InstagramInstagram

骨髄線維症NGSパネル|ミネルバクリニック

骨髄線維症NGSパネル|ミネルバクリニック

骨髄線維症とは

骨髄線維症(Myelofibrosis: MF)は、骨髄内の線維組織が異常に増殖し、正常な造血機能が障害される血液疾患です。骨髄増殖性腫瘍(Myeloproliferative Neoplasms: MPN)の一種で、造血幹細胞レベルの遺伝子変異により発症します。骨髄が線維化することで正常な血液細胞の産生が困難になり、脾臓や肝臓で代償的に造血が行われるようになります(髄外造血)。

骨髄線維症には、造血幹細胞の遺伝子異常により自然発生する原発性骨髄線維症(Primary Myelofibrosis: PMF)と、真性赤血球増加症や本態性血小板血症などの他の血液疾患から進展する二次性骨髄線維症があります。原発性骨髄線維症は厚生労働省の指定難病であり、発症年齢のピークは50~70歳で、男性にやや多い傾向があります。

骨髄線維症は、骨髄増殖性腫瘍という腫瘍性疾患の一つです。造血幹細胞に生じた遺伝子変異により、骨髄内で巨核球(血小板を産生する細胞)や顆粒球系細胞が異常増殖し、これらの細胞から放出されるサイトカインが骨髄の線維芽細胞を刺激します。その結果、過剰なコラーゲンなどの線維組織が産生され、骨髄が線維化し硬くなります。進行すると急性白血病への移行や重篤な合併症のリスクがあるため、適切な診断と治療が重要です。

症状と病態

骨髄線維症は初期段階では無症状のことが多く、健康診断などで偶然発見されるケースも少なくありません。しかし、骨髄の線維化が進行するにつれて、さまざまな症状が現れ始めます。

主要症状

  • 貧血症状(倦怠感、疲労感、動悸、息切れ)
  • 脾臓の腫大(脾腫)による腹部膨満感
  • 早期満腹感(少量の食事ですぐに満腹になる)
  • 腹痛や左上腹部の不快感
  • 出血傾向(皮下出血、歯茎からの出血)
  • 発熱、寝汗、体重減少
  • 皮膚のかゆみ
  • 骨痛

病態の進行

骨髄線維症では、造血幹細胞に生じた遺伝子変異により、骨髄内で線維組織が過剰に産生されます。この過程は以下のように進行します:

  • 初期段階:造血幹細胞の遺伝子変異(主にJAK2、CALR、MPL遺伝子)により、巨核球と顆粒球系細胞が異常増殖します
  • 線維化の進行:増殖した細胞から放出されるサイトカインが線維芽細胞を刺激し、過剰なコラーゲンや細網線維が産生されます
  • 造血障害:骨髄の線維化により正常な血液細胞の産生が困難になります
  • 髄外造血:骨髄での造血が不十分になると、代償的に脾臓や肝臓で造血が行われるようになり、これらの臓器が腫大します
  • 血球減少:赤血球、白血球、血小板の産生が減少し、貧血、感染症、出血のリスクが高まります

血液検査所見

骨髄線維症では特徴的な血液検査所見が認められます:

  • 貧血:進行性の赤血球減少とヘモグロビン値の低下
  • 白赤芽球症:末梢血中に未熟な赤芽球や骨髄芽球が出現
  • 涙滴状赤血球:変形した赤血球が末梢血に認められる
  • 白血球数の変動:初期には増加、進行すると減少することがある
  • 血小板数の変動:初期には増加することもあるが、進行すると減少(血小板減少症)

合併症

骨髄線維症の進行に伴い、以下の重篤な合併症が生じる可能性があります:

  • 急性白血病への移行:約10~20%の患者さんで急性骨髄性白血病への転化が起こります
  • 重症感染症:白血球減少により感染症のリスクが高まります
  • 出血:血小板減少により重篤な出血が起こる可能性があります
  • 脾梗塞:巨大化した脾臓に血栓が生じ、激しい腹痛を引き起こします
  • 門脈圧亢進症:肝臓や脾臓での造血により門脈の血圧が上昇します
  • 血栓症:血管内に血栓が形成されるリスクが高まります

遺伝形式と原因遺伝子

骨髄線維症は遺伝性疾患ではなく、後天的に造血幹細胞レベルで生じる遺伝子変異によって発症する腫瘍性疾患です。家族内で遺伝することは通常ありません。しかし、発症には特定の遺伝子変異が深く関与しており、これらの変異を検出することが診断確定に重要です。

主要な原因遺伝子

骨髄線維症の患者さんの約90%で、以下の3つの主要遺伝子のいずれかに変異が認められます:

  • JAK2遺伝子:最も頻度の高い変異で、約50~60%の患者さんで認められます。特にJAK2 V617F変異が典型的です。JAK2はヤヌスキナーゼという酵素をコードしており、造血の調節に重要な役割を果たしています。この遺伝子の変異により、JAK-STAT経路と呼ばれる細胞内シグナル伝達経路が異常に活性化され、血液細胞の過剰増殖とサイトカインの産生亢進が起こります
  • CALR遺伝子:約20~35%の患者さんで変異が認められます。カルレティキュリンというタンパク質をコードしており、小胞体内でのタンパク質の品質管理に関与しています。CALR変異陽性の患者さんは比較的予後が良好とされています
  • MPL遺伝子:約5~10%の患者さんで変異が認められます。トロンボポエチン受容体をコードしており、主に巨核球と血小板の産生に関与しています。MPL変異により、トロンボポエチンシグナルが恒常的に活性化されます

その他の関連遺伝子

主要3遺伝子以外にも、骨髄線維症の病態や予後に関連する遺伝子があります:

  • SH2B3遺伝子(LNK遺伝子):JAKシグナル伝達経路の負の調節因子をコードしており、この遺伝子の変異は骨髄増殖性腫瘍の発症リスクを高めます。予後不良との関連も報告されています
  • ASXL1遺伝子:クロマチン修飾に関与する遺伝子で、変異は予後不良と関連します
  • EZH2遺伝子:エピジェネティック調節に関与し、変異は急性白血病への移行リスクを高めます
  • SRSF2遺伝子:RNAスプライシングに関与し、予後不良因子の一つです

トリプルネガティブ骨髄線維症

約10%の患者さんでは、JAK2、CALR、MPLのいずれの変異も検出されません(トリプルネガティブ)。これらの症例では、他の遺伝子変異や未知のメカニズムが関与していると考えられています。トリプルネガティブの患者さんは一般的に予後が不良とされています。

当検査パネルでは、骨髄線維症の診断に最も重要な4つの遺伝子(JAK2、CALR、MPL、SH2B3)を対象としています。これにより、骨髄線維症の診断確定、予後予測、治療方針の決定に有用な情報を提供することが可能です。

ミネルバクリニックの骨髄線維症遺伝子パネル検査の特徴

「骨髄線維症 NGSパネル検査」とは、現在骨髄線維症の原因として報告されている4つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、骨髄線維症に関連する4遺伝子を一度に調べられる「骨髄線維症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で骨髄線維症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、骨髄線維症に関係するとされる4つの遺伝子を一度に調べられる「骨髄線維症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える骨髄線維症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「骨髄線維症 NGSパネル検査」の場合、4つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から骨髄線維症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「骨髄線維症 NGSパネル検査」ならば、診断に重要な4つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「骨髄線維症 NGSパネル検査」では、骨髄線維症に関係するとされる4種類の遺伝子(CALR、JAK2、MPL、SH2B3)をまとめて検査します。

「骨髄線維症 NGSパネル検査」は、骨髄線維症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【骨髄線維症の疑いがある方、または骨髄増殖性腫瘍の診断を受けた方】に
「骨髄線維症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・進行性の貧血がある方
・原因不明の脾臓腫大が認められる方
・倦怠感、疲労感が持続している方
・腹部膨満感や早期満腹感がある方
・血液検査で白赤芽球症や涙滴状赤血球が認められた方
・骨髄生検で線維化が確認された方
・真性赤血球増加症や本態性血小板血症から骨髄線維症への進展が疑われる方
・原因不明の発熱、寝汗、体重減少がある方
・骨髄増殖性腫瘍の診断確定を希望される方
・遺伝子変異に基づいた治療選択を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。骨髄線維症は後天的疾患であり、腫瘍細胞での検査が理想的ですが、末梢血でも検出可能です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因変異が判明すると、骨髄線維症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、予後予測スコアリングシステムの評価にも有用です。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・骨髄線維症の診断確定または確認
・他の骨髄増殖性腫瘍(真性赤血球増加症、本態性血小板血症など)との鑑別
・予後予測スコアリングシステム(DIPSS、DIPSS-plusなど)による予後評価
・JAK2阻害薬(ルキソリニチニブなど)などの分子標的治療の適応判断
・造血幹細胞移植の適応判断
・急性白血病への移行リスクの評価
・遺伝子変異に基づいた個別化治療の実施
・より個別化された症状管理
・適切なモニタリング計画の立案
・臨床試験への参加機会の提供
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案

特にJAK2変異が検出された場合、JAK阻害薬による治療が有効である可能性が高く、脾腫の縮小や全身症状の改善が期待できます。CALR変異陽性の患者さんは比較的予後良好であることが知られており、治療方針の決定に有用な情報となります。

対象遺伝子

詳しくはこちら

CALR, JAK2, MPL, SH2B3 ( 4遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・CALR遺伝子:
カルレティキュリン(calreticulin)をコードする遺伝子。小胞体に局在するカルシウム結合タンパク質で、タンパク質の品質管理や折り畳みに関与します。骨髄線維症患者さんの約20~35%でCALR遺伝子のエキソン9に挿入変異または欠失変異が認められます。CALR変異陽性の患者さんは、JAK2変異陽性の患者さんと比較して、貧血が軽度で血小板数が高い傾向があり、全生存期間が長く予後良好とされています。CALR変異は、JAK-STAT経路の活性化を引き起こし、骨髄増殖性腫瘍の発症に関与します。

・JAK2遺伝子:
ヤヌスキナーゼ2(Janus kinase 2)をコードする遺伝子。JAK2はチロシンキナーゼの一種で、サイトカイン受容体からの細胞内シグナル伝達(JAK-STAT経路)において中心的な役割を果たし、造血の調節に重要です。骨髄線維症患者さんの約50~60%でJAK2遺伝子の変異が認められ、最も頻度の高いのはJAK2 V617F変異(エキソン14の1849番目のグアニンがチミンに置換)です。この変異により、JAK2が恒常的に活性化され、造血細胞の過剰増殖とサイトカインの産生亢進が起こります。JAK2変異は、骨髄線維症だけでなく、真性赤血球増加症や本態性血小板血症でも高頻度に認められます。

・MPL遺伝子:
トロンボポエチン受容体(thrombopoietin receptor)をコードする遺伝子。MPLは主に巨核球と血小板の産生に関与する受容体で、トロンボポエチンと結合することで細胞内シグナル伝達が開始されます。骨髄線維症患者さんの約5~10%でMPL遺伝子の変異(主にMPL W515L/K変異)が認められます。MPL変異により、トロンボポエチンシグナルが恒常的に活性化され、巨核球の過剰増殖と骨髄線維化が促進されます。MPL変異陽性の患者さんは、高度の貧血と著明な脾腫を呈することが多く、予後は中間的とされています。

・SH2B3遺伝子(LNK遺伝子):
アダプタータンパク質LNKをコードする遺伝子。SH2B3/LNKは、JAKシグナル伝達経路の負の調節因子として機能し、造血幹細胞の自己複製と分化を制御しています。SH2B3遺伝子の変異や欠失により、JAK-STAT経路の抑制が解除され、造血細胞の過剰増殖が起こります。骨髄増殖性腫瘍の発症リスクを高める遺伝子多型も報告されており、疾患感受性遺伝子としても知られています。SH2B3変異は予後不良因子の一つとされ、急性白血病への移行リスクを高める可能性があります。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、4つの主要遺伝子のみを対象としています。約10%の骨髄線維症症例では、これらの遺伝子に変異が見つかりません(トリプルネガティブ)。検査で病原性変異が検出されなくても、骨髄線維症を完全に否定することはできません。また、ASXL1、EZH2、SRSF2、IDH1/2などの予後関連遺伝子は本パネルには含まれていません。これらの遺伝子の検査が必要な場合は、別途ご相談ください。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
進行性の貧血、原因不明の脾臓腫大、持続する倦怠感や疲労感、腹部膨満感や早期満腹感がある方におすすめします。また、血液検査で白赤芽球症や涙滴状赤血球が認められた場合、骨髄生検で線維化が確認された場合は、骨髄線維症の可能性が高くなります。真性赤血球増加症や本態性血小板血症の診断を受けている方で、これらの症状が出現した場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。骨髄線維症は後天的に獲得される変異ですが、末梢血でも検出可能です。
骨髄線維症は遺伝しますか?
骨髄線維症は遺伝性疾患ではありません。造血幹細胞レベルで後天的に生じる遺伝子変異によって発症する腫瘍性疾患です。親から子へ遺伝することは通常ありませんので、ご家族が発症するリスクは一般の方と変わりません。ただし、骨髄増殖性腫瘍全体として見ると、ごく稀に家族内発症の報告もあります。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
約10%の骨髄線維症症例では、主要な3遺伝子(JAK2、CALR、MPL)に変異が見つかりません(トリプルネガティブ)。この場合でも、臨床症状と骨髄生検の結果により骨髄線維症と診断されることがあります。トリプルネガティブの患者さんは予後が不良な傾向があるため、より積極的な治療が必要になる場合があります。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。検出された変異の種類、その臨床的意義、予後への影響、治療選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
検査結果は治療にどう役立ちますか?
遺伝子検査の結果は、治療方針の決定に重要な情報を提供します。特にJAK2変異が検出された場合、JAK阻害薬(ルキソリニチニブなど)による治療が有効である可能性が高くなります。また、変異の種類により予後が異なるため、造血幹細胞移植の適応判断や、疾患モニタリングの計画立案にも役立ちます。
骨髄線維症の治療はどのように行われますか?
リスク分類に応じて治療方針が決定されます。低リスク・中間-1リスクの場合は経過観察が中心ですが、症状がある場合はJAK阻害薬(ルキソリニチニブ)が使用されます。中間-2リスク・高リスクで65歳以下の方には、造血幹細胞移植が検討されます。その他、貧血に対する輸血療法、脾腫に対する放射線療法や脾臓摘出術などが症状に応じて行われます。
予後はどうですか?
予後は予後予測スコアリングシステム(DIPSS-plusなど)により、低リスク群、中間-1リスク群、中間-2リスク群、高リスク群に分類されます。日本国内のデータでは、生存期間中央値は低リスク群で約18.6年、中間-1リスク群で約10.7年、中間-2リスク群で約3.7年、高リスク群で約2.2年とされています。ただし、適切な治療により予後は改善される可能性があります。
急性白血病に移行する可能性はありますか?
骨髄線維症患者さんの約10~20%で、急性骨髄性白血病への移行が起こります。特定の遺伝子変異(ASXL1、EZH2、SRSF2など)を持つ患者さんでは移行リスクが高くなります。定期的な血液検査と骨髄検査により、早期に移行を検出することが重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では診断に重要な4つの遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら