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メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症 NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症とは

メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症は、ビタミンB12(コバラミン)の代謝異常により、メチルマロン酸とホモシステインという物質が体内に蓄積する先天性代謝異常症です。ビタミンB12は食事から摂取された後、体内で複雑な代謝過程を経て、2つの活性型補酵素であるアデノシルコバラミンとメチルコバラミンに変換されます。これらの補酵素は、それぞれメチルマロン酸の代謝とホモシステインからメチオニンへの変換に必要不可欠です。

この両方の代謝経路に共通する段階で障害が起こると、メチルマロン酸血症とホモシスチン尿症の両方が発症します。主な原因はコバラミン代謝異常のcblC型(MMACHC遺伝子変異)とcblD型(MMADHC遺伝子変異)であり、これらは常染色体劣性(潜性)遺伝形式で遺伝します。

コバラミン代謝異常は相補性解析によりcblA~cblGに分類されています。このうち、cblC型は最も頻度が高く、乳児期発症例が多い一方で、成人発症例も報告されています。cblD型は遺伝子変異の位置によって、メチルマロン酸血症単独型、ホモシスチン尿症単独型、混合型(両方が増加する型)の3つの病型に分かれるという特徴があります。本検査パネルでは、これらの複合型代謝異常に関わる3つの遺伝子(LMBRD1、MMACHC、MMADHC)を対象としています。

症状と病態

メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症の臨床症状は、メチルマロン酸蓄積による代謝性アシドーシスと、ホモシステイン蓄積による血管内皮障害や神経障害が組み合わさって出現します。発症年齢や重症度は遺伝子変異の種類や個人差によって大きく異なり、新生児期から成人期まで幅広い発症時期が報告されています。

主要症状

  • 代謝性アシドーシス(血液が酸性に傾く)
  • 高アンモニア血症
  • 哺乳不良・嘔吐
  • 呼吸障害
  • 筋緊張低下
  • 発達遅延・精神運動発達遅滞
  • けいれん(てんかん発作)
  • 水晶体脱臼(眼症状)
  • 網膜症・視力障害
  • 巨赤芽球性貧血(蒼白、倦怠感、食欲不振)
  • 血栓症(脳梗塞、肺塞栓など)
  • 腎機能障害

急性代謝不全

新生児期から乳児期にかけて、ケトアシドーシスや高アンモニア血症による急性代謝不全が発現することがあります。症状としては、哺乳不良、嘔吐、呼吸障害、筋緊張低下、意識障害などが出現し、急性脳症に進展することがあります。感染症などをきっかけに急性増悪を繰り返しやすく、適切な治療が行われないと生命に危険が及ぶことがあります。

神経系症状

中枢神経系の障害により、発達遅延、精神運動発達遅滞、けいれん、運動および歩行異常、行動上の問題などが出現します。cblC型では特に眼症状が特徴的で、網膜症や視力障害、水晶体脱臼が認められることがあります。また、脊髄障害による歩行障害や膀胱直腸障害が出現することもあります。

血液・血管系症状

巨赤芽球性貧血は、葉酸やビタミンB12の代謝異常により赤血球が正常に作られないことで生じます。また、ホモシステインの蓄積は血管内皮細胞を障害し、血栓症のリスクを高めます。小児期から成人期にかけて、脳血管障害、冠動脈血栓症、肺塞栓症などの重篤な合併症を発症する可能性があります。

病型による特徴

cblC型(MMACHC遺伝子変異)は、乳児期早期発症型と遅発型に分類されます。乳児期早期発症型は重症で、生後数ヶ月以内に代謝性アシドーシス、神経症状、眼症状、血液異常などが出現します。遅発型は小児期後期から成人期に発症し、精神神経症状、血栓症、腎不全などが主な症状となります。

cblD型(MMADHC遺伝子変異)は、遺伝子変異の位置によって3つの病型に分かれます:

  • cblD variant 1(ホモシスチン尿症単独型):ホモシステインのみが増加し、血栓症や神経症状が主体
  • cblD variant 2(メチルマロン酸血症単独型):メチルマロン酸のみが増加し、代謝性アシドーシスが主体
  • cblD混合型:メチルマロン酸とホモシステインの両方が増加し、両者の症状が出現

進行と予後

早期診断と適切な治療により、予後は大きく改善されます。しかし、未治療の場合や診断が遅れた場合、神経学的後遺症や生命予後不良となる可能性があります。新生児マススクリーニングによる早期発見が重要です。治療により症状のコントロールが可能な症例も多いですが、長期的には腎機能障害や神経障害の進行に注意が必要です。

遺伝形式と原因遺伝子

メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症(複合型)は、すべて常染色体劣性(潜性)遺伝形式で遺伝します。これは、両親がともに変異遺伝子を1つずつ持つ保因者である場合、子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%、変異を持たない確率は25%であることを意味します。

主要な原因遺伝子

複合型メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症の主な原因遺伝子は以下の通りです:

  • MMACHC遺伝子(cblC型):最も頻度の高い原因遺伝子で、コバラミン代謝異常症の約80%を占めます。MMACHC遺伝子産物は、細胞内に取り込まれたコバラミンを脱メチル化・還元する機能を持ち、アデノシルコバラミンとメチルコバラミンの両方の合成に必要です。この遺伝子の変異により、メチルマロン酸とホモシステインの両方が蓄積します。
  • MMADHC遺伝子(cblD型):MMACHC遺伝子産物により修飾を受けたコバラミン代謝中間体の細胞内局在(ミトコンドリアまたは細胞質)の振り分けを担っています。遺伝子変異の位置によって、メチルマロン酸血症単独型(variant 2)、ホモシスチン尿症単独型(variant 1)、混合型の3つの病型に分かれます。混合型ではメチルマロン酸とホモシステインの両方が増加します。
  • LMBRD1遺伝子(cblF型):リソソームからのコバラミン輸送に関与する遺伝子で、LMBRD1遺伝子はリソソーム膜に存在するコバラミン輸送タンパク質をコードしています。この遺伝子の変異により、コバラミンがリソソームから細胞質に輸送されず、アデノシルコバラミンとメチルコバラミンの両方の合成が障害されます。

その他の関連遺伝子

本検査パネルには含まれていませんが、ABCD4遺伝子(cblJ型)、HCFC1遺伝子なども複合型の原因遺伝子として報告されています。これらは稀な病型です。

当検査パネルでは、臨床的に重要な3遺伝子(LMBRD1、MMACHC、MMADHC)を対象としています。これにより、メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックのメチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症遺伝子パネル検査の特徴

「メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症 NGSパネル検査」とは、現在メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症(複合型)の原因として報告されている3つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症に関連する3遺伝子を一度に調べられる「メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でメチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症に関係するとされる3つの遺伝子を一度に調べられる「メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるメチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症 NGSパネル検査」の場合、3つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からメチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な3つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症 NGSパネル検査」では、メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症(複合型)に関係するとされる3種類の遺伝子(LMBRD1、MMACHC、MMADHC)をまとめて検査します。

「メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症 NGSパネル検査」は、メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症の個人歴または家族歴のある方】に
「メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・新生児マススクリーニングでメチルマロン酸やホモシステインの異常を指摘された方
・代謝性アシドーシスがある方
・高アンモニア血症を呈する方
・原因不明の発達遅延や精神運動発達遅滞がある方
・けいれん発作を繰り返す方
・眼症状(網膜症、水晶体脱臼、視力障害)がある方
・巨赤芽球性貧血がある方
・若年性の血栓症(脳梗塞、肺塞栓など)を発症した方
・腎機能障害が進行している方
・メチルマロン酸血症またはホモシスチン尿症の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な食事療法、ビタミン補充療法、薬物療法、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の代謝異常症との鑑別
・適切な食事療法(タンパク質制限など)の実施
・ビタミンB12、葉酸、ベタイン、カルニチンなどの補充療法の選択
・急性代謝不全の予防と早期対応
・血栓症予防のための管理
・眼科的管理と視力障害の早期発見
・腎機能モニタリングと透析・腎移植の適応判断
・神経学的合併症のリスク評価と管理
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝形式のため、両親は保因者であり、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

LMBRD1, MMACHC, MMADHC ( 3遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・LMBRD1遺伝子(cblF型):
リソソーム膜貫通ドメイン含有タンパク質1をコードする遺伝子です。LMBRD1遺伝子産物は、リソソームからのコバラミン輸送に関与しており、リソソーム内に取り込まれたコバラミンを細胞質へ輸送する機能を持っています。この遺伝子の変異により、コバラミンがリソソームから細胞質に適切に輸送されず、アデノシルコバラミンとメチルコバラミンの両方の合成が障害されます。その結果、メチルマロン酸とホモシステインの両方が蓄積します。cblF型は比較的稀な病型ですが、乳児期から小児期に発症し、神経症状や眼症状を呈することがあります。

・MMACHC遺伝子(cblC型):
メチルマロン酸尿症・ホモシスチン尿症タイプC タンパク質をコードする遺伝子です。MMACHC遺伝子産物は、細胞質内でコバラミンを脱メチル化・還元する機能を持ち、アデノシルコバラミンとメチルコバラミンの両方の合成に必須です。この遺伝子の変異はコバラミン代謝異常症の中で最も頻度が高く、全体の約80%を占めます。MMACHC遺伝子変異により、メチルマロン酸とホモシステインの両方が蓄積し、多彩な臨床症状を呈します。乳児期早期発症型と遅発型があり、早期発症型は重症で、代謝性アシドーシス、神経症状、眼症状(網膜症、視力障害)、血液異常(巨赤芽球性貧血)などが特徴的です。遅発型は小児期後期から成人期に発症し、精神神経症状、血栓症、腎不全などが主な症状となります。新生児マススクリーニングによる早期発見が重要です。

・MMADHC遺伝子(cblD型):
メチルマロン酸尿症・ホモシスチン尿症タイプD タンパク質をコードする遺伝子です。MMADHC遺伝子産物は、MMACHC遺伝子産物により修飾を受けたコバラミン代謝中間体の細胞内局在(ミトコンドリアまたは細胞質)の振り分けを担っています。この遺伝子の変異は、変異の位置によって3つの異なる病型を引き起こすという特徴があります:①cblD variant 1(ホモシスチン尿症単独型):ホモシステインのみが増加し、血栓症や神経症状が主体となります。②cblD variant 2(メチルマロン酸血症単独型):メチルマロン酸のみが増加し、代謝性アシドーシスが主体となります。③cblD混合型:メチルマロン酸とホモシステインの両方が増加し、両者の症状が出現します。本検査パネルは、これらすべての病型を検出できます。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、3つの原因遺伝子のみを対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、ABCD4遺伝子やHCFC1遺伝子などの稀な原因遺伝子は本検査パネルに含まれていません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
新生児マススクリーニングで異常を指摘された方、原因不明の代謝性アシドーシスや高アンモニア血症がある方、発達遅延やけいれん発作を繰り返す方におすすめします。また、眼症状(網膜症、水晶体脱臼)、巨赤芽球性貧血、若年性血栓症などがある場合も検査をご検討ください。家族に同様の症状がある場合も重要です。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
単独型メチルマロン酸血症との違いは何ですか?
単独型メチルマロン酸血症はメチルマロン酸のみが蓄積する疾患で、主にMUT遺伝子、MMAA遺伝子、MMAB遺伝子の変異が原因です。一方、本検査パネルが対象とする複合型は、メチルマロン酸とホモシステインの両方が蓄積するタイプで、LMBRD1、MMACHC、MMADHC遺伝子の変異が原因です。複合型では眼症状や血栓症のリスクが高いことが特徴です。
家族も検査を受ける必要がありますか?
常染色体劣性遺伝形式のため、患者さんの両親は保因者です。兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。将来子どもを持つ予定のある保因者の方は、パートナーの保因者検査を受けることで、子どもの発症リスクを評価できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
本検査パネルは主要な3遺伝子を対象としていますが、ABCD4遺伝子やHCFC1遺伝子などの稀な原因遺伝子は含まれていません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と生化学検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
治療法はありますか?
ビタミンB12(ヒドロキソコバラミン)の大量投与、葉酸補充、ベタイン投与、カルニチン補充などの薬物療法が行われます。また、タンパク質制限食などの食事療法も重要です。急性代謝不全時には輸液療法や血液透析が必要になることがあります。早期診断と適切な治療により、症状のコントロールが可能です。
予後はどうですか?
早期診断と適切な治療により、予後は大きく改善されます。新生児マススクリーニングで発見され、早期から治療を開始した場合、神経学的後遺症を最小限に抑えられることがあります。しかし、診断が遅れた場合や重症例では、神経障害や腎機能障害などの長期的な合併症が残る可能性があります。定期的な経過観察が重要です。
新生児マススクリーニングとの関係は?
日本では新生児マススクリーニングでメチルマロン酸血症が対象疾患となっていますが、ホモシステインの測定は標準的には行われていません。そのため、ホモシステインも増加する複合型の一部は、新生児マススクリーニングで発見されにくい可能性があります。臨床症状から疑われる場合は、遺伝子検査を含む精密検査が重要です。
cblC型とcblD型の違いは何ですか?
cblC型(MMACHC遺伝子変異)は最も頻度が高く、メチルマロン酸とホモシステインの両方が必ず増加します。一方、cblD型(MMADHC遺伝子変異)は変異の位置によって3つの病型(メチルマロン酸血症単独型、ホモシスチン尿症単独型、混合型)に分かれるという特徴があります。遺伝子検査により病型を特定することで、より適切な治療・管理が可能になります。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な3つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら