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男性不妊症遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック

男性不妊症遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック

男性不妊症とは

不妊症とは、通常の性生活を営んでいるにもかかわらず、1年以上にわたって妊娠に至らない状態を指します。不妊症に悩むカップルは約10~15%存在し、このうち約20~30%は男性側に原因があり、さらに約20~30%は男性・女性双方に原因がある複合因子によるものとされています。

男性不妊症の主な原因は造精機能障害(精子を作る機能の障害)であり、男性不妊症全体の約83%を占めます。造精機能障害には、精液中に精子がまったく認められない無精子症、精子の数が少ない乏精子症、精子の運動能力が低下している精子無力症などが含まれます。

不妊症の原因の半数以上は遺伝的要因によるものと考えられています。遺伝的異常は、染色体の数的・構造的異常と、特定の単一遺伝子の異常に大別されます。ミネルバクリニックの男性不妊症遺伝子パネル検査は、単一遺伝子の病的変異を検出することに特化した検査です。

症状と病態

男性不妊症は主に造精機能の障害により引き起こされます。精子形成の異常、精子運動能の低下、精子の構造的欠陥などが主な病態です。これらの異常は、性腺機能低下症、造精機能障害、原発性線毛運動不全症、嚢胞性線維症、バルデー・ビードル症候群などの症候群性疾患に関連する遺伝子の病的変異によって引き起こされることがあります。

主要な病態

  • 造精機能障害:精子形成の過程に異常をきたし、精子の数や質が低下します。非症候群性の男性不妊症の原因遺伝子としては、SPAG17、SPINK2、SPATA16、SPEF2などが知られています。
  • 無精子症:精液中に精子がまったく認められない状態です。閉塞性無精子症(精子の通り道が閉塞)と非閉塞性無精子症(精子形成自体の障害)に分類されます。日本人男性の約100人に1人が無精子症とされています。
  • 性腺機能低下症:性腺刺激ホルモンの分泌低下により、精子形成が障害されます。低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の原因遺伝子には、ANOS1、FGFR1、GNRHR、KISS1Rなどがあります。
  • 原発性線毛運動不全症(PCD):線毛の構造・機能異常により精子の運動能が低下します。DNAH1、DNAI1などの遺伝子変異が原因となります。慢性副鼻腔炎や気管支拡張症などの呼吸器症状を伴うことがあります。
  • 嚢胞性線維症(CF):CFTR遺伝子の変異により、精管の形成不全(精管欠損)や精子輸送障害を引き起こします。男性不妊の原因となるだけでなく、呼吸器系や消化器系にも影響を及ぼすことがあります。

症候群性男性不妊症

一部の遺伝性疾患では、男性不妊症が主要症状の一つとして現れます:

  • バルデー・ビードル症候群:肥満、知的障害、網膜色素変性症、腎障害、性腺機能低下症、多指症を特徴とする常染色体劣性遺伝性疾患です。BBS1~BBS15などの遺伝子変異が原因となります。
  • ワールデンブルグ症候群:難聴、色素異常(虹彩異色症、白髪など)を特徴とし、一部の型で性腺機能低下症を伴うことがあります。SOX10遺伝子などの変異が関与します。

精子形成の過程と遺伝子の役割

正常な精子形成には、多くの遺伝子が協調して働く必要があります。精祖細胞から成熟精子に至るまでの減数分裂、精子の形態形成、精子の運動能獲得など、各段階で特異的な遺伝子が機能しています。これらの遺伝子のいずれかに病的変異があると、精子形成の異常や精子機能の障害が生じ、男性不妊症の原因となります。

遺伝形式と原因遺伝子

男性不妊症の遺伝的原因は非常に多様で、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝、Y連鎖遺伝のすべての遺伝形式が報告されています。現在までに多数の原因遺伝子が同定されていますが、遺伝的原因が不明な症例も多く存在します。

主要な原因遺伝子カテゴリー

性腺機能低下症関連遺伝子

視床下部-下垂体-性腺系のホルモン分泌や作用に関与する遺伝子群です:

  • ANOS1、FGFR1、FGF8、FGF17:性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンの移動や機能に関与します。
  • GNRH1、GNRHR:GnRHおよびその受容体をコードし、性腺刺激ホルモン分泌を制御します。
  • KISS1、KISS1R:思春期の開始とGnRH分泌の制御に重要な役割を果たします。
  • LHB、FSHB、LHCGR、FSHR:性腺刺激ホルモンおよびその受容体をコードします。

精子形成関連遺伝子

精子の形成過程に直接関与する遺伝子群です:

  • SYCP3、SYCE1、SYCP2:減数分裂時の染色体対合に必要なシナプトネマ複合体の構成タンパク質をコードします。
  • TEX11、TEX14、TEX15:精子形成に必須の遺伝子群です。
  • MEIOB:減数分裂時のDNA修復に関与します。
  • PIWIL1、TDRD9、PNLDC1:生殖細胞におけるトランスポゾン抑制に関与します。

精子構造・機能関連遺伝子

精子の構造形成や運動能に関与する遺伝子群です:

  • DPY19L2:精子の先体形成に関与し、変異により球状精子症(精子頭部が円形になる異常)を引き起こします。
  • SPAG17、SPEF2:精子鞭毛の構造形成に関与します。
  • DNAH1、DNAH2、DNAI1:鞭毛の運動装置であるダイニンアームの構成タンパク質をコードします。
  • SUN5:精子の頭部と尾部の連結に関与します。
  • PLCZ1:受精時の卵子活性化に必要な酵素をコードします。

ホルモン合成・代謝関連遺伝子

性ホルモンの合成や代謝に関与する遺伝子群です:

  • CYP11A1、CYP17A1、CYP19A1、CYP21A2:ステロイドホルモン合成酵素をコードします。
  • HSD17B3、SRD5A2:テストステロンおよびジヒドロテストステロンの合成に関与します。
  • AR:アンドロゲン受容体をコードし、男性ホルモンの作用に必須です。

性分化関連遺伝子

性分化の過程に関与する遺伝子群です:

  • SRY:Y染色体上に存在し、精巣決定因子として機能します。
  • SOX9、NR5A1、WT1、DHH:精巣分化に重要な転写因子をコードします。
  • AMH、AMHR2:抗ミュラー管ホルモンおよびその受容体をコードします。

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子を含む146遺伝子を対象としています。これにより、男性不妊症の主要な遺伝的原因を包括的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックの男性不妊症遺伝子パネル検査の特徴

「男性不妊症 NGSパネル検査」とは、現在男性不妊症の原因として報告されている146の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、男性不妊症に関連する146遺伝子を一度に調べられる「男性不妊症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で男性不妊症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、男性不妊症に関係するとされる146の遺伝子を一度に調べられる「男性不妊症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える男性不妊症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「男性不妊症 NGSパネル検査」の場合、146の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から男性不妊症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「男性不妊症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な146の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「男性不妊症 NGSパネル検査」では、男性不妊症に関係するとされる146種類の遺伝子をまとめて検査します。これらの遺伝子には、性腺機能低下症、造精機能障害、精子構造・機能異常、原発性線毛運動不全症、嚢胞性線維症、バルデー・ビードル症候群などの原因遺伝子が含まれます。

「男性不妊症 NGSパネル検査」は、男性不妊症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【男性不妊症の個人歴または家族歴のある方】に
「男性不妊症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・原因不明の不妊症と診断された方
・無精子症または乏精子症の方
・精子運動障害(精子無力症)の方
・精子形態異常(奇形精子症、球状精子症など)の方
・低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の方
・二次性徴の遅延または欠如がある方
・精管欠損・精巣低形成などの生殖器形成異常のある方
・原発性線毛運動不全症の症状(慢性副鼻腔炎、気管支拡張症など)を伴う不妊症の方
・嚢胞性線維症の方
・バルデー・ビードル症候群やワールデンブルグ症候群などの症候群性疾患の方
・男性不妊症の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、男性不妊症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な生殖補助医療、ホルモン補充療法、生活習慣の改善を行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・造精機能障害の原因の特定
・適切な治療法の選択(ホルモン療法、精巣内精子採取術など)
・生殖補助医療(体外受精、顕微授精)の適応判断
・精子ドナー、養子縁組などの家族計画オプションの検討
・低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の場合のホルモン補充療法の適応判断
・原発性線毛運動不全症や嚢胞性線維症などの合併症の早期発見と管理
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の保因者リスクや発症リスクが異なります。X連鎖遺伝の場合、保因者である母親の息子が発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、両親が保因者であれば子どもが発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ACTL9, ADGRG2, AKR1C4, AMH, AMHR2, ANOS1, AR, ARL6, ARMC2, ARX, AURKC, AXL, BBS1, BBS10, BBS12, BBS2, BBS4, BBS5, BBS7, BBS9, BRDT, C14orf39, CATSPER1, CBX2, CCDC141, CEP112, CEP290, CFAP43, CFAP44, CFAP58, CFAP65, CFAP69, CFAP70, CFTR, CHD7, CLPP, CYP11A1, CYP17A1, CYP19A1, CYP21A2, DHH, DMRT1, DNAH1, DNAH10, DNAH17, DNAH2, DNAH6, DNAH8, DNAI1, DPY19L2, DUSP6, DZIP1, FANCM, FEZF1, FGF17, FGF8, FGFR1, FLRT3, FSHB, FSHR, FSIP2, GALNTL5, GATA4, GNRH1, GNRHR, HESX1, HFE, HS6ST1, HSD17B3, HSF2, IL17RD, INSL3, KISS1, KISS1R, KLHL10, LARS2, LEP, LEPR, LHB, LHCGR, LHX3, LHX4, M1AP, MAATS1, MAGEB4, MAMLD1, MAP3K1, MEIOB, MKKS, MKS1, NANOS1, NPAS2, NR0B1, NR5A1, NSMF, PCSK1, PIWIL1, PLCZ1, PMFBP1, PNLDC1, POU1F1, PPP2R3C, PROK2, PROKR2, PROP1, QRICH2, RSPO1, SDCCAG8, SEMA3A, SEPT12, SLC26A8, SOHLH1, SOX10, SOX3, SOX9, SPAG17, SPATA16, SPEF2, SPINK2, SPRY4, SRA1, SRD5A2, SRY, SUN5, SYCE1, SYCP2, SYCP3, TAC3, TACR3, TAF4B, TDRD9, TEX11, TEX14, TEX15, TRIM32, TTC21A, TTC29, TTC8, TWNK, USP9Y, WDPCP, WDR11, WDR66, WNT4, WT1, ZMYND15 ( 146遺伝子 )

※SOX3遺伝子について:現在の検査方法では、この遺伝子の三塩基リピート伸長は評価していません。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、146の原因遺伝子のみを対象としています。染色体数的・構造的異常(クラインフェルター症候群、Y染色体微小欠失など)は検出できません。また、すべての男性不妊症症例で遺伝的原因が特定されるわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、不妊症の原因を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
1年以上の不妊期間がある方、無精子症・乏精子症と診断された方、精子運動障害や精子形態異常がある方、二次性徴の遅延がある方、精管欠損などの生殖器形成異常がある方におすすめします。また、家族に男性不妊症の方がいる場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
染色体検査との違いは何ですか?
染色体検査(核型分析)は、染色体の数や大きな構造異常(クラインフェルター症候群など)を調べる検査です。当検査は、個々の遺伝子の配列異常(病的変異)を調べる検査で、染色体検査では検出できない遺伝的原因を見つけることができます。両方の検査を組み合わせることで、より包括的な評価が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の保因者リスクや発症リスクが異なります。X連鎖遺伝の場合、保因者である母親から息子に遺伝する確率は50%です。常染色体劣性遺伝の場合、両親が保因者であれば子どもが発症する確率は25%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、不妊症の原因を完全に否定することはできません。染色体異常、Y染色体微小欠失、精索静脈瘤、内分泌異常、感染症など、他の原因が存在する可能性があります。主治医と相談しながら、他の検査や治療法を検討していくことが重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、生殖補助医療などの治療選択肢について、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。X連鎖遺伝の場合、息子が発症する確率は50%、娘が保因者となる確率は50%です。常染色体劣性遺伝の場合、パートナーも保因者であれば子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、精巣内精子採取術(TESE)、体外受精、顕微授精、精子ドナー、着床前診断など、適切な生殖補助医療の選択肢についてもご相談いただけます。
男性不妊症の治療はどのように行われますか?
原因によって治療法が異なります。低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の場合はホルモン補充療法が有効です。無精子症の場合、精巣内精子採取術(TESE/micro-TESE)により精子を回収し、顕微授精により妊娠を目指すことができます。精索静脈瘤がある場合は手術により精液所見の改善が期待できます。生活習慣の改善(禁煙、適度な運動、ストレス管理など)も重要です。
予後はどうですか?
原因によって予後は大きく異なります。低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の場合、ホルモン補充療法により約90%の患者さんで精子産生が可能になります。非閉塞性無精子症でも、精巣内精子採取術により20~50%程度で精子が回収でき、顕微授精により妊娠が可能となることがあります。遺伝的原因が判明することで、最適な治療法を選択し、妊娠の可能性を高めることができます。
パートナーも検査を受ける必要がありますか?
不妊症の約50%は女性側に原因があり、約20~30%は男女双方に原因があります。カップルで検査を受けることで、より包括的な評価が可能になり、最適な治療方針を立てることができます。当院では女性不妊症遺伝子パネル検査も提供しております。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な146の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら