Loeys-Dietz症候群(ロイス・ディーツ症候群)遺伝子検査NGSパネル|ミネルバクリニック
Loeys-Dietz症候群とは
Loeys-Dietz症候群(ロイス・ディーツ症候群)は、血管や骨格を中心に多様な異常が認められる遺伝性結合組織疾患です。2005年に比較的新しく分類された疾患で、細胞間の情報伝達に重要な役割を果たすトランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)のシグナル伝達経路の異常によって発症します。
本症候群は非常に稀な疾患で、日本では指定難病に認定されています。臨床症状は多彩で、大動脈を含む全身の血管病変、骨格系の異常、特徴的な顔貌などを呈します。特に重要なのは、進行の速い大動脈瘤や動脈解離などの血管系合併症で、若年期から生命を脅かす可能性があるため、早期診断と適切な管理が極めて重要です。
Loeys-Dietz症候群は、同じく結合組織疾患であるマルファン症候群と類似した症状を呈しますが、より広範囲かつ進行の速い血管病変が特徴的です。マルファン症候群では水晶体偏位や高身長が特徴的ですが、Loeys-Dietz症候群ではこれらの所見は認められず、代わりに口蓋裂や眼間開離などの特徴的顔貌が診断の重要なポイントとなります。平均死亡年齢は26歳と報告されており、マルファン症候群よりも予後が不良な傾向があります。
症状と病態
Loeys-Dietz症候群の症状は、血管系、骨格系、頭蓋顔面系、皮膚、その他の臓器に及ぶ多臓器性の病変を特徴とします。症状の程度や組み合わせは患者さんによって異なりますが、特に血管系の病変は生命予後に直接関わるため、最も重要な臨床症状となります。
血管系の症状
Loeys-Dietz症候群における最も重要かつ生命を脅かす症状は、広範囲にわたる動脈病変です。
- 大動脈基部拡張・大動脈瘤(特にバルサルバ洞)
- 大動脈解離・大動脈破裂
- 全身の動脈蛇行(くねくね曲がった血管)
- 脳動脈瘤
- 腹部動脈瘤(腎動脈、上腸間膜動脈、肝動脈など)
- 鎖骨下動脈瘤
- 冠動脈の異常
- 動脈解離(大動脈以外の動脈でも発生)
マルファン症候群と比較して、Loeys-Dietz症候群では大動脈基部だけでなく、より遠位の血管(胸部下行大動脈、腹部大動脈、分枝動脈)にも動脈瘤や解離が生じやすいことが特徴的です。また、動脈瘤の進行速度がマルファン症候群よりも速く、より若年期から手術が必要となることが多いです。
特徴的顔貌
Loeys-Dietz症候群の診断において重要な所見で、以下のような特徴があります:
- 眼間開離:両目の間が広く離れている
- 斜視:目の位置がずれている
- 口蓋裂:口蓋と鼻腔がつながっている
- 二分口蓋垂:のどちんこが二股に分かれている
- 頭蓋骨早期癒合症:頭蓋骨の縫合線が早期に閉じてしまう
- 小顎症
- 下垂した耳たぶ
骨格系の症状
マルファン症候群と類似した骨格の異常が認められます:
- 漏斗胸または鳩胸
- 側弯症
- 関節弛緩性(関節が柔らかく過度に曲がる)
- クモ状指趾(細長い指)
- 先天性内反足
- 頚椎の奇形および不安定性
- 長身傾向(ただしマルファン症候群ほど顕著ではない)
皮膚の症状
- ビロード状で透過性の皮膚(血管が透けて見える)
- 皮膚が薄く柔らかい
- 打撲により容易にあざができる
- 広範で萎縮性の瘢痕(手術や怪我の傷跡が目立つ)
- 皮膚の過伸展性
心臓の症状
- 僧帽弁逸脱症(僧帽弁が左心房側に突出する)
- 僧帽弁閉鎖不全(僧帽弁の逆流)
- 大動脈弁閉鎖不全
- 肺動脈近位部の拡大
- 先天性心疾患
その他の症状
- アレルギー性/炎症性疾患:喘息、湿疹、食物アレルギー、環境因子への過敏反応
- 消化器系:好酸球性食道炎・胃腸炎、炎症性腸疾患
- 妊娠関連合併症:子宮破裂、周産期死亡のリスク増加
- 発達:一部の患者で軽度の発達遅延や学習障害
- 眼科的所見:青色強膜(白目が青みがかっている)、近視
重症度と予後
Loeys-Dietz症候群の重症度は患者さんによって大きく異なります。最も重要な予後因子は血管病変の進行速度と範囲です。平均死亡年齢は26歳と報告されていますが、早期診断と適切な管理(定期的な画像検査、予防的な血管手術、β遮断薬などの薬物療法)により、予後を改善できる可能性があります。
遺伝形式と原因遺伝子
Loeys-Dietz症候群は常染色体優性(顕性)遺伝形式をとる遺伝性疾患です。これは、患者さんの子どもが本症候群を発症する確率が50%であることを意味します。現在までに、TGF-βシグナル伝達経路に関わる複数の遺伝子が原因遺伝子として同定されています。
主要な原因遺伝子
TGFBR1遺伝子およびTGFBR2遺伝子
最も頻度の高い原因遺伝子で、Loeys-Dietz症候群の約75%を占めます。これらの遺伝子は、TGF-β受容体1型および2型をコードしており、TGF-βシグナル伝達の最初のステップで重要な役割を果たします。
- TGFBR1遺伝子:TGF-β受容体I型(ALK5)をコードします。TGFBR1変異は、特に広範な血管病変と関連しています。
- TGFBR2遺伝子:TGF-β受容体II型をコードします。TGFBR2変異を持つ患者では、死亡率がより高い傾向が報告されています。
SMAD3遺伝子
TGF-βシグナルの細胞内伝達に関与するSMADタンパク質の一つをコードします。SMAD3変異は、大動脈瘤に加えて骨関節症を伴うことが特徴的で、「大動脈瘤-骨関節症症候群」とも呼ばれます。
TGFB2遺伝子およびTGFB3遺伝子
TGF-βリガンド(TGF-β受容体に結合する因子)をコードする遺伝子です。これらの遺伝子の変異は比較的稀ですが、Loeys-Dietz症候群の臨床像を呈します。
- TGFB2遺伝子:TGF-β2をコードし、変異により大動脈瘤や動脈蛇行などの血管病変を引き起こします。
- TGFB3遺伝子:TGF-β3をコードし、大動脈瘤・解離を伴う症候群性の表現型を示します。
FBN1遺伝子
フィブリリン-1をコードする遺伝子で、主にマルファン症候群の原因遺伝子として知られていますが、一部のFBN1変異はLoeys-Dietz症候群様の表現型を示すことがあります。当パネル検査ではFBN1遺伝子も含まれており、マルファン症候群との鑑別診断にも有用です。
遺伝カウンセリングの重要性
Loeys-Dietz症候群は常染色体優性遺伝のため、患者さんの第一度近親者(親、子ども、兄弟姉妹)も50%の確率で同じ遺伝子変異を持つ可能性があります。ただし、約75%の症例は新生突然変異(de novo変異)によるもので、両親には変異が認められません。家族歴のある場合も、ない場合も、遺伝カウンセリングを受けることが推奨されます。
ミネルバクリニックのLoeys-Dietz症候群遺伝子パネル検査の特徴
「Loeys-Dietz症候群 NGSパネル検査」とは、現在Loeys-Dietz症候群の原因として報告されている6つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、Loeys-Dietz症候群に関連する6遺伝子を一度に調べられる「Loeys-Dietz症候群 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関でLoeys-Dietz症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、Loeys-Dietz症候群に関係するとされる6つの遺伝子を一度に調べられる「Loeys-Dietz症候群 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行えるLoeys-Dietz症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「Loeys-Dietz症候群 NGSパネル検査」の場合、6つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状からLoeys-Dietz症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「Loeys-Dietz症候群 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な6つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「Loeys-Dietz症候群 NGSパネル検査」では、Loeys-Dietz症候群に関係するとされる6種類の遺伝子(FBN1、SMAD3、TGFB2、TGFB3、TGFBR1、TGFBR2)をまとめて検査します。
「Loeys-Dietz症候群 NGSパネル検査」は、Loeys-Dietz症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【Loeys-Dietz症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「Loeys-Dietz症候群 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・大動脈基部拡張または大動脈瘤が認められる方
・大動脈解離の既往がある方
・全身の動脈蛇行(くねくね曲がった血管)が認められる方
・脳動脈瘤や腹部動脈瘤が認められる方
・眼間開離(両目の間が広い)、口蓋裂、二分口蓋垂などの特徴的顔貌がある方
・漏斗胸、鳩胸、側弯症などの骨格異常がある方
・関節弛緩性やクモ状指趾がある方
・皮膚が薄く透過性で、あざができやすい方
・Loeys-Dietz症候群またはマルファン症候群の家族歴がある方
・若年期に大動脈手術を受けた方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、Loeys-Dietz症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、定期的な画像検査、予防的な血管手術、β遮断薬などの薬物療法、生活習慣の改善を行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・マルファン症候群や他の結合組織疾患との鑑別
・定期的な画像検査(心エコー、CT、MRI)の計画立案
・大動脈瘤の進行予測と予防的手術のタイミング決定
・β遮断薬やアンジオテンsin受容体拮抗薬(ARB)などの薬物療法の適応判断
・全身の血管病変(脳動脈瘤、腹部動脈瘤など)のスクリーニング
・妊娠時のリスク評価と管理
・心臓弁膜症の早期発見と管理
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・生活習慣の改善指導(激しい運動の制限、血圧管理など)
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体優性遺伝のため子どもが発症するリスクは50%です。ただし、約75%の症例は新生突然変異によるもので、家族歴がない場合もあります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
-
FBN1, SMAD3, TGFB2, TGFB3, TGFBR1, TGFBR2 ( 6遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・FBN1遺伝子:
フィブリリン-1をコードする遺伝子。フィブリリンは細胞外マトリックスの主要な構成成分で、結合組織に構造的な支持を提供します。FBN1遺伝子は主にマルファン症候群の原因遺伝子として知られていますが、一部の変異はLoeys-Dietz症候群様の表現型を示すことがあります。TGF-βシグナル調節にも関与しており、Loeys-Dietz症候群との関連が指摘されています。
・SMAD3遺伝子:
SMAD3タンパク質をコードする遺伝子。SMAD3はTGF-βシグナルの細胞内伝達経路において中心的な役割を果たす転写因子です。TGF-β受容体からのシグナルを核内に伝達し、標的遺伝子の転写を調節します。SMAD3変異は、大動脈瘤に加えて早期発症の骨関節症を伴うことが特徴的で、「大動脈瘤-骨関節症症候群」とも呼ばれます。
・TGFB2遺伝子:
トランスフォーミング増殖因子β2(TGF-β2)をコードする遺伝子。TGF-β2はTGF-βファミリーのリガンドの一つで、TGF-β受容体に結合してシグナル伝達を開始します。TGFB2遺伝子の機能喪失型変異により、大動脈瘤や動脈蛇行などの血管病変を引き起こします。比較的稀な原因遺伝子ですが、典型的なLoeys-Dietz症候群の臨床像を呈します。
・TGFB3遺伝子:
トランスフォーミング増殖因子β3(TGF-β3)をコードする遺伝子。TGF-β3もTGF-βファミリーのリガンドで、細胞の増殖、分化、アポトーシスなどを調節します。TGFB3遺伝子変異は、症候群性の大動脈瘤・解離を伴う表現型を示し、Loeys-Dietz症候群の原因遺伝子として同定されています。
・TGFBR1遺伝子:
TGF-β受容体I型(ALK5)をコードする遺伝子。TGF-βシグナル伝達の最初のステップで重要な役割を果たすセリン/トレオニンキナーゼ受容体です。TGF-βリガンドがTGFBR2に結合すると、TGFBR1がリン酸化され、下流のSMADタンパク質を活性化します。TGFBR1変異は、Loeys-Dietz症候群の約25~50%を占める主要な原因遺伝子で、特に広範な血管病変と関連しています。
・TGFBR2遺伝子:
TGF-β受容体II型をコードする遺伝子。TGFBR1と同様に、TGF-βシグナル伝達経路の受容体として機能します。TGF-βリガンドが最初に結合する受容体で、その後TGFBR1をリクルートしてシグナル伝達複合体を形成します。TGFBR2変異はLoeys-Dietz症候群の約25~50%を占め、TGFBR1変異と並んで最も頻度の高い原因遺伝子です。TGFBR2変異を持つ患者では、死亡率がより高い傾向が報告されています。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、6つの主要な原因遺伝子のみを対象としています。稀ではありますが、他の遺伝子変異やこの検査では検出できない変異タイプによってLoeys-Dietz症候群が引き起こされる可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と画像検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 大動脈基部の拡張や大動脈瘤が認められる方、全身の動脈蛇行がある方、眼間開離や口蓋裂などの特徴的顔貌がある方におすすめします。また、若年期に大動脈解離を起こした方、漏斗胸や鳩胸などの骨格異常がある方、家族にLoeys-Dietz症候群やマルファン症候群の方がいる場合も検査をご検討ください。皮膚が薄く透過性で、あざができやすい方も該当します。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- マルファン症候群との違いは何ですか?
- Loeys-Dietz症候群とマルファン症候群は、どちらも結合組織疾患で大動脈瘤などの症状が類似していますが、いくつかの重要な違いがあります。Loeys-Dietz症候群では眼間開離、口蓋裂、二分口蓋垂などの特徴的顔貌が認められますが、マルファン症候群では水晶体偏位が特徴的です。また、Loeys-Dietz症候群はマルファン症候群よりも血管病変の進行が速く、より広範囲の動脈に病変が生じる傾向があります。当検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な診断と適切な管理が可能になります。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- Loeys-Dietz症候群は常染色体優性遺伝のため、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。また、親や兄弟姉妹も50%の確率で同じ変異を持つ可能性があります。ただし、約75%の症例は新生突然変異によるもので、家族歴がない場合もあります。家族の検査により、無症状の保因者を早期に発見し、予防的な管理を開始できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- 検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状がある場合は疾患を完全に否定することはできません。稀ではありますが、検査パネルに含まれていない他の遺伝子や、現在の技術では検出できない変異タイプが原因である可能性もあります。臨床症状と画像検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- Loeys-Dietz症候群は常染色体優性遺伝のため、患者さんの子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。また、女性患者さんでは妊娠中に大動脈解離や子宮破裂のリスクが高まるため、妊娠前からの慎重な管理が必要です。
- Loeys-Dietz症候群の治療はどのように行われますか?
- 現在のところ根本的な治療法はありませんが、以下の管理が行われます:定期的な画像検査(心エコー、CT、MRI)による血管病変の監視、β遮断薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)などの薬物療法、大動脈瘤が一定の大きさに達した場合の予防的手術、血圧管理、激しい運動の制限などの生活習慣改善。適切な管理により、多くの患者さんは予後を改善できます。
- 予後はどうですか?
- Loeys-Dietz症候群は、早期診断と適切な管理が予後を大きく左右します。平均死亡年齢は26歳と報告されていますが、これは診断前に突然の大動脈解離で亡くなる方も含まれた統計です。早期に診断され、定期的な画像検査、薬物療法、適切なタイミングでの予防的手術などの管理を受けることで、予後は大幅に改善できる可能性があります。最も重要なのは、血管病変の進行を定期的にモニタリングし、適切なタイミングで介入することです。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な6つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら