(更新日:2025/10/04)
Meier-Gorlin症候群(マイヤー-ゴーリン症候群)NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック
Meier-Gorlin症候群とは
Meier-Gorlin症候群(マイヤー-ゴーリン症候群、MGS)は、稀な常染色体劣性遺伝性疾患で、原発性小人症の一つです。本症候群は、小耳症(耳が小さい)、膝蓋骨の低形成または無形成、出生前後からの均整のとれた低身長を三主徴とします。
本疾患は、DNA複製の開始に関わる重要な蛋白質群(pre-replication complex:複製前複合体)をコードする遺伝子の変異によって引き起こされます。これらの遺伝子の変異により、細胞分裂と成長の過程が影響を受け、出生前から継続する成長障害が引き起こされます。
Meier-Gorlin症候群は、原発性小人症(primordial dwarfism)の一種として分類されます。原発性小人症とは、胎児期から出生後も継続して成長が著しく制限される疾患群の総称です。本症候群は1959年にMeierらによって、1975年にGorlinらによって報告されました。2024年時点で150例未満しか報告されておらず、非常に稀な疾患です。
症状と病態
Meier-Gorlin症候群の主な症状は、小耳症、膝蓋骨の低形成または無形成、出生前後からの均整のとれた低身長の三主徴です。診断には、この三主徴のうち少なくとも2つの所見があることが必要とされています。
主要症状
小耳症(microtia): 両側性に耳介が小さく、形態異常を伴います。難聴を合併することがあります
膝蓋骨の低形成または無形成: 膝のお皿(膝蓋骨)が小さいか、まったくない状態です。膝関節の不安定性や痛みの原因となります
出生前後からの均整のとれた低身長: 胎児期から成長制限があり、出生後も成長速度が遅く、成人身長は標準より平均4.5標準偏差低くなります
小頭症(microcephaly): 頭囲が小さいですが、多くの場合、知能は正常範囲内です
特徴的な顔貌
Meier-Gorlin症候群の患者さんには、特徴的な顔の特徴が認められます:
高い額
小さな口とふっくらした唇
小顎症と後退した顎(micro-retrognathia)
細く凸型の鼻(加齢とともにより顕著になります)
目立つ鼻唇溝(笑いじわ)
小さく形態異常のある耳
その他の臨床症状
三主徴以外にも、以下のような症状が見られることがあります:
哺乳・摂食困難: 乳児期に哺乳不良や摂食困難を呈することが多いです
先天性肺気腫: 呼吸器系の問題を伴うことがあり、気管軟化症や喉頭軟化症を合併することもあります
乳房低形成: 女性では思春期以降に乳房の発育不全が見られます
泌尿生殖器異常: 男性では停留精巣(cryptorchidism)、女性では小陰唇・大陰唇の低形成が見られます
骨格異常: 肘関節脱臼、細い肋骨と長管骨、鎖骨の形態異常などが認められることがあります
腋毛・陰毛の欠如または減少: 二次性徴の発達が不十分なことがあります
成長パターン
Meier-Gorlin症候群の成長パターンには特徴があります。妊娠中および生後1年間は成長速度が著しく低下していますが、その後は正常な成長曲線と平行して成長します。つまり、身長の標準偏差スコアは一定に保たれますが、絶対的な身長は低いままです。成人身長は平均で標準より4.5標準偏差低くなります。
知的発達
小頭症を伴うにもかかわらず、ほとんどの患者さんの知能は正常範囲内です。ただし、重度の難聴がある場合には、神経運動発達や知的発達が遅れることがあり、認知能力が標準以下となる可能性があります。
遺伝形式と原因遺伝子
Meier-Gorlin症候群は、主に常染色体劣性遺伝形式をとりますが、一部の遺伝子では常染色体優性遺伝形式も報告されています。現在までに複数の原因遺伝子が同定されており、遺伝学的に不均一な疾患です。
常染色体劣性遺伝形式
ほとんどのMeier-Gorlin症候群は常染色体劣性遺伝形式をとります。以下の遺伝子が知られています:
ORC1遺伝子(Meier-Gorlin症候群1型): 6番染色体に位置し、複製起点認識複合体の最大サブユニットをコードします
ORC4遺伝子(Meier-Gorlin症候群2型): 2番染色体に位置し、複製起点認識複合体のサブユニットをコードします
ORC6遺伝子(Meier-Gorlin症候群3型): 16番染色体に位置し、複製起点認識複合体のサブユニットをコードします
CDT1遺伝子(Meier-Gorlin症候群4型): 16番染色体に位置し、DNA複製ライセンシング因子をコードします
CDC6遺伝子(Meier-Gorlin症候群5型): 17番染色体に位置し、細胞分裂周期6タンパク質をコードします
CDC45遺伝子(Meier-Gorlin症候群7型): 22番染色体に位置し、DNA複製開始に必須の因子をコードします。頭蓋骨縫合早期癒合症を伴うことがあります
常染色体優性遺伝形式
GMNN遺伝子(Meier-Gorlin症候群6型): 6番染色体に位置し、DNA複製抑制因子であるジェミニンをコードします。新生突然変異による常染色体優性遺伝形式をとります
分子メカニズム
これらの遺伝子はすべて、DNA複製の開始段階に関与する複製前複合体(pre-replication complex)の構成要素またはその調節因子をコードしています。この複合体はDNA複製のライセンシング(許可)に不可欠であり、変異により細胞増殖が障害され、全身的な成長制限が引き起こされます。
当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な7遺伝子(CDC45、CDC6、CDT1、GMNN、ORC1、ORC4、ORC6)を対象としています。これにより、Meier-Gorlin症候群の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。
ミネルバクリニックのMeier-Gorlin症候群遺伝子パネル検査の特徴
「Meier-Gorlin症候群 NGSパネル検査」とは、現在Meier-Gorlin症候群の原因として報告されている7つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、Meier-Gorlin症候群に関連する7遺伝子を一度に調べられる「Meier-Gorlin症候群 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページ をご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関でMeier-Gorlin症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、Meier-Gorlin症候群に関係するとされる7つの遺伝子を一度に調べられる「Meier-Gorlin症候群 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行えるMeier-Gorlin症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「Meier-Gorlin症候群 NGSパネル検査」の場合、7つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状からMeier-Gorlin症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「Meier-Gorlin症候群 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な7つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「Meier-Gorlin症候群 NGSパネル検査」では、Meier-Gorlin症候群に関係するとされる7種類の遺伝子(CDC45、CDC6、CDT1、GMNN、ORC1、ORC4、ORC6)をまとめて検査します。
「Meier-Gorlin症候群 NGSパネル検査」は、Meier-Gorlin症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【Meier-Gorlin症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「Meier-Gorlin症候群 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・小耳症(両側性に耳が小さい)がある方
・膝蓋骨の低形成または無形成がある方
・出生前後からの低身長がある方
・胎児期から成長制限があった方
・小頭症があるが知能は正常範囲の方
・特徴的な顔貌(小さな口、ふっくらした唇、後退した顎、細い鼻)がある方
・乳児期に哺乳困難や摂食困難があった方
・先天性肺気腫や呼吸器系の問題がある方
・乳房低形成(女性)や泌尿生殖器異常(男女)がある方
・Meier-Gorlin症候群または原発性小人症の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、Meier-Gorlin症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な医学的管理、定期的なモニタリング、早期介入を行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の原発性小人症や成長障害との鑑別
・難聴のスクリーニングと早期介入
・膝蓋骨異常に対する整形外科的管理
・呼吸器系問題の早期発見と管理
・哺乳・摂食困難への適切な対応
・成長ホルモン治療の適応評価(効果は限定的ですが)
・思春期発達の評価と必要に応じたホルモン補充療法
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、ほとんどの場合は常染色体劣性遺伝のため、両親は保因者であり、同胞(兄弟姉妹)が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。常染色体優性遺伝のGMNN遺伝子変異の場合は、多くが新生突然変異であり、同胞の再発リスクは低いですが、患者さん自身の子どもが発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
詳しくはこちら
CDC45, CDC6, CDT1, GMNN, ORC1, ORC4, ORC6 ( 7遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・CDC45遺伝子(Meier-Gorlin症候群7型):
22番染色体(22q11)に位置し、細胞分裂周期45(cell division cycle 45)をコードする遺伝子。DNA複製開始に必須のタンパク質で、MCM2-7ヘリカーゼ複合体の活性化に関与します。常染色体劣性遺伝形式で、頭蓋骨縫合早期癒合症を伴うことが特徴的です。
・CDC6遺伝子(Meier-Gorlin症候群5型):
17番染色体(17q21)に位置し、細胞分裂周期6(cell division cycle 6)タンパク質をコードする遺伝子。DNA複製ライセンシングに不可欠で、複製起点へのMCMタンパク質の結合を促進します。常染色体劣性遺伝形式をとります。
・CDT1遺伝子(Meier-Gorlin症候群4型):
16番染色体(16q24)に位置し、DNA複製ライセンシング因子CDT1(chromatin licensing and DNA replication factor 1)をコードする遺伝子。複製起点へのMCM2-7複合体のロードに必須です。常染色体劣性遺伝形式で、イントロン変異による報告もあります。
・GMNN遺伝子(Meier-Gorlin症候群6型):
6番染色体(6p22)に位置し、DNA複製抑制因子であるジェミニン(geminin)をコードする遺伝子。CDT1の活性を抑制することでDNA再複製を防ぎます。新生突然変異による常染色体優性遺伝形式をとることが特徴的で、遺伝子の5’末端(エキソン2)の変異が報告されています。
・ORC1遺伝子(Meier-Gorlin症候群1型):
1番染色体に位置し、複製起点認識複合体(origin recognition complex)の最大サブユニット(ORC1)をコードする遺伝子。DNA複製起点の認識と結合に関与し、複製前複合体の形成を開始します。常染色体劣性遺伝形式で、小頭性原発性小人症の表現型を呈します。
・ORC4遺伝子(Meier-Gorlin症候群2型):
2番染色体(2q23)に位置し、複製起点認識複合体のサブユニット4(ORC4)をコードする遺伝子。ORC複合体の構成要素として、DNA複製起点の認識に関与します。常染色体劣性遺伝形式をとり、最も頻度の高い原因遺伝子の一つです。
・ORC6遺伝子(Meier-Gorlin症候群3型):
16番染色体(16q11)に位置し、複製起点認識複合体のサブユニット6(ORC6)をコードする遺伝子。ORC複合体の最小サブユニットで、DNA複製起点の認識と複製前複合体の形成に関与します。常染色体劣性遺伝形式をとります。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能 です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
詳しくはこちら
すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、7つの原因遺伝子のみを対象としています。約25%のMeier-Gorlin症候群症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床診断は、三主徴(小耳症、膝蓋骨異常、出生前後の成長制限)のうち少なくとも2つの所見に基づいて行われます。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
小耳症(両側性に耳が小さい)、膝蓋骨の低形成または無形成、出生前後からの低身長のうち、少なくとも2つの症状がある方におすすめします。また、小頭症があるが知能は正常範囲の方、特徴的な顔貌(小さな口、ふっくらした唇、後退した顎)がある方、乳児期に哺乳困難があった方も検査をご検討ください。家族に同様の症状がある場合も重要な情報です。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
原発性小人症とは何ですか?
原発性小人症(primordial dwarfism)とは、胎児期から出生後も継続して成長が著しく制限される疾患群の総称です。Meier-Gorlin症候群はその中の一つの病型で、均整のとれた低身長を特徴とします。骨格異常による低身長や内分泌異常による低身長とは異なり、DNA複製の異常によって全身的な成長が制限されます。
知能発達への影響はありますか?
小頭症を伴うにもかかわらず、ほとんどの患者さんの知能は正常範囲内です。ただし、重度の難聴がある場合には、神経運動発達や知的発達が遅れることがあります。早期に難聴をスクリーニングし、適切な介入を行うことが重要です。
家族も検査を受ける必要がありますか?
ほとんどの場合、常染色体劣性遺伝のため、両親は保因者です。同胞(兄弟姉妹)が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。GMNN遺伝子変異の場合は常染色体優性遺伝で、多くが新生突然変異ですが、患者さん自身の子どもが発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
約25%のMeier-Gorlin症候群症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状(小耳症、膝蓋骨異常、出生前後の成長制限のうち少なくとも2つ)に基づいた診断は可能です。新しい原因遺伝子の発見も続いているため、将来的に再検査が有用な場合もあります。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
常染色体劣性遺伝の場合、保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。常染色体優性遺伝のGMNN遺伝子変異の場合、患者さんの子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
Meier-Gorlin症候群の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、症状に応じた対症療法が行われます。難聴には補聴器、膝蓋骨異常には整形外科的管理、哺乳困難には栄養サポート、呼吸器問題には呼吸管理などが行われます。成長ホルモン治療は一部の症例で効果が報告されていますが、多くの患者さんでは効果が限定的です。
予後はどうですか?
適切な医学的管理により、多くの患者さんは正常な寿命を全うできます。知能は通常正常範囲内のため、教育やキャリアの機会も一般の方と同様です。ただし、低身長、難聴、膝関節の問題などにより、日常生活で支援が必要になることがあります。定期的なフォローアップと多診療科による包括的なケアが重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な7つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得 して以来、のべ10万人以上 のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら