります。嚥下障害を認める場合もあります。症状は緩徐に進行するか、ほぼ非進行性で、期待余命はほぼ正常です。
  • 成人型:成人期に発症する軽症型で、進行は緩徐です。筋力低下は軽度で、日常生活への影響は比較的少なく、期待余命は正常です。

合併症と臨床所見

ネマリンミオパチーでは、以下のような合併症や臨床所見が認められることがあります:

  • 呼吸障害:重症例では呼吸筋の筋力低下により、呼吸不全をきたすことがあります。夜間の低換気や繰り返す呼吸器感染症に注意が必要です。
  • 嚥下障害:嚥下筋の筋力低下により、哺乳困難や食事摂取困難を認めることがあり、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
  • 脊柱側弯症:体幹筋の筋力低下により、進行性の脊柱側弯症を合併することがあります。
  • 関節拘縮:関節周囲の筋力低下により、関節可動域が制限されることがあります。
  • 心筋障害:まれですが、一部の症例では心筋障害を認めることがあります。

検査所見

ネマリンミオパチーの診断には以下の検査が有用です:

  • 血清クレアチンキナーゼ(CK):正常から軽度上昇を示します。
  • 筋電図:正常ないし筋原性変化を示します。
  • 骨格筋MRI:筋萎縮や脂肪変性を認めます。
  • 筋生検:筋線維内にネマリン小体(糸くず状または顆粒状の構造物)を認めることが診断の決め手となります。Gomoriトリクローム変法染色で赤黒色に染まる特徴的な所見が得られます。

進行と予後

疾患の進行速度と予後は病型によって大きく異なります。乳児重症型は予後不良で、呼吸不全により生後数ヶ月から数年以内に死亡することがあります。良性先天型は緩徐進行性ですが、適切なリハビリテーションや装具療法により、多くの患者さんは歩行可能な状態を維持できます。成人型は非進行性で、期待余命は正常です。

遺伝形式と原因遺伝子

ネマリンミオパチーは遺伝学的に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝と常染色体劣性(潜性)遺伝の両方の遺伝形式をとります。現在までに10以上の原因遺伝子が同定されていますが、約25~30%の症例では遺伝学的原因が未だ特定されていません。

主要な原因遺伝子

ネマリンミオパチーの原因遺伝子は、いずれも筋線維の収縮・弛緩に関係する構造タンパク質をコードしています:

  • ACTA1遺伝子:骨格筋α-アクチンをコードし、ネマリンミオパチーの約30~40%を占める最も頻度の高い原因遺伝子です。特に乳児重症型の半数以上でこの遺伝子変異が認められます。常染色体優性遺伝と常染色体劣性遺伝の両方の形式があります。
  • NEB遺伝子:ネブリンをコードする遺伝子で、ACTA1に次いで頻度の高い原因遺伝子です。常染色体劣性遺伝形式をとり、日本人に頻度の高い変異も報告されています。
  • TPM2遺伝子:β-トロポミオシンをコードします。
  • TPM3遺伝子:α-トロポミオシンスローをコードします。
  • TNNT1遺伝子:トロポニンTをコードします。
  • CFL2遺伝子:コフィリン2をコードします。
  • KBTBD13遺伝子:BTBドメイン含有タンパク質をコードします。
  • MYPN遺伝子:ミオパリンをコードします。

その他の原因遺伝子

上記以外にも、KLHL40、KLHL41、LMOD3などの遺伝子変異が報告されています。これらの遺伝子も筋収縮装置の構造維持や機能に関与しています。

遺伝形式

常染色体優性(顕性)遺伝:親のどちらかが変異を持つ場合、子どもが発症する確率は50%です。ACTA1遺伝子変異の一部がこの形式をとります。

常染色体劣性(潜性)遺伝:両親から受け継いだ両方の遺伝子に変異がある場合に発症します。両親は保因者で通常は発症しません。NEB遺伝子変異の多くがこの形式をとります。保因者同士の子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%です。

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な8遺伝子(ACTA1、CFL2、KBTBD13、MYPN、NEB、TNNT1、TPM2、TPM3)を対象としています。これにより、ネマリンミオパチーの主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックのネマリンミオパチー遺伝子パネル検査の特徴

「ネマリンミオパチー NGSパネル検査」とは、現在ネマリンミオパチーの原因として報告されている8つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、ネマリンミオパチーに関連する8遺伝子を一度に調べられる「ネマリンミオパチー NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でネマリンミオパチーの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、ネマリンミオパチーに関係するとされる8つの遺伝子を一度に調べられる「ネマリンミオパチー NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるネマリンミオパチーの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「ネマリンミオパチー NGSパネル検査」の場合、8つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からネマリンミオパチーを疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「ネマリンミオパチー NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な8つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「ネマリンミオパチー NGSパネル検査」では、ネマリンミオパチーに関係するとされる8種類の遺伝子(ACTA1、CFL2、KBTBD13、MYPN、NEB、TNNT1、TPM2、TPM3)をまとめて検査します。

「ネマリンミオパチー NGSパネル検査」は、ネマリンミオパチーの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【ネマリンミオパチーの個人歴または家族歴のある方】に
「ネマリンミオパチー NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・全身の筋力低下、筋緊張低下がある方
・顔面筋、頸部筋、近位筋の筋力低下がある方
・嚥下障害(飲み込みが困難)がある方
・呼吸障害がある方
・運動発達の遅れ(歩行開始の遅れなど)がある方
・脊柱側弯症がある方
・関節拘縮がある方
・筋生検でネマリン小体が認められた方
・先天性ミオパチーまたはネマリンミオパチーの家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、ネマリンミオパチーの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切なリハビリテーション、呼吸管理、栄養管理、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の先天性ミオパチーや神経筋疾患との鑑別
・適切なリハビリテーションプログラムの立案
・呼吸機能障害のリスク評価と管理(人工呼吸管理の必要性の判断)
・嚥下機能障害のリスク評価と栄養管理
・脊柱側弯症や関節拘縮の予防と管理
・心機能障害のスクリーニング
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ACTA1, CFL2, KBTBD13, MYPN, NEB, TNNT1, TPM2, TPM3 ( 8遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・ACTA1遺伝子:
骨格筋α-アクチンをコードする遺伝子。ネマリンミオパチーの約30~40%を占める最も頻度の高い原因遺伝子です。特に乳児重症型の半数以上でこの遺伝子変異が認められます。常染色体優性遺伝と常染色体劣性遺伝の両方の形式があります。アクチンフィラメントは筋収縮の基本単位であるサルコメアの主要構成要素であり、この遺伝子の変異により筋収縮機能が障害されます。

・CFL2遺伝子:
筋特異的コフィリン2(cofilin 2)をコードする遺伝子。コフィリンはアクチンフィラメントの脱重合を調節するタンパク質で、筋収縮の制御に重要な役割を果たします。この遺伝子の変異により、アクチンフィラメントの動態が異常となり、ネマリン小体の形成につながります。

・KBTBD13遺伝子:
BTB(Broad-Complex, Tramtrack and Bric a brac)ドメイン含有タンパク質13をコードする遺伝子。筋収縮装置の構造維持に関与すると考えられています。この遺伝子変異によるネマリンミオパチーは比較的軽症で、緩徐進行性の経過をとることが多いです。

・MYPN遺伝子:
ミオパリン(myopalladin)をコードする遺伝子。ミオパリンはサルコメアのZ帯に局在し、筋収縮装置の構造維持に重要な役割を果たします。この遺伝子変異は先天性ミオパチーだけでなく、拡張型心筋症の原因にもなることが知られています。

・NEB遺伝子:
ネブリン(nebulin)をコードする遺伝子。ネブリンは巨大なタンパク質(約800kDa)で、細いフィラメント(アクチンフィラメント)の長さを調節する「分子定規」として機能します。常染色体劣性遺伝形式をとり、ACTA1に次いで頻度の高い原因遺伝子です。日本人に頻度の高い変異(シノニマス変異c.24684G>C)も報告されており、日本人の178人に1人が保因者とされています。

・TNNT1遺伝子:
遅筋型トロポニンT(troponin T1, slow skeletal)をコードする遺伝子。トロポニン複合体は筋収縮のカルシウム依存性調節に重要な役割を果たします。この遺伝子変異によるネマリンミオパチーは、通常、常染色体劣性遺伝形式をとります。

・TPM2遺伝子:
β-トロポミオシン(β-tropomyosin)をコードする遺伝子。トロポミオシンはアクチンフィラメントに沿って配置され、トロポニン複合体とともに筋収縮を調節します。TPM2遺伝子変異は、ネマリンミオパチーだけでなく、キャップ病の原因にもなることが知られています。

・TPM3遺伝子:
α-トロポミオシンスロー(α-tropomyosin slow)をコードする遺伝子。TPM2と同様に、アクチンフィラメント上で筋収縮を調節する役割を果たします。この遺伝子変異は、ネマリンミオパチーのほか、先天性筋線維タイプ不均等症の原因にもなります。常染色体優性遺伝と常染色体劣性遺伝の両方の形式があります。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、8つの原因遺伝子のみを対象としています。約25~30%のネマリンミオパチー症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。また、KLHL40、KLHL41、LMOD3など、当パネルに含まれていない他の原因遺伝子も報告されています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
全身の筋力低下や筋緊張低下がある方、特に顔面筋、頸部筋、近位筋の筋力低下が認められる方におすすめします。嚥下障害や呼吸障害がある場合、運動発達の遅れがある場合、脊柱側弯症や関節拘縮がある場合も検査をご検討ください。また、筋生検でネマリン小体が認められた方、家族に先天性ミオパチーやネマリンミオパチーの方がいる場合も重要な検査適応となります。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
他の先天性ミオパチーとの違いは何ですか?
先天性ミオパチーには、ネマリンミオパチーのほか、セントラルコア病、ミニコア病、ミオチュブラーミオパチー、中心核病などがあります。これらは筋生検での病理所見により区別されます。ネマリンミオパチーは筋線維内にネマリン小体(糸くず状の構造物)が認められることが特徴です。遺伝子検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な診断と適切な管理が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。特に、将来子どもを持つことを考えている保因者の方には、パートナーの保因者検査も推奨されます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
約25~30%のネマリンミオパチー症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。また、当パネルに含まれていない他の原因遺伝子(KLHL40、KLHL41、LMOD3など)の変異の可能性もあります。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状と筋生検所見に基づいた診断が重要です。必要に応じて、全エクソーム解析などのより広範な遺伝子検査をご提案することもあります。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。なお、ネマリンミオパチーを含む先天性ミオパチーは指定難病111として指定されており、診断確定後は医療費助成の対象となる可能性があります。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。病原性変異が見つかった場合は、遺伝形式、重症度の予測、合併症のリスク、適切な管理方法について詳しくご説明します。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。特に重症型の可能性がある場合は、早期の遺伝カウンセリングが重要です。
ネマリンミオパチーの治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、症状に応じた支持療法が重要です。理学療法、作業療法などのリハビリテーション、呼吸管理(必要に応じて人工呼吸管理)、栄養管理(嚥下障害への対応、胃瘻造設など)、脊柱側弯症や関節拘縮への整形外科的治療などが行われます。適切な管理により、多くの患者さんは日常生活の質を維持できます。
予後はどうですか?
予後は病型によって大きく異なります。乳児重症型は予後不良で、呼吸不全により生後数ヶ月から数年以内に死亡することがあります。良性先天型は緩徐進行性ですが、適切なリハビリテーションや呼吸管理により、多くの患者さんは長期間にわたって生活できます。成人型は非進行性で、期待余命は正常です。原因遺伝子を特定することで、より正確な予後予測が可能になります。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な8つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら