大頭症・過成長症候群 NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック
大頭症・過成長症候群とは
大頭症・過成長症候群は、頭囲の過度な増大(大頭症)、身長や体重の過剰な成長(過成長)、またはその両方を特徴とする一群の遺伝性疾患です。これらの疾患では、成長が特定の部位に限局する場合もあれば、全身の複数の部位に影響を及ぼす場合もあります。過成長は対称性または非対称性のパターンを示すことがあります。
これらの症候群では、成長の異常に加えて、発達遅滞、知的障害、けいれん発作、行動異常、特徴的な顔貌などの多様な症状を伴うことが多く見られます。また、一部の疾患では多発奇形や悪性腫瘍のリスク増加を伴うことも特徴です。
大頭症・過成長症候群には多くの疾患が含まれますが、本検査パネルでは、臨床的に重要なソトス症候群、ゴーリン症候群(基底細胞母斑症候群)、PTEN過誤腫症候群、ウィーバー症候群、シンプソン・ゴラビ・ベーメル症候群などを対象とした47遺伝子を検査します。
主な疾患
ソトス症候群
ソトス症候群は、NSD1遺伝子の機能異常により、大頭症、過成長、骨年齢促進、発達の遅れ、けいれん、心疾患、尿路異常、側弯などを呈する先天異常症候群です。特徴的な顔貌(突出した広い前額と長頭型の頭、眼瞼裂斜下、頰の紅潮、細長い顔)、学習障害、過成長の3項目が基本的な特徴とされています。指定難病として認定されており、日本では約2,500人の患者さんがいると推定されています。
ゴーリン症候群(基底細胞母斑症候群)
ゴーリン症候群は、PTCH1遺伝子の変異により、発達上の奇形と遺伝性高発癌性を併せ持つ神経皮膚症候群です。基底細胞癌の多発、顎骨嚢胞、手掌・足底皮膚小陥凹、大脳鎌石灰化、二分肋骨ないし癒合肋骨、椎骨異常などの特徴があります。また、髄芽腫、卵巣腫瘍のリスクが高くなります。有病率は約1/57,000と推定されています。
PTEN過誤腫症候群
PTEN過誤腫症候群には、カウデン症候群(Cowden症候群)、Bannayan-Riley-Ruvalcaba症候群、PTEN関連Proteus症候群、Proteus様症候群が含まれます。PTEN遺伝子の生殖細胞系列病的変異が原因で、多発過誤腫、大頭症、皮膚粘膜病変を特徴とし、乳癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、腎癌などの悪性腫瘍のリスクが高くなります。カウデン症候群では乳癌の生涯リスクが85%、甲状腺癌が約35%、腎細胞癌が34%、子宮内膜癌が28%と報告されています。
ウィーバー症候群
ウィーバー症候群は、EZH2遺伝子の異常により、出生前からの過成長、特徴的な顔貌(平坦な後頭、眼裂斜下、大きな耳、長い鼻中)、骨年齢促進、軽度~中等度の発達の遅れを呈する症候群です。ほかに、大頭症、粗く低い泣き声、小顎症、臍帯ヘルニア、指・四肢関節伸展・拘縮、余剰皮膚、細く粗な毛髪などの症状を伴います。常染色体優性遺伝様式ですが、ほとんどが孤発例です。
シンプソン・ゴラビ・ベーメル症候群
シンプソン・ゴラビ・ベーメル症候群(SGBS)は、GPC3遺伝子の変異により、出生前からの過成長と特異顔貌、多発奇形を主徴とする疾患です。多発奇形には、多指、爪の低形成、口蓋裂、心奇形、副乳、鼠径ヘルニアなどが含まれます。知能は一般に正常ですが、Wilms腫瘍、肝芽腫などの胎児性腫瘍の発生リスクが高いことが特徴です。X連鎖遺伝形式をとり、主に男性に発症します。
症状と特徴
大頭症・過成長症候群に共通する主要症状には以下のようなものがあります:
成長異常
- 大頭症(頭囲が平均より2SD以上大きい)
- 出生前または出生後の過成長(身長や体重が平均より著しく大きい)
- 骨年齢の亢進
- 局所的または全身的な非対称性成長
- 臓器肥大(肝脾腫など)
神経発達の問題
- 発達遅滞(運動発達、言語発達の遅れ)
- 知的障害(軽度から重度まで程度は様々)
- 学習障害
- 行動障害(自閉症スペクトラム障害など)
- けいれん発作(てんかん)
- 筋緊張低下または筋緊張亢進
顔貌と身体的特徴
- 特徴的な顔貌(疾患により異なる)
- 眼間開離(目と目の間が広い)
- 口蓋裂または高口蓋
- 巨舌症(舌が大きい)
- 手足の異常(多指症、巨指症など)
- 関節の過可動性または拘縮
- 側弯症や他の骨格異常
内臓の異常
- 先天性心疾患
- 腎・尿路異常
- 消化器系の異常(臍帯ヘルニア、鼠径ヘルニアなど)
- 呼吸器系の問題
悪性腫瘍のリスク
一部の大頭症・過成長症候群では、悪性腫瘍のリスクが著しく高くなることが知られています:
- ゴーリン症候群:基底細胞癌、髄芽腫
- PTEN過誤腫症候群:乳癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、腎癌、大腸癌
- シンプソン・ゴラビ・ベーメル症候群:Wilms腫瘍、肝芽腫、神経芽腫
ミネルバクリニックの大頭症・過成長症候群遺伝子パネル検査の特徴
「大頭症・過成長症候群 NGSパネル検査」とは、現在大頭症・過成長症候群の原因として報告されている47の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、大頭症・過成長症候群に関連する47遺伝子を一度に調べられる「大頭症・過成長症候群 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で大頭症・過成長症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、大頭症・過成長症候群に関係するとされる47の遺伝子を一度に調べられる「大頭症・過成長症候群 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える大頭症・過成長症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「大頭症・過成長症候群 NGSパネル検査」の場合、47の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から大頭症・過成長症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「大頭症・過成長症候群 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な47の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「大頭症・過成長症候群 NGSパネル検査」では、大頭症・過成長症候群に関係するとされる47種類の遺伝子(AKT1、AKT3、ASPA、ASXL2、BRWD3、CCND2、CDKN1C、CHD8、CUL4B、DHCR24、DIS3L2、DNMT3A、EED、EIF2B5、EZH2、GFAP、GLI3、GPC3、GPSM2、GRIA3、H19、HEPACAM、HERC1、HUWE1、KIF7、KRAS、L1CAM、MED12、MLC1、MPDZ、MTOR、NFIX、NSD1、OFD1、PIGA、PIK3CA、PIK3R2、PTCH1、PTEN、RAB39B、RNF125、RNF135、SYN1、TBC1D7、TSC1、TSC2、UPF3B)をまとめて検査します。
「大頭症・過成長症候群 NGSパネル検査」は、大頭症・過成長症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【大頭症・過成長症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「大頭症・過成長症候群 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・大頭症(頭囲が平均より2SD以上大きい)がある方
・出生前または出生後の過成長がある方
・骨年齢の亢進がある方
・発達遅滞または知的障害がある方
・特徴的な顔貌がある方
・多発奇形がある方
・けいれん発作(てんかん)がある方
・行動異常や自閉症スペクトラム障害がある方
・悪性腫瘍のリスクが高い疾患が疑われる方
・ソトス症候群、ゴーリン症候群、PTEN過誤腫症候群、ウィーバー症候群、シンプソン・ゴラビ・ベーメル症候群などの臨床診断がついている方
・大頭症・過成長症候群の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、大頭症・過成長症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。特に悪性腫瘍のリスクが高い疾患では、早期発見のための適切なサーベイランスを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・悪性腫瘍のリスク評価と適切なサーベイランス計画の立案
・合併症の早期発見と管理
・発達支援や療育の適切な計画立案
・てんかんなどの合併症に対する適切な治療
・心疾患、腎・尿路異常などの合併症のスクリーニング
・疾患特異的な管理指針の提供
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%、X連鎖遺伝の場合は遺伝形式に応じたリスクとなります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
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AKT1, AKT3, ASPA, ASXL2, BRWD3, CCND2, CDKN1C, CHD8, CUL4B, DHCR24, DIS3L2, DNMT3A, EED, EIF2B5, EZH2, GFAP, GLI3, GPC3, GPSM2, GRIA3, H19, HEPACAM, HERC1, HUWE1, KIF7, KRAS, L1CAM, MED12, MLC1, MPDZ, MTOR, NFIX, NSD1, OFD1, PIGA, PIK3CA, PIK3R2, PTCH1, PTEN, RAB39B, RNF125, RNF135, SYN1, TBC1D7, TSC1, TSC2, UPF3B ( 47遺伝子 )
主要遺伝子の詳細:
・NSD1遺伝子:
ソトス症候群の原因遺伝子。ヒストンメチル化に関与するタンパク質をコードします。日本人では染色体微細欠失型が約50%を占め、遺伝子内変異型が約10%です。大頭症、過成長、骨年齢促進、発達の遅れ、特徴的顔貌を特徴とします。
・PTCH1遺伝子:
ゴーリン症候群(基底細胞母斑症候群)の原因遺伝子。がん抑制遺伝子で、Sonic Hedgehogシグナル伝達経路に関与します。基底細胞癌の多発、顎骨嚢胞、手掌・足底皮膚小陥凹、大脳鎌石灰化、骨格異常を特徴とします。
・PTEN遺伝子:
PTEN過誤腫症候群(カウデン症候群、Bannayan-Riley-Ruvalcaba症候群など)の原因遺伝子。がん抑制遺伝子で、PI3K/AKT/mTORシグナル伝達経路を負に制御します。多発過誤腫、大頭症、乳癌・甲状腺癌・子宮内膜癌・腎癌などの悪性腫瘍リスク増加を特徴とします。
・EZH2遺伝子:
ウィーバー症候群の原因遺伝子。ヒストンメチルトランスフェラーゼをコードし、PRC2複合体の触媒成分です。出生前からの過成長、特徴的顔貌、骨年齢促進、軽度~中等度の発達の遅れを特徴とします。
・GPC3遺伝子:
シンプソン・ゴラビ・ベーメル症候群1型の原因遺伝子。グリピカン3(ヘパラン硫酸プロテオグリカン)をコードし、細胞増殖と分裂の制御に関与します。X連鎖遺伝形式で、出生前からの過成長、特異顔貌、多発奇形、Wilms腫瘍・肝芽腫のリスク増加を特徴とします。
・PIK3CA遺伝子:
PIK3CA関連分節性過成長症候群の原因遺伝子。ホスファチジルイノシトール3-キナーゼの触媒サブユニットαをコードします。病的変異の大半が体細胞モザイクで生じるため、検出には複数組織の検査が必要な場合があります。局所的過成長、脂肪組織の異常、血管奇形などを特徴とします。
・NFIX遺伝子:
ソトス様症候群(ソトス症候群2型)の原因遺伝子。核因子I/Xをコードし、転写調節に関与します。NSD1変異陰性のソトス症候群様症状を呈する患者で同定されています。
・TSC1、TSC2遺伝子:
結節性硬化症の原因遺伝子。mTORシグナル伝達経路の負の制御因子をコードします。大頭症、てんかん、知的障害、皮膚病変、多臓器の過誤腫、腎血管筋脂肪腫などを特徴とします。
・MTOR遺伝子:
mTOR関連大頭症症候群の原因遺伝子。機能獲得型変異により、大頭症、発達遅滞、てんかんなどを引き起こします。
・AKT1、AKT3遺伝子:
Proteus症候群、Proteus様症候群、大頭症症候群の原因遺伝子。PI3K/AKT/mTORシグナル伝達経路の構成要素をコードします。
・CHD8遺伝子:
自閉症スペクトラム障害と大頭症の原因遺伝子。クロマチンリモデリング因子をコードし、遺伝子発現の調節に関与します。
その他の遺伝子:
ASPA、ASXL2、BRWD3、CCND2、CDKN1C、CUL4B、DHCR24、DIS3L2、DNMT3A、EED、EIF2B5、GFAP、GLI3、GPSM2、GRIA3、H19、HEPACAM、HERC1、HUWE1、KIF7、KRAS、L1CAM、MED12、MLC1、MPDZ、OFD1、PIGA、PIK3R2、RAB39B、RNF125、RNF135、SYN1、TBC1D7、UPF3Bなど、大頭症・過成長症候群に関連する多様な遺伝子が含まれています。
PIK3CA遺伝子に関する注意事項
PIK3CA病的変異の大半は受精後に生じる体細胞モザイクであるため、複数の組織を検査する必要がある場合があります。PIK3CA病的変異が検出されなくても、特徴的な臨床所見を有する患者では、PIK3CA関連分節性過成長症候群の臨床診断を除外できません。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※PIK3CA病的変異の大半は体細胞モザイクで生じるため、検出には複数組織の検査が必要な場合があります。この検査でPIK3CA病的変異が検出されなくても、特徴的な臨床所見を有する患者では、PIK3CA関連分節性過成長症候群の臨床診断を除外できません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 大頭症(頭囲が平均より2SD以上大きい)、出生前または出生後の過成長、骨年齢の亢進、発達遅滞、知的障害、特徴的顔貌、多発奇形などがある方におすすめします。また、ソトス症候群、ゴーリン症候群、PTEN過誤腫症候群、ウィーバー症候群、シンプソン・ゴラビ・ベーメル症候群などの臨床診断がついている方、または家族に同様の症状がある場合も検査をご検討ください。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 悪性腫瘍のリスクがある疾患はどれですか?
- ゴーリン症候群では基底細胞癌や髄芽腫のリスクが高く、PTEN過誤腫症候群では乳癌(生涯リスク85%)、甲状腺癌(約35%)、子宮内膜癌(28%)、腎癌(34%)のリスクが高くなります。シンプソン・ゴラビ・ベーメル症候群では約10%にWilms腫瘍や神経芽腫が発生します。遺伝子検査により原因が特定されれば、適切なサーベイランスを行うことができます。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合(ソトス症候群、ゴーリン症候群、ウィーバー症候群など)、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。X連鎖遺伝の場合(シンプソン・ゴラビ・ベーメル症候群)は性別により異なります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- この検査パネルでは47の原因遺伝子を対象としていますが、大頭症・過成長症候群には他にも原因遺伝子が存在する可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、悪性腫瘍のサーベイランス、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、X連鎖遺伝の場合は性別により異なります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 大頭症・過成長症候群の治療はどのように行われますか?
- 疾患により異なりますが、一般的には対症療法が中心となります。発達支援や療育、てんかんに対する薬物療法、心疾患・腎疾患に対する治療、整形外科的治療などが行われます。悪性腫瘍のリスクが高い疾患では、定期的なサーベイランスが重要です。適切な管理により、多くの患者さんはより良い生活の質を維持できます。
- 予後はどうですか?
- 予後は疾患により大きく異なります。ソトス症候群やウィーバー症候群では、適切な支援により多くの方が自立した生活を送れます。ゴーリン症候群やPTEN過誤腫症候群では、悪性腫瘍のリスクがあるため定期的なサーベイランスが重要ですが、早期発見により適切な治療が可能です。シンプソン・ゴラビ・ベーメル症候群では、重症度が様々で、軽症例は正常な知能を持ち成人期まで生存します。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な47の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
- PIK3CAの体細胞モザイクについて教えてください
- PIK3CA病的変異の大半は、受精後に生じる体細胞モザイクです。そのため、血液検査だけでは変異が検出されない場合があり、影響を受けた組織(皮膚など)での検査が必要になることがあります。PIK3CA関連分節性過成長症候群が疑われる場合は、複数の組織を検査する必要があることをご理解ください。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
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