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ライソゾーム病NGS遺伝子パネル検査(106遺伝子)|ミネルバクリニック

ライソゾーム病NGS遺伝子パネル検査(106遺伝子)|ミネルバクリニック

ライソゾーム病とは

ライソゾーム病(リソソーム病、リソゾーム病とも呼ばれます)は、細胞内にある小器官の一つであるライソゾーム(lysosome)に関連した酵素が欠損・機能低下しているために、分解されるべき物質が老廃物として体内に蓄積してしまう先天性代謝異常疾患の総称です。

ライソゾームは、細胞の中で糖質や糖脂質、ムコ多糖などの分解を行っている小器官です。これには約60種類の加水分解酵素が関与していますが、酵素の欠損・異常によって、ライソゾームの分解機能が発揮されなくなり、本来分解されるべき物質が細胞内に蓄積する疾患がライソゾーム病です。

ライソゾーム病は2001年に「ライソゾーム病」という病名で特定疾患(指定難病19番)に指定されました。現在60種類以上の疾患が含まれ、有病率は新生児の約7,700人に1人と推定されています。国の社会保障制度で指定難病や小児慢性特定疾病(18歳未満)に指定され、医療費助成制度等の対象となっています。

症状と病態

ライソゾーム病の症状は非常に多様で、蓄積する物質の種類や原因となる酵素によって異なります。全身のさまざまな臓器・組織に症状が現れる可能性があり、骨、脳、神経、心臓、肝臓、腎臓、眼、皮膚など広範囲に影響を及ぼします。

主要症状

  • 肝臓・脾臓の腫大(お腹が腫れる)
  • 骨変形・骨折しやすさ
  • 中枢神経障害(けいれん、知能障害、発達の遅れ)
  • 運動機能障害(歩行困難、手足の動きにくさ)
  • 眼障害(角膜混濁、視力低下)
  • 腎障害(腎不全)
  • 心不全・心筋肥大
  • 呼吸障害
  • 貧血
  • 皮膚症状(皮疹、被角血管腫)

発症時期と進行

ライソゾーム病は、どの遺伝子に異常があり、どの酵素が足りないかによって、症状の現れる時期、進行速度、重症度に大きな違いが生じます。

  • 乳児期発症型:出生直後から乳児期に発症し、急速に進行する重症型
  • 小児期発症型:幼児期から学童期に発症し、徐々に症状が進行する
  • 成人期発症型:成人になってから発症し、比較的緩徐に進行する

多くの場合、神経系に症状が現れると、以前できていた動作(おすわり、歩く、しゃべるなど)ができなくなったり、けいれんや発達の遅れがみられたりします。また、骨が変形したり関節が硬くなったりして、日常の動作が難しくなる場合があります。

感覚障害について

心臓や肝臓、腎臓、脾臓などに影響すると、これらの臓器が大きく腫れたり、心不全や腎不全のような症状(息苦しさや全身のむくみ、疲れやすさなど)が現れたりして重症化することがあります。

主要なライソゾーム病

ライソゾーム病は、どの酵素が欠けているかによって異なる病名がつけられており、40~60種類以上の疾患が知られています。比較的患者数が多いとされる主要な疾患を以下に示します。

ゴーシェ病(Gaucher Disease)

グルコセレブロシダーゼという酵素がうまく働かないことで、グルコセレブロシドという物質が肝臓や脾臓、骨髄などに蓄積する病気です。お腹が腫れる、骨折しやすい、貧血などの症状が見られます。日本人では、けいれんや発達の遅れなどの神経症状のあるタイプが多くみられます。原因遺伝子はGBA遺伝子です。

ファブリー病(Fabry Disease)

α-ガラクトシダーゼという酵素の欠損により、グロボトリアオシルセラミドという物質が全身の血管内皮細胞などに蓄積します。手足の痛み、被角血管腫、角膜混濁、腎不全、心筋症、脳血管障害などが主な症状です。X連鎖遺伝形式をとり、GLA遺伝子が原因となります。

ポンペ病(Pompe Disease)

酸性α-グルコシダーゼという酵素の欠損により、グリコーゲンが蓄積します。骨格を支える筋肉や呼吸に必要な筋肉の力が弱くなる病気で、心臓の動きが悪くなる、呼吸がしにくいなどの症状が出ます。GAA遺伝子が原因です。

ムコ多糖症(Mucopolysaccharidoses: MPS)

ムコ多糖(グリコサミノグリカン)を分解する酵素の欠損により、これらの物質が蓄積します。複数の型(I型~IX型)があり、それぞれ異なる酵素欠損が原因です。骨格異常、粗な顔貌、角膜混濁、心臓弁膜症、肝脾腫などが特徴的です。

  • ムコ多糖症I型(ハーラー症候群など):IDUA遺伝子
  • ムコ多糖症II型(ハンター症候群):IDS遺伝子(X連鎖遺伝)
  • ムコ多糖症III型(サンフィリポ症候群):SGSH、NAGLU、HGSNAT、GNS遺伝子
  • ムコ多糖症IVA型(モルキオA症候群):GALNS遺伝子
  • ムコ多糖症VI型(マロトー・ラミー症候群):GUSB遺伝子

神経セロイドリポフスチン症(NCL)

進行性の神経変性疾患で、視力低下、てんかん、運動機能低下、認知機能低下などが特徴です。複数の型があり、CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、PPT1、TPP1などの遺伝子が原因となります。

ニーマンピック病(Niemann-Pick Disease)

スフィンゴミエリンやコレステロールの蓄積により、肝脾腫、肺障害、神経症状などが現れます。A型・B型はSMPD1遺伝子、C型はNPC1、NPC2遺伝子が原因です。

クラッベ病(Krabbe Disease)

ガラクトセレブロシダーゼの欠損により、中枢神経系の脱髄が進行します。易刺激性、発達の遅れ、筋緊張亢進、視神経萎縮などが特徴で、GALC遺伝子が原因です。

異染性白質ジストロフィー(Metachromatic Leukodystrophy: MLD)

アリールスルファターゼAの欠損により、中枢・末梢神経系の脱髄が進行します。運動機能低下、認知機能低下、末梢神経障害などが現れ、ARSA遺伝子が原因です。

遺伝形式と原因遺伝子

ライソゾーム病の多くは「常染色体劣性(潜性)遺伝」という形式で遺伝します。これは、両親が共に保因者である(遺伝子変異を持っているが発症していない)ときに、25%の確率で子どもに発症するものです。保因者には症状がないので、検査をしない限り遺伝子変異を持っているかどうかは分かりません。

常染色体劣性(潜性)遺伝形式

最も頻度の高い遺伝形式で、ライソゾーム病の大部分がこの形式をとります:

  • ゴーシェ病(GBA遺伝子)
  • ポンペ病(GAA遺伝子)
  • ムコ多糖症I型(IDUA遺伝子)
  • ムコ多糖症IVA型(GALNS遺伝子)
  • ニーマンピック病A型・B型(SMPD1遺伝子)
  • クラッベ病(GALC遺伝子)
  • 異染性白質ジストロフィー(ARSA遺伝子)

X連鎖遺伝形式

一部のライソゾーム病はX染色体上の遺伝子変異が原因で、男性に多く発症します:

  • ファブリー病(GLA遺伝子):男性は重症型、女性は軽症型から重症型まで様々
  • ムコ多糖症II型(IDS遺伝子):主に男性に発症

常染色体優性(顕性)遺伝形式

極めて稀ですが、一部の型では優性遺伝形式をとることもあります。

当検査パネルでは、これらの主要なライソゾーム病の原因となる106遺伝子を対象としています。これにより、ライソゾーム病の包括的なスクリーニングが可能です。

ミネルバクリニックのライソゾーム病遺伝子パネル検査の特徴

「ライソゾーム病 NGSパネル検査」とは、現在ライソゾーム病の原因として報告されている106の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、ライソゾーム病に関連する106遺伝子を一度に調べられる「ライソゾーム病 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でライソゾーム病の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、ライソゾーム病に関係するとされる106の遺伝子を一度に調べられる「ライソゾーム病 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるライソゾーム病の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「ライソゾーム病 NGSパネル検査」の場合、106の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からライソゾーム病を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「ライソゾーム病 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な106の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「ライソゾーム病 NGSパネル検査」では、ライソゾーム病に関係するとされる106種類の遺伝子をまとめて検査します。これには、ゴーシェ病、ファブリー病、ポンペ病、各型のムコ多糖症、神経セロイドリポフスチン症、ニーマンピック病、クラッベ病、異染性白質ジストロフィーなど、主要なライソゾーム病の原因遺伝子が含まれています。

「ライソゾーム病 NGSパネル検査」は、ライソゾーム病の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【ライソゾーム病の個人歴または家族歴のある方】に
「ライソゾーム病 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・肝臓や脾臓の腫大が認められる方
・原因不明の骨変形や骨折しやすさがある方
・神経症状(けいれん、知能障害、発達の遅れ)がある方
・以前できていた動作ができなくなった方
・眼症状(角膜混濁、視力低下)がある方
・心筋肥大や心不全の症状がある方
・腎機能障害がある方
・手足の痛み(特に運動後や発熱時)がある方
・皮膚に被角血管腫がある方
・筋力低下や呼吸障害がある方
・ライソゾーム病の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、ライソゾーム病の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、酵素補充療法、造血幹細胞移植、基質合成抑制療法、シャペロン療法などの治療選択肢を検討することができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・酵素補充療法の適応判断(ファブリー病、ゴーシェ病、ポンペ病、ムコ多糖症など)
・造血幹細胞移植の適応評価
・基質合成抑制療法やシャペロン療法の適応判断
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・心臓、腎臓、骨、神経系の合併症の早期発見と管理
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。X連鎖遺伝の場合は、男性に多く発症し、女性は保因者となります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABCC8, ACY1, ADAMTSL2, ADSL, AGA, ALDH4A1, ALDH5A1, ALDH7A1, AMT, ANTXR2, ARG1, ARSA, ARSB, ASAH1, ASPA, ATP13A2, BTD, CLN3, CLN5, CLN6, CLN8, COL11A2, COL2A1, CTNS, CTSA, CTSC, CTSD, CTSK, DHCR7, DNAJC5, DPYD, DYM, ETFA, ETFB, ETFDH, FH, FOLR1, FUCA1, GAA, GALC, GALNS, GAMT, GBA, GCDH, GCSH, GLA, GLB1, GLDC, GM2A, GNE, GNPTAB, GNPTG, GNS, GPC3, GUSB, HEXA, HEXB, HGSNAT, HPD, HRAS, HYAL1, IDS, IDUA, L2HGDH, LAMA2, LAMP2, LIPA, LMBRD1, MAN2B1, MANBA, MCOLN1, MFSD8, MOCS1, MOCS2, NAGA, NAGLU, NEU1, NPC1, NPC2, PEX1, PEX10, PEX12, PEX13, PEX14, PEX16, PEX19, PEX26, PEX3, PEX5, PEX6, PGK1, PHYH, PPT1, PRODH, PSAP, QDPR, RAI1, SGSH, SLC17A5, SLC25A15, SLC46A1, SMPD1, SUMF1, SUOX, TCF4, TPP1 ( 106遺伝子 )

主要遺伝子の詳細:

・GBA遺伝子(ゴーシェ病):
グルコセレブロシダーゼ(β-グルコシダーゼ)をコードする遺伝子。この酵素の欠損により、グルコセレブロシドが肝臓、脾臓、骨髄などに蓄積します。

・GLA遺伝子(ファブリー病):
α-ガラクトシダーゼAをコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式をとり、グロボトリアオシルセラミドの蓄積により多臓器障害を引き起こします。

・GAA遺伝子(ポンペ病):
酸性α-グルコシダーゼをコードする遺伝子。この酵素の欠損により、グリコーゲンが筋肉や心臓に蓄積します。

・IDUA遺伝子(ムコ多糖症I型):
α-L-イズロニダーゼをコードする遺伝子。ハーラー症候群、シャイエ症候群などの原因となります。

・IDS遺伝子(ムコ多糖症II型):
イズロン酸-2-スルファターゼをコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式をとり、ハンター症候群の原因となります。

・SGSH、NAGLU、HGSNAT、GNS遺伝子(ムコ多糖症III型):
サンフィリポ症候群A、B、C、D型のそれぞれの原因遺伝子。進行性の神経変性が特徴です。

・GALNS遺伝子(ムコ多糖症IVA型):
N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼをコードする遺伝子。モルキオA症候群の原因となります。

・GUSB遺伝子(ムコ多糖症VII型):
β-グルクロニダーゼをコードする遺伝子。スライ症候群の原因となります。

・CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、PPT1、TPP1遺伝子(神経セロイドリポフスチン症):
各型の神経セロイドリポフスチン症(NCL)の原因遺伝子。進行性の神経変性疾患です。

・SMPD1遺伝子(ニーマンピック病A型・B型):
酸性スフィンゴミエリナーゼをコードする遺伝子。スフィンゴミエリンの蓄積により多臓器障害を引き起こします。

・NPC1、NPC2遺伝子(ニーマンピック病C型):
細胞内コレステロール輸送に関与するタンパク質をコードする遺伝子。

・GALC遺伝子(クラッベ病):
ガラクトセレブロシダーゼをコードする遺伝子。中枢神経系の脱髄が特徴です。

・ARSA遺伝子(異染性白質ジストロフィー):
アリールスルファターゼAをコードする遺伝子。中枢・末梢神経系の脱髄性疾患です。

・HEXA、HEXB、GM2A遺伝子(GM2ガングリオシドーシス):
テイ・サックス病、サンドホフ病などの原因遺伝子。GM2ガングリオシドの蓄積により神経変性を引き起こします。

・CTSD遺伝子(神経セロイドリポフスチン症10型):
カテプシンDをコードする遺伝子。先天性型の重症神経変性疾患です。

・LAMP2遺伝子(ダノン病):
ライソゾーム関連膜タンパク質2をコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式で、心筋症、筋症、知的障害が特徴です。

・ASPA遺伝子(カナバン病):
アスパルトアシラーゼをコードする遺伝子。白質海綿状変性を特徴とする神経変性疾患です。

※その他の遺伝子についても、ライソゾーム病やペルオキシソーム病、先天代謝異常症など関連疾患の原因となります。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、106の原因遺伝子を対象としていますが、すべてのライソゾーム病の原因遺伝子が含まれているわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、酵素活性測定や生化学的検査と組み合わせることで、より正確な診断が可能になります。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
肝臓や脾臓の腫大、原因不明の骨変形や骨折しやすさ、神経症状(けいれん、知能障害、発達の遅れ)、眼症状(角膜混濁、視力低下)、心筋肥大、腎機能障害、手足の痛み、皮膚の被角血管腫、筋力低下などがある方におすすめします。また、家族にライソゾーム病の方がいる場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
酵素活性測定との違いは何ですか?
酵素活性測定は特定の酵素の機能を直接測定する検査で、ライソゾーム病のスクリーニングや診断に有用です。一方、遺伝子検査は原因となる遺伝子変異を直接同定でき、確定診断、遺伝形式の判定、家族のリスク評価、出生前診断などに重要な情報を提供します。両方の検査を組み合わせることで、より正確な診断が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体劣性遺伝の場合、患者さんの兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。X連鎖遺伝(ファブリー病、ムコ多糖症II型など)の場合、男性に多く発症し、女性は保因者となります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
この検査パネルでは106の主要な原因遺伝子を対象としていますが、すべてのライソゾーム病の原因遺伝子が含まれているわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状、酵素活性測定、生化学的検査などに基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。ただし、ライソゾーム病と診断された後の治療(酵素補充療法など)や医療費助成制度については、指定難病や小児慢性特定疾病の対象となる場合があります。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢(酵素補充療法、造血幹細胞移植、基質合成抑制療法、シャペロン療法など)について、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体劣性遺伝の場合、保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%です。X連鎖遺伝の場合、男性患者の娘は全員保因者となり、息子は全員非保因者となります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
ライソゾーム病の治療はどのように行われますか?
ライソゾーム病の治療には、酵素補充療法(ファブリー病、ゴーシェ病、ポンペ病、ムコ多糖症I型、II型、IVA型、VI型など)、造血幹細胞移植、基質合成抑制療法、シャペロン療法などがあります。疾患の種類や重症度に応じて最適な治療法が選択されます。早期診断と早期治療開始により、症状の進行を遅らせ、生活の質を改善できる可能性があります。
予後はどうですか?
ライソゾーム病の予後は疾患の種類、発症時期、重症度によって大きく異なります。乳児期発症の重症型では予後不良のことが多いですが、成人期発症の軽症型では適切な治療により長期生存が可能です。酵素補充療法などの治療法の進歩により、多くの疾患で予後が改善しています。心臓、腎臓、中枢神経の合併症の有無と程度が予後を左右します。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な106の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
新生児スクリーニングとの関係は?
一部のライソゾーム病(ポンペ病、ムコ多糖症I型、ムコ多糖症II型など)は新生児スクリーニングの対象となっている地域があります。新生児スクリーニングで異常が指摘された場合、確定診断のために酵素活性測定や遺伝子検査が必要となります。当検査は確定診断や遺伝カウンセリングに有用な情報を提供します。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら