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マルファン症候群・胸部大動脈瘤解離遺伝子検査|ミネルバクリニック

マルファン症候群・胸部大動脈瘤解離遺伝子検査|ミネルバクリニック

マルファン症候群・胸部大動脈瘤解離とは

胸部大動脈瘤・解離(TAAD)は、胸部大動脈が異常に拡張(瘤)したり、血管壁が裂ける(解離)重篤な心血管合併症で、生命に関わる出血を引き起こす可能性があります。マルファン症候群は、TAADのリスクを高める一般的な遺伝的原因として知られる結合組織の遺伝性疾患です。

マルファン症候群の症状は、同じ家族内でも大きく異なることがあり、分子検査なしでは診断が困難な場合があります。典型的な症状には、腕・脚・指が異常に長い、側弯症、高身長で細身の体型、高度近視や水晶体脱臼などの眼科的所見、胸郭変形(漏斗胸・鳩胸)などがあります。

本検査パネルには、マルファン症候群に加えて、孤発性胸部大動脈瘤・解離に関連する遺伝子、大動脈拡張やTAADを伴うその他の多臓器疾患、マルファン様体型やその他の結合組織所見を示す疾患の遺伝子が含まれています。

症状と合併症

TAADの警告症状には、顎・首・胸・背中の痛み、腕・首・頭部の腫れ、嚥下困難や呼吸困難、血痰を伴うまたは伴わない慢性咳嗽などがあります。これらの症状がある場合は、緊急医療が必要になることがあります。

マルファン症候群では、以下のような症状が現れることがあります:

  • 骨格系:異常に長い腕・脚・指、高身長で細身の体型、側弯症、胸郭変形
  • 心血管系:大動脈拡張、僧帽弁逸脱、大動脈弁逆流
  • 眼:高度近視、水晶体脱臼(ectopia lentis)
  • 皮膚・結合組織:皮膚線条、関節過可動性
  • 肺:自然気胸

マルファン症候群やTAADと診断された患者さんは、監視体制の強化と予防的措置により、リスクをより適切に管理することができます。医学的介入には、根治的・予防的手術、生活習慣の改善、βブロッカーや降圧薬などの薬物療法が含まれます。

ミネルバクリニックのマルファン症候群・胸部大動脈瘤解離遺伝子パネル検査の特徴

「マルファン症候群・胸部大動脈瘤解離遺伝子パネル検査」とは、現在マルファン症候群やTAADに関係があると報告されている39の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、マルファン症候群やTAADに関連する遺伝子を一度に調べられる「マルファン症候群・胸部大動脈瘤解離遺伝子パネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でマルファン症候群やTAADの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、検体を海外の機関で検査しますので、マルファン症候群やTAADに関係するとされる39の遺伝子を一度に調べられる「マルファン症候群・胸部大動脈瘤解離遺伝子パネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
検体の提出先はアメリカの臨床検査機関です。アメリカは日本と異なりCLIA認証を必ず受け、精度管理が厳しく行われています。我が国はこのあたりの法整備が遅れています。

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるマルファン症候群やTAADの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「マルファン症候群・胸部大動脈瘤解離遺伝子パネル検査」の場合、マルファン症候群やTAADに関係する39の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

家族歴や症状から特定のマルファン症候群やTAADを疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「マルファン症候群・胸部大動脈瘤解離遺伝子パネル検査」ならば、現在マルファン症候群やTAADに関係すると報告されている39の遺伝子を網羅的に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「マルファン症候群・胸部大動脈瘤解離遺伝子パネル検査」では、マルファン症候群や胸部大動脈瘤解離に関係するとされる39種類の遺伝子をまとめて検査します。このパネルには、マルファン症候群、孤発性胸部大動脈瘤・解離、大動脈拡張やTAADを伴うその他の多臓器疾患、マルファン様体型やその他の結合組織所見を示す疾患の遺伝子が含まれています。

「マルファン症候群・胸部大動脈瘤解離遺伝子パネル検査」は、マルファン症候群やTAADの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を最大限に高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【マルファン症候群またはTAADの症状がある方や家族歴のある方】に
「マルファン症候群・胸部大動脈瘤解離遺伝子パネル検査」を受けることを強くおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・マルファン症候群の診断を受けた方または疑いのある方
・胸部大動脈瘤・解離の診断を受けた方
・マルファン症候群やTAADの家族歴がある方
・マルファン様体型を示す方
・結合組織疾患が疑われる方
・将来子どもを持つことを考えている方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、マルファン症候群やTAADの診断確定や、追加の関連症状のリスクの特定に役立ちます。また、食事や運動を含むライフスタイルの改善、より個別化された治療と症状管理、家族の危険因子に関する情報提供、関連リソースとサポートへの接続が可能になります。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・関連する追加症状のリスクの特定
・食事や運動を含むライフスタイルの変更支援
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・関連リソースとサポートへの接続
・家族計画のためのオプション提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクも50%と高くなります。家族を検査することで、そのリスクを明らかにすることも可能です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABL1, ACTA2, ADAMTS10, ADAMTS17, BGN, CBS, COL1A1, COL3A1, COL5A1, COL5A2, EFEMP2, ELN, FBN1, FBN2, FLNA, FOXE3, HCN4, IPO8, LOX, LTBP3, MAT2A, MED12, MFAP5, MYH11, MYLK, NOTCH1, PLOD1, PRKG1, SKI, SLC2A10, SMAD2, SMAD3, SMAD4, SMAD6, TAB2, TGFB2, TGFB3, TGFBR1, TGFBR2 ( 39遺伝子 )

カバレッジ

カバレッジについての説明は別ページをご覧ください。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜ぬぐい液の場合は、遠方の方でもクリニックへお越しにならずに検査が可能です。(オンライン診療)
 その場合は、遠隔診療(ビデオスルーでの診療のことをいいます)で遺伝カウンセリングをしたのち、検体を当院にお送りいただく流れとなります。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
顎・首・胸・背中の痛み、腕・首・頭部の腫れ、嚥下困難や呼吸困難、慢性咳嗽などのTAAD症状、または異常に長い腕・脚・指、高身長で細身の体型、側弯症、胸郭変形、高度近視、水晶体脱臼などのマルファン症候群症状がある方におすすめします。症状がなくても家族歴がある場合は検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
患者さんで病原性変異が見つかった場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクは50%になります。ご家族の検査により、そのリスクを明らかにすることが可能です。特に将来子どもを持つ予定のある方は検査をご検討ください。
マルファン症候群とTAADの関係は何ですか?
マルファン症候群は結合組織の遺伝性疾患で、胸部大動脈瘤・解離(TAAD)のリスクを高める一般的な遺伝的原因です。マルファン症候群の患者さんは心血管系の合併症として大動脈拡張や解離を起こすリスクが高いため、定期的な監視が必要です。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、症状がある場合は他の原因が考えられます。主治医と相談して、引き続き適切な経過観察や治療を受けることが重要です。また、現在知られていない遺伝子の変異が原因の可能性もあります。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、家族計画への影響、必要な医学的管理などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
マルファン症候群やTAADは50%の確率で親から子に受け継がれる可能性があります。検査結果により、出生前診断や受胎前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
大動脈解離は緊急事態ですか?
はい、大動脈解離は生命に関わる緊急事態です。突然の激しい胸痛や背部痛、意識障害などの症状がある場合は、直ちに救急医療機関を受診してください。遺伝的リスクが判明している方は、これらの症状に特に注意が必要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では39遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。また、アメリカのCLIA認証機関での検査により、高い精度を保証しています。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら